「今も休みみたいなもんだけどやったー」
「でもさー、外出自粛で外でないよね?」
「家でゴロゴロして寝るんで大丈夫です」
「ここに新しい企画の資料が有るんだけどさぁ、やってこない?」
「話聞けや」
休みなんて無かった\(^o^)/
皆さんは体調お大事に。
最近第五人格っていう鬼ごっこのゲーム始めました。速攻捕まりますけどハラハラして楽しいですね(*・ω・)
◆□◆□◆□◆□
護らねばならない。
「――敵の勢力、未だ増す勢いであります。乃木若葉様、御決断を」
彼が死んでまでも託してくれた。この世界を。
上座に座る自分。そしてそこから眼下に写るのは、皆一様に傅く大赦の神官達。
私の言葉を待っている。私の意思を、そして覚悟を。
「――――――っ」
言葉にしようと口を開いた所で無意識の内に詰まってしまった。
理由は分かる。これを言ってしまえば、命じてしまえば、
――沢山の“人”が、死ぬ事になるのだから。
敵だろう、と私が憤る。
護るのだろう、と私が毅然と言う。
別の方法があるのではないか、と私が嘆く。
「…………」
「っ」
不意に感じた視線。それに目を向ければ、彼女が居た。
共にあの日常を生きた、仲間を、私達を知る最後の人間が。
ぱくぱく、と動く口の動きに、何が言いたいか彼女が何を思うかが理解した。
否、してしまった。
――また後悔するの?
「…………“鏑矢”を此処へ」
「「「はっ」」」
もう止まれない。
私の言葉に従うように、三人の姿が前へと並ぶ。
今の時代の、所謂“勇者”と“巫女”と呼べるであろう彼女達が。
――“平和の象徴”が。
「四国の、国の安寧の為にお前達の力を貸してほしい」
「はい」
「分かりました」
「そのつもりです」
何事にも報いを。それが乃木家の家訓でもあり、今にとっては私自身の指針とも言える。
四国を、民草を護ったモミジに報いを。
“次”へと繋げる、私達のこの行いにも報いを。
そして。
「“鏑矢”を放て。……次代の“防人”よ」
――その安寧を崩す奴等には、死の報いを。
◆□◆□◆□
普段の樹海とは違い、夜の帳が降りる静寂に包まれた“夜”の樹海。
以前一度だけ普段の樹海、つまり昼の樹海を見たことある水都は、わー、何だか神秘的。だなんて何処かわくわくしていた自分を叱責したかった。
見てみろ、あの光景をと。
砂を詰めた重い物同士がぶつかり合う、その低く響く音にびくりと水都の肩が跳ねる。
先頭を走るひなたの背を息を切らしつつ見て、自身が背負っている存在を見やる。
「亜耶ちゃんっ、大丈夫……?!」
「水都先輩っ、お邪魔でしたら私のことは良いですから……」
「ダメ! そんな簡単に諦めちゃダメだよ!」
「二人とも危ないっ!」
ひなたの言葉に驚き、走っていた足がもつれそのまま地面へとダイブする。
庇うこともなくモロにぶつけ、ジンジンと痛む鼻を涙目で押さえようと頭を上げた時、すれすれを何かが通り抜けた。
どさりと転がるその白い肉塊。身をよじり空へと浮かび、此方に向けられる大きな剥き出しの歯。
忘れられない。忘れる事などない。
星屑。バーテックスだ。
ガチガチと威嚇する様に鳴らされる歯。それが向けられたのは……。
「うぅ……、へ?」
先程までの水都に背負われ、転げた拍子に投げたされていた。亜耶だった。
まだ状況が理解できていないのか、はたまた理解した上で脳が考えることを拒否しているのか、亜耶はバーテックスを見たまま凍り付く。
「亜耶ちゃん!」
「早くそこから逃げて!」
「ぁぅ、あ、あぁ……!!」
ひなたと水都、どちらも間に合わない。迫るガチガチという歯音に、腰を抜かしながらも這って逃げようとするが、それを嘲笑う様にバーテックスが喰らいついた。
鳴り響く、身が竦むような骨が割れる音。
だがそれは、亜耶の身体からではない。
消滅していくバーテックスと、それをきょとんとした顔で見て動かない亜耶。その目の前を、よちよちとその寸胴体型に見合わぬ短い手足で亜耶へと歩み寄り、ソレは言う。
『すぃ、むーちょ』
「「「!!?」」」
体長23センチという生き物としても小柄なソレは、そのファンシーな見た目に似合わないダンディーな声でそう囁いたのだった。
◆
『すぃ、むーちょ』
「此処なら安全なの?」
『すぃ、むーちょ』
「え、くれるんですか? わぁ、フルーツみたいな見た目の木の実ですね!」
『すぃ、むーちょ』
「一応、食べられるみたいですが……。大丈夫なんですか?」
『…………』
「「…………」」
『すぃ、むーちょ』
「本当に大丈夫なんでしょうか……」
「本当に大丈夫なのかな……」
「ひ、ひなた先輩、水都先輩っ! サンチョさんを信じましょう!!」
胴長短足手の人形。サンチョと合流してから、かなりの時間が過ぎていた。
サンチョに案内されるまま、夜の樹海を歩き続け辿り着いたのは広く開けた泉の傍。
こうして世話を焼いてくれるのは素直に有り難いのだが、何度話し掛けても惚けた表情を変えず同じ返しばかりされれば不安が募るのも仕方ない。
「それにしても、樹海化してるって事は何処かで戦闘中って事ですよね?」
「ええ。バーテックスを打倒すれば、元に戻る筈です」
「夜の樹海……。不謹慎かもしれませんが、何だか落ち着く場所ですね。綺麗なお月様も上ってますし」
ほら、と亜耶が指さす方を見れば確かに大きな月がその存在を示すように輝いている。
不気味な静寂を感じてはいたが、亜耶にとっては親和性が有るのだろうか。
空腹を感じて、サンチョから渡された木の実の皮を剥いてみる。そこには亜耶が言うとおり、美味しそうな果肉が詰まっていた。見た目からすれば、葡萄やライチが近いだろうか。
あむ、と少しはしたないが大きめのそれに齧り付く。瑞々しい果肉が、噛めば噛むほどフルーティな甘さと喉を潤してくれた。
諏訪に居た頃、夏にこうしてスイカを食べてたな。と少しの郷愁に思い更ける。
「――さて」
全員が食べ終え、泉の水で身を整え終わるとひなたが口を開いた。
「こうして樹海化が終わらない以上、何かの試練を与えられた。と考えるのが正しいのかもしれません」
「試練ですか?」
「はい。その試練を突破してこそ、元の四国へと戻れるのでは。と」
ひなたの言葉に、なるほどと水都は考える。
今回のこの造反神の騒動。それの狙いの一つでないかとひなたは考える、と。
名目上は喧嘩別れして神樹の内部で暴れ回っている。というものだったが、そもそものそれがおかしいのだ。
天の神から人類を護る。という思想の元集った神達が、そんな子供の様な理由でクーデターを起こす訳がない。
その時。
『すぃ、むーちょ』
突如言葉を発したサンチョの視線の先へと、三人が見やる。
そこに立っている者を見て、それぞれが驚愕の顔をした。
「こんばんは。もう一人の私、水都さん、国土亜耶ちゃん」
「――っ」
「え、ひなた……さん?!」
「えええー?!」
そこに居たのは、間違いなく上里ひなたその人。
ただし、その周囲に浮かぶそれらを見て三人の顔に恐怖が浮かぶ。
ムカデの様な長く、鋭い尾を持つ形態。
矢の様なものを発生させている形態。
巨大な蛇のような姿の形態。
進化体。融合体。そう呼ばれるバーテックスの強化形態が、堂々ともう一人の上里ひなたの後ろに鎮座していた。
「さて、“お話し合い”をしましょうか?」
“上里ひなた”が、妖しく嗤う。
◆
「あら、あらら?」
「どうかしましたか?」
先頭をスマホ片手にてくてくと歩いていた薙刀の巫女が、あらやだ困ったわ、とでも言う様に声を上げるのを見て若葉が問う。
たぷたぷとスマホをぎこちなく操作する彼女に、他の者からも不安げな視線が移る。
「うーんと、結果から申しますと……。ごめんなさい、案内するのダメになっちゃいました!」
「なっ?!」
てへ、と舌を出して詫びる彼女に球子が焦って言う。
「おいおい、ここまで来てそりゃないだろー? じゃあ、せめてひなた達の所に案内してくれよ」
「そうよ。こんな危ない所に亜耶ちゃんを置いておけないわ。早く案内しなさい!」
薙刀の巫女の態度に逆上したか、芽吹が肩を怒らせて彼女へと詰め寄る。
亜耶に対しては人一倍過保護な芽吹、それを知る若葉が慌てて抑える。
「待て芽吹。怒っても仕方がない。すまない、何故案内が中止になったのですか?」
冷静に、冷静になれ。とひなたの事を心配しつつ若葉は問う。
ここで揉めても時間の無駄だ。おおよその場所さえ分かれば、後は人海戦術で探すことが出来る。
だが、そんな若葉の考えを裏切る様に巫女は愉しげに笑みを浮かべた。
「皆さんは、何故今こうして各時代の“勇者”が一堂に会しているか、その理由をお知りですか?」
「理由……? 造反神が、神樹の内部で暴れ回って――」
「あー、違います違います。
巫女の言葉に、一同の動きが驚愕で止まる。
では何故だ。何故こんな事になっている?
神樹は、“勇者”を集めて何がしたいのだ。
「普通に考えて有り得ない事象でしょう? 本来出会う事のない過去の偉人、過去の自分、……死んだ人。だなんて、ねぇ?」
「「……!!」」
ちらりと巫女が一瞬だけ送った視線の先の人物に、美森と園子が固まる。
何故コイツが、銀の事を知っているのかと。
「つまり……、貴女は何が言いたいんですか?」
若葉が募るピリピリとした空気を感じつつ、慎重に言葉を選ぶ。
此方を煽るような言動の巫女に、不満が募る者が芽吹、美森、園子を始め何人も居るのだ。
うーん、と少し考えるように顎に手を当てて巫女が笑顔で言う。
「ま、本筋は自分で考えて頂くとして……。今、“巫女”の三人には試練を受けて頂いております」
「試練だと?」
戦闘能力が皆無であろう面子への試練。
若葉が焦りを顔に浮かべるが、否定する様に大丈夫ですよと巫女が言う。
「試練といえど、“問答”の様な物ですから」
「そ、そうなのか……」
「――ただし」
安堵の表情を浮かべる若葉へと、巫女が言った。
「失敗すれば、全員死にますけどね」
「そこを退きなさいッ!!!」
即座に動いたのは芽吹。そして他の“防人”メンバーだった。
銃剣を構え突撃する芽吹に合わせ挟撃するように突撃する夕海子。
頭上から銃剣を振り下ろすために跳躍するシズク。
そして、攻撃が失敗した者のフォローに入る雀。
幾らかの出だしの遅さはあっても、己のやるべき事を理解している動きだった。
「――
「「「っ!」」」
突如吹き荒ぶ暴風に、接近した芽吹達が軽々と吹き飛ぶ。
空中で体勢を整え着地した彼女達(顔から着地した夕海子と雀を除く)が見たのは、七人の薙刀の巫女。
「
「あれは、私の“精霊”……?!」
「最初のスピリットはモミジさんのだったわ!」
遅れて構える千景と歌野が、信じられないと驚きを表す。
そんな“勇者”達へと、彼女達はクスクスと笑って、
「あらあら」
「言ってません」
「でしたっけ?」
「私の仲間に」
「貴女たちの知る」
「大神紅葉さんが」
「居るんですよ?」
「頭がこんがらがるんだよ一人が言えー!!」
「「「「「「「私で一人ですよ?」」」」」」」
「むがー!!」
此方をおちょくる様な態度の巫女へと球子が怒りをぶつける。
そんな彼女を無視して、巫女は言った。
「大切な」
「試練です」
「邪魔する」
「ことは」
「許され」
「ません」
「よ。……うーん、慣れませんね」
「だったら――」
「此処に居る全員で――」
「押し通るまでよッ!!」
……先程力の差は見せた筈なのだが、と袖で口元を押さえて少し驚く。
仲間、友人ではあるが、それでも他人の為にここまで身体を張ることが出来るのか。と。
――なるほど、これが
分身の自分で隠しつつ、手に持ったスマホの画面を見る。
そこのメッセージボックスに、先程新着で入ったメッセージが表示されていた。
――時間稼ぎよろ。
「夕飯はワンランク上が良いですねぇ」
無茶振りが過ぎる彼の事をため息混じりに思いつつ、薙刀を握り締めた。
◆□◆□◆□
―月―日
最近、――の様子がおかしい。
かの事件の後、一時期は精神を病んでは居たが月日が流れ正常に戻っていると大赦の医者も言っていたのに。
彼女を知る――――にも相談してみようとしたが、上からは却下された。
……何故だか。不穏な空気を感じる。
――――や――――には相談できない。
仲間といえども、下手をすれば処断されるだろうから。
今は様子を見よう、彼女が間違った行動をしたとき、私が必ず止めに入る。
それが、――――が正しいと思う正答だから。
大赦検閲済
簡単な強さ基準。
モミジ(チート)
↓
大嶽丸、薙刀の巫女
↓
赤奈、蓮華(忘我状態)
↓
勇者一同
↓
仮面の女、綾乃
何度も書き直して、納得行った形で途中投稿ですごめんなさい。
続きも絶賛書いてます、もうちょいとお待ちをばm(_ _)m