大神紅葉は防人である   作:社畜戦士 くっ殺

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「さぁ、お仕事いっぱいあるよー」
「へい上司。会社もコロナで休みなのにやる理由あるのかい?」
「ちゃんと理由はあるさー」
「何でー?」

「だって、このまま日数稼がれたら働いてないお前らに給料払わないといけないじゃん?って社長が言ってたから」
「マジでクソだなこの会社」
泣きたい。


はい。戦闘描写を細かく?(当社比)したところ何か読みにくくなってて推敲を何度も繰り返しましたヽ(´ー`)ノ

取り敢えずの表現したいことは描写してるんで、何となく読み取って下さい。  考えるな、感じて(必死)


ではでは、コロナ休みのお暇潰しにどうぞm(_ _)m




結ぶ歴史 2

 

「――はぁ、変なモンに好かれちゃってるなぁ」

 

「ま。あの子はそういう優しさもあるから」

 

「さてさて。私達はどう動きましょうかね」

 

 

激しさを増す戦場。それを遙か高い樹木から見下ろすその三つの目があった。

 

 

「んー、俺はちょい別件。“疑似精霊”出してるとはいえ、ちょっと心配になってきた」

 

「なら私もそっちで。うちの子孫可愛いって噂だし?」

 

 

「ちょっとちょっと! かつてのお仲間では?!」

 

 

戦場そっちのけで別へと行こうとする二人に、残る一人が苦笑いをして制止を掛ける。

 

正直どうでも良いのだが、二人の淡泊というか、どちらかと言うと冷たいその反応に思わずツッコんでしまった。

 

 

その言葉に、んー?と値踏みする様にもう一度戦場をチラリと見ると、どうでも良いと言いたげに手をヒラヒラと振って、

 

 

「あの程度じゃあ死にはしないさ。多分な」

 

「多分って、えぇ……」

 

「大体、これは若葉が望んだ“試練”だ。記憶が無いとはいえ、俺達が手を貸す事はない」

 

 

声の主がそういうと、バチリ、と静電気の様に神力がその身に宿る。

 

 

「……とはいえ、ヤバそうなら援軍として行ってやってくれぃ。――あ、今日の晩飯どうする?」

 

「面倒だし外食行こうか」

 

「私、和食が良いです」

 

「オーケー。探しとくよ」

 

 

言葉の後で側に居たもう一人の少女を抱き上げると、数瞬の内に姿がぶれ、掻き消えた。蒼白い一筋の雷光が走った跡を見て、あれ速すぎて何だか酔いそうだな。と正直な感想が出る。

 

 

「まぁ、そんなことは置いといて……。何時出ましょうかねぇ」

 

 

眼下の戦場を眺める。見覚えのある過去の“勇者”、そして現代の“勇者”。その力の差ははっきりとしており、それは彼我共に理解しているのか、そこを弱さとして突き攻めて来ている。

 

 

「“平和という殻の中に居る雛”、ですか……。ふふ、案外良いセンスです」

 

 

クスクス、と笑う少女の横に突き立つ薙刀が、呼応する様に光を灯す。

 

 

「その“雛”が羽化する勇気を持つか……。はてさて、見物(みもの)ですねぇ」

 

 

 

 

「くそっ、また姿が消えた!」

 

 

球子からそう悪態を吐いた声が聞こえ、目の前のモミジから目を逸らさず耳を澄ます。

 

姿が消えたのは仮面の女と綾乃、そして赤嶺と居たもう一人の巫女だろう。

 

 

「姿は見えずとも、実体はそこに在る筈だ! 足音や空気の流れで感知しろ!」

 

「それが出来るなら苦労しないんだよ脳筋野郎!」

 

「なっ?!」

 

 

アドバイスのつもりで言ったのだが、球子が青筋を立てて言い返したのを見て若葉は言葉が詰まった。何故だ、出来るだろこれくらい。

 

そこへ歌野が鞭を振るい、自身と若葉達を中心に円を描くように打ち弾く。

 

それを見たモミジが拳で鞭を弾き飛ばし、危ねぇと嗤う。

 

 

「こっちの非戦闘員に手ぇ出されちゃあ困るんだなぁ。これが」

 

「あら、ならコソコソしてないで姿を現したらどう? ベンチで観戦してたら良いじゃない」

 

「はっはー、それじゃこっちの“御役目”を果たせないだろうが!!!」

 

 

モミジが拳を握り振り上げる。それだけで肌に感じる威圧感と脅威に、攻撃を受ける事を考えず回避に専念する事を頭に入れた。

 

――彼女以外は。

 

 

「させないよ、モミジ君!! 勇者ぁ、パーンチィ!!」

 

「ならオレは、“鬼”のパンチだッ!!!」

 

「――っ、やっぱり、この力は……!」

 

 

護る為に握られた桜の拳と、破壊一辺倒の灰の拳の両軌跡が衝突する。

 

衝突の衝撃波を散らしながらのその一合は、僅かに力負けした友奈が吹き飛んだ。

 

 

「樹ちゃん、今!」

 

「はい! 大人しく、して下さいっ!」

 

 

西暦の場合とは違い、友奈に精霊によるバリアが発動しているのを見て大丈夫と判断し杏が樹へと指示を飛ばす。

 

樹の持つ勇者武器から放たれた黄緑色のワイヤーが、技と技の衝突後で動けないモミジをぐるぐる巻きに拘束した。

 

 

「タマっち先輩っ!」

 

「おうよ。喰らえモミジィィィィ!!」

 

 

杏からの掛け声に待ってましたとばかりに球子が旋刃盤を投合する。球子の気迫に追随する様に、その大きさを何倍、何十倍、何百倍にも膨張させて。

 

宙で身動きが取れず、そしてそこへと炎を纏いながら飛来する巨大な旋刃盤。殺す気は無いが、モミジならば大丈夫だろうというその場の皆の予想の下、旋刃盤がモミジへと直撃する。

 

 

――その直前。

 

 

ぶちりと、樹の放ったワイヤーがいとも容易く引き千切られた。

 

 

「何だと?!」

「えぇっ?!」

「嘘……」

 

「ふんっ!!!」

 

 

皆の驚愕の声が上がる中、飛来する球子の旋刃盤を避ける事をせず真っ正面から白羽取りの要領で腕を使い全身で受け止める。

 

旋刃盤の勢いに吹き飛ぶが、吹き飛んだ先の巨木を背にぎゃりぎゃりと火花を上げ廻る旋刃盤を止めきった。

 

 

がらん、と投げ捨てられた旋刃盤は、球子が虚空へと手を伸ばせば即座にその手へと再召喚される。

 

 

「うーん。やっぱり、何つーか……」

 

「モミジ、覚悟ッ!!」

 

 

ゴキゴキと首を捻りながらブツブツと呟くモミジを無視し、若葉が“生大刀”を手に駆ける。

 

その背後には“大葉刈”を構えた千景も追従し、若葉からの無言の連携へと入った。

 

 

「はぁっ!」

「ふっ!」

 

「っち、面倒臭ぇ……っ!」

 

 

超近接で若葉が“生大刀”を振るい、モミジの反撃を千景が“大葉刈”を大振りに振って迎え撃つ。

 

西暦の際には彼我の能力差で出来ない事ではあったが、能力が飛躍的に向上したこの世界であればモミジを打倒できる。と若葉に笑みが浮かぶ。

 

 

状況の不利を悟ったか、モミジが不意に地面へと腕を肩程まで突き刺した。突然の行動に何事かと疑問が浮かんだが、次のアクションに即座に撤退を選ぶ。

 

 

――地面を、畳返しの様に引っ剥がしたのだ。

 

 

「どわぁ?!」

「無茶苦茶するわ……!」

 

 

「まとめて吹き飛びな!」

 

 

足場を崩され体勢を崩した二人へと、モミジが手にした土塊を投合準備に入る。

 

まずい、と自身の神具で防御しようとした時、そこへ細身の日本刀が飛来した。

 

 

「させるかぁぁあ!!」

 

「夏凜か!」

 

 

若葉の声に応える様、手にした二振りの日本刀でモミジの土塊を両断する。

 

そのままモミジへと斬りかかれば、振り下ろす夏凜の腕を容易く掴みモミジがニヤリと嗤う。

 

 

「選べ。折られるか、潰されるか」

 

「っ!」

 

 

「アンタを“押し潰す”ッ!!」

 

 

返ってきたのは第三の答え。真上から振り下ろされた巨大な大剣に、土煙を上げてモミジの姿が消えた。

 

確かな手応えに、大剣を振り下ろした本人である風は夏凜を抱え即座にその場から離れる。

 

 

「油断してんじゃないわよー、完成型勇者さん」

 

「な、なによ! ホントはあれから華麗な反撃を……!」

 

「あー、はいはい。全く、素直にお礼を言えるのは何時になるやら」 

 

 

「風さん! 助かった」

 

 

普段のやり取りはそこそこに風と夏凜は若葉達と合流した。そこに居た妹の樹の安全を知って、ほっと胸をなで下ろす。

 

 

「樹、無事で良かった」

 

「お姉ちゃんもね。さっきの一発、凄かったけどあの人大丈夫……?」

 

「大丈夫な筈よ、モミジ君なら。……多分だけど」

 

「千景さぁん?!」

 

 

やり過ぎな位で良い。と戦闘開始時に若葉達から言われていた風達だったが、その風の大剣による一撃の威力を見て千景が僅かに言葉を濁した。

 

姉が人殺しに……!と危機感を懐いた樹だったが、その直後。

 

 

「あっはっはっは!!!」

 

 

「「「!!!」」」

 

 

響き渡る嗤い声に、一同の動きが止まる。

 

冗談で不謹慎な事を言ってはいたが、少なくとも動けないくらいにはダメージを負っている筈だ。と。

 

だが、そんな期待を裏切る様に、晴れた土煙の中でモミジは傷一つなく佇んでいた。

 

 

「最後の女、お前は合格だ」

 

「あ、あら、そう?」

 

「いやぁ、オレじゃなかったら死んでるぜぇ?多分だがよ」

 

「いや、寧ろ何でお前はピンピンしてるんだかタマには理解不能だゾ……」

 

「鍛え方がちげーからな。そんで、そこの赤いお前、お前は……保留。今後に期待」

 

「……はぁ?」

 

 

ぴっ、と夏凜を指差してモミジが言えば、言われた夏凜は何の事か分からず首をかしげる。

 

合格だの保留だの、何だというのだ。

 

 

そんな不満を感じ取ったのか、モミジがゲラゲラと嗤って言う。

 

 

――じわりと、その肌を変色させながら

 

 

「オレがこうしてお前達と戦っているのは、とある理由からでな」

 

「先程言っていた“御役目”と関係あるの?」

 

「そうだ。大有りさ、歌野」

 

 

肌は段々と灰色へと変化し、頭髪は黒。両眼も真っ黒へと染まっていく。

 

 

「ちょっとした予想外(イレギュラー)も入っちまったが、それでもオレのやることは変わらねーよ」

 

「モミジ……。いや、この感じ……お前は、まさか……?!」

 

「やーっと、気付いたか。友奈の方が気付くのが早かったぞ」

 

 

見覚えのあるその威容に、若葉が驚愕から顔を強張らせる。その力の源に、その本来の暴虐性に。

 

その言葉に反応したのは、吹き飛ばされて戻ってきた友奈だった。

 

 

「やっぱり、あの時の“禁忌精霊”だったんだね……」

 

「高嶋さん! あの時の……ってまさか、あの“鬼”は」

 

「……そう。あの“鬼”は」

 

 

同じ“鬼”を宿す友奈だからこそ早くに気付いたのか、確信を持ってその名を告げる。

 

かつて、初めて素直に怖いと思えたその“精霊”を。

 

 

――コイツ、制御が難しくてな。直ぐに身体を乗っ取ろうとしてくるんだ。

 

 

彼が、彼ほどの者が“危険”だと話していた。その“禁忌精霊”の名を。

 

 

「――“大嶽丸(オオタケマル)”」

 

「御名答。オレこそが、大嶽丸様だ」

 

 

かつての日本、その“妖”の中において日本で三本指に入る“鬼”は、ニタリと口角を上げて嗤った。

 

 

 

 

「――さて、話を戻すが」

 

 

モミジ、否、大嶽丸が口を開く。

 

本来の姿。灰色の肌に黒の頭髪といった具合に変貌を遂げた彼は、その威圧感のまま周囲を見やり、やがて一点で止まる。

 

 

「えっ、私……?」

 

「あぁ、そうだ。お前は“不合格”だ」

 

「不、合格……?」

 

 

「おい。“疑似精霊”を出せ」

「…………」

 

 

“不合格”。という言葉にぽかんとしているその場の中で、大嶽丸は突如何も無い空間から現れた綾乃へと手を伸ばす。

 

伸ばされた手に、何やら書き込まれた札を綾乃が手渡すと大嶽丸が嗤う。

 

 

「さっきのワイヤー?だっけか。拘束せずにそのままオレの身体を刻めると思ったが、何故しなかった?」

 

「ぁ、え……?」

 

「見た目相応。中身もガキって訳か……。なら、“次”はまともな奴だと良いなぁ」

 

 

「「っ!!」」

 

 

膨れ上がる殺気と威圧感に、呑まれている樹を除く全員が構える。

 

風と夏凜が樹を庇うようにして背に置けば、大嶽丸を鋭く睨む。

 

 

「うちの妹に手ぇ出すんじゃないわよ」

 

「バラバラがお好みならアンタで実演してあげようか?」

 

「お姉ちゃん、夏凜さん……」

 

 

「おー、怖い怖い。これくらいの“覚悟”があれば、問題なかったんだが……。あぁ、そういえば」

 

 

二人から感じる確かな殺意に、大嶽丸が愉しそうにゲラゲラと嗤う。

 

ひとしきり満足そうに嗤って、ニタリと口角を上げると樹を見つめながら言う。

 

 

「“今、お前の後ろに居るぞ”」

 

 

「……ぇ?」

 

 

目線上、それも離れた場所に見ていた筈なのに吐息を感じる程に近く、それも背後から声が聞こえた。

 

咄嗟に振り向けば、そこにいるのは拳を、“死”を振り上げた灰色の死神。

 

 

「“覚悟”の無いお前に、“神”に挑む資格はない」

 

 

「樹ぃ!」

「樹ちゃん!逃げて!」

 

 

振るわれる拳が、スローモーションの様にゆっくりと此方へと振りおろされるのが見える。

 

それを見ながら、為す術無く、こんなに呆気なく“死”は来るんだと樹は悟る。

 

精霊バリアでも、衝撃は、強すぎる攻撃は軽減されない。

 

嗚呼、嫌だなぁ。こんな事なら――と来る衝突に目を閉じた所で、声が聞こえた。

 

 

「あらら、まだ終わりではないですよ?」

 

「えっ?」

「……お前は」

 

 

声に目を開ければ、目の前には拳を止めるように翳された薙刀。

 

音も無く、大嶽丸の拳を防いだその薙刀の持ち主を見る。

 

 

巫女服、だろうか。大赦の物とは違うのか、ひなたや水都が着ている巫女服とは何処か違うデザインの巫女服の様な物。

 

東郷……いや、どちらかと言えばひなたの様な気品ある大和撫子なその顔立ちと艶のある黒髪に、思わず見蕩れてしまう。

 

 

「大丈夫ですか? 何処か、お怪我でも?」

 

「ふぇっ、い、いえ。大丈夫でひゅ!!」

 

「ふふ、そうですか。……少し、下がっていて下さいね」

 

 

思わず噛んでしまった事に赤面しながら、樹は姉の風と共にその場を離れる。

 

突如現れたその巫女へと、嫌悪感を隠さず大嶽丸は言う。

 

 

「おい。“話”がちげーだろ」

 

「ですが、“彼”から死人が出ないように、と厳命されてまして……」

 

「……信用ならねーな」

 

「……なら、ここで一合交えますか?」

 

 

女がそう言うと、ふぅ、と大嶽丸からため息が上がる。

 

そのまま気怠そうに女を数秒見つめ、

 

 

――拳を振り抜いた。

 

 

合わせる様に薙刀が振るわれ、難無く拳を防ぐ。

 

続く攻撃に合わせ、薙ぎ、払い、打ち上げ、払い落としていく。

 

武道に精通する若葉、そして夏凜から見ても精密、そして優雅な薙刀捌きに加勢しようとした手が止まる。下手に手を加えれば、逆に邪魔になるだろう、と。

 

 

「おらぁ!!」

 

「ふっ!」

 

 

大振りの大嶽丸の攻撃に、同じく大振りに薙刀を振るう。何度打ち合っても無駄と理解したか、大嶽丸が悪態を吐く。

 

 

「やめだやめだ。こんな奴が居ちゃあ満足に狙えやしねぇ」

 

「あらあら、助かりますわ」

 

「っ。ちょっと、“約束”と違うじゃない!」

 

 

戦意を解き、欠伸混じりに伸びをする大嶽丸。肌の色も元の色に戻りつつある彼に、慌てた様子で仮面の女が飛び出してきた。

 

そんな彼女を面倒臭げに見ながら、

 

 

「別にオレはお前の手下になった訳じゃねぇ。続きがしたいなら、あの“鏑矢”の連中か綾乃を使って戦れよ」

 

「そんな……、アンタだって分かって――!」

 

「理解できるし共感するさ、お前の言い分はな。だが今日はここで幕引きだよ、大人しく帰った方が良いぞぉ?」

 

 

ゲラゲラと嗤いながら、モミジの姿に戻った大嶽丸は踵を返す。

 

そんな彼に待ったを掛けたのは、他でもない若葉だった。

 

 

「待てっ!」

 

「若葉か、何だ?」

 

「っ、呼び止めておいて何だが、気安く名を呼ぶな」

 

 

若葉、とモミジの顔で、声で呼ばれる事に嫌悪感が募る。コイツは本物ではない、所詮は偽物だと。

 

だが、その言葉に嗤ったのは大嶽丸。

 

 

「酷ぇなあ。この身体は()()()()()残る記憶も、全て大神紅葉が手にしていた物だってのによぉ」

 

「……何だと?」

 

「穢れが回って、オレ様が身体を戴いたのさ。――まぁ、その後に色々とあったがな」

 

 

言葉を濁して言う大嶽丸。若葉が疑問符を浮かべるが、さて、と振り返って言う。

 

 

「アイツからの伝言だ。若葉」

 

「っ」

 

「“自分の目で、良く見定めろ”だとよ」

 

 

アイツ、という言葉に即座に誰かが浮かぶ。

 

つまり、居るのだ。彼が。

 

大神紅葉は、この世界に召喚されているのだ。

 

 

じゃあな、という言葉の後で、大嶽丸は大きく跳躍して場を離れる。

 

その場に残ったのは、若葉達一行と未だ戦闘をつづける“鏑矢”の三人。そして仮面の女と綾乃。薙刀を持つ巫女だった。

 

 

「どうしますか? 操るのも、そろそろ限界なのでは?」

 

「っ。うるさい……っ!」

 

「詰めが甘いと聞きましたが、確かにその通りですねぇ。……もう充分でしょう、皆を連れて退きなさい」

 

「…………次は、必ず殺す」

 

 

「なっ、待て、赤嶺!」

「棗さん、追っかけるの禁止ぃ!」

 

 

少しの間睨み合っていたが、状況の不利は理解していたのか赤嶺達を呼んで暴風と共に消えた。

 

様子のおかしい赤嶺を助けようと棗が追いかけるのを、雪花が必死に羽交い締めして阻止する。

 

 

戦闘が終わった事に安堵したのか、ふぅ、とため息を吐いて薙刀の巫女が言う。

 

 

「皆さん、お疲れ様でした」

 

「お疲れ様でしたー。凄かったです、さっきの薙刀捌き!」

 

「ねー。若ちゃんやにぼっしーのとはちょっと違う感じだったもんね」

 

 

巫女の言葉に反応したのは、目をキラキラと輝かせながら言う園子(中)と(小)の二人。子孫に自分より凄いと言われた気がして一瞬むっとなったが、直ぐに取り直して若葉も慌てて言う。

 

 

「先程は、助かりました。貴女が居なければ、我々も危なかった」

 

「いいえ。私も言われてやった事ですので」

 

「ねぇ、貴女モミジ君の事知ってるの? 彼は今何処に?」

 

「ぐ、ぐんちゃん……」

 

 

若葉のお礼もそこそこに、千景が本物のモミジの居場所を聞くべく巫女へと詰め寄る。友奈が失礼だとやんわりと言うが、聞きたいのも本心なのか期待を込めた目で巫女を見る。

 

そんな彼女達にクスクスと笑い声を溢しながら、巫女はそうですねぇと薙刀を担ぎ直して言う。

 

 

「私もこれから会いに行くところなので、良ければ一緒に来ますか?会える保障は出来ませんが」

 

 

会える保障は出来ない、という彼女の言葉に何故と聞けば、モミジ本人がそう言っていた様子。

 

 

「新しいお仲間さんを迎えに行ってるので、もしかしたら会えるかもしれないですけどね」

 

「新しい仲間……?誰のことだ?」

 

 

球子の呟く様な疑問に、えーと、と顎に手を当てて思い出すように虚空を眺める。

 

確か……。

 

 

「望月梓さん、と仰ってましたよ」

 

 

移動の為に地を蹴り出しながら、巫女は確かにそう言った。




最初に言っておきます。

樹ちゃんは好きです。作中で普通に殺しに掛かりましたが好きです。
狙ったUR SSRを狙って樹ちゃんだった時もあったけれど、大好きです(白目)←


さて、読んで何か難しいな。と思ったそこの貴方、ごめんなさい。私の語彙力と執筆力ではこれが限界です。

物語のオチが付く頃、補填を行うので今は耐えて下さいm(_ _)m

短編がそろそろ出来るんで、また不意打ちで載っけます。気長にお待ち下さいね。

ではまた次話で、ここまでお読み下さりありがとうございましたm(_ _)m


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