令和記念 映画 プリキュア ガーディアンメモリーズ ~時空を超える奇跡の絆~ 作:うさペン
「モフモフ~」
「えへへ」
いつきはえれなとプリキュア博物館をまわっている時でさえ、モフルンに癒やされてばかりいる。あまりにもモフルンが抵抗しないからというのもあるが、かわいさの虜になってしまったら抜け出せない、いつきが根っからの可愛いものに弱すぎるというせいでもあった。
「いちゅき! モフルンばっかりにでれでれしすぎでしゅ」
「そ、そんなデレデレなんてしてないと思うけど」
「してるでしゅ!」
いつきはジト目で迫るポプリから目線をそらし、なんともないようなそぶりでごまかそうとしていた。
「ポプリいいんじゃない、今回くらいは」
「でも~でも~」
「だったら代わりにわたしに甘えてもいいよ」
「えれなにでしゅか」
「おいで」
いつもこどもをあやしてる時のようにえれなはポフレをやさしく包み込むようになでてあげる。えれなはとりわけ可愛いものが好きというわけではないが、誰かのお世話をすることがとても好きで、それは妖精の世話でも同じだった。
「しゅううう、えれなの手、いつきみたいにやさしいでしゅ」
いつきと同じくらい愛情があるえれなに心を許しぐったりとしぼんでいた。
「いつきさん、本当にかわいいものが好きなんだね」
「えれなさんはそうじゃないの?」
「どうだろう。かわいいものっていうより世話好きって感じだと思う。フワ、そろそろおやつの時間だろ。ポプリちょっとおやつのごはんだけ用意させてね」
「はいしゅ~」
ごろごろとしながらポプリが手から離れると、えれなはフワのために用意しておいたスタードーナツをバックから取り出し食べさせてあげた。
「フワぁあああああ」
スタードーナツを食べたフワは満面な笑みになる。
「ドーナツ、ポプリも食べたいでしゅ」
そんなフワの表情をみて、ポプリはスタードーナツを食べたいとお願いした。
「いいよ、はいどうぞ」
もうひとつのスタードーナツを食べ、ポプリも自然と笑顔になる。
「モフルンも食べたいモフ」
「シプレも!」
「コフレも!」
その光景をみていたのか次々に食べたいコールがされたが、
「ごめん、そんなには手持ちがないんだ。もともとはフワのためにって用意してるものだから」
全員に食べさせてあげられないことをえれなはは謝った。
「このあたりに売店があるみたいだね。そこにいけばなにかあるかも。いこうかえれな」
えれなの手を引っ張り、いつきは売店へと歩いてく。
いつも率先してこういった時に動いているえれなにとって、いつきのとった行動はあまりされたことがないことで、顔にこそでなかった内心はとても嬉しく思った。
「ここがプリキュア博物館のショップ」
「こんなにもプリキュアに関するものが置いてあるなんてすごいね」
博物館内のショップには、変身セット、Tシャツ、タペストリー、アクリルスタンド、メモ帳、缶バッチ、雑誌類等、読んだり、飾ったり、着たり、持ち運べるグッズが多く置いてある他、食器類やタオル、普段使いで使用するような商品もある。そしてそのほとんどがスタートゥインクルプリキュアに関連するものだった。
「ソレイユとしてのわたしがこんなにもたくさんプリントされたものがあるのはすごい不思議な感覚なんだけどね。あ、これは!」
様々な商品をみていたえれな先輩がかけよったのは、博物館限定商品として販売されてるスタートゥインクルプリキュアのロケット。
実際に飛ばすこともできたりと可動するギミックもあるようだ。
「わたし達のロケットまで商品化されてるなんてすごいね」
普段は冷静でそこまでテンションの高い姿をみせないえれな先輩も、ロケットを手に取り細部の細かい部分までみていた。
「食い入るようにみつめてるね。そんなに嬉しかったかのかい」
「ええとそうだね、みんなでつくった思い出だったり、このロケットに乗って旅をしてきたから思い入れがすごいある。だからすごい嬉しいんだよ、みんなにもみてもらえるのが」
少し冷静さをとりもどし、今自分がどう思えているかをえれなはいつきに伝えていた。
「ああ、本物のソレイユがいる」
「すげぇ、えれなさんだ」
商品をみていた子供達が好奇心をもった犬のようにえれなのまわりを興味深そうにかぎまわる。子供達にとって今は商品よりも本物のえれなに夢中なようだ。
「は~い、本物のキュアソレイユだよ。なにかして欲しいことなんかあったらこたえるけど」
「あのいつも子供をあやしてる時みたいに高い高いしてください」
「それだけでいいの」
「はい」
「じゃあいくよ、たかいたかい~」
かけよってきた女児をえれな先輩はやさしく持ち上げ高い高いをしてあげた。
「ぉおおおお、ありがとうございます」
高い高いをされた女児は興奮し小刻みに体を揺らし、大好きなプリキュアだからこその喜び爆発させている。そして彼女にとってこれは永遠に記憶に残る宝物のような出来事になっていくことだろう。
「プルンスとフワも抱っこしてもいいですか」
「乱暴にあつかわないって約束できるなら。プルンス、フワのことしっかりみててね」
「了解でプルンス」
えれな先輩に続いてスタートゥインクルプリキュアの妖精達の人気も凄まじい。
「プルンスってこんなプニュプニュしてるの。面白い」
「もっと膨らますこともできるプルンスよ」
普段はあまりもてはやされることにないプルンスが調子にのってしまうほどに。
「モフルンもいいですか」
「うん、大丈夫だよ」
「モフ~」
「モフルンっていうんだ。すごい可愛いね」
モフルンを知っている娘がモフルンを知らない娘を巻き込んで、もふもふされていく。
「あの、いつきさん」
「え、僕?」
「はい! いつきさんもたかいたかい~お願いします。わたしハートキャッチプリキュア! も大好きで応援たくさんしました」
「嬉しいな知っていてもらえて。それじゃあいくよ、たかいたかい~」
ハートキャッチプリキュアを応援してくれた女児を持ち上げ、たかいたかい~をしてあげる。ちゃんと僕らのことも覚えてもらえている。その喜びが伝わるくらいの笑顔で。
「シプレ、コフレ、ポプリも可愛いね」
「そうしゅ、ぼくかわいいしゅよ!」
その隣でシプレ達も巻き込んで大変なにぎわいになっていった。
「楽しかったね、いつきさん」
「うん、僕のことも覚えてみたいだし嬉しかったよ」
子供達とのふれあいを終えて、ようやく落ち着く二人と妖精達。
「あ、そういえばここにはおかし買いに来たんだった」
「すっかり忘れてたよ」
そうなってようやく本来の目的を思い出し、食品が陳列されているコーナーへと行く。
「スタードーナツ、やっぱりここにもあるんだ。どの程度のものか楽しみだね」
「いちごメロンパンと冷凍みかんもあるモフ」
「これがプリキュアアラモードで作られたお菓子なんだ。あ、それぞれのプリキュアをイメージしたものまであるんだね」
それぞれのプリキュア達の世界にあった商品やプリキュア達をイメージしたお菓子を手に取り、かごの中へと入れていく。
「あ、今思ったんだけどさ、あたし達ってこの時空で使えるお金を持ってないよ」
「どうしよう」
「それならばご安心をプリキュア様にはすべての商品を無償で提供しますので」
どこからともなく現れた博物館のスタッフが助言だけをして、その場を去っていった。
「ということらしいけど」
「お金ないのはどうにもならないし、お言葉に甘えさせてもらおうか」
かごにいれた製品をレジには持っていき、お金払わずもっていけるよう処理だけしてもらった。
「うん、これはまごうことなきスタードーナツだよ」
「いちごメロンパンもそっくりモフ」
かなり精巧につくれており味はそのまま。現地の調査員の調査のたまものである。
「しかし、すごいものだね。スタートゥインクルプリキュアの人気は」
いちごメロンパンを食べながら、いつきはショップでのことをふりかえり始めた。
「ちょっと戸惑ちゃうくらいだけどね。でもさいつき達もすごいよ。この世界では九年前の出来事だっていうのに知られていてさ」
「そうなんだよ。僕らのことを知ってくれている人達がいてすごく嬉しかったよ」
過去となってしまうことで知っている人達は少なくなったのかもしれないけれど、たとえ少なくとも知ってくれている人達がいる。プリキュアとしてやってきたことに価値や意味を見出すつもりはないが、観てくれた応援してくれる
「みんなの笑顔を守ることで誰かもまた笑顔になっている。ここに来てそう思えるようになったのはなによりの収穫だね」
えれなは博物館でプリキュア達をみて笑顔になる子供達の姿をみながら語っていく。
「みんなの笑顔を守りたい、そうやってプリキュアになったえれなさん、いやえれならしい考え方、僕はとても好きだよ。僕もみんなを守るためにプリキュアとして戦っていたから」
「わたし達って似たもの同士だよね」
「ソレイユとサンシャイン、同じ太陽のプリキュアとしてってだけじゃなくてね」
「でもいつきさん、いやいつきみたいに可愛いものにデレデレはしないけど」
「う~そんなデレデレはしてないよ」
「いいのいいの、わたしいつきのそういうとこ好きだもの」
誰かの笑顔が好きで、だから誰かのためにつくしてあげたくなる。同じ守り手として、二人の意識はどこまで同じだった。