大神紅葉は防人である   作:社畜戦士 くっ殺

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もはやオリジナル要素しかない(見切り発車)

ラストまでの大まかな構想は出来てるんで、気長にお付き合いおなしゃすm(__)m

近いうちに本編とは別の、友奈や千景達他の勇者との出会いを短編形式で上げたいと思ってるので暇潰しにどぞどぞ(⌒0⌒)/




貴方/貴女(あなた)の為なら 4

 

「……普通の木じゃあないな」

 

周りを見る。見たこともないような木、それも普通ではなく何かカラフルチックな物や、奥の方にはコンクリートの様な無機質な印象を与える物もある。

杏が好きそうなファンシーな光景だなぁと考えていると、肩から声がした。

 

見れば、何やら小さな鬼をデフォルメしたミニキャラがくっついていた。というかさっきの炭色の鬼だった。

 

 

『おい! どうなってんだ、これは?!』

 

「神樹が作った“樹海化”とかいう現象だろうなぁ。バーテックスが攻めてきたんだろ」

 

 

以前から話は聞いていた。四国に住む住民を巻き込まず、かつバーテックスを満足に相手できる戦場を用意するという神託があったとひなたが言っていたのを思い出す。

 

「取り敢えず、何処かに若葉達が来ている筈だ。俺が勇者じゃないのに樹海化に入れた理由も分かると良いが……」

 

神というのは案外適当な物だ。あ、こいつ戦えそうじゃん、ほい追加で。なんてノリで参戦しましたなんて言われても一概に否定できない物がある。

 

『その割にはなんか嬉しそうだなお前』

 

「おう。若葉や歌野はともかく、他のメンツが戦ってんのはそう見たことないからな。俺も手伝いとして出れるなら安心して暴れる事が出来る」

 

『何コイツ。過保護なのかバーサーカーなのか』

 

「うっせぇ。心配症なだけだ」

 

落とすぞ。と頭を掴んで揺さぶれば鬼が必死に抵抗してくる。何でも、神樹からの拒絶反応が酷すぎて気を抜けば吸収されそうなのだとか。良いことを聞いた。

 

そうやって会話していると、バーテックスがわらわらと集まっていく場所を発見した。聞こえてくる戦闘音に若葉達が居ることを確信し足に力を込める。

 

 

「球子、杏、皆を頼むぞ!」

「ってわぁ?! 若葉ちゃん前!」

 

 

焦る若葉と友奈の声。そして。

 

 

「梓ちゃん、離れてはいけませんよ!」

「な、何で。樹海化は勇者だけしか入れないって話じゃあ……?」

 

 

視界を遮る大木を飛び越えた時に目に飛び込んだのは、若葉達勇者組と、ひなた達巫女組の姿と、

 

――前線に立つ千景に迫る、武器を振りかぶった見知らぬ一人の少女。

 

「おい。しっかり掴まってろ」

『え、ちょ』

 

それが目に入った瞬間、モミジは迷わず“精霊システム”を起動した。

 

〰️〰️

 

訳が分からない。若葉は本気で混乱していた。

スマホから鳴るアラーム、話に聞いていた樹海化が来たのだと理解が出来た。バーテックスと戦い、奪われた平和を取り戻す戦いが始まるのだと、意気揚々と戦いに出陣した。

 

だが。

 

「……あれ、若葉ちゃん?」

「なっ?!」

 

きょとんとした、呆けた顔のひなたが居た。他にも勇者でない水都や、梓と綾乃までも樹海化に巻き込まれている。

 

何で。と頭を回す前に、ふよふよと空を泳ぐように此方に迫るバーテックスの姿が映った。人類の仇、と憎しみが湧く前にこの状況による焦りが出る。

 

「(巫女組は戦えない。つまりは守る。だが向こうの数は?いや、居なくなるまで斬り伏せるしかないのか?)」

 

「若葉、どうする?!」

 

考えが纏まる前に攻めてくるバーテックスに、旋刃盤である“神屋楯比売”を盾の様に構えながら球子が怒鳴る。

 

 

想定外の出来事の中で考え、動けたのは身体以上の大きさを誇るデスサイス、“大葉刈”を構えた千景だった。

 

「っ。伊予島さんと土居さんは巫女組の援護、私たちは迎撃に専念するわよ!」

 

「うん!」

 

「分かりました!」

 

千景の号令に、友奈と杏が即座に動く。

第一波のバーテックスを退けると、千景は若葉や友奈、歌野と前線へと降り立つ。

 

「案外大したことないわね……。私一人でも殲滅出来そうだわ」

 

「気を抜くな、と言いたい所だが中々に昂ってるな。頼りになるぞ、千景」

 

「さっきの連携もスムーズだったわ、リーダーの素質ありって所かしら?」

「えっ」

 

何処か余裕を感じる佇まいに、若葉がほぅと感心しながら千景を称える。その言葉に頬を赤らめ嬉しそうにしつつも、千景は素直に受け取った。

その後に歌野から言われた言葉に、勇者チームのリーダーシップを取っていた若葉が思わず言葉に詰まる。

 

「ゲームで、チーム戦ならたくさんしてるから……ちょっと乃木さん、大丈夫?」

 

「あ、あああ。だだだ大丈夫だぞぞぞ」

 

「わぉ、若葉がバグったわ」

 

「若葉ちゃーん?!」

 

第二波へのクールダウンとして軽いやり取りの最中、視界に映った若葉が呆けた顔をしているのを見て安否を問えば、当の若葉は壊れたラジオの様だった。それに乗るようにボケる歌野と驚愕する友奈は対照的である。

 

 

「第二波、来るわよ……っ!」

 

ぶぅん、と大きく大鎌を振って何時でも攻撃できる様に千景が構える。

第二波のバーテックス、対処は最初の第一波と変わらないだろう。と千景が当たりを付けたところで、

 

「こんにちわ」

 

「……えっ?」

 

気付けば真横、吐息が感じられる程に近い場所に少女は居た。

赤を基調とした、自分達勇者と同じような勇者服らしきものを装着している。

 

気だるげな表情を浮かべた少女は、手にしている身の丈以上錆びだらけの大刀をゆっくりと振りかぶっていた。

 

「まずは一人目」

 

錆びだらけで切れないとはいえ、あんな鉄の塊で殴られれば無事に済むわけがない。

 

背筋に寒気が走る。

 

明確に死を自覚する。

 

来るであろう痛みに、思わず若葉達だけでも逃がそうと目を向ければ此方へと手を伸ばし、何かを叫んでいた所だった。

 

 

「モミジ、頼むッ!!」

「おうッ!!」

 

「むっ」

 

硬いもの同士がぶつかる音がして、大刀を持った少女がたたらを踏んだ。

何事か理解できていない千景だったが、熱い物に身体を包まれた感覚に驚き見ると、それはモミジその人だった。

 

「大神君?」

 

「おう、大丈夫か千景。友奈、千景と一緒に此処を少し頼む」

 

「任せて!」

 

大きな跳躍の後、ふわりと地面に降り立てば、更なる奇襲に備えて下がっていた友奈が居た。

友奈に千景を任せ、前衛から少し下がった中間地点に居る歌野へとモミジは言う。

 

「状況は?」

 

「まだ序盤よ。あのミステリアスガールが出てきたのがイレギュラーって所かしら」

 

「そうか。……あの手の相手は俺がする。ひなた達巫女組を頼んだ」

 

「オーケー。任されました!」

 

 

歌野の気持ちいい返事を受けて、前線で先程の少女と武器の打ち合いをしている若葉の援護へと向かう。

近くに来たモミジに気付くと、若葉は少女から目を逸らさず言った。

 

「モミジ。お前が樹海化に巻き込まれた事も含めて早々にトラブルだ。悪いが手伝って貰うぞ」

 

「当たり前だ。そもそも俺も樹海に入りたいくらいだったからな。……コイツは俺がやる、周りのバーテックスを頼む」

 

「うむ」

 

 

言葉はそこまで、大刀を肩掛けにして此方を眺める少女へと歩みを進める。ていうか、あれ俺の刀じゃない?

 

「初めまして」

 

「どうも。さっきは邪魔されなかったら一人目を殺せたのに」

 

「させねーよ。大事なダチだしな」

 

「ふぅん」

 

あっけらかんとした少女の態度に少し苛立つが、彼我の武器の差を認識して冷静に努める。

まともに撃ち合えば即折れる。“精霊システム”の霊力を込めながら、少女の出方をじっと見る。

 

相手は女、しかも若葉達と同じくらいの。

少し武器を持つ手の力が弛む。ダメだ、相手は“天津神”の関係だろう、気を抜くな。

 

「ねぇ」

 

「……何だよ」

 

頭を切り替えていると、少女が大刀を肩掛けにしたまま言う。返事をすれば、巫女組や千景達が居る方を指差して言う。

 

「目的はアイツらを殺すこと。邪魔しないでくれたら助かる」

 

「はいどーぞって訳にはいかねーな。大事なダチだって言ったろ。だからここで、俺を倒してから行きな」

 

「……人間のくせに、何でそこまで守りたがるの?」

 

頑ななモミジの言葉に、少女が小首を傾げて問う。純粋に疑問に思った事を聞いたのか、少し此方の気も削がれる。

 

「そりゃあお前、仲間でもあり、ダチでもあり、家族でもあるしな――」

 

 

だから、俺は――

 

 

 

「何だ、貴様は」

 

『いやいや、私に敵意はないんだよ。うん』

 

バーテックスのほとんどを斬り倒した若葉は、目の前に現れたシンシに警戒を露にする。

“生大刀”を構え、敵意を隠さない若葉に困ったなと言うとシンシは言う。

 

『あそこの女。国土綾乃だったかな、その子に用があってね。少し話でもさせて貰えると――』

 

「寄るな、斬るぞ」

 

「あら。感じたことのある気配があると思えば、諏訪で会ったかしら?」

 

『ちっ』

 

 

若葉が話に応じず、かつ歌野という援軍まで増えたことにシンシは舌打ちする。

その舌打ちに肯定の意を感じたのか、歌野はそう、と表情を僅かに変化させる。

 

「――貴方が諏訪壊滅の原因の一端ね。なら反省して貰わなくちゃ」

 

鞭が唸る。上下左右、何処からでも撃ち込める様に構えた歌野は、さながら蛇の様にじっとシンシの動きを待っていた。

 

そんな二人の様子に、シンシは最初の好意的な対応を捨て苛立ちを隠さず告げる。

 

『地を這う虫けらの分際で……。貴様ら無力な人間風情が、我らに逆らうというのか?!』

 

「別に。はっきり言って貴様のその嫌な雰囲気は苦手だ。ヤバいとさえ感じる」

「同感ね」

 

『なら何故?』

 

シンシの問いに、若葉と歌野は揃って言った。

 

 

「「仲間だから」」

 

 

『……何かと思えば、幼稚な発想を……』

 

「幼稚な発想で結構、私の仲間に手を出すならば、無事に済むと思うなよ」

 

『その為に自分の命を捨てる気か? 少しは利口になれ』

 

「――何を言うかと思えば、」

 

スラリと“生大刀”を抜き放つ。穢れを払い万物を斬り倒す脅威を、シンシはその刀から感じていた。

 

「貴様には分からんだろうが、人間には他者を思うことで更なる高みに行ける力がある。今の私には、自分よりも大切な物がこの手の平から溢れそうな程あるんだ」

 

私は弱い。

 

権力の傘にされそうな幼馴染一人助けられない。

 

涙を流す幼馴染を見て、何て言ったら良いかも満足に分からない。

 

 

だからこそ、ここ一番で頑張らず何処で頑張るというのか。

 

モミジと綾乃は諏訪から、歌野と水都、それから梓や他の住民達を犠牲なく助けてくれた。

 

ならば次は、私がモミジ達を助ける番だろう。

 

だから、私は――

 

 

 

「アイツらの為なら、何度でも戦ってやるよ」

 

「お前達の為なら、何度でも戦おう」

 

 

 

「――そう」

 

少女がぽつりと呟く。少し俯いた状態から此方を見れば、少し熱の籠った語調で言った。

 

「なら、ぶっ殺して行くね」

 

「やってみろ」

 

少女の大振りの大刀と、モミジの霊力を込めた棍が、大きな音を立てて撃ち合った。

 

 

 

〰️〰️

 

『そうか。ならば死んで後悔してろ』

 

シンシの身体が泡立つ、流動的な皮膚が形を変え、その手に一振りの刀とそれに連結された鎖鎌が現れた。

 

「来るぞ、歌野」

「ええ」

 

バーテックスは後ろで待機してる千景や友奈達に任せて、若葉と歌野はシンシへと集中して相対する。

 

 

――遠くに見える神樹の光が、大きくなった様に見えた。

 

 

 




地味にやりたかった演出?です。

やめて、BLE◯CHのパクりとか言わないで。
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