油の切れた頭回して打ち込んでるんで誤字脱字、変な表現あるかもしれないんで御容赦を……。
ふと見返したら閑話とか言いつつ6話まで来てる。閑話とは一体……。
「へぇ、初めて食べたけど結構イケるな、すだちぶっかけ」
「でしょ?鍛練の後お肉も良いけど、こうしたさっぱりしたのも美味しいんだよね」
友奈の言葉を聞きながら、丼の中の麵へと箸を伸ばす。うどんを口に入れた時に感じる爽やかな柑橘類の風味は、次へ次へと箸を急かす程に魅力があった。
「おろしぶっかけとかもさっぱりしてて良いよな。夏にはよく食べるよ」
「だね。私はたまに梅干し乗っけて貰うなぁ。あれ美味しい」
「あー、それも良いなぁ」
普段は食べない味の違いに舌鼓を打ちつつ、友奈とモミジの会話に花が開いていた。
――私に、付き合ってほしいの。
そう友奈から切り出された時には、正直何事かという感想しか出てこなかった。
理由を聞けば、今はそれは言えないとのこと。とりあえずは青春を感じる物ではなく、ただただ何かしらの目的があっての事だと理解できた。
冗談や遊びという訳には見えない真面目な顔をする友奈に、詰まりながらも了承する事しか出来なかった。
そして、鍛練を早めに切り上げやって来たのがここのうどん屋。
たまに食べに来てるの、という友奈の言葉に意外だと思いつつ食事を取っていた。
「それにしても、友奈が食べ歩きしてたなんて驚いたな。多いの?」
「んー、雑誌を見て気になるお店があったら行く感じかな。モミジ君や若葉ちゃんの方が多いと思うよ」
「へぇ」
うどんを食べきり、ふぅと一息を吐いた。食べた、という満足感はまだ薄いが付き合って、という友奈からのオーダー上余裕を残しておくのがベストだろう。
「それで、次は何処に行くんだ?」
「えーっと……」
店から出て、次の目的地を聞く。はっきりとしたプランは決まっていなかったのか、友奈がうーんと虚空を見ながら頭を捻る。
少し悩んだ後、そうだ!と閃いた様に言うと此方へと笑顔で切り出した。
「おやつの後は、スポーツにしよう!」
「さっきのおやつだったのか」
楽しげな笑顔でそう言う彼女に、モミジは苦笑いをして頷いた。
◆
四角い液晶に映ったユニフォームを纏う男が、マウンド上で投球フォームへと移行する。
腕を振るうタイミングと共に打ち出された白球に合わせて、構えている金属バットを振った。
「ナイスばってぃん!」
「どんどん来ーい!」
キン、と音を立てて白球が飛んでいく。バッティングセンター等はあまり来ない場所ではあったが、中々に楽しいものだ。
「それにしても、結構、色々と、出歩いてるんだなっ!」
「そうだね。タマちゃんと、来ることが多いよっ!」
「そうかい!」
隣同士のバッターボックスに居るため、互いがバットを振りながらも会話が出来る。
普段格闘技の鍛練を行っている事もあってか、友奈の動体視力は良いのだろう。ほとんどの球を打ち返していた。
ワンゲーム30球のそれを終えると、身体が温まったからか汗が滲んでいた。友奈もそうなのか、笑顔ながらも汗を軽く拭っていた。
ワンゲームを終えた友奈が、コツリとバットを立てながら此方へと口を開く。
「身体は充分温まったよね、モミジ君」
「お互いにな。……勝負するか?」
「勿論!……打ち損なったら、お願い聞いてね」
チャリン、とコインを機械へと入れながらそう友奈が言った。
何処となく怖い予感がするのは気のせいだろうか、いやそうだろう。
気持ちを切り替え、バットを再び構える。遊びとはいえ勝負は勝負だ、負けたくない気持ちが大きい。
此方へと飛んでくる白球を打ち返して行く。隣でプレイしている友奈も、今のところミスなく打ち返していた。
そろそろ終わりだな。と考えれば、打ち返した友奈からおぉ、と声が上がる。
見れば、球の回収用ネットの一部分に付けられている“ホームラン”と書かれたスペースに、友奈の打球が吸い込まれていた。
「やったぁ!見てみてモミジ君!」
ファンファーレが鳴る中、友奈が笑顔で此方へと報告してくる。
そんな彼女の心の底からの笑顔を、思わずぼーっと眺めていた。
「あ」
「えっ?……あ」
――ぼすっ、という音に気付いて見れば、白球がストライクゾーンへと叩き込まれた後だった。
◆
「いやー、鍛練以外でいい汗かいたなぁ!」
「そうだな。たまにはあんなのも良い」
太陽が山々へと傾きだした頃、友奈と共に丸亀城へと歩いていた。
これから戻れば門限には充分に間に合う。そんな時間帯だ。
ニコニコと上機嫌であるく友奈は、ホームランの景品で貰った菓子やジュースが入った袋を手に提げていた。
はい、とその中から差し出された缶ジュースを礼を言って受け取りプルタブを引く。傾ければ、甘ったるい味が喉を潤した。
「そういえば、負けたら言うこと聞くってなってたな。命令は何だ?」
モミジの言葉に、友奈が思い出した様にはっとする。少しの間を置いて、モミジの顔を見て、
「……冗談だよ。その方が盛り上がるかなーって」
そう、笑顔で言った。
「そうか?でもそのつもりで勝負を受けたしなぁ。出来ることなら何でも良いぞ」
「本当に大丈夫!普段から頼りにしてるし、そんな事出来ないよ」
遠慮する様な友奈の態度に首を傾げつつ、そうかとモミジは足を進める。本人が嫌がっているんだ、無理強いするのは止めておこう。
そんな事を考えていると、不意にスマホが震えているのに気付いた。
取り出して見れば、画面には若葉と出ている。
若葉から電話、と簡単に友奈に伝えて受話器のマークをタップした。
「もしもし若葉か、どうした?」
『も、モミジ。今日は何時に帰るつもりなんだ?!』
妙に切迫した様な若葉の声。怪訝に思いつつ、腕時計を見て時間を確認する。
「門限には間に合うよ」
『本当か?!……友奈も、一緒なのだろう?』
「え?うん」
若葉に言われて、チラリと隣の友奈を見る。目が合うと、疑問符を浮かべて此方を見つめ返した。
というより、友奈と一緒に出ると若葉に伝えた覚えがないのだが……。
「よく分かったな。友奈と一緒だって」
『あぁ、そりゃ友奈がお前に告――、何でもない。丸亀城から出るところを見てな。合流してると思ったんだ』
「……?」
若葉の様子がおかしい。というより言ってる事が不自然である。
どうして鍛練で出た俺と、遊びで外に出るのを見たという友奈が合流すると思ったのだろうか。
「どうした若葉ー?何か様子が変だぞ」
『おかしくなどない!ではまたな、帰るのを待ってるぞ!』
「え、おう……。どうしたんだ」
ぶつりと切られたスマホを、暫しの間見つめる。まぁ、住んでいる所は近いし夜にはまた会うのだ、追求はその時で良いだろう。
「若葉ちゃん、どうかしたの?」
「いいや、何か訳の分からない事を言っててな。まぁ、後でゆっくり話でもするさ」
「……そっか」
そう短く返してくる友奈と、暫くゆっくりと歩いて帰る。
丸亀城が、見えてきた。
~~
――高嶋友奈と接した大体の人が思う彼女への第一印象は、ムードメーカーだと思う。
天真爛漫、明朗快活。元気良い彼女の笑顔や言葉に、ほとんどの人が癒やされたり励みになったりしている。大社の中でも、彼女に好印象を持っている人は多い。
皆で楽しく過ごしましょう!
皆で仲良く過ごしましょう!
集団の中の潤滑油としてこれ以上ない程の重要な存在。それが高嶋友奈へと抱いた印象だ。
だがそれ故に、彼女は自分の我を通すことは一切と言って良いほどにしない。
高嶋友奈の事。と聞いてほとんどが、特に仲の良い千景でさえ、血液型、誕生日、好きな食べ物――、そこで止まる。
好きな食べ物といっても、ただよく食べている。という印象から来るだけで、本当に何が好きなのかは分からない。
――誰も、高嶋友奈の本音を聞いた事がないのだ。
~~
ふと思い出して、友奈へと聞いた。
「付き合ってって言ってたけど、こんな感じで良かったのか?また日改めて遊びに行くか?」
「えっ?あ……。うん、そうだね。今度は皆と行こうか!」
モミジの言葉に、少し目を泳がせた後に友奈は答えた。それに疑問を感じ、友奈へと問う。
「なんだなんだ。友奈も様子がおかしいぞ?皆して俺にドッキリでも仕掛けてるんじゃないよな?」
「そんな事ないよー」
おどけて友奈へと聞けば、笑顔と共にそう返ってきた。
まぁ、実際に大事になったら流石に相談くらいしてくれるだろうと信じ、近付いてきた丸亀城の門へと足を運ぶ。
門の警備員に戻りましたと伝え、友奈と門を潜る。後は、寮へと歩くだけだ。
ねぇ、モミジ君。と呟く様に声を掛けられたのはそこでだった。
振り返れば、真面目な顔をした友奈が立っている。普段あまりしないその真面目な雰囲気に、少しだけ構えた。
「どうしたんだ、急に」
「ごめんね。……あの時の約束って、まだ有効かな?」
約束?と問えば、このときの、と菓子の入った袋を掲げる。バッティングセンターの時のだ。
「なーんだ。やっぱりあったのか。出来ることなら何でもするぞ」
「ほんと?なら……」
腰に付けた布袋から、がしゃりと音を立てて友奈は手甲を取り出した。
“天の逆手”、バーテックスとの戦闘に使う、高嶋友奈が有する神具だ。
「私と、組み手してほしいな。本気の」
「……本気で?」
モミジの言葉に、友奈はしっかりと頷いた。
一応次で閑話終了予定。ではでは暫しお付き合いよろしくお願いします