できれば32話から読んでいただけると嬉しいです。
この作品では、学年の上位10位まで、生徒個人に返却される成績表に記載される、という設定です。
公表はされず、学年上位だった本人だけが分かるようなっています。
学期末試験の結果が出て、セリア達四人は無事進級できることとなった。
セリアは見事学年首位となり、全ての科目において満点に近い成績で、特に呪文学は百点満点を越える結果だった。
リジーは変身学で学年首位となり、魔法薬学が少し危なかったものの、その他の科目はだいたい良い結果だった。
メグは闇の魔術に対する防衛術でかなりの高得点を取り、その他も総じて良い成績だったため学年三位となった。
アイビーは魔法薬学と薬草学の二科目で学年首位を取ったが、その他の科目の成績はあまり良くなく、最終的には真ん中より少し上くらいの結果だった。
ハッフルパフの生徒がこれほどに良い成績を取るのは珍しいため、寮監であるスプラウトは大変喜んだ。
そして最終日の前日夜、学期末パーティーが開かれた。
大広間はきらびやかに飾り付けられ、さらに今年度の寮杯を獲得した寮の旗がいくつもあった。
今年寮杯を獲得したのはスリザリンで、これで六年連続だ。
元々スリザリンには優秀な生徒が多く、さらにクィディッチの全試合で勝利したことが大きいだろう。
寮監であるスネイプが事あるごとに、スリザリンに加点していたことも影響している。
ちなみにハッフルパフは第三位だった。
「明日で一年生も終わりかー。なんだかあっという間だったね」
「はい。入学した日が、まるで昨日のことみたいです」
「みんなと会ってまだ一年も経ってないなんて、なんだか変な感じねえ……」
「もうみんな一緒にいるのが、普通になってるもんね」
セリア達はテーブルを挟んでセリアとリジー、メグとアイビーに分かれて座っている。
するとセドリックとスコットが大広間に入ってくるのが見えた。
「あ、セドリック! スコット! よかったらこっちに座らない?」
アイビーがそう呼びかけると、それに気づいた二人はこちらにやって来て座った。
ちなみに、セドリックを誘おうとしていた他の女子生徒がこちらを恨みがましく睨んでいたが、アイビー以外は誰も気づいていなかった。
アイビーはそれをまったく気にせず、自然な流れでメグの隣にセドリックが座るよう誘導した。
スコットはリジーの隣だ。
「やあみんな。誘ってくれてありがとう」
「よう! ありがとな」
座りながらセドリックとスコットが言う。
メグは早くも顔を赤く染めていた。
「いいのよ。ねえ二人とも、試験の結果はどうだった?」
「うん、まあまあかなあ」
「嘘つけ、めっちゃいい成績だっただろ」
「さすがセドリックだねー。スコットはどうだったの?」
「進級はできるから問題なし!」
「来年からはちゃんと勉強してくれよ……。僕だって、勉強を教える余裕なんてないんだから」
「おう、任せろ」
「去年もそう言ってたじゃないか……」
セドリックが疲れたようにそう言う。
対してスコットは気にした様子もなく、けらけらと笑っていた。
「みんなはどうだったんだ?」
「ふふん、聞いて驚きなさい。セリアは学年首位! メグは三位よ!」
「しかも私は変身術、アイビーは魔法薬学と薬草学が学年首位だよ! すごいでしょー」
「おお、まじかよ! 凄いな!」
「セリアもメグもすごいなあ。尊敬するよ」
「ありがとうございます!」
「あ、ありがとう、ございます……」
「ん? メグ、顔赤いぞ? 大丈夫か?」
「大丈夫です。放っておいてください」
「心配しただけなのに……」
セリア達を含め全生徒がやかましく話していると、ダンブルドアが立ち上がって大広間中に響くほど大きな音で両手を叩いた。
そして生徒達が静かになると、ダンブルドアが微笑んで話し始めた。
「また一年が過ぎた! 今年もみなよく学び、成長したことじゃろう。ご馳走の前にちょこっとだけ話があるので、聞いてくれるかのう。まず、今年の寮対抗の表彰を行う。第四位グリフィンドール、三百八十九点。第三位ハッフルパフ、三百九十七点。第二位レイブンクロー、四百十点。そして第一スリザリン、四百二十五点」
スリザリンのテーブルから大歓声が爆発し、他の寮からぱらぱらと拍手が鳴る。
そしてしばらく大歓声が続き、それが少し小さくなると再びダンブルドアが話し始めた。
「今年はなかなかの僅差じゃったのう。その中で第一位となったスリザリン、ようやった。また来年も頑張るんじゃよ。そして次に、連絡事項が少しだけある。ああ、すぐに終わらせるから、お皿を叩くのはやめなさい。こほん。まず、今年闇の魔術に対する防衛術を教えてくださっておったデレク・クーパー先生が、今日をもって退任される。一年という短い期間じゃったが、先生の教えはとてもためになったじゃろう」
クーパーは立ち上がり一礼する。
生徒達は上級生はかなり大きな拍手をしており、下級生になるにつれ拍手の音は小さいものとなっていた。
「次に来年の闇の魔術に対する防衛術じゃが、去年までマグル学で教鞭を執っておったクィレル先生が担当してくださる。先日連絡があって、予定通り旅を終え無事に帰ってくるそうじゃ。一年生の諸君は会ったことはないじゃろうが、とても良い先生なので、来学期を楽しみにしておくんじゃよ。そして上級生は、来年からもバーベッジ先生がマグル学を教えてくださるので、心配せずマグル学の授業を受けるように。以上! それではみな、思いきり食べ、飲んで、また新学期に元気な姿を見せておくれ! いただきます!」
そしてダンブルドアが両手を打ち鳴らすと、各テーブルにご馳走が現れた。
生徒達は歓声を上げてご馳走に飛びつき、しばらくの間楽しめないホグワーツでの食事を、長い時間をかけて堪能するのだった。
こうしてセリア達の一年間が終わりを告げた。
──────────
学期末パーティーの翌日、生徒達はセストラルの馬車で駅まで行き、ホグワーツ特急に乗った。
セリア達四人は、チョウ、マリエッタ、ケイティの三人と共に帰りの旅を楽しんだ。
マリエッタは、レイブンクロー生でありながらセリアとメグに試験で負けたことを悔しがり、来年こそ勝つと宣言した。
それにメグは受けて立つと正面から言い、二人の間に火花が散った。
アイビー、チョウ、ケイティは今年のクィディッチを振り返り、大興奮で語り合っていた。
特にチョウとケイティは、来年必ずクィディッチチームに入ると燃えていた。
そしてセリアは、しばらく友達と会えなくなるので寂しがり、頑張って自分からみんなに話しかけていた。
しかししばらくすると疲れたのか、リジーの肩に寄りかかって寝息をたて始めた。
リジーは寄りかかっているセリアを見て優しく微笑みながら、彼女の頭をゆっくりと撫でていた。
そして日が沈んでいき、特急はキングズ・クロス駅に到着した。
ローブから私服に着替え、セリア達はチョウ達と別れてホームに降り、それぞれの家族を探す。
すると突然背後にレイモンドが現れた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ただいま戻りました、レイモンド」
セリアは気にせずそう返したが、リジー達はまだ慣れないのか、一瞬驚いてから挨拶を返した。
「みなさん、こちらへどうぞ」
レイモンドがそう言ったので、四人は彼に続いて人混みを歩く。
そして少し歩くと、ロルフ、アーロンとヘイリー、マーサがそろっているのが見えた。
「兄ちゃん!」
「ごふっ!」
リジーはロルフの姿が見えた途端に彼に突進し、ロルフは苦しそうにしながらもリジーをしっかりと受け止めた。
「えへへ。ただいま!」
「ったく。おう、お帰り」
アイビーとメグも、自分の家族の元へ向かう。
「お帰り、メグ、アイビー。元気そうだね」
「お帰りなさい。アイビー、メグはみんなに迷惑かけていなかった?」
「あはは、大丈夫ですよ」
「もう、お母さん、何言ってるの……」
そしてアイビーはマーサの方を向いた。
マーサはひどく疲れた顔で椅子に座っていた。
「母さん、珍しいわね? 迎えに来てくれるなんて」
「ヘイリーに無理矢理連れてこられたの……。ああ、太陽が眩しいわ……」
「もう、しっかりしてよ!」
「うう……」
マーサはよろよろと立ち上がると、杖を軽く振って椅子を消した。
そしてアイビーの頭に手を置いた。
「ふう……。アイビー、お帰りなさい」
「ふふ、ただいま」
リジー達が家族との再会を楽しんでいる様子を、セリアはレイモンドの横でにこにこと微笑みながら見ていた。
そしてふと疑問に思ったのか、レイモンドを見上げて尋ねた。
「レイモンド、どうしてみなさんと一緒に待っていたんですか?」
「ああ、メグのお父様の気配がしましたので挨拶をしに行ったら、次にロルフの気配がしましたので。どうせなら全員でお出迎えをしようということになったんですよ」
「そうだったんですね」
セリアとレイモンドが話していると、リジーがセリアに声をかけてきた。
「セリアー! こっちにおいでー!」
「へ? は、はい!」
リジーに呼ばれ、セリアは慌ててリジーに駆け寄った。
「セリア、お父さんとは前に会ったけど、お母さんは初めてだよね?」
「はじめまして、ヘイリー・ベケットです。いつも娘がお世話になってるわね」
「い、いえ、そんな」
「セリア、私の母さんよ」
「はじめまして。……ふうん、あなたがレイブンクローの……」
「あ、あの、はじめまして……」
知らない人に続けざまに話しかけられて、セリアはおろおろと焦る。
しかしリジー、アイビー、メグに微笑みかけられると、一度目を閉じて深呼吸して落ち着くことができた。
セリアはすっと背筋を伸ばしてスカートの裾を少しつまみ、片足を後ろに引いた。
そしてもう片方の膝をちょこんと曲げ、誰もが魅了される微笑みを浮かべた。
「みなさん、はじめまして。私はセリア・レイブンクローといいます。リジー、アイビー、メグにはいつもお世話になっています。みんな、とても大切なお友達です。これからもどうかずっと、よろしくお願いします!」
初めてセリアのお辞儀を見た者は、目が彼女に釘付けになって離せなくなった。
それは見かねたリジー達三人が、セリアの脇を指で突くまで続いたのだった。
それからしばらくして。
「それでは、私達はこれで失礼します。メグ、アイビー、私につかまりなさい」
「うん」
「わかりました」
メグとアイビーはアーロンのローブをしっかりと掴んだ。
マーサはヘイリーの腕につかまっていた。
「ヘイリー、私を連れていって」
「はあ? 姿くらましくらい自分でしなさい!」
「めんどうくさいの……」
「ちょっと、座り込まないで、みっともない。もう、わかったから立ちなさい!」
「やったわ」
それをセリアとリジーは苦笑いしながら見ており、アイビーは恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
「もう、母さんったら……。それじゃあ二人とも、またね。お手紙書くからね!」
「元気でね、セリア、リジー。私も手紙書くね」
「うん! 私も毎日書くよ! 元気でね!」
「私もお手紙いっぱい書きます!」
そしてアイビーとメグがセリアとリジーに手を振り、パチンという音と共に姿が消えた。
「そんじゃあ俺たちも帰るか」
「うん」
リジーはセリアをそっと引き寄せて優しく抱きしめた。
「それじゃあね、セリア……」
「はい。お元気で……」
しばらく抱き合った後、リジーはロルフの腕を掴んだ。
「じゃあなセリア、元気でな。おっさんも」
「ああ、また会おう」
「ばいばい、セリア!」
「さようなら、リジー!」
リジーが元気いっぱいに手を振り、パチンという音と共に姿が消えた。
「それではお嬢様、手を」
「はい」
セリアがレイモンドの腕を掴むと、パチンという音と共に二人の姿がホームから消えた。
次にセリアの目に映った景色は、久しぶりの我が家の玄関ホール。
セリアは確かめるように大きく深呼吸をした。
そしてそんな彼女を見下ろして、レイモンドは優しく笑いながら彼女に言う。
「お帰り、セリア」
それにセリアは満面の笑みで答えた。
「ただいま、レイモンド!」
今日で初投稿から一年になります。
まさか第一章にこんなに時間がかかるとは……遅筆過ぎて申し訳ありません。
原作主人公が一年も出ないなんて、自分でびっくりです笑
これからも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。
そして可能であれば、一言でもいいので感想など頂ければ、とても嬉しいです笑