ある日、バレットはアスターと共に部屋でくつろいでいた。結婚式のあと、本部の計らいで彼ら夫婦三組は二人部屋に移され、以前より多く二人で居られる時間が増える事となっており、現在アスターはバレットに膝枕をされていた。
普通逆なのでは?と思うだろうが、二人きりの時はバレットに甘えたいのでこの方が良いのである。時折頭を撫でて欲しそうに上目遣いでこちらを見るのでその度にバレットひ彼女の頭を撫でるのだが…
「んっ…あっ…うぅん…」
「……」
このように、艶めかしい声を上げるのでバレットとしては色々と困っていた。
「なぁ、その声…どうにかならないか?」
「あ、ごめんなさい…あなたの(撫で方)が気持ち良くて…何とか私も我慢しようとしてるけど、どうしても(声が)出ちゃって…」
「言葉何個か抜けてるのはワザとか?」
「フフッ♪」
アスターはクスクス笑うと起き上がり、髪を整えバレットの隣に座り込んだ。
「ねぇバレット…子供とかはどう考えてるの?」
「えっ⁉︎いや…そのな…」
唐突に言い放ったアスターの言葉にバレットは言い淀んだ。ちなみに二人はホワイトデーの時にスイッチが入ったアスターにバレットが半ば襲われる形で事は済ませてある。(なお、バレットは途中で
一応理論の上では人形同士でも子供をつくれるが、バレットはそれに対して二つの懸念があった。一つは単純に倫理的なものである。
D08基地やS09P基地のように片方が人間ならまだ人間と人形のハーフで通るが、人形同士の場合は言ってしまえば人造人間と同義なのではとバレットは考えている。ユノ指揮官やその周りの事情を知っている以上、自分たちがそれに近い事をしていいのかという懸念が一つ。
もう一つが、それが原因で過激派に大きな動きを与えないかである。
当然妊娠した場合はそれを隠すが、出産したらいつかはバレてしまう。それを彼らが聞きつけ、自分達を確実に始末する為に前回の作戦に出てきたような大型人型兵器と同等かそれ以上のものを大量に造りその結果、多くの命が失われてしまう事にならないかといったものである。
以上二つのことをバレットは立場上話しても平気なところだけを選んでアスターに話すと、アスターは静かにこう問いかけた。
「…あなたの言いたいことはわかるわ。でもそれは、『DG小隊の隊長として』のあなたの意見じゃないの?私は『私の夫であり戦術人形』のあなたの意見を聞きたいの。どう?」
彼女の言うことはあっていた。先程のは人形達を守り、火種を消すDG小隊の隊長としてのバレットの意見であった。それを踏まえて今度は個人としての意見をバレットは話した。
「…正直、君との子は欲しい。さっき言った事だって、その子供を軍事利用するとかじゃないし愛情を持って育てるつもりだから何の問題もないと思ってるし、過激派の連中に君や子供に危害を加える事をさせるつもりも毛頭ない。そう考えている」
ならそれで良いじゃない、と笑うアスターにバレットは一緒キョトンとするが、すぐに肩を揺らして笑っていた。
「ハハハッ何か悩んでたのがバカらしくなったな。ありがとう、アスター」
「どう致しまして。それと、この事は他の二人にも言ったほうがいいんじゃない?レスト君は特に気にしてると思うから」
「そうだな。だが目下の問題はコレクターだ。アレをなんとかしないとマズイ。もし妊娠したなんてしれたら奴の考え的にはどんな手を使っても始末しようとするだろうしな」
「そうね…あ、そういえば、I05地区で鉄血の部隊の入れ替えらしい動きがあったそうよ?」
「それは俺も聞いた。コレクターの動きが最近見られないから、余計に気になるな…」
────
本部から少し離れた街で、スミスは一人で気晴らしにと歩いていた。
(最近、鉄血や過激派の動きも収まってきてるし、バルカンとまたデートにでも誘おうかな…バレット達は関係が進むのが早かったから、こっちはこっちで関係を築いていくとするか…)
そんなことを考えているなか、スミスはある事をポツリと呟いた。
「そういや…最近コレクターの動きが見られないが、何処にいるんだ?」
「う し ろ に い る よ」
「っ⁉︎」
突然後ろから声が聞こえ、驚いて振り向くとそこには狂気じみた笑みを浮かべたコレクターが立っており、ホルスターから銃を出そうとした瞬間、スタンガンらしきものを押し当てられ、電撃が彼を襲いスミスは気を失った。
コレクターはスミスの銃を地面に置くと彼を抱えてテレポートで何処かへ行ってしまった。
スミスが行方不明になったのをバレット達が知ったのはその数時間後の事であった。
────
「…う、ここは…?」
「あ、起きた。おはよー♪ここはI05地区だよ」
目が覚め、視界にコレクターの顔を見たスミスはとっさに起き上がろうとするが、その時自分の手足が失くなってる事に気がついた。
「なっ⁉︎」
「君の手足ならここにあるよ。逃げられたら困るし。どこをどうすれば痛くないかは
地面に置かれた自分の手足を見てスミスは苦い顔をした。今彼は机の上に達磨のように『乗せられている』状態にあった。
「俺をどうする気だ?」
「君の事は気に入ってるからこのまま
「飼育…だがこっちもお前が思う以上に強くなってる。そんな程度でやられるか。盾ごと粉砕するだろうよ」
「いいや出来ない。少なくとも盾は絶対に壊せないよ。まぁ、見てもらった方が早いか」
そういいコレクターはモニターを付ける。それを見たスミスは言葉を失った。
─百はいるガードやアイギスが手に持っている武器が大型化してるのもそうだが、彼ら彼女らが手にしてる盾には、手足をもがれた人形が埋め込まれていた。しかも、彼女達は生きているのであった。
「なっ…⁉︎お前…‼︎」
「どう?これだけ集めるの大変だったよ。盗賊がオモチャにしてるのや娼館にいるのとかも攫ってさ。これでも盾ごと粉砕できるの?できないよねぇ?君たちは人形達の味方なんだから。普通はまた作れば良いで済ませて構わず殺すけど、君たちは愚かにもお人好しだからね。それを利用させてもらったよ」
「…盾ごと破壊しろとの命令があればそれは無意味になるぞ?」
「それが下されない事は君自身がよく知ってるでしょ?」
コレクターの言葉にスミスは言い返せず、黙って彼女を睨む。まさかここまで非道な真似をするとは思ってもおらず、視線だけで殺せるのなら数百回は殺しているくらい睨み付けていた。
「非人道的とでも思ってそうな目だけど、人道とは人の道。私たちは人じゃないから人道も何もないよ」
「こんな事までして、何が目的だ…!」
「どうやらグリフィンには私たち鉄血をお友達と思って仲間にしてるのがいるみたいだから、改めて思い知らせるの。私たちは敵で、お友達なんかじゃないって。ちなみにこれ作ったのは建ちゃんだよ。ねぇ建ちゃん?」
「っ⁉︎う、うん…」
部屋の隅にいたアーキテクトにコレクターがそう問いかけると、アーキテクトは泣きそうな目で半ば怯えながら答えた。その様子からスミスはアーキテクトは無理矢理脅すなりなんなりで作らせたなと直感した。
「あの盾はいざとなったら私が遠隔で爆破できるようにしてあるんだよ。ちゃんと起動するかはテスト済みだし、ガードやアイギスも盾を積極的に使うようにプログラムさせてある。さて、わざとグリフィンに見つかるように行動したからガード達のこともわかっていてここに来るはずだ。一体誰が君を助けにきて殺されるか楽しみだね」
コレクターはそう言った後、狂気じみた嗤い声を部屋に響かせた。その声が響くなか、スミスは文字通り手も足も出せずにいた。
はい、という訳でコラボ『I05地区及びスミス奪還作戦』の参加を募集します。
こちらからどうぞ。
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6/7の正午に締め切ろうと思いますのでぜひよろしくお願いします!