申し訳ありません。
それと、オリキャラが出ます。
「みんな準備はできたわね」
「はい!」
「私は大丈夫」
「ばっちりだよ!」
寮の寝室で仁王立ちしたアイビーが尋ねると、三人は元気に答える。
みんなそれぞれ小さなグリフィンドールの旗を持ったり、真紅のタオルを首から下げていた。
特にセリアは鼻息荒く両手に旗を持っており、気合い十分だ。
四人は意気揚々と寝室を後にして寮の出口へと向かう。
談話室に着くと、そこには二人の男子生徒がいた。
その一人を見ると、メグは顔を首に下げたタオルと同じ色に染め、アイビーの陰に隠れた。
「ほらセド、早く行こうぜ! いい席を取らないと!」
「分かってるよ、スコット。僕だっていい席で見たいんだから、そんなに急かさなくても……」
一人は茶色の短い髪で背の高い誠実そうな男子生徒。
瞳の色は灰色で、非常に整った顔立ちをしている。
彼の名前はセドリック・ディゴリー。
クィディッチチームの予選にて出会い、メグが密かに想いを寄せている少年だ。
そしてもう一人は、セドリックの親友であるスコット・ブルクハルト。
背はセドリックほど高くないが体格は良く、彫りの深い顔をしている。
黒色の髪は少し長めで、瞳の色は明るい褐色だ。
そこでスコットが、セドリックを押すようにして寮の出口へと向かっていたのだ。
メグが後ろに隠れてからセドリック達に気がついたアイビーは、にやりと笑って二人に話しかける。
「セドリック、スコット! 私達も今から競技場に向かうんだけど、一緒に行ってもいいかしら?」
「ちょ、ちょっとアイビー! 何を……」
アイビーの陰からメグは小さな抗議の声をあげたが、セドリックが振り返ると再び素早く隠れてしまった。
「やあアイビー、君達も早めに行くんだな。もちろん構わないよ。なあスコット?」
「別にいいから、早く!」
セリア達は寮を出て玄関へ向かう。
かなり早くに寮を出たため、まだ大広間では多くの生徒が朝食を食べていた。
朝食を終えていても、まだまだ寮に残っている生徒がほとんどだろう。
競技場へ進む道には、セリア達の他に生徒はほんの数人いるだけだった。
「これならいい席で見れるな!」
「そうだな。けど、少し早すぎないか?」
「そんなことないって。あと少ししたら絶対混みだすから……あれ? なんか数多くないか?」
スコットは今気づいたのか、セリア達を見て驚いたような顔をしていた。
「寮を出る前、声をかけたじゃない。聞いてなかったの?」
「え、本当に?」
「ああ、本当だよ。それにスコットだっていいって答えていたじゃないか」
「全然聞こえてなかった……」
本気で驚いているスコットに、セドリックとアイビーは呆れた目を向ける。
恥ずかしそうに少し顔を赤くしたスコットは、誤魔化すようにセリア達へ話しかけた。
「えっと、アイビーは何回かクィディッチの話したけど、他の子達は初めてだっけ? 顔は見たことあるけど」
「僕もアイビーとは話したことはあるけど、君達とは初めてだったな。僕はセドリック・ディゴリーだ」
「俺はスコット・ブルクハルト。セドの親友やってるから、よろしくな!」
セドリックとスコットは肩を組みながらセリア達へ自己紹介をした。
「私はリジー・スキャマンダーだよ。よろしくね、セドリック、スコット!」
「メーガン・バークといいます。よろしくお願いします、ブルクハルトさん、ディ、ディゴリーさん」
リジーは元気いっぱいに、メグはセドリックの名前を言うときに少し口ごもりながら自己紹介を返す。
セリアは一度立ち止まると、手に持っていた旗をポケットに入れた。
そしてローブを少しつまみ優雅にお辞儀をして、にこりと微笑んだ。
「初めまして、セドリックさん、スコットさん。私はセリア・レイブンクローといいます。本日はいきなりの同行を許してくださり、ありがとうございます。よろしければ、これからもどうぞよろしくお願いします」
セリアのお辞儀を受けセドリックは少し顔を赤くしたが、雰囲気にのまれることはなかった。
一方でスコットは、ぼけー、と呆けた表情になって、セリアから目を離すことができなくなっていた。
「あ、ああ、三人ともよろしく。ほらスコット、目を覚ませ」
「あた! ……あれ? 俺何やってたんだっけ?」
セドリックが軽く頭を叩くと、どこかへ意識が飛んでいたスコットが戻ってきた。
自己紹介を終えた一行は、しばらくするとクィディッチ競技場へ到着した。
広々とした競技場を囲むようにそびえ立つ木製の観客席には、やはりまだ数人しか生徒はいなかった。
セリア達は観客席の最上段で、ピッチ全体をよく見渡せる一番いい席を取ることに成功した。
これはアイビーとスコットのお手柄だ。
「めちゃくちゃいい席取れたな! アイビー!」
「ええ! これで両チームの動きがよく分かるわ!」
アイビーとスコットはいい席が取れたことで大盛り上がりだ。
しかしアイビーは盛り上がりつつも、さりげなくセドリックの隣の席にメグを座らせていた。
人数が少し多いので最上段にセリア、リジー、アイビーが座り、最上段の一つ下にスコットとセドリック、メグが座っている。
席に座ったセリアは落ち着かないのか、手に持った旗をそわそわといじっていた。
「セリア、落ち着かない?」
「はい、なんだかすごく緊張します……試合開始まで、あとどれくらいでしょうか?」
「うーん、あと一時間くらいかな」
「い、一時間ですか。どきどきしすぎて、心臓が持たないかも……」
「が、頑張って、セリア! 背中さすってあげようか?」
「お願いします……」
「何してるのよ、二人とも……」
そんなセリアとリジーのやり取りを見て、アイビーが呆れたように突っ込む。
一方前列では、セドリックの隣に座ったメグが顔を真っ赤に染めて固まっていた。
「楽しみだね、メグ」
「は、はい……」
「あれ? なんだか顔赤いな。風邪?」
「いえ、大丈夫です」
「本当に大丈夫かい? もし体調が悪いなら、無理せずに城に戻るんだよ?」
「わ、分かりました……」
「もういい席は取れたし、医務室に送って行ってやろうか?」
「結構です」
「なんだか俺にだけ冷たくない?」
メグはセドリックからの言葉には丁寧に返していたが、スコットの言葉には淡々と答えていた。
スコットが悲しそうに言うと、後ろの席からアイビーが声をかけてきた。
「メグは少し人見知りでね。あんまり喋ったことない人にはそうなっちゃうのよ」
「でもセドとは話せてるじゃないか」
「そりゃあセドリックはかっこいいし、話しやすい雰囲気を出しているもの」
「え、俺もそこそこかっこいいだろ?」
「スコットはなんて言うのかしら……ちょっと馬鹿っぽい? それにかっこよくはないわよ」
「ひどい! なあ、そんなことないよなセド!」
スコットは涙目になりながら隣のセドリックに問いかける。
しかしセドリックは答えず、少し気まずそうにスコットから目を逸らした。
そんな親友の反応に、スコットは雷に打たれたような衝撃を受けた。
親友に裏切られたスコットはメグへ救いを求める。
「俺、そんなに馬鹿っぽくないよな! なあメグ!?」
「すみません、気安く呼ばないでください」
「みんなひどすぎるだろ!?」
しかしメグにばっさりと切り捨てられ、スコットはついに涙を流す。
するとセリアの背中とついでに頭を撫でていたリジーが、会話に加わってきた。
「スコット面白いし、私は結構好きだけどなー」
「リジー……君は天使なのか……?」
リジーの言葉にスコットは泣き止み、崇めるようにリジーを見上げる。
「ねえセリア、スコット面白いよね? かっこいいとは思わないけど」
「ふふ……え? すみませんリジー、気持ち良くて話を聞いていませんでした……」
「寮の後輩達が、俺をいじめてくる……」
セリア達の仕打ちにスコットはひどく落ち込んでしまった。
しかし全員特に気にすることはなく、そのまま試合開始の時間を待つ。
徐々に観客席に生徒が増えていき、すぐにほぼ満席の状態となった。
観客席は綺麗にグリフィンドールの紅色とスリザリンの緑色の二つに分かれていた。
ここまで来るとスコットは調子を取り戻し、セリア達は今か今かと試合開始の時間を待つ。
それからしばらくして観客席から歓声があがった。
両チームのメンバーが更衣室から飛び出て、箒を手に持ったフーチが待つピッチの中央へと集まっていく。
集合した両チームは箒を手に横一列で並び向かい合う。
フーチがボールが入っている箱を置き、口を開いた。
「それではキャプテン同士、握手を」
チャーリーとジェニファーはそれぞれ一歩前に出ると、お互い目を逸らすことなく強く握手をする。
そして同時に手を離し、選手達は箒に跨った。
フーチはボールが入った箱を開け、まず金のスニッチを放った。
スニッチはきらめきながら飛び出し、すぐに姿が見えなくなった。
次に鎖で封じられていた暴れ玉、ブラッジャーが空に解き放たれた。
最後にフーチはクァッフルを手にする。
「両チーム、正々堂々と戦うように」
フーチはそう言うと首に下げたホイッスルを咥え強く吹き、ついに試合が始まった。
甲高いホイッスルの音が空を切り裂き、選手達は天へと舞い上がっていく。
そこで競技場内に大きな声が響き渡る。
「さーて! 今年もクィディッチの試合が始まりました! 皆さんはじめまして、私は今年から試合の実況を担当するぴちぴちの二年生、リー・ジョーダンと申します! グリフィンドールチームの予選には落ちても実況に名乗り出る、諦めの悪い男でございます!」
「ジョーダン! きちんと実況をしなさい!」
「了解! 解説を務めてくださるのは、皆さんご存知のマクゴナガル先生! そんなマクゴナガル先生、お若い頃はクィディッチでぶいぶい言わせていたそうですよ! まあ、まだまだお若いですが!」
「ジョーダン!」
「冗談ですよ、先生! さて、選手はそれぞれのポジションへとついたようですね! フーチ先生がクァッフルを高く投げ、両チームのチェイサーが飛び込んでいきます!」
フーチが高々と放り投げたクァッフルは、最初にグリフィンドールチームの手に渡った。
グリフィンドールチームのチェイサーは、クァッフルを巧みにパスしあいながらゴールを目指していく。
「グリフィンドールチーム、凄腕のスリザリンチームのチェイサーを見事なボールさばきで避けていきます! そしてクァッフルはアンジェリーナ・ジョンソンの手に渡ります! 行けっアンジェリー、あ、危ない!」
ゴールを放とうとしたアンジェリーナだったが、スリザリンチームのビーター、マーカス・フリントが打ったブラッジャーが彼女を掠め、クァッフルは大きく逸れてしまった。
「スリザリンチームのビーターの活躍により、アンジェリーナのゴールは外れてしまいました……くそったれめ」
「ジョーダン?」
「なんでもありませんよ、先生! さて、クァッフルはスリザリンチームのチェイサーの手に渡りました。スリザリンチーム、ボールをパスしあいながら矢のようにピッチを飛んでいます! グリフィンドールのチェイサーは追いつけません! ああっ、おしい! 双子のウィーズリーが打ったブラッジャーは避けられました! 頼むぞ、ウッド!」
しかし、ジェニファーが放ったクァッフルはウッドの守りを抜けゴールを通り、先取点となった。
先取点にスリザリン側の観客席は大きく沸きあがった。
「スリザリン先取点! 十点が入ります! クァッフルはグリフィンドールチームに渡ります。ゴールを目指し、どんどん進む……ああ! スリザリンチームのチェイサー、ジェニファー・マレットにクァッフルを奪われました! みんな、頑張って止めるんだ!」
だがジェニファー達を止めることはできず、再びスリザリンに得点が入る。
「大丈夫、まだ二十点差だ! スニッチさえ取ってしまえば勝てる! 頼むぞチャーリー!」
「ジョーダン! 公平に実況なさい!」
両チームのシーカーはピッチの上空を飛んでいて、まだスニッチを見つけることはできていなかった。
それから試合が進み、スリザリンは順調に得点を重ねていった。
チャーリーは執拗にフリントに狙われており、それを守るためにフレッドとジョージはチャーリーの近くを飛ぶ。
そうするとグリフィンドールのチェイサーがブラッジャーに狙われて、クァッフルを手放してしまうという悪循環に陥っていた。
その結果、スリザリンが百点を取った段階でグリフィンドールは十点しか取れていなかった。
そこでチャーリーは一度タイムアウトを要求し、両チームは一度ピッチに降り集まった。
「さて、タイムアウトで両チームが集まります。このままスリザリンが逃げ切るのか、はたまたグリフィンドールが追い上げるのか! 頑張れグリフィンドール!」
「ジョーダン!」
セリア達は上空で繰り広げられる激闘に魅了され、それぞれ大きな声で声援を送っていた。
そして両チームがタイムアウトでピッチに降り立つと少し気が抜けたのか、いつの間にか立ち上がっていた座席に座り直した。
「すっごいね! セリア! 試合は初めて見たけど、こんなにすっごいなんて!」
「はい! 皆さんあんなに速く飛ばれていて、目で追うのがやっとでした!」
「うん! すっごいね!」
セリアは顔を紅潮させながらはしゃぎ、リジーは興奮からかすごいを連呼していた。
「やばい、やばすぎるだろ! プロの試合みたいだ!」
「ええ! スリザリンのチェイサー達、噂以上よ! プロにも負けてないわ!」
「それになんて言っても、チャーリー・ウィーズリーだよ! あんなにブラッジャーに狙われて、なんで当たらないんだ!? しかも他の選手に指示とかもしてたし!」
「意味不明よね!?」
「意味不明だ!」
中でもスコットとアイビーは一番興奮しており、声を張り上げすぎたのか少し声がかすれていたのだが、全く気にしていなかった。
メグも珍しく大声を上げていて、少し喉を痛そうにしていた。
それに気づいたセドリックは隣に座るメグに優しく声をかける。
「試合やっぱりすごいな、メグ」
「は、はい! 凄かったですね、どっちのチームも」
「まったく、あんなチームと戦わないといけないなんて。荷が重いよ」
「そんなことないです! 何度か練習を見させてもらったんですけど、ハッフルパフチームもすごかった! それにディゴリーさんも、その、とてもかっこよかったです……」
メグは言葉の途中から顔を赤くなり、最後の方は尻すぼみになっていた。
それを聞いたセドリックは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を浮かべる。
「ありがとうメグ、僕も頑張るよ。それと、ディゴリーさんじゃなくて、セドリックって呼んでほしいな」
「え、あ、あう……セ、セドリック……さん」
「うん」
「うぅ……」
「ああ、そうだ」
メグが顔を真っ赤に染めてうめいていると、セドリックがローブのポケットから小さな袋を取り出した。
「メグ、応援しすぎて喉が痛いんじゃないか? これ喉にいい飴なんだけど、食べないかい?」
「い、いいんですか?」
「ああ。スコットが毎回声を出しすぎて喉を痛めるから、試合のときは持ってきてるんだよ。アイビーに聞いたけど、メグは甘い物が好きなんだよね?」
「は、はい……ありがとうございます、セドリックさん」
「うん、どういたしまして」
メグは飴を受け取ると、嬉しそうに微笑んで少し握りしめた後、大事そうに口に入れた。
セドリックはセリア達にも飴を配り、セリア達は口々にお礼を言いながら飴を受け取る。
「ほらスコット、飴食べておけよ」
「お、サンキュー! セド!」
「みんなもよかったらどうぞ」
「わーい! ありがとーセドリック!」
「わあ……! ありがとうございます、セドリックさん!」
「さすがセドリックね。ありがとう! ねえ、メグにもあげた?」
「ああ、よほど甘い物が好きなんだな。嬉しそうに食べてくれたよ」
「そう……ふふふ」
幸せそうに頬を染めて飴を舐めるメグを見て、アイビーは小さく笑った。
一方ピッチでは、両チームが集まり作戦会議をしていた。
「さて、いい流れね。このままいつも通りに試合を進めれば、私達の勝利よ」
集まったメンバーにジェニファーはそう言う。
「それとマーカス、とてもいい動きだわ。あなたがウィーズリーを妨害してくれているお陰で、私達はたくさん得点を取れた。引き続きお願いね」
「ああ、任せろ! 絶対あいつにブラッジャーを叩き込んでやる!」
ジェニファーが褒めるとフリントは試合中で興奮しているのか、クラブを振り回しながら答えた。
するとジェニファーは目を細め、フリントに冷たく言い放つ。
「ただし、ルールを破ったら私が箒から叩き落とすから、覚悟しておきなさい。妨害したいならブラッジャーを使うこと。分かったわね?」
「あ、ああ……分かっているよ……」
ジェニファーの冷たい覇気に、フリントは少し震えながら答えた。
「みんな、他に何か無いかしら?」
ジェニファーはそう言ってメンバーを見渡すが全員何も言うことはなく、絶対的な信頼を寄せるキャプテンをただ強い目で見ていた。
メンバーからの視線を受けたジェニファーは、小さく頷く。
「よろしい。さてそれじゃあ……勝ちに行くわよ?」
「おう!」
ジェニファーの言葉にメンバーは声を揃えて力強く答える。
スリザリンチームの士気が最高潮に達した中、間もなく試合が再開する。
思ったよりも長くなったので分割します。
続きはできるだけ早く投稿できるよう、頑張ります。
さて魔法同盟ですが、コードネームは他の方と被ると使用できず、大変でした。
セリアの名前がすでに使用されていたので、レイモンドの名前で開始することに。
ハリーポッター好きならきっと夢中になると思いますので、ぜひ試してみてください。