でも頑張って完結はさせますよー。
とはいえこのままだとグダグダになりかねないと日常パートすっ飛ばしていきなり決戦行っちゃうんですけどね…
私がS09基地に迎えられてから二週間が過ぎたころ。
人形たちと交流することで当初あった私への警戒は薄れ、協力者という立ち位置を確保したころに私はレイラに呼び出された。
目的地である作戦室に入ると既に他の人形たちが集合しており、レイラの言葉を待っていた。
「来たね。それでは、これより鉄血工造本拠地への制圧作戦を説明します」
レイラの言葉とともに彼女の後ろのモニターへ鉄血工造本社の立体的なマップが表示される。
「潜伏者から提供されたデータをもとにドローンや斥候部隊を派遣することで鉄血の本拠地をつきとめました。下級兵の他にハイエンドモデルも確認されており、その規模はグリフィンの戦闘データの中でも最大といっていいでしょう」
一息つき、レイラが皆を見回す。
「確認されたハイエンドモデルは夢想家、代理人、破壊者。総指揮官であるはずのエルダーブレインは確認されてはいませんが、三体のハイエンドモデルがいる以上、ここにいるとみて間違いないでしょう。これをグリフィンへ報告したところ、我々にこの施設の制圧を命じられました。それに伴い、特殊部隊の派遣と、作戦開始には間に合いませんが援軍を約束されました」
スッと目を細める。特殊部隊というのは間違いなく404部隊のことだろう。
視線のみで周りを見渡したが、それらしい人影はない。あくまで姿をさらさずに参加するということだろうか。
「そして作戦の詳細ですが、まず奇襲を仕掛けます。仕掛ける場所は…ここ」
レイラの言葉とともにマップが動き、ある一点に丸印が現れる。
「ここは鉄血人形の生産ラインです。ここを最初に破壊することで鉄血の増援を防ぎ、同時に突入の合図とします。その後、指揮系統を崩すために管制室をジャックします。ハイエンドモデルの直轄部隊に対して効果は薄いですが、それ以外の人形には効果があるでしょう。生産ラインの破壊と管制室のジャックに関しては特殊部隊に一任されており、S09地区の部隊は生産ラインの破壊と同時に突入する手はずになっています」
続けてマップが全体を移すように広がり、施設を囲むように四つの点が現れる。
「突入部隊は合図が上がり次第、四方向から同時に突入します。この時点でハイエンドモデルからの反撃が予想されるため、各自これを撃破してください」
そしてマップが消え、私の前に現れたエルダーブレインの姿が映し出される。
「我々の最終目的はエルダーブレインの破壊です。彼を撃破すれば鉄血が大幅に弱体化するのは間違いないでしょう。作戦の説明は以上です。質問や意見は?」
人形の数体から意見が上がる。敵の規模の詳細、情報の精度、ハイエンドモデルのスペック…。
それらが尽きてきたころ、私は口を開いた。
「特殊部隊にこのチップを管制室にインストールするようお願いできませんか」
私は一つのチップを掲げ、レイラに近づく。そして彼女に手渡した。
「これは?」
「ペルシカリア博士に依頼していた改造した傘ウイルスです。完成後にも私や博士の協議の下、ようやく実践レベルのものまで完成度を引き上げたものになります。報告が遅れて申し訳ありません」
「これをインストールするとどうなるの?」
「下級の鉄血人形がハイエンド直属のもの以外はすべてこちらの指揮下に入ります。直属部隊の人形と同士討ちさせられるかと。効果は博士も認めています」
「…分かりました。これは特殊部隊に渡しておきます」
レイラは胸ポケットにチップをしまうと改めて全員に向き直った。
「作戦開始は明日1800とします!それまでに休息と準備をしておくように!解散!」
がやがやと作戦室を出ていく人形たち。
私はそんな彼女たちを尻目に画面上のエルダーブレインをにらみつける。
「お前は私が必ず…」
こぶしを握りこみ、私はしばらくそうしているのだった。