鳥の鳴き声と風の音が聞こえる野原の上で、俺は寝っ転がっていた。
今日はいい天気で、暖かかった。
ちなみに今日は平日で、もう朝の10時になっていた。
俺は高校生だから、普通は学校に行かないといけないのだが、サボっている。
別にテストの点数は平均並みに取ってるから問題ない。
別に学校に行く必要すらない、ただ就職率を上げるためだけに、肩書きだけでも卒業するだけだ。
こんなに天気のいい日は外で昼寝するのが一番だ。
草むらの上で目をつぶってると、足音が聞こえてきた。
最初は気にしてなかったが、足音は徐々に近づいて来て、俺のすぐ近くで足音が止まった。
ベチッ
「いてぇ。」
唐突に誰かに何かでおでこを叩かれた、俺は起き上がって周りを確認した、多少視界がぼやけてたが直ぐに回復して誰が叩いたかを確認した。
目の前にノートを丸めて持った女がいた。
初めて見る人のはずなのに、どこかで会ったことあるようなきがする人だ。
俺がおでこを抑えながら目の前の女を見てると。
「学校をサボってこんな所で昼寝なんて、いい度胸だね。」
俺は知らない女に寝ている所を叩き起されて、機嫌が悪くなっていた。
「学校をサボってもお前には関係ないだろ。」
俺は目の前の女を睨みつけながら言った。
「これだから最近の若者は。」
女は呆れたように言った。
「お前も若者のくせに、偉そうに。」
女は俺の言ったことを無視した。
よく見ると目の前の女も俺の高校と同じ制服を来ていた。
「あのなぁ、お前も学校をサボってるじゃないか、人のこと言えないよな。」
「あら、私はサボってるわけじゃないのよ。」
サボってないなら、なぜここにいるんだよ。
「サボってないって、先生に呼びに来いと言われたのか、だが残念だったな俺は学校に行く気は無い。」
俺は草むらに寝っ転がりながら言った。
「呼びに来いと言われた訳じゃないんだけど。」
俺は女を横目で見てたが、何故か言いづらそうにしてた。
「なんだ、何を言おうとしてるんだ、早く言え。」
「学校への道が分からない。」
女は小さな声で言った。
道が分からないってことは、転入生か、制服も新品だしパッと見でわかる。
「しょうがない、学校まで案内してやる。」
出席もしないと色々まずいからな、俺も今日ぐらいは学校に行くことにした。
俺は起き上がって、学校へ歩き始めた、そのあとを追うように女もついてきた。
「それにしても、あいつと同じ方向音痴とはな。」
俺はそう呟いたて、歩く。
「わたしの名前は春香、よろしくね。」
俺はその名前に一瞬びっくりしたが、気のせいかと思い、自分の名前も言った。
「結弦だ。」
それからは特に会話もせずに学校に行った。
俺は昇降口に向かったが、春香は職員室に行かないといけないため、昇降口で別れた。
時間はちょうど2時間目が終わった頃だった、教室に入ると教室が騒がしかった。
いつもは俺が入ると静かになるのだが、どうしてだ。
とりあえず自分の席に着いた。
教室の人達の会話に耳を澄ますと、転入生とかの話をしてた。
あー、あの女ここの教室に転入して来るのね。
あの女が言うに、学校からは11時すぎに来るようにと言われていたらしく、遅刻してたわけではなかったようだ。
まぁ、教室に来るのはお昼休みの時らしいけど。
適当に色々考えてると、休み時間が終わり、授業が始まった。
授業はとても退屈なものだった、3時間目の授業も終わり、お昼休みになった。
女が教室に入ってきて、軽く自己紹介をした。
そしてその女は窓際の空いた席に座ると、直ぐに質問攻めにあった。
そのままほかの女達と無理やりに食堂に行った。
「まぁ、転入生初日はそうなるよな。」
と俺は呟いて1人パンを食べ始めた。
「やっと家に帰れた。」
俺は帰る時に先生に呼び止められて、6時まで学校に残されてた。
俺は途中で買ってきたお惣菜を食って、シャワーを浴び、ベットに横になってた。
俺は少し考え事をしてた、だけどその可能性は低い。
頭が混乱してきたので、俺はとりあえず散歩をすることにした。
散歩と言っても、行きたいところがあったから行くだけだけど。
俺は家を出て、とある場所に来ていた。
昼間居た草むらだ、ここは人が来にくい場所で、静かに昼寝をするのに持ってこいな場所だった。
俺はまたここで寝っ転がった。
空を見上げると星が沢山輝いていた、ここは俺とあいつしか知らない場所だった。
俺にはお姉ちゃんがいた、まぁお姉ちゃんと言ってもお母さんが再婚して、再婚相手にも子供がいてその子供が俺のお姉ちゃんだけどね。
お姉ちゃんは真面目でずっと、親の代わりに面倒を見てくれた。
親は俺達に無関心で、放置してた。
お父さんとお母さんはよく喧嘩して、とうとう離婚することになった。
俺はお姉ちゃんと会える最後の夜に、散歩に行こうと誘われた。
お姉ちゃんについて行って、着いた場所がここだった。
ここでよくお姉ちゃんと遊んでいた。
お姉ちゃんは言っていた。
もう会えなくなるけど、またいつかここで会おうね、わたしは必ず結弦くんに会いに戻ってくるから。
そして俺達は眠くなってきたから、家まで帰った。
そして最後の挨拶をして、眠りについた。
朝起きたらドタバタしてた、そして家を出る準備が出来たらしく。
お母さんの車に乗せられて、そのまま別の家に引っ越した。
お姉ちゃんはお父さんの方に、俺はお母さんの方に行かされた。
しっかりと別れの挨拶もさせてくれなかった。
だけど俺は大丈夫だった、また会えると約束をしたから。
そして俺はアルバイトを初めて、この街に引っ越してきて一人暮らしを始めた。
まだ高校生だから、生活は厳しいものの、家賃は格安にしてもらい、生活もギリギリだが貯金できるほどは出来ている。
俺はあの日の約束を果たすために、この街に帰ってきた。
「もうあれから7年か。」
「そう言えば、ここの草むらで寝っ転がってたら、女がたたき起こしてきたな。」
「あの時から不思議に思ったんだよな、なんでこんな人が来ないところに、同じ学校の制服を着た人がいるのかって。」
「それに転入生だから、ここら辺の地形は分からないはずないのに、こんな所に来るなんて出来るわけないよね。」
「名前があいつと同じだし、方向音痴な所も同じ。」
「戻ってきてくれたんだな、春香。」
俺な体を起こして、とある人物の方にむいた。
「あら、気づいてたんだ。」
「寝っ転がってても分かるよ、ここに来るのはお前しかいないし。」
「お前呼ばわりは酷いんじゃないの。」
「これは癖だ、癖はそう簡単には治せない。」
学校の人達にずっとお前お前って言ってたし、癖になってる。
「確かに癖はそんな簡単には治らないね、いつからそんな癖が着いたかは分からないけど。」
すると俺の隣に春香が座ってきた。
「結弦くんは7年前と変わったけど、ここから見る星は変わらないわね。」
「確かにそうだな。」
俺は星を見上げながら言った、春香は7年前と比べたらだいぶ大人っぽくなってた。
まぁそりゃあそうか春香はもう高校二年生だからな。
「ほんと結弦は変わったわね。」
春香は寂しそうな顔をして言った、何がそんなに変わったのか。
手に何かを握ってるようだけど、めんどくさいので言うことにした。
「ちゃんとそれを持ってたんだな、お姉ちゃん。」
俺はポケットからキーホルダーを取り出し、空に掲げながら言った。
「え、結弦くん、そのキーホルダーちゃんと持っててくれたんだ、しかもお姉ちゃんって。」
お姉ちゃんはびっくりした表情で言った、俺は物忘れが昔から激しかったからな、これを持ってたことがびっくりしたのか。
「確かに俺は物忘れが激しいが、約束はちゃんと守るぞ。」
7年前このキーホルダーをお姉ちゃんから貰った、ペアーキーホルダーだった、そしてまた会うという約束の物でもあった。
「ほら、キーホルダーだ。」
俺はキーホルダーを手渡しした、お姉ちゃんはキーホルダーを受けとって、くっつけた。
お姉ちゃんはこちらを向いて、にっこり笑って言った。
「また会えたね、約束を覚えててくれてありがとう、これからずっと一緒だよ。」
今日は満月の夜だった、空は欲しいっぱいで輝いていた。
7年前と同じように、俺達は草むらで横になっていた。
あぁ…そうだ…俺は7年間ずっとこれを待ち望んでたんだ。
またこうやって、お姉ちゃんとこの空を見ることを。