平凡だった彼女の生活は一変。渡されたのは赤い宝石、手にしたのは魔法の力。
その力を持って一つ目のジュエルシード封印に成功。
そして、順調にジュエルシードを封印し魔王への第一歩を踏み出すのだが・・・おっと、先まで読みすぎました。
「それで結局さっきのはなんなの?」
私、高町なのは。
王様になることを夢見るどこにでもいるような小学三年生。
だったんだけど・・・
「ええっと、まずどこから説明したらいいんでしょう」
今抱えている喋るフェレットさんに出会ってからそれが一変。
家とかを簡単に壊せる怪物に出会ったり、魔法使いになってその怪物を封印したりと正直何から驚けばいいのやら…
「うーん、じゃあまずは自己紹介しよっか。私、高町なのは。小学校三年生。皆はなのはって呼ぶよ」
とりあえずは家に着くまで色々話を聞いてみよう。
「僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だからユーノが名前です。そして、すみません。貴方を巻き込んでしまって…」
「なのは、だよ?」
「・・・なのはさんを巻き込んでしまいました…」
「・・・確かにあの怪物は怖かったし、死んじゃうかもって思ったよ?でもね、私は来てよかったって思ってる」
「どうしてですか…?」
「ユーノ君が無事だったから」
「えっ!?僕となのはさんは出会ったばかりですし、言葉すら交わしてなかったのに?」
「うん」
私は誰にも傷ついてほしくないし、笑顔でいて欲しい。
そうすれば皆が一緒に笑い合える世界になると思うの。
「私にできることで誰かを助けられるなら私は助けたい。それが夢にきっとつながるから」
「夢にって、いったいどんな夢なんですか?」
「皆を幸せいーっぱいにできるような王様になること。それが私の夢」
「皆を幸せにする王様。すごい良い夢だと思います!」
「ありがと。じゃあ次はユーノ君について聞かせて?」
「はい、僕は・・・・」
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「・・・というわけです」
「な、なるほど」
話をまとめるとどうやらユーノ君は別の世界から来た魔法使いらしいの。
それで事故で散らばっちゃったとても危険なジュエルシード(さっきの石)を集めているみたい。
全部で21個もあるらしいんだけど、今集まってるのは2個らしい。
「だから、大変申し訳ないんですけど魔力が戻るまでのほんの少しの間だけなのはさんの家で休ませてほしいんです。一週間・・・いや、五日でいいんです!お願いします」
「もともとウチで預かるつもりではいたからそれは構わないんだけど、休んだらどうするの?」
「また一人でジュエルシードを探します」
「それはだーめっ」
「えっ…」
「私にも手伝わせて。学校の時間は無理だけどそれ以外の時間なら大丈夫だから」
困ってる人がいるなら迷わず力になりなさい。
それが高町家の家訓なの。
王様としても民の問題を解決するのは当然だしね。
「・・・さっきのように危ない目にも合うんですよ?いや、あれ以上のこともあるかもしれません…」
「だったら尚更だよ。そんな危険なことユーノ君一人にはさせられない。もう私は事情を知っちゃったし、友達を放っておくことなんてできないよ」
「友達…?僕が?」
「そう、友達。だから私にユーノ君のお手伝いさせてもらえないかな?」
「・・・・いいんですか?」
「うん、もちろん。これからよろしくね、ユーノ君」
「こちらこそよろしくお願いします、なのはさん」
「なのはでいいよ。それに友達なんだからもっと普通にお話して?」
「ええっと、よろしくなのは・・・こんな感じかな…?」
「うん!よろしくユーノ君!」
そんなこんなで私、高町なのはは魔法使いとしてのジュエルシードを集めることになりました。
・・・因みに帰ったら、夜に家を出たことを怒られたの…
あっ、でも皆ユーノ君を気に入ったみたいで良かったの!
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「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアル20 封印!!」『Sealing.』
これで…5つ目…
「なのは、お疲れ様」
「はぁ…はぁ…うん…」
「大丈夫?」
「大丈夫…なんだけど…少し疲れちゃった…」
最初はこんなに疲れなかったのにどうしてだろ…?
「それはまだ君が魔法に慣れていないだけさ」
「うわっ!また急に出てきた!」
「あっ、占い師さん。こんにちは」
「再びお目にかかれて光栄だよ、我が魔王。それと、私は占い師ではないと言っておこう」
「えっと、じゃあなんて呼べばいいですか?」
「ウォズ、と」
ウォズさんかぁ。
なんか不思議な人なの。
「ウォズさん」
「なにかな?」
「言うのが遅れちゃったんですけど、この前はどうもありがとうございましたなの」
「どういたしまして」
やっと言えたの~!
ウォズさんすぐいなくなっちゃったからいいぞびれて、ずっと気になっていたの。
良かった、良かった。
「じゃっ、帰ろっかユーノ君」
「うん・・・って、ちょっとなのは!?」
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ!このウォズって人に聞くことあるでしょ!」
「・・・お名前聞いたよ?」
「いやいやいや、それも重要だけど。この人魔法について知ってるし、突然現れるし、なのはの事を魔王呼んでるんだよ。おかしいでしょ?」
「はっ!確かに」
「ハハハッ、君の天然っぷりは見ていて飽きないよ」
お礼を言う事だけで頭がいっぱいになってたの…
そういえば王魔とか魔王とか気になることばっかり言ってたの。
「ええっと、ウォズさんはなんで私の事を魔王って呼ぶんですか?」
「ようやっと本題だね」
ウォズさんはおもむろに大きな本を開いて読み始める。
「この本によれば、君はこの先、次元の王者に即位するため覇道を歩む。そして、西暦2068年には
「えぇー!2068年!?白い魔王!?」
「西暦って地球での年号だっけ?」
「君にもわかりやすく言うと、およそ60年後の未来だ」
「・・・えぇー!?」
ウォズさんは占い師さんじゃなくて預言者さんだったの!?
確かにそれなら納得なの…
「私はその2068年から君の覇道を確実にするためにこの時代に来た。つまり、私は君の協力者だ」
「み、未来人さんなのー!?」
預言者さんでもなかったの!?
まさかの未来人さんだったなんて…
でも魔法って何でもありなんだね。
「あ、ありえない!時を超える魔法なんて存在してるわけがない!」
「そうなの?」
「魔法だって万能というわけじゃないんだ。ましてや時を超えるなんて・・・」
「そう、ユーノ・スクライア君。君の言うことは正しい」
「なっ、僕の名前を!?」
「そう、魔法は万能ではない」
じゃあウォズさんはどうやって・・・
「だが、王魔はその限りにあらず」
「王魔…前にもそれ言ってましたよね?王魔って一体何なんですか?」
「それは通常の魔法とは一線を画す、王の魔法。人々は恐れと敬意を込め“王魔”と呼ぶ」
「王の魔法…」
それで王魔・・・
「なんか安直かも…」
「広く伝わる情報と言うのはシンプルなもの。だが、その分強力であることを意味している」
「少なくとも僕は王魔なんて聞いたことはないのだけど…」
「それは当然のこと。王魔はこれから生まれるのだから」
「これから・・・」
「そう、我が魔王。君の手によってね」
「なのはが…?」
それってつまり・・・
「私は王様になれるってことですよね!」
「無論、王になっていただくよ。私はそのために来たのだから」
「ちょ、ちょっと待って!今の話、なのはは本当に信じるの!?」
「うーん・・・信じるかな」
「な、なんで!?」
ウォズさんは不思議な人だけど悪い人ではないと思う。
「ユーノ君を早く治療できたのもウォズさんのおかげだし、それに・・・」
「それに?」
「ウォズさんって私の従者さんってことになるよね?」
「その通り」
「でしょ。じゃあ、お友達だよ!」
「「はっ?」」
「私は皆とお友達になる王様になるの。だから従者さんのウォズさんとはもうお友達。だから信じるよ」
「・・・さすが我が魔王。私の予想を上回ってくるとは…」
「す、すごい理論だね…」
私何か変なこと言ったかな?
二人ともポカンとしてるけど。
「ええっと、ダメかな?」
「・・・・なのはがそこまで言うのならダメとはいえないよ」
「あっ、なんか若干呆れてるでしょ」
「そ、そんなことは…」
「あー!今顔そらしたー!」
「ところで、君は今日用事があるんじゃなかったかい?」
用事?
・・・あっ!
「そうだったの!今日はすずかちゃん達と少年サッカーの応援しに行くんだった。はやく帰って準備しなきゃ。行こ、ユーノ君」
「うん」
「それじゃあ!ウォズさん」
ぺこりとお辞儀をして、ウォズさんの横を通り抜ける。
やった、今日はちゃんと挨拶できたの。
「魔王、自身を信じることを忘れないように」
「えっ?」
振り返るとやはりそこにはすでにいないウォズさん。
いつもどうやって消えてるの?
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「凄かったわねー!」
「うん、キーパーさんが上手だったよね」
「二人とも今日は応援ありがとね」
無事試合が終わり、今は翠屋で祝勝会中。
あっ、翠屋っていうのはウチが経営している喫茶店で人気店なの。
「こちらこそありがとう。凄く楽しかったよねアリサちゃん」
「もちろん!ユーノもそうよねー」フニフニ
ユーノ君は現在アリサちゃんとすずかちゃんに交代でふにふにされちゃってる。
『あはは…ごめんねユーノ君』
『ぼ、僕は大丈夫だから気にしないで。それよりもなのはの方こそ大丈夫?連日ジュエルシード集めしてるから疲れてるでしょ』
『にゃはは、ちょっとね…』
ウォズさんが言っていた通りまだ魔法を使うのに慣れてないんだろうなぁ。魔法使いさんって思ってたよりも大変。
『じゃあ、今日はジュエルシード集めはお休みしよう』
『えっ、でも…』
『なのはが倒れたら元もこうもないでしょ?それにもう5つも集めて貰ってる。僕だけじゃこうはいかなかったからなのはには本当に感謝してる。だから今日はお休み!』
『・・・じゃあ、お言葉に甘えようかな』
『うん!ゆっくりやすんで…うわっ!?』
「ユーノ!あんた可愛すぎなのよー!」スリスリ
「あっ、アリサちゃんだけずるい!」
アリサちゃん、ついに頬ずりまではじめちゃった…
さすがに助けないと。
「二人とも時間大丈夫?この後お稽古あるんじゃなかった?」
「「あっ!」」
「もうこんな時間!行きましょ、すずか。じゃあね、なのは」
「なのはちゃん、また明日。ケーキ美味しかったよ」
「ありがと。またねー」
すずかちゃん達を見送るとサッカークラブの子達も帰り始めていた。
どうやら、今日はもう解散みたい。
「じゃあ、私達も帰ろっか。ユーノ君」
まだ2時だし、晩御飯までゆっくりやすもっと。
今日はお昼寝日和だしね。
「・・・ん?」
気になったのはサッカークラブの一人。
ほんとに見えたのは一瞬だけどあの子がしまった石って・・・
『どうしたの、なのは』
『ユーノ君、見た?』
『見たって、なにを?』
うぅーん、ほんとに一瞬だったからそう見えただけかも…?
それに変な事言ってユーノ君に負担かけたくないし…
『えぇっと、昨日のテレビ・・とか?』
『まぁ、見たよ。というかなのはも一緒見てたよね?』
『あ、あぁ!そうだったね。うっかりだよ〜』
『・・・疲れがとれないようだったら明日もお休みにするからさ、今はゆっくり休んでね』
『う、うん』
これはこれでなんか違う心配をかけてしまったような…?
ユーノ君凄い心配そうにこっち見てるし。
(まぁ、少し休んで元気な姿見せれば大丈夫だよね?うん、大丈夫)
よーし、帰って休むぞ〜
・・・きっと気のせいだよね…?
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・
「__は!」
ん…だれ…?
「お_て、なの__」
ユーノ君かぁ…
もう夕飯なの…
「起きて!なのは!」
「もう晩御飯…?」
時計を見る。
なんだ、まだ帰ってきてから一時間も経ってないの。
「もう少し寝かせてよ~…」
「ごめん、でもそんなこと言ってる場合じゃないんだ!ジュエルシードが起動した!」
「・・・・えっ!」
ベッドから飛び起き、急いで着替えて外に出る。
「なにこれ…」
家を出てみれば道を塞ぐ巨大な木の根っこが伸び、あちこちコンクリートが壊れている。
少し離れたところでは車が持ち上げられている。
「レイジングハート!」
空を飛んで高いビルの上に立つとゾッとした。
家の周りだけじゃない、町中そうだった。
巨大な樹がそこら中に生えている。
「きっと人間が起動してしまったんだろうね」
「人が…?それって…」
さっきの子だ…
私気づいてたのに…
「私のせいだ…」
「なのはは悪くないよ」
「ううん、私あの子がジュエルシード持ってるって気づいてたんだ」
でも見て見ぬふりをしてしまった。
私、ずるい子だ…
「気のせいだって思い込んで楽しようとしちゃったんだ…」
ユーノ君に迷惑かけたくないから黙ってたんじゃない。
きっと休みがなくなるのが嫌だったんだ。
「ごめんね、ユーノ君」
「ううん、一緒にいたのに僕は気づけなかったから…」
とてもつらそうな顔…
見ていると胸の奥がズキズキと痛む。
「ユーノ君、どうすればいい?どうすればこれを止められるの?」
なんとかしなくちゃ。
誰にも悲しい顔はしてほしくない!
「・・・封印するためにはまず発動者を探さないといけないんだけど…」
町中に広がる樹の中からたった一人を探さないといけないってことだね。
「大丈夫。レイジングハート、探せるよね?お願い」
町中…枝の間もどんなところも見逃さないように・・・
もっと、もっと細く多く…!
「すごい…!なんて広範囲の索敵魔法なんだ」
「これが王魔を生み出す者の才能さ」
「!ウォズさん…」
「だが、君の力はそんなものではないはずだよ、我が魔王。今、君が出してるひかり全てが君の目であり、魔力を探知する感覚そのもの。さぁ、イメージするんだ」
「そんなでたらめな!?」
(全てが目…)
目をつぶりイメージするとウォズさんの言う通りなの。
(・・・見える、はっきりと街の色んなところが)
でも、根がありすぎて見つけられない。
どうすればいいの?
「見るだけでなく感じ取るんだ。一番強い力の発生源をね」
今見てる視界の中で一番強い力を感じるのは・・・
街の中央!
「見つけた!」
目を開け、街の中央へレイジングハートを向ける。
「うそっ!?」
「レイジングハート、お願い!」
大事なのはイメージ。
あそこまで光を届かせるイメージ!
『Shooting mode, setup.』ガシャコンッ!
レイジングハートの形状が変わった。
私の気持ちを形にしてくれて、ありがとう。
「祝え!全魔法使いを凌駕し、時空を統べ、全世界をしろしめす次元の王者。その名もリリカルなのは・シューティングモード。まず一歩、王魔へと近づいた瞬間である」
「なんか行ける気がするの」
レイジングハートに魔力が溜まっていくのを感じる。
「行っけえぇ!!」
ドォーン!!
今までとは太さが全然違うの!
なら、このまま!
「そのまま封印して!」
『Sealing.』
桃色の光が街の中央に届いてから少し経つと光に包まれたジュエルシードが手元に収まった。街に絡みついていた樹は光になって消えていく。
よかったの、みんな無事みたい。
魔法で街を見回したけど取り返しのつかないことは起きてないみたい。
「す、凄いよなのは!索敵魔法に砲撃魔法まで使えるなんて!」
「ううん、私じゃなくてレイジングハートが頑張ってくれたの。それにウォズさんがアドバイスしてくれてなかったらこんなに早く見つけられなかったし」
「謙遜することはない。私が言わずとも我が魔王なら行き着いていたさ」
「そんなことないです。そもそも私がウォズさんの忠告を信じなかったからこんなことになっちゃったし…。私、王様になるのに半端な選択しちゃった。王様なら無視しちゃダメだったのに…」
「気に病むことはない。君の覇道は始まったばかり、最初から完璧な王である者などいないのだから」
「ウォズさん」
「それに、君が完璧ならば私は必要ないからね」
「・・・ありがとうございます。少し気が楽になったの」
「それはよかった。これからも君の覇道を楽しみにさせてもらうよ」
「えっ!?」
ウォズさんが飛び降りた!?
ここ屋上だよ!?
「・・・いない」
急いで下を覗き込んだけどウォズさんの姿はもうなかったの。
「ほんとにあの人はどうやって消えてるんだろうね…?」
「ほんとにね…」
まぁ、それは今度聞いてみよっかな?
「あぁ!早く帰らないと怒られちゃう!帰ろ!ユーノ君」
「うん」
かくして、一つの壁を越え魔王は新たな力を得た。彼女のあゆむ覇道ははじまったばかり。しかし、次の壁となる者との出会いはすぐにおとずれた。