打ち上げもあるらしいし、急いで書き終えるぞー!
(さて、ここからどうしようか……)
アルゴノーツ・パピスという列車砲へ潜入を開始した私だが、警備は拍子抜けするほどあっさりと突破できた。
というのも、私に搭載されている変身機能を使って厳つい男に化ければ疑われることなく中へ入ることができてしまったのだ。
中には私が化けているのと同じような男たちが銃を手に乗っているが、グリフィンや軍に迫られているはずの彼らは信じられないほどに暢気だった。
曰く、グリフィンの人形ではこの列車砲の攻撃を捌ききれない。
曰く、この数で押せば鉄血の人形など恐るるに足らない。
曰く、先ほど軍のヘリですらこの列車砲に撃墜された。
銃を手にしてはいるものの、引き金に指をかけるどころか安全装置をかけっぱなしにしている彼らでは制圧されるのは時間の問題だろう。
鉄血のチャンネルから聞こえてくる情報から他2台の列車砲は制圧され、残るはここだけだ。
談笑するテロリストたちを尻目に列車砲の中央に位置する車両へ歩いていく。
焦る必要はない。私の変身は人間にばれるほどお粗末ではないのだから。
――そんな、慢心じみた気持ちを抱いていたからだろうか、車両へつながる扉を開けた瞬間、銃を突き付けられた。
「お前、どこのモンだ?」
スキンヘッドの男は私へ銃口を突き付け、油断なく睨み付けてくる。
私はそれに対して化けている姿に似合う軽薄な笑みを浮かべる。
「へへへ、すいません。トイレはどこかなー、なんて歩いてたらこんなところまで来ちまいまし、てぇっ!?」
警告もなく男が銃を撃つ。
不意を打たれたものの、私はそれをブレードで弾き、跳躍して車両の真ん中あたりへ着地した。
「ふん、鉄血のハイエンドあたりだろう、お前。ここから先はなあ、俺の知ってるやつしか入らねえように厳命してあるんだよ」
「……」
先ほどまで浮かべていた笑みを消し、ブレードを構える。
男は口笛を一度鋭く吹いた。
するとさっきまで談笑していた男たちがゾロゾロと車両へ入り、私へ一斉に銃口を向ける。
「鉄血の人形なんぞとまともにやり合ってられるか。ハチの巣にしてやるよ」
ニィ、とあくどい笑みを浮かべた男は腕を上げ、男たちへ合図する。
この程度の攻撃で致命傷にはならないだろうが、閉鎖空間で受け続ければさすがに危うい。
ブレードで防ぎきれるだろうか、と構えなおし、男が腕を振り下ろそうとしたその時だった。
装甲車両が天井をぶち破って私と男たちの間に突き刺さったのは。
「な、なんだこりゃあ!?」
男の困惑する声が聞こえる。
それはそうだろう、私だって意味が分からない。
ふと窓の外を見ると列車砲が崖沿いを走っていることに気が付いた。
まさかとは思うが、崖の上からこの装甲車両は列車砲に向けて飛び降りたのだろうか。
だとしたらそれを実行した人物は正気の沙汰じゃない。
だが、これはチャンスだ。通路は装甲車両が塞いでいる者の、両側に設置されている座席はそうではない。
座席側からテロリストたちへ攻撃仕掛けようと動いた瞬間、装甲車両の運転席側のドアを蹴り破り、一人の女が現れた。
「……緊急治療を開始します」
鉄のように固い声を上げた女は一番近くの男を殴り飛ばす。
テロリストたちは我を取り戻す間もなく、瞬く間にその女に制圧された。
「貴女は?」
テロリストたちを全員縛り上げた女は私へ視線を向け、簡潔に問う。
「…鉄血工造所属、潜伏者」
「なるほど、私と同類ですか。ちょうどいい、私とこの列車を制圧しましょう」
女は勝手に納得すると私が向かおうとしていた中央の車両へと足を向ける。
「待って。貴女は?」
「鉄血工造所属、救護者。……あなたと同じ、違う世界から来た人形ですよ」