人形達を守るモノ   作:NTK

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予約投稿です。

さぁやってやりますよ‼︎
今回。最後にお知らせがあります。


Code-57 結ばれる守護者たち

バレンタイン当日、どこもかしこも賑わっているなか、レストは自室でノアと共に過ごしていた。しばらくした後、ノアは紙袋から包装されたチョコを取り出した。

 

「レストさん、今年もチョコを作ってきたのでどうぞ」

 

「ノア、いつもありがとうな。…開けてもいいか?」

 

ええ、とノアが言ったのを聞きレストは包装を開き中のハート型のチョコを取り出し一口齧る。飲み込むのを待ってノアはおずおずとレストに質問した。

 

「あの…どうですか?」

 

「…また上手くなったな、前より美味しいよ」

 

「…!よかったぁ…」

 

レストはチョコを少し割るとノアに差し出した。

 

「ほらノア、口開けな」

 

「は、はい…あー…」

 

初めの方は断ろうとしていたが、目の前にいるのに自分だけ食べるわけにはいかないとレストが頑として譲らなかったため、レストがノアに少しだけチョコを食べさせるのが恒例となっていた。

やがてチョコを食べ終え、用が済んだノアが部屋から出ようとすると、レストはノアの腕を掴んで引き留めた。

 

「レストさん?」

 

「…実はノアに渡したいものがあるんだ、少し待っててくれ」

 

そう言われノアはベッドに腰掛けて待っているとレストは机の引き出しから小箱を取り出しノアに近づき、小箱をゆっくりと開けた。

 

─その中に収まっている銀の指輪を見てノアは思わず口を手で押さえた。

 

「え…⁉︎本当…に?」

 

「あぁ。随分と待たせて悪かった…ノア、俺と結婚してくれ。これからもずっと、俺のそばにいてくれないか…?」

 

「……はい…‼︎」

 

レストのプロポーズに応えた後、ノアは嬉し涙を浮かべてレストに抱きついた。レストも抱きしめ返し、しばらくそのままでいた後、二人は体を離した。

 

「…レストさん、あとで隊長さんに報告しなきゃですね」

 

「それなんだがノア、大事な話があるんだがいいか?」

 

レストはノアにある話をする。

 

「…という事なんだが、それで大丈夫か?まぁ詳しい事は隊長と話して決めるが、その方針でいくつもりだ」

 

「…わかりました、私はそれで大丈夫です」

 

「ありがとう。とりあえず隊長達に連絡してミーティングルームで待つか」

 

レストはバレットらにメッセージを送信すると、ノアと共にミーティングルームへと向かっていった。

 

────

 

ところ変わりグリフィン本社中庭にて、ウェイターはフィオナと共に彼女の作ったチョコチップスコーンを食べていた。

 

「これは…!」

 

「ウェイターの好みに合うように作ったんだけど、どうかしら?」

 

「…とても美味しいですよ、それより私の好みを覚えていたのが驚きです」

 

「昔からあなたに好かれたかったからあなたの好みとか周りの人達から聞いていましたから」

 

「そう、ですか…フィオナ、少し良いですか?」

 

「何?」

 

ウェイターは真剣な眼差しでフィオナを見つめる。その様子にフィオナは一瞬見惚れそうになるもウェイターの様子をみて気を引き締めた。

 

「…貴女があの事件に巻き込まれた時、私は自分が人形である事を悔やんでました。自分が人形じゃなくて人間だったらメンテに行く事もなく貴女を守れたかもしれない、貴女と私が付き合っても周りから反発されずに済んだのではと考えていました…」

 

「うん…」

 

「ですがDG小隊に入隊してからその考えは変わりました。人形だからこそ出来ることがある、守れるものがあるとわかったからです。それに、あの時と違って人形と人間が愛し合い、結婚する事も自然になってきました。だからというわけではありませんが、私の今の気持ちを伝えます」

 

ウェイターはフィオナの前で膝を着き、懐から小箱を取り出しそれを開いて中の指輪を見せた。

 

「フィオナ…私と、夫婦になっていただけませんか?」

 

ウェイターの告白にフィオナは思わず固まってしまう。

何か言葉を出そうとしたのだが、嬉し涙が出て上手く言葉が出せずようやく出たのが

 

「えっと…その…私でよければ、よろしく…お願いします…!」

 

その後堰を切ったように泣き出すフィオナをウェイターが優しく慰めたあと、レストが話したのとほぼ同じことをフィオナに話した。

 

「貴女さえ良ければそれでいこうと思いますが、どうですか?」

 

「なるほどね…わかったわ。私はそれで平気よ。その方がみんなの為になるわ」

 

「ありがとうございます。では皆さんに連絡を…ん?レストから連絡が…」

 

「レストさんが何だって?」

 

「皆に話すことがあるそうで…まぁ何となく予想はつきますが…ちょうど良いです。私達もミーティングルームに行きましょう。こちらも話すことがあると連絡しましょう」

 

連絡の返信をし、二人もミーティングルームへと向かっていく。

 

────

 

再び場所は変わり、バレットはアスターに部屋に招かれ、彼女が作ったチョコマフィンを受け取り、普通に食べようとしたがアスターに遮られ、彼女の手によって食べさせられていた。

 

「はいバレット、あーん」

 

「あ、あぁ…」

 

「味の方はどうかしら?甘過ぎたりしてないかしら?」

 

「ん…別に平気だよ、寧ろ丁度いいくらいだ」

 

「ふふ、ありがとう。今後の参考にするわ」

 

どちらかと言えば何故普通に食べさせてくれないか気になったが聞いても微笑むばかりであり、結局マフィンが無くなるまでずっとあーんをさせられていた。

食べ終わったあと、バレットはアスターにある事を聞いた。

 

「なぁアスター。付き合って二ヶ月だが、互いに任務で二人の時間が中々作れないが寂しかったりしてないか?」

 

「いいえ。二人の時間を何とか作ろうとしてるのもわかるし、こうやって過ごしてる時でも愛されてるってわかるから少しも寂しくはないわ」

 

「そうか…」

 

バレットはそう言ったあと深呼吸をし、ポケットから小箱を取り出し中の指輪をアスターに見せた。

 

「えっ…⁉︎バレット…?」

 

「付き合って二ヶ月で早いかもしれないし、夫婦としての時間もあまり取れないかもしれない、それでも俺は君をずっと愛する。だから…結婚してくれ」

 

それを聞いて数秒が経った後、アスターの顔がみるみるうちに赤くなっていった。

 

「えっ…?えっと、本当に?」

 

「いくら何でもこういった冗談は言わないさ。それで、返事は…?」

 

「その…まだ貴方のことをよく知らないけど…その…私で良ければ喜んで…」

 

「…っ‼︎わかった。なら話しておきたいことがある」

 

例に漏れずバレットは先の二人と似た内容を話し、アスターはそれを了承した。そして先の二人のメッセージを見たバレットはアスターを連れてミーティングルームへ移動した。

 

────

 

ミーティングルームに集まったDG小隊とリバイバー、コンダクター、そしてペルシカはバレットらの報告を聞き少なからず驚いていた。

 

「なるほどねぇ…まさかあなた達が同時に結婚の報告するなんてね…」

 

「息が合ってるというか、何というか…とにかく、全員おめでとう」

 

「ククッ。まさかお前さん達の結婚の現場にありつけるとはな…」

 

「それで、先程言った事は本当にやるつもりなのか?」

 

「あぁ。まさかレストやウェイターも同じ考えとは思ってなかったが、まぁ当然といえば当然か」

 

バレット、レスト、ウェイターが考え、実行しようとしていたことは主に二つ。一つは結婚式は三組同時に行うこと。そしてもう一つが三組の結婚の情報を『グリフィンのみならず一般にも伝えること』であった。

 

前者はまだわかる。別々にやるよりも、同時に行った方が招待客の面でも都合が良く、本人達も納得しているため問題はない。

だが後者はリスクが高い。一般ということは当然人類人権団体の過激派の耳にも届く。人形と人間の結婚ですら認めない連中である。三組中二組が人形同士の結婚、しかも相手は彼らと真正面から敵対しているDG小隊である。当然妨害工作や直接危害を与えようとするだろう。

 

何故そこまでのリスクをバレットらが背負う真似をするかと言えばただ一つ。

──S09P基地のユノ指揮官及び戦術人形クフェアの身の安全の為である。

 

現在両名はお腹に子を宿している事はDG小隊はペルシカを通じて把握している。二人の妊娠のケースは少々特殊なためその手の連中が反応するのは必須、しかもユノ指揮官に関しては彼女を狙う存在が多いため現在は徹底して情報を隠しているが、いつ情報が漏れるか定かではない。

そこで、バレット達の結婚の情報を敢えて流し、少なくとも人類人権団体の目をこちらに向けさせそれらを一網打尽にすることで少しでも情報が漏れるのを防ごうとの考えであった。

 

そこまで聞いたところでリバイバーが口を開いた。

 

「なるほどなるほど…それで、連中の始末は俺とコンダクターだけでやるんだろ?」

 

「「「え?」」」

 

「え?」

 

バレット達の答えにリバイバーは思わず額を抑えた。

 

「…お前さん、まさか連中の相手をするつもりだったのか?」

 

「当然だが、それが何か問題でも?」

 

大アリだッ!いいか!お前さん達は結婚式を控えてるんだぞ⁉︎そんな状態で連中の相手をするって事はだな、『この任務が終わったら結婚するんだ』っていうこれ以上ない死亡フラグだぞ⁉︎」

 

「「「あ…」」」

 

「最近彼女が出来たスミスも充分フラグ圏内だし俺とコンダクターが奴らの相手をする!いいな!お前さん達は式の準備なり招待状なりの準備でもしてろ!」

 

「あ、あぁ…そうするよ」

 

その後、結婚の情報を広め、バレット達は式場や招待する相手などの準備を進めてることとなった。

数日が経ったのち、人権団体に大規模な動きがあるとの情報が入り、リバイバーとコンダクターはヘリで現場に急行した。なお、リバイバーはルイン装備での出撃であった。

 

(…にしても、結果的とはいえユノ指揮官の抹殺を命じられた俺が、彼女を守る為に行動するとはとんだ皮肉だな…ま、連中に一足早い祝砲を浴びせるとしようか)

 

ヘリの中でリバイバーはそう考え、装備のチェックを始めた。




グリフィン人形の身を案じる鉄血ハイエンドがいるらしい…
やっと結婚にこぎつけました!いや〜長かったな〜。

さて、お知らせというのはぶっちゃけコラボです。下記から参加をお願いします!

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=232569&uid=89042

とりあえず次回リバイバーが大掃除した後で式を始めますので頑張れば土日、遅くとも来週くらいに始めます。
ではその時まで楽しみにしてください。

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