次回は処刑人との戦闘に入れるかなあ。
――S09地区 鉄血司令部
「くそっ!どうなってやがる!」
処刑人の怒声が響く。
傍らにいる鉄血の人形はその声に肩を震わせた。
「先ほども申し上げました通り、我々の戦力が減っています。斥候に出ていた人形から破壊されたようで発覚が遅れまして……」
「それはさっき聞いた!なんでそんなことになってると聞いてるんだ!」
ガン!と衝動のままに机を殴る処刑人。
机は耐えきれずに真っ二つになって崩れ落ちた。
「ふ、不明です。グリフィンの人形は別の司令部を攻略しており、こちらへ攻撃する時間はなかったと思われますが……」
「ちっ!くそ、むかつくぜ。目標のM4A1は見つからねえ、こっちの部隊はいつの間にか姿を消してました、だあ?ふざけやがって」
乱暴に椅子に座り、もういい、と手を振って部下を下がらせる処刑人。
「まるでこっちの動きが読まれてるみてえだ。不気味だぜ。アルケミストの姉貴や代理人と演習してる気分になるぜ。だが……」
壁に掛けられているS09地区の地図を見て目を鋭くする。
「もういそうな所はあらかた潰した。残ってるのはそこだけだ。追いつめたぞ、グリフィンのガラクタが!」
処刑人が睨む場所は、かつて潜伏者がM4A1を導いた廃墟群へと向けられていた。
♢
「ようやく追いつめた、と考えているでしょうね、処刑人姉さんは」
鉄血の人形が周囲に転がる中で自身のハンドガンを整備する潜伏者。
彼女自身が鉄血の敵である以上、このように工場を襲撃して装備を整えるしか方法はないのだ。
「でも、そこには既にグリフィンの人形が向かっている。周囲に配備されていた人形は私が潰した。処刑人姉さんはM4A1を包囲したと思っているでしょうけど――」
ガシャン、とハンドガンをホルスターへ戻す。
「実際に囲まれているのは姉さんのほう。M4の信号を偽装してばらまいているからグリフィンはすぐにくるでしょうし、鉄血は場所を把握しきれない。……あとはS09地区の司令官がそれに気が付かない間抜けでないことを祈るばかりね」
冷たい目でグリフィンの司令部がある方向を見つめる。
「悪いけど餌になってもらうわ、M4A1。そして道化を演じてもらいましょう、グリフィンの人形。この一帯を制圧できるんだもの、貴方たちにとっても悪い話じゃないと思うわ」
ヘリのプロペラの音が空から聞こえてくる。
それはグリフィンがM4A1 の捜索に本腰を入れた合図でもあった。
「それじゃあ始めましょう、処刑人姉さん。貴女が戦うのはグリフィンではなくこの私だけど」
潜伏者はM4が隠れる廃墟群へと歩を進めた。