人形達を守るモノ   作:NTK

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誰かネット回線繋がった精神と時の部屋造ってくれねぇかなぁ…
そうすりゃ執筆とイベントやる時間はたっぷり出来るのにと思うこの頃です。




Code-54 敗者の蛇退治(前編)

「…えっと、これはどういう事なんだペルシカ?」

 

バレットらDG小隊とリバイバーは16Labの一室で目の前の出来事に対してそう尋ねる。彼らの目の前には悠然と脚を組んで紅茶を飲むリバイバーの女性ボディの姿があった。

 

「見ての通り、リバイバーのダミー…とでも言うのかしら?が自我芽生えて動きだしたのよ。ちょっと調べたけど全く原因がわからないわ」

 

「な、なるほど…確かにそういった現象は他の基地とかで幾つか報告例があるのは聞いているが、まさかここで起きるとはな…」

 

「それで、そいつは何て呼べばいいんだ?」

 

指揮者(コンダクター)って名付けたわ。それで彼女なんだけど、リバイバーと同じくDG小隊のサポートメンバーとして動いてもらう事に決定したわ」

 

「そういう訳だ、よろしく頼む兄上殿」

 

「兄上殿ぉ?俺の事か?」

 

彼女─コンダクターの言葉にリバイバーは首を傾げた。

 

「あぁ。私はそう認識しているが、不服か?」

 

「不服っつか、突然妹が出来て混乱しているっつうか複雑というか…まぁいい。よろしくな、コンダクター」

 

リバイバーの言葉にコンダクターはどこか満足げに微笑んだ。リバイバーとしては先日まで使っていたボディが自我を持って妹を名乗っている事となる為複雑な思いだが、リバイバーは受け入れる事にした。

 

「コンダクターだけど、この後コアを改造してダミーじゃなくメインフレームとして動けるようにしておくわ」

 

「まぁその方がなにかと都合が良いからな」

 

ペルシカは改造のためコンダクターを連れて行き、バレット達はその場をあとにした。

 

────

 

それから数日が経ち、DG小隊に鉄血から襲撃を受けている部隊の救出任務が課せられ彼らは現場へと向かっていった。なお、コンダクターも実戦も兼ねて同行して行った。その道中、バレットは前々から気になっていた事をリバイバーに聞いた。

 

「リバイバー、お前マーダーと最近鹵獲されたナイトメアの二人に対してやたら警戒してるがそんなにあの二人が怖いのか?」

 

「当たり前だ!死ぬ一歩手前まで追い詰められたんだぞ?そんな連中に再会してビビらない奴がいるか?」

 

「そんなもんか…ならお前を殺したウロボロスも同じく怖い感じか?」

 

「……あ"?なわけねぇだろ、あの糞蛇女に俺がビビるか!むしろ殺意しかないな」

 

これにはバレット達も驚いていた。自身を追い詰めた二人が怖くて自身を殺したウロボロスには殺意しかないというのは気になる事であった。

 

「そもそも、あいつと()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ん?お前、それならどうやってウロボロスに殺されたんだ?」

 

「簡単だ、漁夫られたんだよ。マーダー以外にも徒党を組んでる奴等がいてな、30〜40人くらいだったかな?そいつらが俺に向かってきたから全員返り討ちにして消耗しきったところを物陰から奴が出てきて背後からナイフでブスリだ。その後別の奴が撃ってきたんだが、あの野郎俺を自分の盾に(ガードベンド)しやがってそこで俺は死んだってわけだ」

 

「そういうわけか」

 

「というか、今サラッと凄いこと言ったよな?30〜40人を一人で倒したって」

 

「まぁな。ちなみに俺、蠱毒内だとキル数に対して被弾数は圧倒的に少ないから。キル数はウロボロスと同じくらいで被弾がかすり傷10で直撃17。うち9はマーダー達からで残りはウロボロスに刺された時と盾にされた時だ」

 

つまりは彼女達と戦うまでは直撃を一つも貰わなかったという事である。バレット達は改めて彼が高い実力を持っていることを認識した。

さらに彼が言うには、彼が蘇った時ウロボロスはまるで自分が直接戦って仕留めたかのような物言いをしていたとの事であった。訂正しようにも負け惜しみとしか捉えられず、それがウロボロスに反感を抱く理由であった。

現場へと到着したDG小隊はまずリバイバーに索敵をさせた。

 

「どうだリバイバー?生存者はいるか?」

 

「ん〜…あ、いたいた。北東に三人いるな、鉄血の部隊に包囲されてるっぽいな。…あ、まずいな」

 

「どうした?」

 

「北西から人形達の方向に向けてそこそこ規模の多い部隊が向かっている。反応の大きさから多分装甲兵もいる」

 

「多分か…ハイエンドは居そうか?」

 

「ジャミングされててはっきりはわからん。で、どうする?」

 

「俺らが救出を行う。お前はコンダクターと一緒に北西の部隊を相手してくれ」

 

「ほぅ…!そこまで信頼してくれるとは嬉しいねぇ」

 

「流石にこれだけ行動を共にして疑うのはあれだしな。早く始めるぞ」

 

────

 

北東へ向かったDG小隊は遠方に廃墟を取り囲んでいる鉄血の部隊を発見した。時々廃墟からマズルフラッシュが見えることから、中に人形達がいるのは明らかだった。

 

「あれか」

 

「幸いこっちにまだ気がついていないようだし、早めに仕掛けないと向こうもそう長くは持たないぞ」

 

「よし、ウェイターはグレネードでストライカーの集団を狙ってくれ。その後突撃して向こうと連絡を取りつつ、可能なら向こうと協力して挟撃を加える」

 

ウェイターはバレないように身を潜めながらグレネードの射程圏まで近づいていく。

 

「こちらウェイター、間もなく射程圏に入ります」

 

「了解、こちらは準備ができている。すぐ始めてくれ」

 

数秒後、ウェイターはストライカーの集団に向けてグレネードを発射する。発射音に気づきストライカー達は振り向くが既に遅く、グレネードは命中しストライカーの集団は吹き飛んでいった。

それを皮切りにスミス、レスト、ノアが突入しバレットはそのあとに続きイェーガーやガードといった厄介な敵を撃ち倒しながら前に進んでいき、通信を行う。

 

「こちら本部のDG小隊、そちらの救援に駆けつけた!状況を教えてくれ!」

 

すると、通信機からG36の声が聞こえてきた。

 

「こちらG36!救援感謝します!こちらにいるのは私以外にはG41さんとグリズリーさんでダミーは全員無し、負傷者はグリズリーさんが左手を負傷しているのみです!」

 

「了解。出来れば挟撃を行いたいが、残弾は?」

 

「私が18、G41さんが12、グリズリーさんが3発です」

 

「…わかった、なら援護は大丈夫だ。万が一敵がそちらに来た時に備えてくれ」

 

「わかりました」

 

その後、バレット達は次々と敵を撃破していき、数十分後には敵は全滅しバレット達はG36達と合流した。

 

「この度は助けて頂きありがとうございます」

 

「礼には及ばないさ」

 

「あとはリバイバーが増援部隊を倒せば問題無しか」

 

「そういえば、鉄血の連中が増援について気になる事を言っていました」

 

「何だ?」

 

「えぇ、確か…()()()()()()がもうすぐ来るって…」

 

「ウロボロスだと⁉︎」

 

────

 

その頃、リバイバーとコンダクターは増援の装甲兵部隊を相手していた。

リバイバーは自身の武器で複数纏めて撃破し、コンダクターはビットを用いて装甲の隙間を狙って一体一体確実に撃破していった。

最後の一体を撃破し終え、バレット達に連絡を取ろうとした時であった。

殺気を感じたリバイバーは電磁フィールドを展開すると機銃が二人に降り注ぐが電磁フィールドのおかげで防ぐことが出来た。

 

「おやおや、誰かと思えば敗者で裏切り者のリバイバーではないか」

 

「…っ‼︎ハッ、久しぶりだな優勝者さん?」

 

突如として現れたウロボロスにリバイバーは湧き出る怒りを抑えつつウロボロスと向かいあった。

 

「これは運がいい、お前を見つけたら始末しろと代理人から言われていてな。またこの手で殺してやろう」

 

「何をほざいてんだ?漁夫で殺した癖に何を偉そうに。それに、お前は所詮上級人形だろ?対する俺はハイエンドモデルだ。どちらが優位かわかるだろ?ま、例え俺が下級人形でもお前さんに勝てるがな」

 

「口だけならどうとでも言えるだろう。グリフィンに尻尾を振っている負け犬が」

 

その言葉に腹が立ったリバイバーはある事をウロボロスに話した。

 

「ウロボロス、戦う前に一ついいか?」

 

「何だ、命乞いか?」

 

「…お前さんさぁ、同胞殺して蠱毒を勝ち抜いたのに、初陣で()()()()()()()()()にぶっ殺されたってどんな気持ちだ?教えてくれよ…優・勝・者さん♪」

 

「…ッ⁉︎リバイバー、貴様ぁぁぁぁ‼︎」

 

嘲るように話すリバイバーにウロボロスは激怒し、真っ直ぐ彼に向かっていった。

 

「ハハッ!沸点の低い事で。コンダクター、手を出すなよ。これは俺のリベンジマッチだ」

 

「了解した。だが兄上殿が危ないと感じたら手助けをする」

 

「はいよ。さぁ……かかって来いよ、『俺殺し』」

 

リバイバーは不敵に笑いながら迎撃の準備を始めた。




はい、と言うわけで彼女の名前はコンダクターとなりました。
立場上はリバイバーの妹ということになります。

さて、ウロボロスとリバイバーの因縁の対決、果たして勝者は…
後編をお楽しみに。

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