でもなんとか日刊投稿は維持したぞ!
過去編という名の潜伏者とハイエンドモデル達とのイチャイチャ編。
私はハイエンドモデルの中で最後に製造された人形だ。
だから一日の大半は訓練や座学で埋まっており、実践に出される機会は多くない。
今日は午前に処刑人姉さんとの戦闘訓練、午後は夢想家姉さんを講師とした破壊者姉さんとの座学の予定だ。
訓練場で処刑人姉さんと対峙する。
姉さんが斬りかかり、私が避ける。時に攻撃の隙を狙ってブレードを振るう。
しかし私の攻撃は簡単に避けられ、いなされ、決定打が入ることはない。
「お前は前線に立つ役割じゃねえ。真正面から戦うなんてのは最終手段だが、だからといって戦場でできませんでしたは通用しねえ!」
「っ…!」
大型ブレードを受けるが、威力を殺しきれずに吹っ飛ばされる。
着地の隙を狙われて懐に飛び込まれた。
処刑人姉さんの持つブレードは私よりも間合いが大きい。
攻めに転じきれずに受けに回ってしまう。
「まともに受けるな!お前はまず逃げることを考えろ!真正面から戦わざるを得ない状況ならせめて自分が有利な状況に持ち込まねえと話にならねえだろうがお前の場合は!」
斬撃の合間に蹴りが飛んでくる。反応しきれずにお腹をまともに蹴られた。
大きく吹っ飛び転がる。立ち上がろうとしたけど痛みで起き上がることはできなかった。
「ふー…。とりあえず休憩だ。自分の悪ィところ考えて反省しろ」
ドカリと地面へ腰を降ろす処刑人姉さん。
そこへ狩人姉さんが飲み物を持ってやってきた。
「やっているな、二人とも。処刑人、潜伏者はどうだ?」
「今のところ話にならねえな。特性上近接戦闘のプログラムをインストールされてねえんだろうが…。このままだとブルートにも負けるだろうさ」
「潜伏者の役割は諜報、暗殺だからな。戦闘を想定していないのがここまで影響してくるか」
「同じ後方部隊の侵入者でももう少しやれるがな。あいつは武装が強いからだが」
「潜伏者は特性上大きな武器を持つことができないからな。身体能力の底上げが当面の目標か」
狩人姉さんは処刑人姉さんと少し話すと私の方へ向かってくる。
私の前に立つと手を差し伸べてくれた。
「立てるか?潜伏者」
「はい、何とか…」
素直に手を取って立ち上がる。
ダメージのせいで足元が少しおぼつかいないものの、なんとか立てた。
「ボロボロだな。処刑人との戦いは辛いか?」
「いいえ。私のダメージは私自身の不足によるもの。…この体たらくでは姉さんたちと肩を並べることなんて…」
「焦るなよ。お前に戦闘プログラムが搭載されてないのは私達も知っている。しばらくは演習を重ねて経験を積むしかない。…さあ、飲め。まだ戦闘訓練は終わっていないのだろう?」
「はい。ありがとうございます」
狩人姉さんから渡されたドリンクを飲み干す。
それを見てとった処刑人姉さんが立ち上がった。
「よし、休憩は終わりだ!今度は俺に一撃喰らわすくらいの気概で来いよ!」
「頑張れよ、お前ならできるさ。処刑人の素体を改修したボディを持つお前ならな」
「…はい!」
狩人姉さんの激励を受けて処刑人姉さんのもとへ向かう。
だけど、結局その日は一撃も与えることができずに戦闘訓練は終わってしまった。
♢
「さて、では始めましょうか。今日の内容は隠密行動の重要性とその方法よ」
「えー。潜伏者はともかく私は必要ないと思うんだけどそれ…」
戦闘訓練で疲労がたまった体を引きずって講義室の席に着く。
そこには既に夢想家姉さんと破壊者姉さんがいた。
「なに言ってるの?あなたの本来の役割は確かに火力による面制圧だけど、近づくまで気が付かれないようにするのも重要でしょう?この前の任務で待機ポイントにたどり着く前に見つかって泣きついてきたのは誰だったかしらあ?」
「うぐっ…」
夢想家姉さんに言いくるめられて押し黙る破壊者姉さん。
今回の講義に急遽参加することが通達されたけど、そんな背景があったとは。
「分かったら始めるわよ。資料を開いて」
「はい」
「はーい…」
講義室前に設置されている電子黒板を使って講義は進んでいく。
内容は人間の斥候部隊が使っている気配の殺し方、自身の痕跡の消し方など私にとって実になる内容だった。
講義が終わり、資料を片付けていると夢想家姉さんが話しかけてきた。
ちなみに破壊者姉さんは終わると同時に逃げるように出て行った。もしかしたらさっきの失敗の件で夢想家姉さんに弄られると思ったのかもしれない。
「そういえば潜伏者、あなたには光学迷彩が搭載されているらしいわね」
「はい。潜伏するうえで見つからないことが重要なので」
「鉄血の光学迷彩は性能が高いけれど、それ頼りになるのはだめよお?歴戦の人形は感覚で気が付くこともあるんだから」
「…非科学的ですね」
「そういうことに気を付けるのも大切よ?信じられなくても頭に入れておきなさい」
「…はい」
「あなたは敵地に単身で飛び込む任務が多くなる。あらゆる可能性を考慮するのも大切よ」
私が不服であることに気が付いたのか私の頭を撫でながら諭す夢想家姉さん。
「はい…」
「今回の講義内容の復習として狩人に実地演習を頼んでおくわ」
夢想家姉さんが講義室から出ていく。
私が実戦に投入されるのはいつになるのだろう。
先の見えない不安に私は溜息を一つ吐いた。
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