終わらない仕事、納得行かない執筆、抜け出せないスマホゲー⬅️
今回と次で一旦シリアスとはバイバイする予定(予定は未定)なので、もう少しおまちくだせえ(*´ー`*)
それでは、暇潰しにどうぞ(。-ω-)
・神世紀における、神樹様の結界についての特記事項。
かつての"天災"の際、土地神を纏め上げ四国に結界を張られた神樹様。
それを護るべく初代勇者である乃木若葉様と、他四名の勇者様方が奮闘され四国は護られてきた。
神樹様のお恵み、結界の維持……。様々な奇跡のそのお力は、決して無限ではない。
■■の巫女である■■■■様を名で縛り、奉る事で神樹様は神世紀における今まで大赦、ひいては四国の平和を護られている。
次の巫女の替えは検討され、同じく■■の巫女である■■■■で決定された。
無垢なる少女が汚される事がないよう、防人の部隊にてお付きの巫女という形で護衛に当たらせている。
余計な混乱を避けるため、部隊の人間には伝えず本人にも伝える事は禁止事項とする。
大赦検閲済
◆
「いい加減にしてよっ!」
物陰に隠れ、じっと巫女の動向を窺っていた仮面の巫女へと赤嶺友奈が苛立ちを隠さず声を荒げる。
首もとで淡く光る首輪の様なものを掴み言うその顔は、疲労や焦燥で酷く歪んでいた。
「早くシズ先輩とレンチのこれを解除して!」
「……何を言うかと思えば。相変わらず仲間思いだな、お前は」
赤嶺の言葉を受けて、確認するように
女が使う"傀儡の術"に掛かった二人は、物言わぬ人形の様に静かに佇むだけだ。
「さっきの戦闘でかなり良いのを何発も貰ってたの。治療をさせてよ……!」
「自分のミスでしょ、それは。放っておいても死にはしないわ。それに――」
仮面越しに、女の視線が蓮華に突き刺さる。
表情が見えない赤嶺でも、そこから放たれる剣呑な空気をピリピリと肌で感じていた。
「土壇場で私を裏切った裏切り者共には、お似合いの姿でしょう?」
「……っ!!」
――誰でも良い。
――誰か、助けてよ……。
侮蔑、怒り……。様々な意味が込められたその言葉に、赤嶺はどうしようもなく歯を食い縛る事しか出来なかった。
~~
蒼白い、神浄の稲妻が走った。
「ぎゃあああああ?!」
ひなたへと飛び掛かろうとしていた偽物を貫き、その痛みで偽物は悲痛な叫びと共にバタバタと転げ回る。
吐き出すような嗚咽と共に口から吐き出され上がる煙は、身体の内部まで焼き焦がしているのを示していた。
精神世界から引き戻され、現状の把握に頭が追い付かないひなたの目に入ったのは、ファンシーなその姿。
「サンチョ、さん……?」
『すぃ、むーちょ』
ぴこ、とその短い手とも腕とも受け取れる部分を振り上げ、此方へとダンディーな声でサンチョは返答した。
ふざけているのではないのだろうが、今の空気では何処か場違いなその光景に思わずひなたは苦笑いを浮かべる。
「ひなたさん!」
「ひなた先輩!」
ひなたの無事を確認して、安堵の表情を浮かべて二人が駆け寄って来た。
喜びを分かち合っている三人の元へ、先程の脅威が咆哮を上げる。
「貴様ァァァァ! 約束と違うではないか!」
先刻までのひなたを模した落ち着きある話し方とは変わり、何処か獣の様な荒々しさを感じるその口調。
明らかに感じる憤怒のその様相に、だがしかしサンチョは何処吹く風かの如く返答する。
『すぃ、むーちょ』
「だが邪魔はしないと言った筈だ! やり方は私に任せるとも!」
『すぃ、むーちょ』
「そんなものは詭弁であろうが!」
「会話が……?!」
「成立してる……?!」
「凄いですね。園子先輩や園子ちゃんも、ああして会話が出来るんでしょうか……?」
何が言いたいか分からない。というよりか一種類の言い方しかないのに成立する偽物とサンチョの会話にひなたと水都は驚きを隠せないでいた。
その隣で呟く亜耶の疑問に流石にそれはないだろうと思うが、色々と規格外なあの二人(同一人物)を思いだしもしかすると……?と思い直す。
「……まぁ、良い。此方としても、多少の手段が変わっても魂を戴ければ良いのだから」
『すぃ、むーちょ』
「それは其方とて同じこと。先に契約を破ったのはお前の方ではないか」
偽物の言葉を体現するように、その背後の進化体のバーテックスが動き出した。
実力行使。その恐怖を知るひなたと水都に緊張が走る。
だが。
「ひなたさん。さっきのあの稲妻って……」
「えぇ。僅かな力でしたが、確かにあの人の力を感じました」
偽物を退けた、ひなたを護ったあの蒼白い稲妻に二人は見覚えがある。
頼もしさでいえば他の追随を許さない彼を思い出す。
"防人"、大神紅葉を。
進化体が動く。此方の三人とぬいぐるみ一体を追い込む様に、逃がす隙なんぞ与えない。という様に扇状に取り囲む。
背後に逃げ道を塞ぐかの様にそびえ立つ巨木に気付き万事休すと三人は身構えるが、
自身を見下ろす様に眺める、三体のバーテックスをその愛らしい目で眺めながら、
『
その小さな身体から、蒼白い稲妻を迸らせた。
◆
霧が、辺りを包んでいく。
「不味いですね……」
一人、また一人と消されていく分身を目にしながら薙刀の巫女はそう呟いた。
急所に当たれば即死。切れ味からしてガードも糞もないとはどんな理不尽だと乾いた笑いが出る。
「――
最後の分身が薙刀に暴風を纏わせ、立ち込める霧もろともに吹き飛ばそうと"精霊"を行使する。
だが。
「それは貴女の物じゃないわ……。モミジ君のよ」
『――?!』
能力が霧に触れた瞬間、その華奢な手に捕まれたのは具現化した"鎌鼬"であった。
"精霊"そのものも何が起きたのか分からないのか、千景に掴まれた状態でじたばたともがくだけだ。
奪衣婆と懸衣翁。
罪人の衣服を罪として剥がし、三途の川の近くの木に吊るして罪の重さを量るとされる妖。
地獄の獄卒とも呼ばれる二人の力を、千景は相手の"精霊"の徴収として使用していた。
「さて、残るは一人だけね」
「おやおや……、困りましたね。どうも」
「命乞いするなら聞いてあげるわよ」
「あらら、見逃してくれるんですか?」
思わぬ千景の提案に、薙刀の巫女は意外そうに顔に浮かべる。
それを見て、カツリと鎌を地面に突き刺しながら千景は言った。
「貴女にはさっき助けて貰った恩があるしね。あと一つ、して貰うとすれば……」
「……何でしょう?」
「モミジ君と綾乃さんの所に案内しなさい。……少人数でと言うなら、乃木さんと上里さんだけでも良いから」
キョロキョロと辺りを見渡して、若葉や他の面子が近くに居ないことを確認して小声で千景がぼそりと言う。
若葉に聞かれやしないかという気恥ずかしさから、僅かに顔を赤らめたその千景の表情に巫女はクスリと笑う。
「な、何を笑っているの?!」
「い、いえ。予想外に可愛らしかったので思わず……っ。――んん……、それにしても」
「……何よ?」
仕切り直す様にごほん、と咳を一つして巫女は言う。
「望月 梓ちゃんの事は気に掛けて居ないのですね、と純粋に疑問に思って」
巫女の純粋な疑問。此処に居た、あの幼い少女の事を知っている誰もがあまり気に掛けていないことを疑問に思ったのだ。
その巫女の言葉に、あぁ、そんな事か。となんてことないように千景は返す。
「そんなの当たり前よ。モミジ君が居るなら、梓ちゃんをいの一番に迎えに行ってるだろうし。心配いらないわ」
「……何処にそんな根拠が?」
「モミジ君だから、としか言いようがないわね。綾乃さんも居るなら、確実と言う他ないわ」
「なるほど……」
「彼は、身内のピンチには鼻が良く効くから。伊達に番犬だなんて呼ばれていないわ」
偽物とはいえ、
そういった、弱者を護るという想いが肉体に無意識レベルで宿っているのだろうか。
「では、お言葉に甘えて逃げさせて戴きますね。――また、何処かで」
「っ、待ちなさい。案内を……!」
「乃木若葉さんが巫女を迎えに行ったのであれば、自ずと会える筈ですよ。そこに、今言った望月 梓ちゃんが居ますから」
そう言い残して空間に掻き消える様に姿を消した薙刀の巫女を見送って、千景は自身を落ち着かせる様に呼吸を深く吐くと"精霊"を解除する。
ボロボロの黒衣が消え、"大葉刈"が普段の形状に戻ったのを見てすぐにその額に大粒の汗が浮かんだ。
「やっぱり、これはしんどいわね……」
脱力感を感じ、無防備にその場に座り込んで休憩を取る。
バーテックスに襲われる心配があるが、スマホの画面に高嶋の方の友奈を始めとした勇者数名の反応がある為、霧が晴れれば直ぐにでも来てくれるだろうと予測を立てる。
「それにしても……」
撤退はした。いや、
"魂刈り"を降ろして直ぐ、薙刀の巫女から戦意が薄れたのが感じ取れた。
恐怖からではない。ただ純粋に、これ以上は正真正銘の殺し合いになると感じ取ってのこと。
出来るなら殺し合いなんてしたくない。それを感じてくれたのか、スムーズに撤退まで行ってくれた。
……根が、本当に優しい人なんだろうなと、千景は巫女が消えた方向を見上げながら微笑む。
もし、ゆっくりと話すことが出来るならばお友達になりたいものだ。
「ぐんちゃーん! 大丈夫?!」
「高嶋さむぎゅ」
「怪我してない?! 何処も痛めてないかな?!」
「だ、大丈夫よふぎゅ」
親友の過度とも言える心配性に、幸福とも言える気持ちを感じていると、ふと思った。
――アイツからの伝言だ。“自分の目で、良く見定めろ”だとよ
――次は、必ず殺す……。
大嶽丸と、仮面の巫女の言葉がふと甦る。
乃木若葉に、何を見定めさせたいのか。
乃木若葉に強い恨みと殺意を持つあの女と、何があったのか。
「……ぼーっとなんてして居られないわよ。乃木さん」
「んー? どしたのぐんちゃん?」
「何でもないわ、高嶋さん。さ、行きましょう」
小首を傾げて疑問符を浮かべる彼女に笑みを溢しつつ、先に巫女の元へと急いだ若葉達を追う。
その目は、いつも伏し目がちな彼女とは違い、確かに真っ直ぐに前を向いていた。
◆
「……なるほど。"造反神"に呼ばれたお前は私の呪詛に耐性が有るわけか。納得納得」
「っぐ?! かはっ……」
足下に転がる赤嶺を冷たく見下ろしながら、爪先で確かめる様に頭を小突いた。
呪詛による苦痛で動きが阻害された赤嶺は、抵抗出来ぬままなす術もない。
――やっぱり、狂ってる。
「さっさと隷属した方が楽だぞ? 苦しいのが好みならドン引きだが」
「マゾじゃないから……!」
――"緋色舞うよ"!
自身のルーティン。戦闘時における集中力を高める言葉を脳内で呟き、覚醒するのを感じる。
ビキビキと呪詛によって悲鳴を上げる身体を無理に酷使しながら、拳を振り上げパイルバンカーを起動させる。
殺しはしない。ただ、暫くは動けないようにするだけ……っ!
威力を抑えた一撃を放とうとして、直撃する寸前に目の前に立ちはだかったそれに動きが止まる。
弥勒蓮華。桐生静。
親友とも、家族とも言える二人が光を失った目をして赤嶺の前に立ちはだかっていた。
仮面の巫女を、護るための肉盾として。
その為、蓮華の動きに反応が数瞬遅れた。
蓮華のしなるような足が放つ重い蹴りが、赤嶺の腹部へとモロに突き刺さる。
ガードも何も出来なかった赤嶺は、ボールの様に吹き飛ばされ数回地面をバウンドして漸く動きが止まった。
――この人は、やっぱり変わってしまった。
「そこで見てろ。赤嶺」
「や、めろ……!」
「ここで変える。この世界なら、神樹の内部からなら、変える事が出来るッ!!」
蓮華が、自身の武器であるビームサーベルを取り出すと音を立てて刃が形成される。
"精霊"の力を借りて作り出すそれを、彼女は精霊刀と名付けていた。
「乃木若葉は無理だったが、ならば外枠から崩せば良い。奴の支柱でもある上里ひなたからだ」
視線の先に映るのは三人の巫女。上里ひなた、藤森水都、国土亜耶。
一人を暗い目で。
一人を懐かしい物を見る目で。
一人を複雑な目で。
三人をそれぞれ確認した後、指揮者がタクトを振るように手を振り上げる。
――助けてよ、誰か。
「アイツを殺せ!」
「レンチ、ダメだよっ!!」
――この人を、救ってあげて!
少しの間の後、どさりと間近で何かが倒れる音が二つした。
目を開けて見れば、そこには倒れ伏す蓮華の姿。少し離れた所で、静が倒れているのも見えた。
隷属の呪詛が解かれたのか、その表情に苦痛の色は見えない。
「そんな事は、しちゃダメだ」
続いて聞こえた、そんな声。
小さい子供に大人が言い聞かせるように叱る時に言うような、厳しくも優しい、そんな言い方。
見上げれば、仮面の巫女の振り上げた手を掴む少年と見覚えのある少女の姿があった。
「……お、にいちゃ……!」
「お前の気持ちは分かる。でも、このやり方はダメだ」
「……っ! 私は、悪くない……!!」
目の前に立つ少年の手を払い、後ろへと跳躍する。
仮面の巫女がなにやら唱えると、何もない空間から"穢"の顔布を着けた巫女が現れる。
そうだ。あの少年の隣の巫女、あれは確か。
「ふーん。それがアタシのコピー、ねぇ。……良いとこ40点ね」
「厳しいな。綾乃」
「式神の使い方も、"
「……!」
下らない物を見るように、綾乃と呼ばれた少女が顔布を着けた偽物の国土綾乃を見る。
綾乃のオブラートに包まない評価に、仮面の巫女が言葉に言い詰まった。
「賢いお前なら分かるだろ。こんなことは無意味だ。変わったとしても、それは混乱を招くだけだって」
「……モミジ、アンタ引っ込んでなさい。言っても分からない子には、仕置きするのが一番よ」
「子供扱いしないでっ!!」
二人のやり取りを聞いて、仮面の巫女が我慢ならぬと声を荒げる。
そんな慟哭を、二人は静かに聞いていた。
「私は間違った事をしていない! 二人が頑張ったから"今"があるのに、それを無かった事にするアイツらが悪いんでしょ?!」
「モミジお兄ちゃんは戻って来なかった! 綾乃お姉ちゃんの遺体は消えた!」
「四国の為って何?! 私の家族を、弔いすらさせて貰えないって何?!そんな二人を居なかった事にするなんて……」
「皆の為に、平和の為に頑張った二人への仕打ちが、許せるかぁぁぁあ!!!」
どす黒い何かが吹き荒れる。
仮面の巫女の感情の高ぶりにつられる様に、穢れと呼ばれるそれが渦を巻いて仮面の巫女へと集束していく。
その白い仮面に、涙の様に黒い何かを垂らしながら巫女は言った。
「待ってて、モミジお兄ちゃん、綾乃お姉ちゃん。私が、二人を居なかった事になんてさせないから……」
「っ待て!」
モミジの制止を聞くことなく、仮面の巫女は偽物の綾乃と共に姿を消した。
制止の為に出した手が、力なく垂れ下がるのを見て綾乃がバカと呟く。
「何で力尽くで止めなかったのよ……」
「止められるわけねーだろ。あんな事言われたらよ……」
少しの間の後、はぁとお互いにため息を吐いて。
「……兄貴分と同じで過度な家族想いって訳ね。困った妹を持ったものだわ」
「そりゃお前もだろ。……別に、お前達が幸せに暮らしてくれれば、俺はそれで良かったんだよ――」
「――梓」
モミジの呟きが、樹海に消える溶ける様に消えていった。
◆□◆□◆□
デモ隊。その内容から、一部抜粋。
決行は明後日。
その日に、全てにケリを着ける。
"勇者"の生き残りの乃木若葉を殺害し、大赦の主導権を此方が握る。
それが成されれば、神樹との交渉、壁外への調査が共にスムーズに行われる筈だ。
正義の名の元に、我らが指揮官に、
――"防人"国土梓様に、忠誠を。
◆□◆□◆□
"天災"によって理不尽に両親を失った。納得行かないけど、でも仕方ないよね。うん。
え?あの二人を何で居ないことにするの?何でモミジお兄ちゃんは帰ってこないの?何で綾乃お姉ちゃんの遺体が無くなるの?お葬式?何にお別れすれば良いの?
全部大赦のせい?そのトップは……なーんだ、若葉さんかぁ。……家族同然に大事って言ってたのに、こんな仕打ちするんだ、ふーん。
許すわけないよね。○んで詫びてよ。
……さて、純真無垢な少女の変わり様。気付いた人は居ましたか?居ない?伏線の描写が下手?ごめんなさいorz
続き書き次第上げます。短編も出来たら載っけるんでお待ちをば(*´ー`*)