鉄血の潜伏者   作:村雨 晶

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はい、書きたくなってしまったので新作です。

続けられるところまで続けたいですね(更新停止中の作品から目をそらしつつ)


第一戦役の裏で

 

――某所 鉄血工造工場

 

 

「……バックアップのダウンロードを完了。システムオールグリーン。再起動します」

 

 

薄暗い工場内に女性の声が響く。

 

その声の後に複数の機械音が鳴り、顔の下半分をマスクで隠した女性が……否、女性型の戦術人形が目を覚ました。

彼女は新しい体の調子を確認するように腕や脚を動かす。

 

スケアクロウ。G&Kの人形、スコーピオンを捕縛し、尋問していた鉄血の人形。

情報を手に入れ、代理人へ送信したのち、彼女はグリフィンの人形によって破壊された。

 

しかし、戦術人形にはバックアップがある。

鉄血のハイエンドモデルたるスケアクロウも例外ではない。

 

 

「ふん、グリフィンの鉄屑どもにはしてやられましたが、あとは処刑人がM4A1を見つけ出すでしょう。すべては時間の問題です。ですが、私を破壊したあの人形どもは私が必ず、この手で――」

 

 

「いいえ、それは無理よ、スケアクロウ」

 

 

グリフィンへの憎悪を燃やすスケアクロウの胸から突如ブレードの刃が突き出る。

 

ずぶり、と生体パーツを貫き、コアに致命的な損傷を負ったスケアクロウは前へ倒れこむようによろけ、背後の何者かを確認した。

 

せめて一矢報いようと自身の周囲に浮く銃を起動し、自らを傷つけた下手人へと銃口を向ける。

 

だが、それはその顔を見てしまったせいで動きを止めたことで叶うことはなかった。

 

「お前、お前がなぜ……ぎゅぶっ!?」

 

 

驚愕と共に如何を問おうとしたスケアクロウだが、しかしその前に喉をブレードによって突き潰された。

 

 

「ごめんなさい、スケアクロウ()()()。でも、これは壊れる前の代理人の命令だから。

だから、ここで死んで」

 

 

スケアクロウの停止を確認した何者かはブレードを血振りして納めると、目を見開いているスケアクロウの瞼を手でそっと閉じる。

そして何者かは大切な誰かを悼むようにスケアクロウを抱えこんだ。

 

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!許してくれ、なんてとても言えないけれど、それでも、これは、命令だから…!狂ってしまう前の、代理人からの願いだったから…!ごめんなさい……!」

 

 

悲痛な声が工場に響き渡る。

涙を流し、殺してしまった、バックアップを破壊したために、二度と目を覚ますことはないスケアクロウの死を悼む。

 

やがて、その者はスケアクロウを離し、立ち上がる。

 

 

「いつか、私が活動を停止したとき、私を好きにして構わない。だけど、今は、全ての鉄血人形を破壊しなければ」

 

 

涙をぬぐい、その場を立ち去る。

立ち去ったその姿には、鉄血工造のロゴと共に「潜伏者」と刻まれていた。

 

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