今作は最初と最後は決めてたけどそれ以外は決めてなかったので筆が止まる…。
今回は処刑人戦の導入です。
――S09地区
「はぁ…はぁ…」
茂みに隠れながら移動する16Lab謹製の人形「M4A1」
彼女は鉄血の情報を入手後、ハイエンドモデル達に追われて身を隠しながら逃走していた。
彼女が周囲を警戒しつつ移動していると、酷く損傷した人形が倒れているのを発見する。
その人形は右足が砕け、顔も全体ががひび割れてしまっており、なんの人形だったのかすら判別できない。
M4A1は慌ててその人形へ駆け寄る。
「あなた、大丈夫!?」
「誰か…そこにいるの…?」
両目のカメラが機能していないのか、あらぬ所へ顔を向ける人形。
「あなた、目が……!」
「ええ、鉄血の人形に…。仲間は皆、破壊されてしまったわ…」
「くそっ、鉄血のクズめ!待ってて、今救援信号を――」
「いいの、このまま戻っても、この体は修復できないわ。あなたも何か事情があってこんな所にいるのでしょう?」
「それは……」
M4A1は鉄血のハイエンドモデルから逃げている最中だ。
もしこの人形がハイエンドモデルに見つかればどんな尋問を受けるのか分からない。
「あっちに、行きなさい…」
「え?」
人形は深い森を指さす。
そこには道らしい道はなく、暗闇が広がっている。
「あっちは、鉄血の反応が少なかった方向…。何をするにしても、鉄血に会いたくはないでしょう…?」
「でも…」
「だい、じょうぶ。仲間が、死ぬ前に印を、付けておいてくれたの。それを辿れば廃墟になった街がある。そこで補給ができる、はずよ」
「せめて、あなたも一緒に……!」
「ダメ、よ。私は、足手纏いになる。バックアップはとってあるもの、次の私が、仇をとってくれるわ」
「っ、ごめんなさい、ありがとう!」
悔しそうに顔を歪めた後、M4は森へと走っていく。
その姿を見送った人形は、何事もなかったかのように立ち上がった。
そしてその姿は損傷した人形から潜伏者へと変わる。
「あれがM4A1か。鉄血の重要な情報を盗んだ人形……。スケアクロウ姉さんの記憶モジュールからサルベージした座標は彼女を指し示していた。そしてこの辺りを担当しているのは確か「処刑人」姉さん」
懐から取り出した端末に処刑人の情報が示されている。
「処刑人姉さんは戦闘力は高いけど、指揮能力はハイエンドモデルとしては最低限しか搭載されていない。まあ、おかげで私も潜伏が楽でいいんだけど」
事実、処刑人の指揮下にある人形たちの警戒態勢はスケアクロウのそれと比べれば緩い。
それが幸いして潜伏者の情報収集は捗っていた。
「処刑人姉さんにはしばらくM4A1を探してもらいましょう。グリフィンもM4の救援に動いているようだし、合流は時間の問題でしょうね。後はどうやって処刑人姉さんを倒そうか……」
つい、と潜伏者はM4が消えて行った森へ視線を向ける。
「グリフィンの人形、そしてM4A1。利用させてもらうとしましょう」
潜伏者の目は、見えないはずのM4A1、そして処刑人を確かに見据えていた。
潜伏者ちゃんがどんな機能を搭載してるかはそのうち晒します