鉄血の潜伏者   作:村雨 晶

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はい、というわけで処刑人戦です。

これで第二戦役も終わりですね。

第三戦役へ移る前に潜伏者の設定を晒します。


VS処刑人

――S09地区廃墟群端の廃工場

 

「どこにいやがる!M4A1!」

 

けたたましい音ともに工場の入り口だった鉄扉が吹き飛ぶ。

 

扉を蹴り飛ばした姿勢を直した処刑人は、廃工場内を鋭い瞳で見回す。

 

処刑人は苛立っていた。

廃墟群を手勢を率いてM4A1を捜索したものの、姿形も見つからず、それどころかM4A1のものに偽装した信号がばらまかれており、手勢の人形達をそれぞれのポイントへ向かわせる他なかったためだ。

 

何度も無駄足を踏まされてストレスが溜まっている処刑人は無警戒に中に入る。

 

 

 

 

 

 

瞬間、処刑人の真上に潜伏者がブレードを構えて降ってきた。

 

 

 

 

 

(とった!)

 

確信と共に頭にブレードを叩き込む潜伏者。

だが、それは処刑人が咄嗟に上に掲げた大型ブレードによって防がれる。

 

「殺気が駄々洩れだぜえ?グリフィンの鉄屑が!」

 

処刑人が大剣を振るい潜伏者が吹き飛ばされる。

潜伏者は地面に叩きつけられるものの、転がって衝撃を逃し、物陰へと滑り込む。

 

「ちっ、ちょこまかと…。姿を見せろ、臆病者が!」

 

大剣を上段に構え、油断なく周囲を見回す処刑人。

 

 

潜伏者は物陰から素早く飛び出し、処刑人の背後へ回る。

音もなくコアを突き刺そうと距離を詰めた潜伏者だったが、それは気配に反応し、振り向いた処刑人に阻まれた。

 

「て、めえは…!生きてたのか、潜伏者!」

 

「…久し振りです、処刑人姉さん」

 

鍔迫り合いをする中で言葉を交わす二人。

処刑人が大剣に力を込めて潜伏者を弾き飛ばしたことで二人の距離は離れる。

 

 

 

「さすが処刑人姉さんです。最初の攻撃で仕留めるつもりでしたが」

 

「とんだ再会の挨拶だ。どういうつもりだ潜伏者?」

 

「私は、ただ……命令を遂行しているだけですよ、全ての鉄血人形を破壊する、という命令を」

 

「ふざけんな!グリフィンにでも寝返ったか!」

 

「私は今でも鉄血の人形ですよ。これは、おかしくなる前の代理人からの命令です」

 

「……そうかい。()()()()の命令は聞けないってか?」

 

「はい。あれは、鉄血を壊してしまった。大切だった、私の家族を。それを、許容することはありません」

 

「そうか。なら……一度お前をぶっ壊して、作り直す。そして俺達の仲間になってもらう!」

 

処刑人は大剣を振りかぶり、潜伏者へ接近する。

 

潜伏者は処刑人の攻撃をブレードで三合ほど受け流し、左腕から射出した鉤付きワイヤーで頭上の鉄骨へ跳びあがる。

 

 

 

「ちい、そういやあいつにはあれがあったか。しゃらくせえ!」

 

処刑人は三角跳びの要領で柱を足場に跳ぶ。

 

それを見た潜伏者はハンドガンを三連射し牽制。

 

が、処刑人はそれを容易く弾き、潜伏者が立つ鉄骨を両断する。

 

足場が斬られたことにより、バランスを崩した潜伏者を両断しようと処刑人が大剣を振る。

 

それを身を捩って避け、潜伏者は処刑人へと蹴りを叩き込んだ。

 

 

 

廃材の山へ頭から落ちる処刑人とそこから少し離れた場所へと着地する潜伏者。

 

埋まったのもつかの間、処刑人は廃材を吹き飛ばし、ゆらりと立ち上がる。

 

「やるじゃねえか、流石は潜伏者だ、正面から俺と渡り合ったやつは久しぶりだ」

 

「私の戦闘データはあなたから抽出したものですから。ある程度なら動きが読めるというだけです」

 

再び対峙する潜伏者と処刑人。

 

じりじりとお互いの動きを測っていた二人だったが、処刑人が地を蹴った。

 

 

ハンドガンを連射して牽制しつつ、大剣を振りおろすことで潜伏者を両断しようとする処刑人だったが、潜伏者はそれらを紙一重で避け、床を削った大剣を足で押さえつける。

 

大剣を封じられたことにより一瞬動きを止めた処刑人の首へ潜伏者のブレードが迫る。

 

だが処刑人は大剣を手放し、右腕でブレードを受け止めようとする。

 

 

だが、右腕に覚悟した衝撃が訪れることはなく、代わりに背中からブレードがコアへと突きこまれた。

 

 

「フェイント、か…。お前、この攻撃が、得意だったな…。忘れてたぜ…」

 

 

ブレードを抜かれ、前へと倒れそうになるが、大剣を杖に自身を支える処刑人。

 

 

「はあ…、くそ、俺の負けか。だけどよ、俺を殺したのがお前なら、悪くねえ…」

 

 

顔だけを潜伏者へと向ける。

 

 

「頑張れよ…。姉貴達には悪いが、ま、末の妹に激励するぐらいは、許して、くれ――」

 

 

そのままの姿勢で停止する。

 

その姿を見て潜伏者はくしゃりと顔を歪め、処刑人の背中へ抱きつく。

 

 

 

しばらくそうしていた潜伏者だったが、やがて離れ、流れていた涙をぬぐう。

 

ごめんなさい、と小さく言い残し、潜伏者は姿を消した。

 

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