ハリー・ポッターと翡翠の魔法使い   作:ごま丸

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第29話 イースター

 三月を迎えたホグワーツは凍えるような日々に終わりを告げ、そろそろ春の足音が聞こえてきていた。

 まだ朝や夕暮れ時は寒いが、じきに防寒着の必要もなくなるだろう。

 ホグワーツの生徒達も、間も無くやってくる春が待ち遠しいようだった。

 ただセリアだけは、リジーからもらったマフラーが巻けなくなると少し不満気だったが。

 そうして三月末、イースター休暇が訪れた。

 しかし休暇とは言っても、後二ヶ月もすれば学年末試験が始まるため、クリスマス休暇にはなかった宿題が山ほど与えられた。

 多くの生徒達はその宿題に追われ悪戦苦闘していたが、普段から予習復習を欠かさない一部の真面目な生徒は、宿題をこなしつつも穏やかな休暇を楽しんでいた。

 その一部の真面目な生徒であるセリア達は、宿題を一時中断し校庭に出てハグリッドの小屋を目指していた。

 これは早朝いつも通り走っていたリジーがとても良い天気だったことに大喜びして、寝室を戻ってすぐにお出かけしようと提案したからだ。

 朝の仕事を手伝った後に遊びに行ってもいいかと尋ねたところ、ハグリッドは快諾してくれたらしい。

 気温は少し低いもののぽかぽかと心地良い太陽の光を浴びながら、四人はハグリッドの小屋に向かって歩く。

 

「よくリジーからお話は聞いていましたけれど、実際に会うのは初めてだったんですね……」

 

「そうよねえ。なんだかいつも聞いていたから、初対面って感じがしないわ」

 

 少し緊張したようにセリアが言うと、アイビーがそれに同意するように言った。

 リジーはよくこんな手伝いをした、こんな動物を見せてもらったなどの話をセリア達にしていたのだ。

 ちなみに密かに動物が好きなメグは、いつも目をきらきらと輝かせながらその話を聞いていた。

 

「ねえリジー、色んな動物を飼ってるっていう牧場、見せてもらえるのかな?」

 

「いいねそれ! ハグリッドにお願いしてみよっか」

 

 四人はハグリッドの小屋に到着した。

 小屋の煙突からは細く煙が出ていて、ハグリッドが室内にいることがわかる。

 リジーが扉をノックすると、小屋の中からくぐもった犬の鳴き声が聞こえてきた。

 そしてのしのしという足音が聞こえ、扉ががちゃりと開いた。

 

「ほれファング、下がれ下がれ! 下がれっちゅーとるだろうが。リジー、よく来たな! お友達達も早く入れや」

 

 ハグリッドは、今にも飛び出しそうなファングを制しながら四人を室内へ招いた。

 室内はそれなりに広く、動物の毛のようなものやよくわからない植物など、天井から色々とぶら下がっている。

 また家具がハグリッドの体に合わせたものであるため、その全てが大きく四人は小人にでもなった気分だった。

 

「茶入れるから、適当に座っといてくれ」

 

 ハグリッドがそう言ったので、一つの大きなソファに四人が並んで座った。

 座った瞬間にファングがリジーに飛びつき、彼女の顔をものすごい勢いで舐め始めた。

 リジーは笑顔を浮かべ全力でファングを撫で、メグも夢中でもふもふとファングを触る。

 それを見てアイビーは笑い、セリアは大きな犬が少し怖いのかリジーの陰に隠れ、しかし興味はあるようでファングをじっと見つめていた。

 ハグリッドはすでに沸かしていたのだろうお湯を、四人分のマグカップと自分用の特大のカップに注いで机に置く。

 そして手作りだというフルーツケーキも切ってくれた。

 ハグリッドはよっこらせ、と言いながら椅子に座った。

 

「他の三人ははじめましてだな。俺はルビウス・ハグリッド、ホグワーツの森と鍵の番人をしとる。そいつはファングだ。でかいが臆病なやつなんだ。仲良くしてやってくれ」

 

「はじめまして! 私はアイビー・ベケットよ。ねえ、あそこにぶら下がっている植物とか、後で見せてもらっていいかしら?」

 

「おう。全部森で採ったやつなんだが、欲しけりゃ持って帰ってええぞ」

 

「本当!? やったあ!」

 

 アイビーは嬉しそうに大声をあげる。

 彼女は小屋に入ったときから、ぶら下がっている物を興味津々な様子で見上げていたのだ。

 次にメグが自己紹介をする。

 

「はじめまして、メーガン・バークです。メグと呼んでください」

 

「ん? バークっていうと、お前さんアーロンとヘイリーの子供か?」

 

「はい。お父さんとお母さんを知ってるんですか?」

 

「おう、熱々で有名な二人だったからなあ。笑いながら逃げるアーロンを、顔を真っ赤にしたヘイリーがよく追いかけていたな」

 

「そうなんだ……。あの、後で牧場を見せてもらってもいいですか?」

 

「おっ、動物好きなのか? いくらでも見ていってくれや!」

 

 ハグリッドに許可をもらい、メグはにこりと微笑んだ。

 最後にセリアがソファに座ったままで胸に手をあて、ふわりと微笑みを浮かべて優雅にお辞儀をした。

 

「はじめまして、ハグリッドさん。私はセリア・レイブンクローといいます。どうぞよろしくお願いします」

 

 セリアのお辞儀を受け、ハグリッドは真っ黒な目をぱちぱちと瞬かせながら顔を赤くする。

 

「お、おう。リジーから聞いていたが、本当に美人さんだな。レイブンクローっちゅうことは、あいつの子供か……」

 

「お父さんを知っているのですか?」

 

「直接喋ったことはなかったけどな。レイモンドっちゅう生徒と仲が良かったから、そいつから聞いたり校内の噂で聞いてたくらいだ。……だが、本当に偉大な魔法使いだったと思うぞ」

 

「……ありがとうございます。ちなみにレイモンドは今、私の家のお手伝いをしてくれているんです。お父さんと約束したそうで」

 

「本当か!? あの戦いの後、急に闇祓いを辞めたとは聞いてたんだが……そうかぁ」

 

 しみじみと言いながらハグリッドは紅茶をすする。

 全員の自己紹介が終わり、リジーは得意げな表情でハグリッドに言う。

 

「みんなが私の親友だよ! みんなかわいいし、すっごいんだから!」

 

「ああ、いいお友達だな! お前さん達、今日はゆっくりしていってくれや!」

 

 それから四人はお茶会を楽しんだ。

 ハグリッドお手製のケーキは少し酸味があり、紅茶も不思議な香りがしたがとてもおいしかった。

 聞けば両方とも森で採れた物を使っているらしい。

 リジーが籠に入れて連れてきたミコを見せると、初めて間近で見るスニジェットにハグリッドは感激していた。

 ミコはハグリッドの大きな手の上を歩き回り、ただでさえ小さなミコがもはや豆粒ほどに見える。

 ハグリッドの小屋が気に入ったのか、ミコは室内を楽しそうに鳴きながら飛び回っていた。

 ファングがミコの飛ぶ早さに驚きぽかんとした顔で見上げており、その間の抜けた顔を見て全員が大笑いをした。

 ミコはファングも気に入ったのか、昼寝を始めたファングの頭の上に乗って眠り始めた。

 お茶会の後四人はハグリッドに連れられ、少し離れた所にある牧場で遊んだ。

 セリアとアイビーはパフスケインやニフラーといった、比較的おとなしい動物を撫でその感触を楽しんでいた。

 ただニフラーは金属や宝石などを好むため、セリアはいつも付けているロケットをしっかりとポケットに入れていた。

 

「あは、かわいいわね! ふわふわ!」

 

「はい! ニフラーを抱っこしたのは初めてです。光るものがなかったら、こんなにおとなしいんですね。かわいいです」

 

 そしてリジーやメグは、大型の動物を見せてもらい大はしゃぎをしていた。

 

「よーし! 次はこいつら、ヒッポグリフだ! 美しかろう? え?」

 

「わあ……! かっこいいし綺麗だね。触ってもいい?」

 

 すっかり敬語が抜けたメグがハグリッドに尋ねると、それにリジーが答えた。

 

「ヒッポグリフは誇り高いんだー。まずこっちがお辞儀をして、敬意を払うんだよ。ヒッポグリフがお辞儀を返してくれたら、触っても大丈夫! けど触るときも、失礼な態度じゃだめだよ。ヒッポグリフの脚見える? すっごい鉤爪でしょ? あれでひっかかれたら痛いよー。敬意を忘れない、これが大事!」

 

「おお! すげえなリジー! 俺の言いたいこと、全部言われちまった!」

 

「でもハグリッド、ヒッポグリフを見せるのは早くない? もしかしたら怪我しちゃうかもしれないし。私はいいけどさー」

 

「そんなことねえ、こいつらが傷つけるなんて! それよりリジー、触ってみるか?」

 

「もちろんだよ!」

 

 リジーはヒッポグリフに歩み寄りお辞儀をした。

 ヒッポグリフはじっとリジーを見つめ、少しして前脚を折ってお辞儀を返した。

 リジーが嬉しそうにヒッポグリフを撫で始めるのを見て、メグは我慢できないようにもう一度尋ねる。

 

「ねえハグリッド、触ってもいいの?」

 

「おういいぞ。ゆっくり近づけよ」

 

 その後無事にヒッポグリフに認められたメグは、夢中になってその嘴や触り心地の良い滑らかな羽毛を撫でた。

 四人は日が暮れるまで遊び、ハグリッドの小屋で夕食を食べ(ハグリッドがよくわからない牙などを入れようとしていたので、リジーが料理した)、大満足で城に戻った。

 ポケットはお土産に持たされたケーキや干し肉などの食べ物、アイビーは分けてもらった魔法薬の材料になる植物でぱんぱんに膨れ上がった。

 

「すっごい楽しかったね! みんなも楽しかった?」

 

「はい! ハグリッドさんも優しくて、動物さん達もふわふわで、とても楽しかったです!」

 

「ええ、あんなに動物を触ったのは初めてだけど、とっても楽しかったわ。それにこんなにいい材料ももらえて、最っ高よ!」

 

「うん。珍しい動物を見れて、すごく良かったよ。三年生からの選択授業では、絶対魔法生物飼育学を選ぶよ」

 

 四人はまずシャワーを浴びてさっぱりしてから寮へ帰った。

 寝室に戻って寝る準備をしながら、アイビーがからかうようにメグに言う。

 

「それにしても、あんなにはしゃいだメグを見たのは久しぶりだったわね。ふふ、かわいかったわよ、メグ?」

 

「むっ……。宿題、見せてあげないから」

 

「え!? ちょっと待って! 手伝ってもらわないと、私死んじゃうよ!」

 

「知らないよっ。セリアもリジーも見せちゃだめだからね」

 

 メグの反撃を受け、アイビーはこの世の終わりといった表情を浮かべる。

 そして救いを求めてセリアとリジーを見たが、アイビーの自業自得であるため二人は苦笑いで首を横に振り、アイビーは崩れ落ちた。

 こうして穏やかで充実したイースター休暇が過ぎていくのであった。

 ちなみにメグは見せないとは言ったものの手伝わないとは言っていないので、結局は三人に手伝ってもらいアイビーは余裕を持って宿題を終わらせることができた。

 

──────────

 

 イースター休暇が終わったホグワーツ。

 スリザリンとハッフルパフのクィディッチの試合があり、スリザリンチームのシーカーとの壮絶な競り合いの末、セドリックは見事にスニッチを掴んだ。

 しかしスリザリンチームのチェイサーがそれを超える点を取っていたため、残念ながらチームは敗北という結果となった。

 残る試合は、学年末試験の後にあるグリフィンドールとハッフルパフの対決だ。

 現在のところは、スリザリンチームが全試合に勝利したので優勝杯に最も近い。

 一年で三回ある試合のうち二試合でスニッチを奪われながらも首位であることから、スリザリンチームのチェイサーがいかに優秀であるかがわかる。

 だが今回の試合でハッフルパフがスニッチを掴んだので、まだまだ優勝確実というわけではない。

 次の試合でグリフィンドールは、ハッフルパフと五十点以上の差で勝利した場合優勝となる。

 一方ハッフルパフは、グリフィンドールと百点以上の差があった場合にスニッチを掴めば、優勝となる。

 条件は非常に厳しいが、ハッフルパフにも優勝の可能性がある。

 ハッフルパフが最後に優勝杯を手にしたのは随分と昔のことなので、ハッフルパフ寮全体が熱気に包まれていた。

 そして四月も後半に入り、いよいよ学年末試験に向けて本格的に授業も難しくなってきた。

 生徒達の熱気も今は勉強の方に向いており、日に日に図書館や談話室で羽根ペンを走らせる生徒の数が増えている。

 そんな中、アイビーの誕生日がやってきた。

 

「おはよーアイビー! お誕生日おめでとう!」

 

 朝の日課から寝室へ帰ってきたリジーは、すでに起床していたアイビーにそう言った。

 

「ありがと、リジー!」

 

「えへへ。プレゼント渡すから、ちょっと待っててね!」

 

「あ、待ってリジー。その前に二人を起こしましょう?」

 

「了解! それじゃあ私はセリアを起こすねー」

 

「わかったわ」

 

 リジーがすやすやと眠るセリアを優しくゆすると、セリアはすぐさま目を覚まし、ふらふらと状態を起こした。

 一方アイビーは、丸まって眠るメグのベッドに飛び込んで起こしていた。

 相変わらずひどい目覚めさせ方だ。

 案の定アイビーはすぐに目を覚ましたメグに跳ね飛ばされ、さらに頭に拳骨を落とされていた。

 それから着替えや授業の準備を終わらせ、ようやく誕生日プレゼントを渡す時間がきた。

 

「改めて! アイビー、メグ、お誕生日おめでとう!」

 

「お二人とも、おめでとうございます!」

 

 今日はアイビーの誕生日で、メグの誕生日は二週間ほど先だ。

 しかし誕生日の近い二人は、毎年同じ日に誕生日を祝われていたそうだ。

 二人も今さら別々に祝われるのもなんだということで、今回も一緒に祝うことにしたのだ。

 

「ありがとう二人とも! それとメグも、お誕生日おめでとう!」

 

「うん、ありがとう。アイビーもおめでとう」

 

 セリアとメグに祝福を受け、二人は満面の笑みを浮かべる。

 まずはリジーが二人にプレゼントを差し出した。

 

「まずは私から渡すね! はいどうぞ!」

 

 アイビーに贈った物は、薬草学や魔法薬学で使用する作業用の手袋だ。

 アイビーは普段の授業に以外にも自習することが多く、現在使っている手袋は一年ですでにぼろぼろになっていた。

 それを知ったリジーはロルフに連絡して、魔法生物の研究や調査で使用する高性能な手袋を取り寄せてもらったのだ。

 これは頑丈なのはもちろん、表面に付いた汚れや小さな傷などを自動で綺麗してくれる優れ物だ。

 メグに贈った物は、脚に着けることができる杖入れだ。

 メグは普段はローブのポケットに杖を入れている。

 しかし彼女は四人の中で一番背丈が低いが杖は一番長く、いつも取り出しにくそうにしていたのだ。

 

「わあ、この手袋すごく頑丈ね! これなら長い間使えそう!」

 

「兄ちゃんに一番良いって教えてもらったんだよ。兄ちゃんこういう作業用の服とか、いっぱい集めてるんだー。もしまた駄目になったら言ってね」

 

「ええありがとう! 大事に使うわね!」

 

 アイビーは手袋を着けて手を開いたり閉じたりしながら、嬉しそうにリジーへお礼を言う。

 

「これ、杖入れ?」

 

「うん。いっつもなんだか杖を抜きづらそうにしてたでしょ? だから作ってみた!」

 

 リジーは自慢げに言う。

 試しにメグが太ももに巻いてみると、それはぴったりと着けることができた。

 そして杖を差して少し歩いてみたが、杖が歩行の邪魔になることはなく、なんの抵抗もなくすばやく杖を抜くこともできた。

 

「すごい……これ、本当に使いやすいよリジー!」

 

「そう? 大きさも大丈夫?」

 

「うん、ぴったりだよ」

 

「よかったー。メグが寝てるときにこっそりと測った甲斐があったよ」

 

「……今なんて言ったの?」

 

「一応調節はできるようにしたけど、もし合わなくなったら言ってね!」

 

「あ、うん。ありがと……」

 

 メグは釈然としない顔でリジーにお礼を言った。

 次にセリアがプレゼントを差し出す。

 

「どうぞ受け取ってください!」

 

 アイビーに贈った物は、医療に使える呪文や魔法薬が多く紹介されている本だ。

 これには癒者を目指す魔法使いに必要な知識が詰まっている。

 数多くの高度な専門知識が載っているため、なかなかに高額な本なのだ。

 本の題名は「癒者要らず」。

 メグに贈った物は、セリアがメグからもらった特注の高級羽根ペンとインク壺のセットだった。

 

「これ知ってるわ! 一人前の癒者なら絶対持ってるって本! メグのお家にもなかったし、いつか読みたいって思ってたの!」

 

「とても難しい本ですけれど、いつか役に立つと思って。素敵なお癒者さんになれるよう、応援しています!」

 

「ええ、頑張るわ! ありがとうセリア!」

 

 アイビーがお礼を言いながらセリアを抱きしめ、その腕の中でセリアも嬉しそうに微笑んでいた。

 

「これ、私があげたのと同じ?」

 

「は、はい。その羽根ペン、本当に使いやすくて、お仕事もすごく捗って……。最近はお勉強のときにも使うくらいなんです。メグもすごくたくさんお勉強をしているので、ぜひこの羽根ペンを使ってほしくて……。その、同じプレゼントですが、大丈夫ですか……?」

 

 セリアが不安げにそう言うと、メグは少し苦笑を浮かべながら、しかし嬉しそうに頬をかきながら答えた。

 

「えっと……実はあの羽根ペン、いつか自分用に買おうと思ってたんだ。だけどセリアがものすごい量のお仕事してるのを見て、これはこの子に必要なんだと思って贈ったんだよ。だから、贈ってもらえて本当に嬉しい。ありがとうセリア」

 

 そう言ってメグは、セリアに近付いてそっと抱きしめた。

 セリアは安心したように微笑み、メグを抱きしめ返した。

 その様子をリジーとアイビーは優しく笑いながら見つめる。

 

「ほらほら、時間もないんだし早く離れて! メグ、プレゼント頂戴!」

 

 アイビーが元気にそう言うと、メグはセリアから離れ苦笑しながらトランクを探りだした。

 

「わかってるよ。ほら、これ」

 

「ありがと、メグ! ……なにこれ?」

 

 包みから出てきたのは、表紙に宿題計画帳と書かれた日記帳に似た本だった。

 怪訝そうに尋ねるアイビーにメグは微笑みながら答える。

 

「そこに勉強の計画を書いてね。アイビーは興味があること以外の勉強は苦手なんだから。ちなみに計画通りにやらないと、その本が色々な文句を叫ぶよ」

 

「なによそれ!」

 

「あー、なんだかそれ、見たことあるかも。古道具屋さんとかで」

 

「ほとんど売れなかったと聞いたことがあります。初めて見ました……」

 

 アイビーは憤慨して叫び、セリアとリジーはしげしげと宿題計画帳を見る。

 

「ちゃんと使ってね。せっかく贈ったのに使われなかったら、すごく悲しいから……」

 

「うっ……! わかったわよ! 使うから!」

 

 メグに寂しそうな表情で言われ、アイビーは渋々そう言った。

 するとメグは、すぐさまいつも通りの表情に戻った。

 

「それで、アイビーのプレゼントは?」

 

「この子はもう……」

 

 アイビーは一つため息を吐くと、首を振った。

 

「ここには無いわ。昨日厨房にお邪魔して、トライフルを作ったの。授業が終わったらみんなでお茶しましょう。メグの分は特別に大きく作ったわ」

 

「やった! アイビーのお菓子だ」

 

 アイビーの言葉を聞いたメグは嬉しそうにはしゃぎ、それを見てアイビーも笑顔を浮かべる。

 

「メグ、確か以前アイビーのお菓子はとてもおいしいと言っていましたね?」

 

「そうだよ! ああ、早く食べたいなあ……」

 

「へー! 楽しみだね!」

 

「はい! 放課後が待ち遠しいです!」

 

「ふふ。すごく上手にできたから、みんな期待しててね!」

 

「そうだ! 私もアイビーに貰ったかぼちゃを使って、クッキーを焼くよ!」

 

「あら! ならどっちがおいしいか、勝負よリジー!」

 

「望むところだよ!」

 

「どちらもすごく楽しみです!」

 

「甘いものが増えるのは大歓迎だよ」

 

 誕生日プレゼントを贈り終え、四人は寮を出て朝食を食べ授業へと向かった。

 放課後のお茶の時間が待ち遠しく、珍しくメグは授業に集中しきれていなかったが、他に大きな問題はなく一日が過ぎていくのだった。

 ちなみにアイビーお手製のお菓子は三人に大好評で、リジーもお菓子作りにおいては自身の敗北を認めざるを得なかった。

 




クィディッチの得点のところは、かなり適当なので間違っているかもしれません。

みなさんは今どのように過ごされていますか?
私はコロナのせいで学校もバイトも行くことができず、現在引きこもり中です。
本当に一刻も早く収束すればいいのですが……。
感染していないだけ幸運と思わないといけませんね。
みなさんもお気をつけて。
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