大神紅葉は防人である   作:社畜戦士 くっ殺

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内容が広げられずボツ、不意に浮かんだ小ネタ等の短編です。
作者の実体験もあったりなかったり……。

のわゆ本編を知ってる人ならおっ、と思う話もあるかな。では暇つぶしにどうぞ。

キャラ崩壊多めなのでご注意を。


日々の平穏の章
短編1


『散髪』

 

 

「モミジ、髪が伸びてきたんじゃないか?」

 

「ん……、そうだなぁ」

 

 

丸亀城、その中の一つ。まだ学生程の年齢である勇者達が勉学に励む為の部屋。

 

所謂(いわゆる)学校の教室の様な場所でそれぞれが勉学に励む中、ぼんやりとモミジの事を眺めていた若葉がそう切り出した。

 

若葉からの指摘に、そういえば視界に前髪が入ることが多くなったなぁとモミジが前髪を摘まみながら言う。

 

 

「その内切らなきゃな」

 

「近いうちにテレビの取材があるんだ。早めに切っておくと良い」

 

「いや、俺の用事もあるしなぁ。またひなたに切ってもらうか」

 

「……また?」

 

 

今日は大社に用事があるとの事で、水都と共に朝から出掛けているひなたを思い出しながら言う。

 

英語以外にやる気が出ない歌野は、監視役である水都が居ないという事で隣でイビキをかいている綾乃同様、朝から勉強そっちのけで机に突っ伏して惰眠を貪っている。

 

 

もう少ししたら帰って来るはずだ。二人とも後でチクってやろう。

 

 

またひなたに切ってもらう、という言葉に若葉が眉根を寄せる。どうしたんだ?

 

 

「“また”とはどういう事だ。たまに切って貰っているのか?」

 

「整えて貰う程度だけどな。……なんだ、若葉も髪の手入れはしてもらってるだろう?」

 

「うむ、そうだが……。なるほどな」

 

 

ふむふむ、と一人で納得が行ったように頷き、何やら使命を手にしたかの様な目をして此方を見る。嫌な予感しかしねぇ。

 

 

「モミジ」

 

「嫌」

 

 

間が一拍空いて、

 

 

「まだ何も言ってないだろうが!!」

 

「言わなくても嫌な予感しかしねぇんだよ!!」

 

 

立ち上がり襲いかかる若葉に応戦する。こやつ、鍛錬の成果か力が強くなってやがる……っ!

 

手四つの状態で争う若葉とモミジ。格闘技に詳しい友奈が、それを見て目を輝かせる。

 

 

「おぉーっ、良いぞー! もっとやれーっ!」

 

「……授業中なのだけど、まぁ良いのかしら」

 

 

それを横目に見ていた千景だったが、まぁ親友が楽しそうだし良いか、とプレイ途中で止めていたゲームを取り出し起動させる。

 

先程まで静かだった教室が一転。騒がしくなったその中で、音頭を取ったのは球子だった。

 

 

「どっちが勝つんだ! 負けたらどうなるかは分からんが、取り敢えず頑張れ!」

 

「体勢としては若葉ちゃんが有利だね。モミジ君の足腰次第だよ!」

 

 

球子と友奈の実況が混じり、白熱する戦況。おぉー、と二人の取っ組み合いを見ていた梓だったが、あんなの見ちゃいけませんと杏に目隠しをされていた。

 

 

「お前に昔切らせた事あっただろ……っ」

 

「ならば今回も良いじゃないか!」

 

 

押し合っていた二人が少し力を緩めて、

 

 

「髪切るのに何使う?」

 

「バリカン」

 

「帰れッ!!」

 

「男は坊主が基本だろう!」

 

 

交渉は決裂。戦いは再開し、熾烈を極めていく。

 

さて、そんな教室に二人の人影。

 

 

一人は藤森水都。彼女はぐーすかとよだれを垂らして寝ている歌野を見て、うたのんお仕置きだねとうふふと笑った。

 

もう一人は上里ひなた。勉強そっちのけで暴れるモミジと若葉。そして平和そうに寝ている綾乃を見て、柔和な笑みを浮かべる。

 

 

二人とも、背中に般若を背負っていた。

 

 

ガラリと開いた教室の扉。そこに立つ二人の般若に、一同はピタリと動きを止める。

 

 

少しの間を置いて。

 

 

「さーて、タマは勉強勉強」

 

「ぐんちゃん、この問題教えてー」

「良いわよ、高嶋さん」

 

「杏お姉ちゃん、ここは?」

「えっとね……」

 

 

バーテックスより恐ろしい存在の帰還に、外野は仲間より自分をとった。それを理解した当事者二人は、青い顔をして滝のような汗をダラダラと垂れ流す。

 

 

様子の変化を感じ取ったのか、歌野と綾乃がむにゃむにゃと目を覚ます。周りを寝ぼけ眼で見渡し、教室の入口で笑顔を浮かべる二人を見て綾乃は戦慄が走り、歌野はオウマイガーと思わず洩らす。

 

 

「三人とも、ちょっと来なさい」

 

「お、俺は悪くないっ」

「モミジ! 私を見捨てるのか?!」

「逃げるが勝――ごふっ?!」

 

 

「うたのん」

 

「みっ、みーちゃん?! これにはそう、とーってもディープな理由があってね?! あ、ちょ、もうちょっと優しく――」

 

 

その後の惨状を見た神官が、後に仲間の神官へと秘密裏に回した情報がある。

 

 

――“巫女”の御二方は、決して怒らせてはならない。と、

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

『この争いは、いつまでも』

 

 

歴史に刻む人類の軌跡の通り、人と人は分かり合えず、争う事が多い。

 

大きな物から言えば国と国の戦争を始め、子供同士がぶつかり合う小さな物まである。

 

 

その中の個人の趣向が絡む特殊なケースで言えば、“きのこ派かたけのこ派か”、という一歩間違えば死人が出てしまう様な物もある。

 

 

さて、今回の話はその特殊なケースの一つ。

 

 

香川という、その後に“うどん県と改名してしまう”・“医者から炭水化物の食べ過ぎでドクターストップが掛かる”、等と言った具合にうどんへの愛が傾き過ぎている県で立ち上がった、一人の少女の話。

 

 

 

「――歌野が?」

 

「あぁ、何やら“そば”の収穫を手伝ってほしいってよ」

 

 

とある日の昼下がり。四国で増えすぎた住民用の住宅の県設の手伝い中、休憩がてら話してた宮大工の楠 源一郎(くすのき げんいちろう)(通称 源さん)が煙管を加えてそういえばと口を開いた。

 

元諏訪大社の巫女さんである藤宮さんが持ってきたおにぎりを頬張っていたモミジは、その内容に疑問を浮かべる。

 

 

「手伝うのは良いけど、諏訪から持ってきたそばのストックもう全部食ったの?」

 

「いんやぁ。歌野ちゃんが考えてるのは良く分からん。あ、でも……」

 

 

ふぅー、と煙を空へと吐き出しながら源さんが思い出すように呟く。

 

 

「確か、“諏訪ゆーざーが……”とか、“香川のそうるふうどを……”とか寸胴鍋を用意しながら笑ってたな」

 

 

その言葉に何やら嫌な予感がしながら、モミジは食べ終わると歌野の畑へと足を運んだ。

 

 

 

 

「合言葉を言いなさい」

 

 

畑に着いて早々、柵に囲まれた畑の入口でジャージにサングラスを掛けた不審者に声を掛けられた。

 

というか歌野だった。

 

 

「言わない場合はスパイとみなすわ」

 

「何やってんの……。合言葉?」

 

「諏訪で暮らし、蕎麦を食した者ならば即座に分かる合言葉よ」

 

 

知るかそんなもん。

 

と突き放すのは簡単だったが、歌野もちょっとした遊び心だったのだろう。ならば乗ってやるのも良い。

 

合言葉、合言葉……と考え愚直だが歌野にならば効くだろうという合言葉を言い放つ。

 

 

「“蕎麦大好き”」

 

「味方ね」

 

「正解なのかよ」

 

 

そうは思ったが、なるほど答えを思い返せば若葉の様なうどん至上主義者であれば絶対に使わない言葉だと思う。

 

その証拠に、先程から少し離れた電柱の影から視線を感じる。チラリと視線を向ければ、麦穗色のポニーテールが揺れるのが見えた。

 

 

「奴は敵国のスパイよ」

 

「ここはその敵国なんだが……。というか、そういう意地悪は止めにしないか?」

 

「そうね、ごめんなさい。……若葉! 貴女も収穫を手伝ってくれないかしら!」

 

 

歌野も理解していたのか、簡単な謝罪の後電柱に隠れていた若葉へと声を掛ける。

 

呼ばれた若葉はびくりも肩を跳ねさせた後、そっと覗くように電柱から顔を出す。何をビクついてるんだ。

 

 

「何してるんだ、早く来いよ」

 

 

中々此方に来ない若葉に疑問符を浮かべながら言うと、だが、と言い辛そうにして若葉は口を開く。

 

 

「モミジ……、お前が蕎麦派に着いたというのは本当の事なのか……?」

 

「何の話だ」

 

「私は悲しいぞ!!」

 

「話を聞いて?」

 

 

畜生! と嘆き此方の話を聞かない若葉に困っていると、歌野が助け船を出してくれる。

 

 

「以前話したじゃない? 大晦日に食べるのは年越しそばか年越しうどんかって」

 

「あー、そんな話したなぁ」

 

 

確か、“戌崎”で歌野の指南を受けたおっさん手製の蕎麦を皆で食べた時だっただろうか。料理のレパートリーが増えたと、おっさんも喜んでいた。

 

その際に、大晦日で蕎麦を提供出来るとおっさんが言ってた気がする。香川では年越しはうどんを食べるのが殆どだったので、そうなのかと話題になったのだ。

 

だが、それとこれになんの関係があるのだろうか。

 

 

「何で俺が蕎麦派に?」

 

「その後、今年の年越しは蕎麦を食べるって言ってたわよね?」

 

「おう。まぁ、確かに」

 

「おめでとう、蕎麦派代表が歓迎するわ」

 

「強引すぎる!」

 

 

話題に出ただけで入信とは、何処の悪質な宗教だろうか。今時保険屋や新聞屋でもそんな事はしないぞ。

 

 

「近い内に避難者への蕎麦の炊き出しをするわ。そこで新たなカモ――違った、同志を手に入れましょう!」

 

「おい。今とんでもねぇ事言いやがったぞこの党首」

 

 

なるほど、寸胴鍋を手に入れてたのはそれが理由か。

 

その計画はどうでも良いとして、確かに避難者への炊き出しは大事だ。腹が減れば気が立つし、逆に言えば、衣食住が事足りれば多少の苦難でも耐えることが出来る。

 

源さんが建てた仮設住宅もそろそろ出来上がりだ。タイミング的にも丁度良い頃合いだろう。

 

 

うどんに馴染みある香川の人とは違い、避難者は大体が他県だ。であれば蕎麦を好む人も多いし、歌野としては蕎麦派獲得の良い機会なのだろう。

 

 

そういえば、と先程から黙りこくっている若葉へと視線を向ける。

 

見れば、わなわなと拳を振るわせて何かを堪えている様子だった。

 

 

「……させん」

 

「へ?」

 

「そんな勝手な振る舞い、断じてさせん! かくなる上は、私達もうどんの炊き出しを行い――」

 

 

メラメラと若葉の目に覚悟の炎的な何かが灯る。

 

固く握った拳を胸に当てると空へと掲げ、

 

 

「蕎麦派より多くのカモ――違った、愛好者を獲得するのだ!!」

 

「お前ら避難者を何だと思ってんだ」

 

 

欲望に忠実な二人に溜息が出る。“無垢な少女”とは一体……。

 

我欲まみれである。

 

 

 

――数日後。

 

 

 

「勇者達よ、私に続け! 出陣する!」

 

「おーっ!」

「はいっ!」

 

 

良い出汁の香りが上るうどんの乗ったトレーを片手に、若葉は避難区域を走り回っていた。

 

それに付き合うのは、同じく楽しそうに炊き出しを手伝う友奈とひなた位である。とは言っても、ひなたの目的は若葉の写真撮影だろうが……。

 

 

「よくやるわね……」

 

「おう、千景。休憩か?」

 

「えぇ。高嶋さんがお先に、って」

 

 

気怠そうに此方へと来た千景に、紙の器にうどんをよそい手渡す。

 

トッピングの入ったバットをどれにしようか、と悩む千景を見ていると声を掛けられた。

 

 

「モミジ~、ちょっとこっちを手伝ってくれよ~。歌野が張り切りすぎて疲れたゾ……」

 

「腕が……、パンパン……」

 

 

うどんもそうだが、蕎麦も手打ちにしたらしい。昨日の仕込みから始め、今朝からも蕎麦を打たされた球子と杏が疲労感を漂わせながら此方へと逃げてくる。

 

 

因みに、両チームのリーダーは麺を打ってそれを配布してと働き通しだ。よく働くものである。

 

 

「何時まで続くの、この不毛な戦争は……」

 

「あの二人、通信取ってた時から決着着いてないらしいからなぁ。これから先も定期的に炊き出しあると思うぞ」

 

「ひぇぇ……」

 

「多分、次は年越しだろうな」

 

「――」

「杏ぅ?!」

 

 

後ろで何かが倒れる音がする。直後の球子の叫びから察するに、杏が絶望から気絶したらしい。頑張れ杏、超頑張れ。

 

 

さて、俺も昼飯を。と器を用意すれば、横からすっと何かが突き出される。

 

見ると、蕎麦の入った器を持った歌野が居た。つゆの香りがまた良い匂いをしている。

 

 

「お昼でしょう? 持ってきたわよ、蕎麦をッ!!」

 

「おのれ歌野、此方の陣営に手を出すな!」

 

 

党民の危機を感じたのか、若葉が即座に間に割って入る。直ぐさまうどんを用意すると、蕎麦を押し返す様にして此方へと差し出した。

 

 

「さぁ、モミジ……」

「蕎麦か、うどんか……」

 

 

器をずいと出しながら、若葉と歌野が此方へと迫る。

 

男としては美少女二人に迫られるという非常に喜ばしい事態なのだが、その前提にある問題に素直に喜ぶ事が出来ない。

 

 

「どっちにするんだ?!」

「どっちにするの?!」

 

 

……先程千景が言ってたこの不毛な戦争だが、恐らく、いやきっと――

 

 

「……両方好きなんだがなぁ」

 

 

――終わることは、ないだろうなと思う。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

『あなたにお裾分けを』

 

 

 

「作りすぎたな……」

 

「ですねぇ」

 

 

とある日。大社の食料倉庫の整理の際、期限の近いホットケーキミックスがあったから、それを使いパンケーキを作ったのだが……。

 

 

「立食パーティーレベルですよ、これ」

 

「うーむ、流石に処理しきれん」

 

 

勿体ない精神で始めた事だが、明らかに度が過ぎている。一緒に作っていた若葉、ひなた、杏が苦笑いしてどうしようかと悩んでいた。

 

出来たてが一番美味い。悩む時間はそう無いと切り替えると、案外直ぐに案が出てきた。

 

 

「配るか、お裾分けだ」

 

「良いですね。なら、梓ちゃん達子供組に渡してきます」

 

「おう。頼んだ、杏」

 

 

お裾分け、という提案にいち早く反応したのは杏だった。ふんす、と鼻息荒く気合いを入れている。子供が好きなのだろうか。

 

 

「うむ。ならば私は友奈と千景を呼んで来よう。皆配り終わったら直ぐに合流してお茶会にしよう」

 

「だったら、いっその事子供組をこっちに呼んだらどうだ? 食べ盛りだし、配る分じゃ足りないだろうから」

 

「賛成です!」

 

 

となれば、配布する分は俺がちゃっちゃと配ってしまおうと冷めないように保温の効くタッパーへと大量に詰める。

 

警備員の詰め所や大社の神官等、普段忙しそうにしている所では、こういう甘い物は結構喜ばれるのだ。

 

 

手早く荷物を纏めると、一言断って丸亀城を後にした。

 

 

 

 

「おや、これは大神様」

 

「お疲れさん。良かったらこれ、皆で食ってくれ」

 

「おぉ、これはこれは」

 

 

たまには風変わりなおやつも良いですな。と詰め所の警備員のおじさんに喜ばれた。

 

んじゃ、これで。と次へ向かおうとすると呼び止められた。

 

手渡されたのは、一つのスーパーの袋。中に入っているのはチョコレートのお菓子だった。

 

 

「お返しです。是非とも皆様で食べて下さいね」

 

 

~~

 

 

「あ、モミジさんだ!」

 

「お久しぶりです、その節は……」

 

 

「よっ、元気になったか?」

 

 

以前大阪で救出した姉妹が居た。その時には栄養失調でガリガリだったが、回復したようだ。良かった。

 

これどうぞ。とタッパーを手渡すと、お礼と共にお返しを貰った。

 

 

「これ、さっき皆で取ってきたの!」

 

「私達は二人だけですから、勇者様方と召し上がって下さい」

 

 

艶々と輝く、美味しそうな果物達の盛り合わせだった。

 

 

~~

 

 

「あら、大神様」

 

「これはこれは、モミジ様!」

 

 

大社の本部に行けば、丁度何かの会議だったのかかなりの数の神官が居た。

 

パンケーキを作るのは知っていたのか、タッパーの中身を見るなりテキパキとお茶の準備を始める。

 

ご一緒に、と誘われたが若葉達が待っていると告げると及川さん以外はなら仕方ないと諦めてくれた。

 

及川さんはしょげた。いい年して止めてくれ。

 

 

「なら一緒に来る? 若葉とひなたも居るけど」

 

「……止めておきます」

 

 

まだ話し掛けるのは勇気が足りないのか、落ち込んだ雰囲気で去って行った。今度来るときには、ゆっくりと茶でも飲みながら世間話の一つでもしていこう。

 

やはりと言うべきか、去り際に声を掛けられた。巫女のおばちゃんが差し出したのは、紙袋一杯のお茶菓子。

 

 

「……ありがとう」

 

 

荷物を減らすために来たのに、逆に増えたなぁと苦笑いしか出なかった。

 

 

~~

 

 

「お帰り、って、何よその荷物」

 

「いやぁ、予想外だわ」

 

 

丸亀城に着くと、丁度通りかかった綾乃がモミジの手に持つに目を丸くする。

 

パンケーキ配ってたんじゃ?と言う綾乃に、色々あって、と返せば何かを察したのかそうかと返ってきた。

 

 

「ま、アンタの人徳でしょ。今までの功績があっての事じゃない」

 

「そうか? たまたまだろ」

 

 

神具の力も、危機を乗り越えてきたのも、自分一人の力ではないように思える。

 

モミジの言葉に、綾乃がはぁと溜息を吐いて言う。

 

 

「なら、それ()が無かったら誰も助けなかった?」

 

「…………む」

 

 

中々に返答の難しい事を言う。

 

でも多分、危ないと分かっていても動くだろうか。若葉やひなた、綾乃達がバーテックスに襲われている……。

 

うん、助けに行くだろうな。

 

 

「だから、アンタは神具に選ばれたのよ」

 

 

綾乃が言葉の後で教室のドアを開ける。中を見れば、全員集まっていたのかこれからお茶会を始める所だった。

 

新たなお茶菓子も手に入れた事だし、今日はゆっくりとお茶を楽しむとしよう。

 

 

そんな、平和な日々の一時だった。

 

 

 




三話目の姉妹。大阪で日記にあった姉妹ですね。暴動を起こしてた大人達は、モミジが大人しく(物理)させて救出しました。

これは不定期です。貯まればまた放出します。何か短編でこんなの見たいってリクエストがあれば頑張って書くんでお気軽にどうぞ。
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