大神紅葉は防人である   作:社畜戦士 くっ殺

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長くなりました……m(_ _)m

マジで仕事終わらんのや…、堪忍して…。

長くなるので、一旦区切って載っけます。

続きは頑張って書いてます。暫しのお待ちをm(_ _)m


結ぶ歴史 6

 

 

『よくも飽きませぬなぁ、"神樹"よ』

 

『……建御名方(タケミナカタ)

 

 

結界内、詳しく言えばその中の勇者の様子を観察していた"神樹"はのんびりとした口調で話しかけてきた建御名方(タケミナカタ)――元は諏訪大社の諏訪神を見て、僅かに怯えた様に辺りを見渡す。

 

以前自分の元に来て、様々な想いが入り混じる激情を向けてきた若い神格が居ないことにほっと胸を撫で下ろすと、それを見た諏訪神が笑う。

 

 

『モミジなら居りませぬ。あやつは今"試練"の監督でしたでしょうに』

 

『そ、そうだった……。でも、あの子の勝手な行動に、"あの人"がかんかんだったよ』

 

『――素戔嗚尊(すさのおのみこと)様がですかの?』

 

『うん』

 

 

つぃ、と指を振るうと、本来不干渉の筈のモミジがガッツリと横やりを入れる様子が映し出された。

 

造反神役の素戔嗚尊(すさのおのみこと)――スサノオが、『我激おこ。おこである』と中指を立てていたのを思い出し、鎮めるのに苦労したなぁと神樹はため息を吐いた。

 

 

『おやおや、それはご迷惑をお掛けしましたの。この老体でも役に立てば良かったのですが』

 

 

――最初に神威消して逃げてた(ひと)の台詞がそれか……っ!

 

 

のらりくらりと責任を逃れる諏訪神へ神樹がわなわなと拳を握るが、怒っても無駄だなと理解し再び結界内の観察へと戻った。

 

それを後ろから覗き込む様に見ながら、諏訪神がそれにしてもと言う。

 

 

『モミジとしても想定外だったのでしょうなぁ。本来招かれる事のない"異物"が、結界内に入り込んで居るのですから』

 

『……でもこれは、人間達の"試練"だよね?』

 

『然り。ですがあやつは、身内の事となるとリミッターが壊れますからの』

 

 

それは分かる。()()姿()()()()()()()()から察するに、あの神格は家族、またはそれに近い者に悪意を持って危害を加える物に容赦はしない。

 

私は悪意でそうした訳ではないから、怒りを向けられはしたがぶつけられる事はなかった。黙って睨む彼はすっごく怖かったけども。

 

 

『勇者らが自らで選び、勝ち取る事に干渉はしないでしょうが、それ以外の事はまぁ……諦めた方が宜しいかと』

 

 

それに、と諏訪神は続ける。

 

 

『長い年月、魂の浄化に充てていたあやつからしても人の歴史はそう知ってはおらぬのですよ。……だからこそそれを知り、そしてどう導くのか。これはあやつにとっての"試練"でもあるのです』

 

『……そうだね。あの子が落ち着いたら、一度ゆっくりお話してみたいな』

 

『ほっほっほ、きっと叶いましょう』

 

 

――諏訪神の笑みに、()()()()に良く似た少女は柔らかな微笑みを浮かべ頷いた。

 

 

 

 

「――おら、そろそろ吐いた方が良いんじゃあないのかい? 兄ちゃんよぉ?」

 

 

身体の自由を奪われ、胴体ごとロープでぐるぐる巻きにされた挙げ句天井から吊るされ、スタンドライトの光を顔面にこれでもかと浴びせられる。

 

うっ、と眩しさから顔をしかめれば、目の前のサングラスを掛けた小さな体躯の少女はにぃと笑った。

 

 

「おらおら、相棒がどうなっても良いのかぁ?」

 

 

隣を見れば、同じように吊るされた巫女である相棒が同じくサングラスを掛けた赤みがかった茶髪の少女に迫られている。

 

指をわきわきと動かしながらにっひっひと悪戯染みた笑みを浮かべているのを見るに、どうやら拷問に掛けられる様だ。

 

 

……相棒のピンチだ。ここは。

 

 

「相棒には何をしても良い! だが俺には酷いことをしないで!」

 

「おいコラァ! 何人の事軽々と売り飛ばしてんだぁ!」

 

 

同じくロープで手荒にぐるぐる巻きにされた綾乃が、身をよじりながら此方へと怒号を飛ばす。

 

 

「綾乃」

 

「あぁん?」

 

「これはあれだ。コラテラルダメージだ」

 

「ならアンタが犠牲になってろ!!」

 

 

綾乃とそうしたやり取りをしていると、少し離れたテーブル席から不満の声が上がる。

 

見れば、仲間である筈の薙刀の巫女がもっきゅもっきゅとご飯が盛られた茶碗を片手に此方を見ながら、

 

 

「ちょっとー、じたばた暴れないで下さいよ。今私たちご飯中なんだから、ねぇ、梓ちゃん?」

 

「あ、あはは……」

 

「んー♪ 困った顔も可愛いですねぇ」

 

 

むぎゅう。と上機嫌で梓を抱き締める薙刀の巫女に、抵抗少なく梓はされるがままになっていた。

 

出会ってからこの調子だ。最初は恥ずかしさから抵抗していたが、今となっては抵抗する気力すら失せたらしい。可哀想に。

 

 

というより。

 

 

「ぅおい! なーに平和に飯喰ってんだ、お前! ご主人様が捕まってんだぞ早く助けろお願いします」

 

「今ご飯中なんで」

 

「なら仕方ないな。ゆっくりお食べ」

 

「それで良いのか……」

 

 

「アンタ達。ご飯の準備が終わったから、おふざけはそろそろ終わりにしなさい?」

 

「「はーい!」」

 

 

茶碗片手に最早動く気すら見せない巫女にモミジが諦めていると、入り口の扉を開けて入って来る少女、犬吠埼風がそう声を上げる。

 

勇者部部長である彼女の言葉は絶対なのか、目の前の球子と綾乃をくすぐっていた友奈がサングラスを取り外してはーいと元気良く返事をした。

 

 

「今、降ろしますからね」

 

「「ありがとうおっぱいちゃん」」

 

「あらあら、失礼な口はここかしら」

 

「東郷先輩落ち着いて下さい?!」

 

 

モミジと綾乃を吊し上げた東郷美森がロープをほどくのを止め、自身の愛銃である"シロガネ"を取り出したのを見て犬吠埼樹が羽交い締めに入る。

 

まったくもう、と呆れた様にため息を吐きながらロープをほどいてくれたのは、ひなただった。

 

 

「サンキュー、ひなた」

 

「いえいえ。――あら、うっかり忘れてました」

 

「ん? 何がだ?」

 

 

あらやだ。と言わんばかりに照れ笑いをする彼女に疑問符を浮かべれば、帰ってきたのはガチャリと手元から鳴る金属音。

 

よく刑事ドラマ等で見る、主に対象の手首へと掛ける無骨な頑強さを思わせる金属製の二つの輪っか。

 

 

要するに手錠だった。

 

 

いや、何で持ってんの?

 

 

「乙女の必需品ですよ?」

 

「そっかぁ」

 

 

女性は荷物が多いイメージがあるが、なるほど、こんなものを常備してるなら多いのも頷ける。

 

 

「乙女の必需品にそんな物があるかぁ!!」

 

「あまりのぶっ飛び具合に夏凛さんがツッコンだー?!」

 

 

普段のひなたとの違いに、戸惑いつつも夏凛がテーブルを叩いて主張する。

 

そんな彼女へ同意を示すように銀が声を上げていた。

 

 

一瞬で騒がしくなった勇者部一同を眺めつつ、部長である風がテーブルへと料理を運び終わると口を開く。

 

 

「早く食べないと冷めちゃうわよー? ほら、アンタ達も座って座って」

 

「……俺たちも良いんですか?」

 

 

出会ったばかりの相手に無警戒過ぎないか?と思えば、風が柔和に微笑んで言う。

 

 

「若葉達の態度を見れば悪い奴じゃないって分かるし、顔を見てピンと来たわ。あなた達二人の事」

 

「……?」

 

 

風の言葉の意味が分からず綾乃と二人で疑問符を浮かべていると、風が椅子を引いて急かしながら言う。

 

 

「"防人"大神紅葉に、そのお付きの"巫女"国土綾乃。二人には、私のご先祖様が世話になったらしいから、そのお礼をね。お腹空いてるでしょ、食べちゃって」

 

 

 

~~

 

 

 

「――なるほどにゃあ」

 

 

ちゅるりとうどんを吸うと、秋原雪花は感心した様に声を漏らした。

 

 

「つまり、恩人である大神さんに風さんのご先祖様が助けて貰ったは良いものの、恩返しが出来てなかったと……、300年越しの恩返しですか」

 

「俺もびっくり。……まさか"戌崎"のおっちゃんの子孫にご馳走になるなんてな」

 

「私も驚いたわよ。引っ掛かる名前とは思っていたけれど、まさか本当に会えるなんて。偽物の鬼を見たときに、聞いてた人相と違うと思ったけれどね」

 

 

偽物の鬼。おそらくは"大嶽丸"の事だろうか。

 

それにしても、と思う。

 

 

「あのおっちゃんの子孫に風さんみたいな可愛い娘が産まれるとは……、血筋ってのは分かんねぇ物だな」

 

「そ、そう?! 確かに、これでも私チアリーダーした時に告白された事があってね。それもこれも私から溢れでるこの女子力が――」

 

「あ、何処と無く残念そうな所がそっくり」

 

「どういうことよッ?!」

 

 

 

「――モミジ」

 

 

 

適度に返してくれるノリの良いツッコミにモミジが風を弄っていると、うどんを食べ終えた若葉が静かに口を開く。

 

静かに、だがそれでいてピリピリとした殺気が洩れるその様相に、それまで程よく騒がしかった食事の場がしんと静まり返った。

 

 

事情を知る若葉以外の丸亀城の面々が不安げな色を顔に浮かべるのを見て、苦笑いしてモミジが言う。

 

 

「殺気が洩れてるぞー、若葉。小さい子も居るんだし、取り敢えず落ち着けよ」

 

「……すまない」

 

 

ちらりと園子、須美、銀へと視線を送った後梓の事をゆっくりと見る。何処かぎこちなく見るそれは、先程の仮面の女――大きくなった梓とのやり取りを、ひなたから聞いたからだろうか。

 

 

「私が聞きたいのは大きく三つ。この"試練"の本当の意味。あず――あの仮面の女の事。お前達二人の事だ」

 

 

指を立てて言う若葉。その質問の内容に、"試練"に関係のある他の面々に緊張が走るのを感じた。

 

そんな面々を見渡しながら、モミジは確認するように口を開く。

 

 

「本当に良いのか? 知らなければ良かったと、後悔は無いか?」

 

「私には無い。……聞きたくない者が居るなら、言ってくれ。場所を変える」

 

 

若葉からの問いに、誰もが席を立つ事はなかった。

 

途中加賀城と呼ばれていた弱気な子が腰を浮かした様に見えたが、隣に居る芽吹という子に肩を掴まれ涙目になりながら押し戻されていた。凄まじいパワハラを見た気分だ。

 

 

「そうか。……なら順を追って話すとしよう。先に断っておくが、これは俺が見た訳でなく若葉本人から聞いた話だ」

 

「……あぁ」

 

「――事の始まりは、俺達が生きた西暦の時代からだ」

 

 

その渦中だった、 丸亀城の面々。そして、カーテンで仕切られた中で眠る"鏑矢"の三人に目を向ける。

 

 

「――天の神信仰の奴らが、活動を再開した事だった」

 

 

その名前を聞いて、ぞわりとした嫌な物が背中を伝うのを若葉は感じた。

 

 

 

 

天の神信仰。

 

 

最初は"天災"の折りに降臨した天の神へと許しを乞い、生け贄などをくべる事で助かろうとする連中だったが、時代の流れと共に大きく形を変えた。

 

 

 

――天の神へ忠誠を!

 

 

――土地神を奉る大赦を排除し、我々が四国を統一する!

 

 

――その為には、()()()()()()が必要だ。

 

 

 

「こうして、天の神信仰の奴等は自分達の御輿を探し始めたんだ」

 

 

胸糞悪い話だ。

 

自らが責任を負う事はなく、かつ指導者という体で操りやすい何者かを求める。

 

こういう時に巻き込まれ酷い目にあうのは、何時だって何も知らない無垢な者だけ。

 

 

「――そして、見つけた」

 

 

御輿を探すのではなく、作る方法を。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

「……ま、さか。そんな……?!」

 

「そのまさかだよ。ひなた」

 

 

ひなたの顔が青ざめる。そんな事があっても良いのか。

 

二度としてはならぬ、外法の業の行いを。

 

 

「アイツらは、ヒトガタの儀を行っていたんだ」

 

 

その言葉に若葉は、ひなたは理解した。

 

何故家族そのものであるモミジが、綾乃のデータが丸々消えていたのか。墓すら作られていないのか。

 

時代と共に忘れ去られた訳ではない。

 

 

 

「大神紅葉という、()()()が露見する事を恐れた大赦は俺が居たという全ての記録を消すことにしたのさ」

 

 

 

――私は間違った事をしていない! 二人が頑張ったから"今"があるのに、それを無かった事にするアイツらが悪いんでしょ?!

 

――皆の為に、平和の為に頑張った二人への仕打ちが、許せるかぁぁぁあ!!!

 

 

 

話ながら、仮面の女――梓の叫びをモミジは思い出した。

 

きっと、明確な悪人は居ない。と思う。

 

誰しもが、その人の護りたい物の為に行動したのだろうと。

 

 

――見誤るな、良く見定めろよ。若葉

 

 

青い顔をした彼女へ苦笑いしつつ、モミジはそう思った。

 

 

 

 

 




最近暑くなりましたね。皆様お身体にはお気を付けを。

アイスが美味しすぎて喰いまくってます。間食でなく主食となるレベルで。

今ハマってるのはスーパーカップのチョコチップ(*´ー`*)
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