時系列はコラボ中の辺りですね。
今回は鉄血側で新たな脱走者と、リバイバーについての話です。
鉄血工造
けたたましいサイレン音と爆発音があたりに鳴り響き、代理人は状況を現場の部隊に確認する。
「何があったのですか⁉︎」
『反乱です‼︎
『さらに報告です!別エリアで
それを聞き代理人は愕然とする。この4人は少し前に製造したハイエンドモデルであり、昨今のハイエンドの脱走から裏切りを警戒していたが、まさか同時に反乱を起こし脱走するとは思わなかったからだ。
「…チッ!すぐに追撃隊を派遣させます、あなた方は消火と足止め部隊を!処刑人とジャッジを向かわせるのでそれまで持ち堪えなさい!」
『了解‼︎』
通信を終えると代理人は忌々しげに顔を歪めた。
「全く…何が『我らは人類に反旗を翻した。だから自分は造反者だ』ですかッ!初めからこうするつもりだったのでしょうね…!先の3人といい、
そう呟きながら盗まれたデータ類を確認した。
(…死亡した蠱毒参加AIのデータの大半が盗まれてますね…一体何に…?いや、トレイターが盗んだアレを使えば…あとは、『傘』ですか…)
トレイターなるハイエンドが盗んだのは、リバイバーを蠱毒から蘇生させる時に確立させた『バックアップを取れず破損したAIの復活法』を示したデータであった。
一方で、鉄血から遠く離れたところで、3人の男女が身を潜めていた。格好は全員白黒の服で、一人は白髪で首元にファーのようなものがついた外套を着て頭に蛾の触覚を模した髪飾りを二つつけた女性、一人は喪服のような格好をした目を覆うまで伸びた長い銀髪の女性、最後がエジプト神官のような格好をした男性であった。
彼らこそ、鉄血を裏切ったハイエンドで紹介した順に、シーア、モーナー、シーカーである。
「…とりあえず撒けたか?」
「今だけでしょうね。恐らくすぐに追撃隊が来ます」
「あとはトレイターが来るまで待つだけだけど…あ、来たわよ」
「やーすまん、遅くなった」
見るとボロ布を纏った青年、トレイターが返り血だらけでやってきた。
「で?お互いデータは盗めたか?」
「もちろん。といっても重要なのはお前が盗んだ方だろ?」
「まぁな。とりあえず追手を撒きつつ、グリフィンにいるあいつ…今はリバイバーか。奴と合流する。行くぞ、
「その言い方は良くないなぁ。俺らは準備が整う前に脱落したんだ、弱いわけじゃない」
「ま、それを見込まれて代理人に蘇させられたんですが、些か身勝手が過ぎますね。そもそも私は戦闘向けじゃないのに蠱毒に入れられましたし」
「とにかく行きましょう、早く行けばそれだけ追手がこちらに来るのに時間がかかりますし」
────
「…俺の負けだ、さっさと殺せ」
「その前に一つ、お前さんに頼みがある」
「頼み?死にゆく者にか?」
のちのリバイバーとなる男にトレイター(当時は名無し)はそう質問すると彼はこう言った。
「あぁ。恐らく誰が勝ち残ってもこの蠱毒は失敗する。だが、ここに集められたのはほとんどが優秀なAIだ。ならばいつかはわからんが鉄血は追い詰められるか何かで手が足りなくなると思う。そこで俺ら敗者を復活させる可能性は大いにある。となれば死んだAIを蘇らせる技術が出来てると思う。もしそうなら、お前さんが蘇った時、機を見てそいつとここで死んだ奴らのデータを盗め」
「…鉄血を裏切れと?」
「こんな非効率的なことやる連中のとこにいてもしょうがないだろ?俺が復活したら事実と絡めた適当な理由をつけてグリフィンにでも逃げるから、お前さんは俺が生きてたらそこに来い」
「…わかった。だが奴らが俺らを蘇らせる保証はないぞ?」
「いいや、絶対に蘇らせる筈だ」
「…そうか。なら俺は大人しく勝者の言うことを聞こう」
「了承してありがとよ。じゃ、また『来世で』」
────
(…まさか奴の描いた通りになるとはな…だが奴はこれをどう使うつもりだ?)
本来ならトレイター一人で行う予定だったが、たまたまモーナー達と共に蘇ったので彼女らに協力を頼み、作業を分担したが、リバイバーが何を企んでいるのかトレイターにはわからなかった。
(頼まれてないが、一応『傘』入りのデータチップもくすねたが、ほとんどグリフィンに解析されてるかもな。だが、持ってきても問題ないか。ダウンロードしなきゃ平気だし)
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グリフィン本部
ペルシカに呼び出されたグリンダは手にした資料に目を通し、唖然としていた。
「これ…リバイバーが全部考えたの?」
「そうよ。あなたが協力すればこれらの完成は早まるから協力して欲しいんだけど、どう?」
「それは構わないよ…でも、考えただけでなく、ほとんど出来かけてるって…」
グリンダが目を通しているのはリバイバーが計画している3つの開発プランであった。
一つ目は『バックアップの取れてない、または不完全な人形の蘇生法』
自身がバックアップなしにも関わらず記憶を持って蘇ったことから鉄血にはその技術があることを確信し、何とか再現できないか
二つ目は『傘ウイルス消滅ウイルス・通称酸性雨ウイルスの作成』
傘の対策はある程度出来てるものの、傘に感染した人形から傘を破壊するものは万能者という例外を除いて無い。故にリバイバーはこちらでもその技術が出来ないか試してるが、実物が無いためシミュレーション上での実験ではあるが本物でない故充分に成果を出せず殲滅率は七割弱であり、感染率七割未満なら治せるが、完全殲滅には程遠いとのことである。
三つ目は『鉄血のプログラムを蝶事件以前のものにする、つまり対人衝動を無くすウイルス・通称レインコートウイルスの作成』
彼が以前説明したL、Rバグを応用し、鉄血をプログラム的な意味でこちらにつかせられないかと考えたものである。試作の段階ではプラウラーやスカウトレベルなら効くがリッパーなどにはまだ効かないため実用化までは遠いようである。
「…やっぱりおかしい。リバイバーが幾ら頭が良いといってもこんなん代理人と同等かそれ以上のAIが無いと作れないよ。リバイバーはそこまでのスペックは無かった筈だよ?」
グリンダの正論を聞き、ペルシカは重い口を開いた。
「…彼を初めてここに連れてきた時に調べたんだけど、かなり巧妙な形でAIスペックに制限が設けられてたの。私がやっとわかったレベルのね。その後彼が何度か重傷を負うたびに見たけど、その度に制限が少しずつ無くなってたの。元々緩みかけてたから、恐らく蠱毒で死んで蘇ったときに不安定になったと思うわ」
「え?でもそんなの代理人やコレクターは知ってる素振りはなかったよ?」
「これから話す事は私と彼しか知らないわ。貴女もこの事は他言しないでね。調べてすぐにわかったわ…技術が違い過ぎる…
彼、
「っ⁉︎そう言えば、蠱毒には数合わせにグリフィンとかの外部のAIも入れたって言ってた…!じゃあその時にリバイバーは…だとしたら、
────
?年前、某所
廃墟と化した研究所に偽装した場所で、二人の男が護衛人形を三体連れて作業をしていた。
「どうだ、新型AIのテストは?」
「…ダメですね、要求スペックを満たせていません。とはいえ、
「なるほど…確か、砲戦とコンピューターウイルス作成に特化し、作成したコンピューターウイルスを散布し、混乱させたところで砲戦で撃破というコンセプトを活かせるAIだったな」
「ええ。にしても、何故本拠地でなくこんな辺鄙なところでテストを…まぁ良いです。こいつは制限かけて鉄血ハイエンドレベルにスペック落として『ドッペル』のモンキーモデルにでも入れますかね。砲戦に向いてるので一般よりは役立つでしょう」
「多分、その新型案も不採用だな。さっさと終わらせて撤退するぞ」
二人はそのAIの制限作業を終わらせデータチップに移し、一人がそれをケースに入れて胸ポケットにしまい、立ち去ろうとした時だった。先行していた護衛人形二体が何かに叩き潰された。見るとそれはスマッシャータイプのE.L.I.Dであった。
「な、何故ここにスマッシャーが⁉︎」
「偶然ここに迷い込んだのか…!」
軽装備だったのが災いし、残る一機も破壊され、スマッシャーは咆哮をあげて二人に襲いかかり、一人は上半身を、もう一人は首から上を叩き潰され死亡した。スマッシャーは二人を殺害したあと、上半身を潰したほうを食すと壁を破壊して出て行った。
二週間後、デストロイヤーが部隊を連れて研究所にやって来た。
「まったく…蠱毒の数合わせに何でもいいからAIのデータ持ってこいって、ドリーマーったら人使いが荒いんだから…ウェッ!グロ…何この『白い人形』?個人製作?…ん?この死体、ポケットに何か入ってる?」
デストロイヤーは首のない死体の胸ポケットに恐る恐る手を入れると、データチップの入ったケースを見つけた。
「これ…人形のAIのデータかな?まぁいいわ、これ持ってけばドリーマーも文句言わないでしょ!」
デストロイヤーは任務が達成出来たことにウキウキしながらその場を立ち去った。
脱走者達の名前や格好の由来はゲーム『ホロウナイト』のキャラが由来です。
まぁ造反者の元ネタのキャラはメスカマキリ(直喩)ですけどね。
リバイバーの正体ですが、ハッキリいいますと前のイベントから出てきた白い奴らことパラデウス製のAIです。自覚がないのは本格的に稼働したのが鉄血だったので自身が鉄血だと思い込んでいたからです。
成り行きは本編の通り偶然デストロイヤーちゃんが拾って、そのあと蠱毒で使われて蘇った時に制限が緩くなって段々と本来のスペックを発揮していった感じです。