白い魔王《オーマジオウ》   作:ハーゼ

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ウォズさんに「我が魔王」と言わせたいだけ


EP:1

海鳴市・私立聖祥大附属小学校。

時刻は12時、昼休みということで屋上はにぎわってる。

そんななかのベンチの一つに私たちは腰かけてお弁当を食べているの。

 

「今日の授業の将来について考えるってあったじゃない?すずかはなんか将来のビジョンとかあるわけ?私はパパとママの会社を継げるようになりたいんだけどさ」

 

右隣に座っている女の子は【アリサ・バニングス】ちゃん。

とっても頭が良くてテストでは100点が当たり前の凄い子なの。

 

「私は機械系が好きだから、機械系の専門職かな」

 

左隣に座っている女の子は【月村 すずか】ちゃん。

おとなしい見た目ですがスポーツ万能でとっても頼りになるの。

二人とも私のとっても大切な親友さん。

 

「あれ?なんで私聞かれないの?」

 

「いや、なのはには聞くまでもないでしょ」

 

「なのはちゃん一途だからね」

 

「・・・仲間外れなの…」

 

「そ、そんなことないよ!?」

 

「じゃあ聞いて?」

 

「・・・あー、もうわかったわよ。聞いてあげるわよ。なのはの将来のビジョンは?」

 

そして私は【高町 なのは】。

普通の小学三年生で夢は・・・

 

「王様になることかな」

 

「ほら、聞くまでもないじゃない」

 

「いつ聞いても自信満々だね」

 

「うん!絶対なるから!」

 

そのためただいま勉強中です。

 

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、いこ」

 

「あっ、そういえば塾への近道見つけたのよ。今日はそこ通っていかない?」

 

「へぇー、近道なんてあったんだ。全然知らなかった」

 

放課後になり、私たちは一緒に塾に向かう。

それにしても知らない道を通るのって冒険してるみたいで少しどきどきするの。

昔の王様には冒険してる人もたくさんいるからちょっとは仲間入りかも?

 

「なのはちゃん嬉しそうだね。なにかあった?」

 

「にゃははー、ちょっとね」

 

「なのはって少し変なところあるわよねー・・・ってついたわよ。ここを通れば早いのよ」

 

そういってアリサちゃんが指さした方には木々が生い茂っている。

公園というには整備はされておらず、森というにはちょっと違う感じ。

 

「林?あっ、でも道はあるんだ」

 

「ちょっとデコボコしてるけどね。さっ、いきましょ」

 

「わくわくしてきたの!」

 

「わくわくする要素あった!?」

 

これは思っていたよりも冒険らしくなってきたの。

 

「こんなところあったんだねー」

 

「私も最近見つけたのよ」

 

冒険では森を進むのは定番。

そして進んでいくとお宝が・・・ってさすがに無いよね。

そもそもただの林・・・

 

「あれ?ここ、みたことあるような・・・あっ!」

 

昨日夢で見た場所とそっくりなんだ。

不思議な夢で男の子が黒い怪物と不思議な力で戦ってた。

それで最後に確か『力を貸して』って声がして・・・

 

「なのはちゃん、急にきょろきょろしてどうしたの?」

 

「えっ、あっ、なんでもないよ~」

 

「はやくしないと置いてっちゃうわよー」

 

「えぇ!ひどいよー」

 

・・・まぁ、気のせいだよね。

少し引っかかるけど。

 

『た_け_!』

 

「!?」

 

「なのは?」「なのはちゃん?」

 

「いま何か聞こえなかった?声みたいな…」

 

「なにかって・・・」

 

「なにも聞こえなかったと思うけど・・・」

 

気のせい…?

でもどこかで聞いたことあるような声だった。

 

『たすけて!』

 

「気のせいじゃない!」

 

「ちょっ、なのは!?」「ま、待って!」

 

気が付けば走り出していた。

まるで頭の中に言葉が思い浮かぶようでどこから声が聞こえるかは全くわからない。

 

(だけど…!)

 

なぜかこっちにいる気がするの!

 

「はっ、はっ、はっ、たぶんこっちだと思うんだけど・・・あっ!?」

 

横たわっている小さな動物を一匹みつけた。

弱弱しくびくびくとしか動いていない。

助けなきゃ!

 

「だいじょうぶ!?」

 

「キュ…」

 

近づいて抱き寄せてみたけど・・・

どうしようこの子全然元気がない・・・

 

「この先の道を右に曲がったところに動物病院がある」

 

「ふぇっ!?」

 

急に声をかけられたことに心臓がとくんっ、となった。

声がした方を向けばフードを被ったコート姿の男の人が木にもたれかかって、凄い大きな本を読んでいるの…

 

「はやく連れて行ってあげるといい」

 

「は、はい!」

 

そうだこの子を早く助けてあげなきゃ!

 

「そしておめでとう。この本によれば今日は君にとって特別な日になる。ただし、授業には集中することをおすすめしよう」

 

「えっ?それってどういう「なのはー!」あっ、アリサちゃん、すずかちゃん」

 

後ろをみればこちらに走ってくるアリサちゃんとすずかちゃんの姿が。

どうやら追ってきてくれたみたい。

 

「どうしたのよ急に走り出して・・・」

 

「見て、動物。怪我してるみたい」

 

「こ、こういう時は病院よ、病院!」

 

「でも近くに動物病院あったかな…?」

 

「それなら大丈夫!この人が教えてくれたの!」

 

「この人って?」

 

「誰もいないじゃない」

 

「ふぇっ?」

 

振り返ればそこにはだれもいない。

ついさっきまでそこにいたのに。

消えちゃったの!?

 

「よくわかんないけど、場所は分かるんでしょ?なら急がないと!」

 

「う、うん!」

 

お礼も出来ずにごめんなさいなの!大きい本を持った人。

 

 

「あの子はどうですか医院長先生?」

 

「大丈夫よ、処置は終わって今は眠っているわ」

 

「「「ほっ…」」」

 

三人そろって安堵の息を吐く。

でもよかったの、だいぶ弱ってたからもしかしたらって…

 

「・・・少し見ていく?」

 

「「「はい!」」」

 

診察台の上には先ほどの動物が寝かされている。

よかった、さっきとは違って苦しそうな顔してないの。

 

「先生ありがとうございます」

 

「「ありがとうございます」」

 

「いいえ、どういたしまして。それにしても変わった種類の子なのよね」

 

「フェレットじゃないんですか?」

 

「うーん、フェレットだとは思うんだけどね」

 

この子はフェレットという動物らしい。

さすがアリサちゃんは博学なの。

 

「それにこの首輪についているのはたぶん宝石・・・なのかな?」

 

「あっ、起きたの!」

 

先生が首輪に触ろうとしたとき、フェレットが目を覚ました。

そしてあたりを見渡したかと思うとこっちをじっと見つめてくる。

必然的にその宝石が目に入る。

 

(なんだろう…不思議な宝石…)

 

気が付けば、そぉっと顔の前に指を差し出していた。

そして指が宝石に着きそうなところで・・・

 

「あっ」

 

ペロリ、と指先をなめられた。

少しくすぐったい。懐いてくれたのかな?

だったらいいな~。

 

ペタンッ

 

「あぁ…」

 

でも、まだ動けないようですぐに倒れてしまった。

 

「しばらくは安静にした方が良さそうだから、とりあえず明日までは診療所(ウチ)で預かって置こうか?」

 

先生の言葉に三人で顔を見合わせて、小さくうなづく。

 

「「「はい、よろしくお願いします」」」

 

(いい先生でよかった)

 

それから先生に挨拶をし、私たちは急いで塾にむかったの。

時間ぎりぎりでなんとか教室に入り、授業が始まった。

でも今はフェレット(あの子)をどうするか決めないと。

紙を使って会議開始なの!

 

〈あの子どうしよう byなのは〉

 

〈ウチは庭にも中にも犬がいるから無理 byアリサ〉

 

〈ウチも猫がたくさんいるから・・・ byすずか〉

 

うーん、ウチも食べ物商売だからペットは厳しいし・・・

どうしよう…!?

 

「ではここの問いを・・・高町さん」

 

「は、はい!」

 

「33ページ問いの4よ」ヒソヒソ

 

ええっと、これがああなってこうだから・・・

 

「42分の5です」

 

「はい、よくできました」

 

危なかった…

すっかりあの子のことで頭一杯になってたの…

・・・あれ?そういえば

 

『ただし、授業には集中することをおすすめしよう』

 

こんなこと大きい本の人が言ってた…

もしかしてあれって今のことを…?

 

(ううん、そんな未来予知みたいなこと・・・)

 

『おめでとう。この本によれば今日は君にとって特別な日になる』

 

・・・特別な日。

 

〈それで、どうする? byアリサ〉

 

〈みんな預かるのはきびしいよね byすずか〉

 

もしかしたら・・・

 

〈ウチに帰って相談してみるね byなのは〉

 

 

「いいんじゃない」

 

「ほんと!?」

 

「もちろん、ちゃんとかごに入れてなのはがお世話するなら預かるぐらいならいいわ」

 

ほんとに許可がおりてしまったの。

ダメもとであの子を預かってもいいか聞いてみたけど成功した。

特別な日ってこういう事だったんだ。

 

(ありがとうなの本の人)

 

おかげであの子も何とかなりそうです。

それにしてもあの人は占い師さんか何かなのかな?

じゃああの大きい本も占い本?

 

「あっ、とりあえずアリサちゃんとすずかちゃんにメールしておこ」

 

・・・あの子はウチで預かれることになったよ、っと

これでよし。

 

「さーて、そろそろ寝ようかな」

 

『聞こえますか。僕の声が聞こえますか』

 

「っ、またこの声だ」

 

『僕の声が聞こえる貴方、お願いです。僕に少しだけ力を貸してください』

 

まさかフェレットさんが喋っているの…?

 

『僕の所へ!時間がもう・・・』

 

声は途中で途切れてしまった。

結局よくわからなかったけど・・・

 

「いかなきゃ…!」

 

それだけはわかった。

急いで服を着替えて、家族に気づかれないように家を出た。

 

「たぶんこっちから呼んでた」

 

昼間と同じように走る。

合ってるかどうかなんてわからないけどとにかく走る。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、やっぱり」

 

着いたのはフェレットさんを預けた動物病院だった。

やっぱりあの声はフェレットさんの心の声なのかも。

 

「早く中に・・・っ!?」

 

一歩踏み込んだとたん、耳をつんざくような音が響いた。

酷い音に思わず耳を抑える。

 

「なんなの…?」

 

気が付けばあたり一面が禍々しい雰囲気。

怪物が出てきた夢で見た雰囲気とそっくりなの…

 

ドゴォーンッ‼

 

「きゃっ!」

 

突然病院の壁が崩れた。いや、壊された。

中から出てきたのは黒い怪物。

その姿は夢に出てきた怪物そのもの。

 

「フェレットさん!」

 

そして怪物(それ)の足元にはフェレットさんがいた。

逃げるフェレットさんを怪物が追ってる。

あの怪物、間違いなくフェレットさんを狙ってる。

 

「こっち!」

 

「!」

 

私に気づいたようでフェレットさんは木に登ってこちらにジャンプしてくる。

ジャンプした一瞬後には怪物が木に突っ込んで軽々とへし折っている。

あんなのかすりでもしたら死んじゃう!?

 

「キャッチ!」

 

フェレットさんをキャッチし、全力で走る。

幸運なことに木に突っ込んだ時にフェレットさんを見失ったみたい。

 

「来てくれたの?」

 

「・・・喋った!?」

 

「うわぁ!」

 

驚きすぎてフェレットさんを落としそうになっちゃった。

 

「ご、ごめんね。でも一体どうなってるの?」

 

「詳しく説明してる暇はないんだけど、君には資質があるんだ。お願い僕に少しだけ力を貸して!」

 

「資質?いったいなんの?」

 

「それは「王の資質さ」誰!?」

 

「占い師さん!?」

 

曲がり角から姿を現したのは本の人だった。

また会えた・・・って今はお礼を言えるような状況じゃないの!

 

「占い師・・・君が何故そう思うのか疑問だが些細なことだ」

 

「あの、今はおしゃべりしている余裕はなくて、その・・・逃げてください!」

 

「逃げる?なぜ?」

 

な、なんて言えばいいの!?

怪物が出たなんて言っても信じてもらえないだろうし・・・

 

「魔王たる君にはあの程度、敵にも値しない」

 

「えっ、魔王…?それに敵って・・・」

 

この人あの怪物を知ってるの…?

 

「言っただろう君には資質があると。王として魔法を扱う王魔(オウマ)の才!」

 

「魔法…?王魔…?」

 

「グオォォォォ」

 

「上から来るよ!跳んで!」

 

フェレットさんの言葉に従って電柱のかげに跳ぶ。

さっきいたところには怪物がクレーターをつくっている。

このままじゃ・・・・

 

「よくわかんないけどなんとかできるんでしょ!?どうすればいいの!?」

 

「我が魔王、これを」

 

そういって本の人は膝をついて献上するようにクッションを差し出してくる。

その上には一つの宝石が乗っていて・・・

 

「これ・・・」

 

「いつの間に!?」

 

フェレットさんの首輪についていた宝石だ。

私はそれを吸い込まれるように手にした。

 

「使い方はご存知のはず」

 

「そんな無茶な!わかるはずがない」

 

使い方…?自然と頭に流れてくるこれかな…?

 

「我、使命を受けし者なり…」

 

「えっ、なんで…?」

 

「契約の下、その力を解き放て。

 風は空に、星は天に。

 そして、不屈の心はこの胸に。

 この手に魔法を。

 レイジングハート、セット・アップ!」

 

『stand by ready.set up.』

 

私の全身を優しい光が包み込む。

凄く暖かい光…

 

「す、すごい魔力だ。それにセットアップを自分だけで完了した…」

 

光が収まると私の姿は白い服を身に纏い、杖を手にしていた。

本のひとは私の隣に立ち、腕を広げる。

 

「祝え!全魔法使いを凌駕し、時空を統べ、全ての世界をしろしめす次元の王者。その名もリリカルなのは。まさに生誕の瞬間である」

 

「なんか…いける気がするの…!」

 

「グオォォォォ!」

 

怪物が迫ってきてる。

避けるのは無理だから・・・

 

「守って!」『protection.』

 

私たちを守るようにバリアが張られ、突進を防いだ。

 

「すごい、いけた!」

 

「そのまま封印して!」

 

封印?ええっと・・・こう?

 

「リリカルマジカル」

 

「封印すべきは忌まわしき器。ジュエルシード!」

 

「ジュエルシードを封印」『sealing mode.set up.』

 

杖-レイジングハートから光の帯が伸び、怪物を縛り付ける。

 

『stand by ready.』

 

「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21。封印!」『sealing.』

 

帯から発せられている光に怪物はみるみるうちに吸い込まれる。

そして最後には小さい石になっちゃって、そのままレイジングハートの中に入っちゃった…

 

「・・・終わった…?」

 

「はい、あなたのおかげで無事に」

 

「・・・よかった~!」

 

よくわかんないけど何とかなってよかった。

 

「あっ、そうだった!占い師さん昼間はどうも・・・って、またいなくなってる」

 

「・・・いったい彼は何者なんだ…?」

 

さっきまでそこにいたはずなんだけど。

またお礼しそびれちゃった。

 

「また会えるかな?・・・ん?」

 

そんなことを思っているとサイレンの音が聞こえてくる。

周りを見れば壊れている壁に倒れている電柱、クレーターのできた地面。

 

「もしかしてここにいたらまずいのでは…?」

 

うん、間違いなく大変なことになる。

すぐさまフェレットさんを抱え

 

「とりあえず・・・ごめんなさ~い!」

 

誰に言ってるかもわからず私は謝ってその場を去りました。

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