令和記念 映画 プリキュア ガーディアンメモリーズ ~時空を超える奇跡の絆~ 作:うさペン
願いの大樹は大きな星であり大樹でもある。
草木や願いの雫による湖があり土壌もしっかりしている。重力は地球と同じくらいで植物達の生育もとりわけ問題はない。ただ普通の星と違って巨大な木の幹や根の上を歩き進んでいく。
うねり重なりながら成長を続けている。生物の姿もみられ、危機が訪れているようにはぱっと見はみえない星ではある。
「花がしおれているものもありますね」
「闇の力が土壌に伝わっている場所もあります。その影響なのかもしれません。
ただよくよくみると小さいながらも、命が輝きを失っている場所もある。
小さなほころびはやがて大きなほころびへとつながるもの。どれだけ小さな異変だろうと軽視をすることは、後々の危機へとつながるものだ。それゆえになにかしらの対処は必要だ。
キュアコンタクトの地図を頼りに進んでいくと、光ゴケが根に沿ってびっしりと根づいている。
「すごい、星みたい」
「願いの雫がこぼれおちて付着し、何層も何層も重なったことで光の道になりました。この道をたどればおのずと封印の間にたどりつけると思います」
いくら地図があるとはいえ、星ほどの大きさがある。
もしかしたら迷ってしまう可能性を考えられたので、こういったわかりやすい目印はスター達を安堵させた。
「なにか来ます、警戒を」
「え?」
光の道を歩こうとした時、さくらさんは敵の気配を察知し警戒するように促した。
「どうして闇の気配を」
「願いの大樹に長く仕えておりましたのでこのくらいのことは」
「博物館の館長さんってすごいんだねぇ」
ミラクルは納得しているようだが、スターはそのことを疑問に思う。なぜそこまでのことができるのかと。
ただすぐに疑問は闇の化身達の登場によって薄れていく。
「これってピトンの星でみたやつと似てる」
「あれは闇の化身。闇の力から生まれでたものです」
暗い闇色の影。その影には翼と尻尾があり、やりのようなものまで持っているものもいる。まるで悪魔、そんなようにもみえた。
闇の化身は三体、翼をはためかせ、縦横無尽に襲ってくる。
スターは後方にいるブロッサムとミラクルをちらりとひと目見てから、闇の化身に近づいてパンチをくりだした。そのパンチを受けた闇の化身は消え去るが、第二第三の闇の化身が頭上からスターに襲いかかってくる。
それに対し、
「ブロッサム・シュート」
ブロッサムは花の力を込めた弾丸を
「リンクル・タンザナイト」
宇宙の力がこもったリンクルストーンの力で闇をかきけす光をぶつけた
スターを襲おうとしていた闇の化身は消え去り、再びひかるはブロッサム達がいるほうをみる。
「先輩達もやりますね」
「スターがわたし達を信頼して前にでてくれた、そのおかげでもあるよ」
攻撃を集中させるように動くことで、後方の二人が余裕を持って攻撃をさせやすくする。
ララ、ソレイユ、セレーネ、プリキュアとして連携をしてきたからこそ行えた行動であり、先輩プリキュア達もそれを理解していた。
「マリンインパクト」 「ミルキーショック」
「ソレイユシュート」 「サンシャインフラッシュ」
「セレーネアロー」 「ムーンライト・シルバーインパクト」
他のチームも次々に技をくりだし、闇の化身達を倒していく。一度似たような相手とピトンの星で戦ったということもあって対処方法も解っており、スマートと呼んでもさしつかえないほどの戦いぷりだった。
闇の力を退けながらキュアコンタクトを頼りにプリキュア達は大樹を進んでいくと、封印の扉の前にたどり着く。
緑色で嵐のような紋様、茶色で岩のような紋様、赤色で炎のような紋様、青色で水球のような紋様、それぞれのプリキュア達は別々の封印の扉の前に立っていた。
「これが封印の扉、扉の前にいるものが同時に扉を押すことで開くことができます」
さくらさんはキュアコンタクトを使ってプリキュア全員に封印の扉の開け方を説明。封印の扉にたったプリキュア達は封印の扉の手をつけ、巨大な扉を押した。
ちょっとやそっとじゃ普通はびくともしない大きな扉が、ゆっくりとだが開かれていく。プリキュアであるという認識がされることで扉自身もプリキュア達を招きいれているかのように。
「ようこそプリキュア。歓迎しよう。我は風の妖精テンペスト」
スター、ミラクル、ブロッサムの部屋には緑色の龍が
「地の妖精レドックス」
ミルキー、フェリーチェ、マリンの部屋には茶色の龍が
「炎の妖精ブラスター」
ソレイユ、サンシャインの部屋には赤色の龍が
「水の妖精タイダル」
セレーネ、マジカル、ムーンライトの部屋には青色の龍がそれぞれ待ち構えていた。
「今、妖精っていいました!」
「え? ドラゴンじゃないの?」
「おそらくはコッペ様のように成長した姿だと思われます」
「ブロッサム、あなたがいう通り我らは成長しこの姿になった」
コッペ様というのはブロッサム達の世界にいる妖精。と、いっても妖精と呼べるような小さなものではなく、ナマケモノのようにどっしりとした腕をもちち、不気味ともよべる人相をした小型怪獣にもみえる巨大な妖精だ。
それとはまったく違うものの、目の前にいるドラゴンも妖精とは似つかない、成長した妖精の姿という点では共通しているといってもいいだろう。
「へぇ本当に妖精なんだ。全然そうみえないなぁ」
「うん、とっても強そうだよね」
ひかるとみらいはどちらもドラゴンの周りを飛び回り、その姿に興味深々だ。
「プリキュアよ、そなた達は試練を受けにここに来たのであろう」
「あ~そうでした。試練ってやっぱりドラゴンさん……」
「テンペストだ」
スターの言葉をさえぎり、テンペストはテンペストだと主張する。別に名前にこだわりがあるわけではないが、これから先もその名で呼ばれたくはないゆえにそうした。
「え~と、テンペストさんと戦うものなんですか」
「ああ、そのとおりだ」
巨大な翼を大きく広げ、風があたりに激しく吹き荒れると、
「さて、今のプリキュアがどれほどのものか楽しませてもらおうではないか」
五メートルはゆうにある翼を羽ばたかせ、周囲を嵐で染めあげながら襲いかかってきた。
襲いかかってくるテンペストのスピードは凄まじく、スター、ミラクル、ブロッサムが回避を行動する前に吹き飛ばした。
テンペストの一撃はただ早いだけではなく重い一撃。とっさに防御はしもののダメージがないというわけではない。
「プリキュア牡牛座!」
このまま抵抗せずにやられるわけにもいかず、スターはスターカラーペンで五芒星を描き、
「スタァアアアアパンチ」
ぐるぐると腕をまわしながら牡牛座のスターカラーペンの力を集め、拳を突きだすことでその星の力を解き放った。
ピンク色の星の塊はテンペストに直撃した。星の力によってピンク色の爆発が起き、あたりはピンク色の光に包まれる。
それなりの敵であればこの一撃で倒していただろうが、テンペストにはまったく通じていない。
「リンクル・ガーネット」
ミラクルはリンクルステッキにリンクルストーン・ガーネットをはめ込み、ガーネットの力を解放。大地から巨大な手を生み出して、テンペストの動きを止めようとしたが
「ぬるい!」
テンペストの風の咆哮によって、岩で形成された巨大な手はくずれさった。
「ではこれならどうです。集まれ花のパワー、ブロッサムタクト」
ブロッサムは胸の中央部についている花のエンブレムからブロッサムタクトを出現させ、ピンク色の花のパワーを集めると、タクトの中央部のやや太くなった部分が回転し花のパワーが先端部分に集まり光輝く。
「花よ輝け、プリキュア・ピンクフォルテウェイブ 」
そうしてからタクトを花をやさしく揺らすように奏でることで花の力を解放させ、ピンク色の花の形をしたエネルギー弾を撃ち出した。
ピンクの光の球は加速し、テンペストへと直撃する。
通常プリキュアが使う技よりも、武器を使用した技は浄化の力があり、威力も高い。
数々のデザトリアンに対してふるわれた力ならば……と思われたが、
「だからぬるいって言っておろうが」
巨大な龍の手でブロッサムが放った光の球をつかみ、それを握りつぶした。
「全然効いてない」
「でもこれ以上のことは……マジカルがいればもっと」
プリキュア達はさらに強力な合体技を使用することができる。しかしそれには同じ時空のより絆を深めたプリキュア達が必要で、今はチームを分けられ合体技を使用できない状態だ。
「やはりあなた達は一人一人ではその程度だということか」
巨大な足で大地を揺らし、緑色の眼でプリキュア達を睨む。それはまるで、いっさいの手抜きはしない、そうテンペストが訴えかけているかのようでもあった。
「スター達がピンチだプルンス」
「スター達だけじゃないですぅうう」
サンシャイン達と共に同行し、キュアチャンネルでプリキュア達の様子をみていた、プルンス、シプレをはじめとした妖精達の不安が高まっていく。他のプリキュア達も苦戦を強いられているからだ。
「マリン・シュート」
マリンは肩腕で弧を描き水球を空間に出現させてから、両腕を突き出し水玉を発射、
「ミルキーショック」
それと同時にミルキーはスターカラーペンダントの力を込めた電撃を、頭についた触覚のようなセンサーから放出した。
水と電気の合体攻撃、その相性の良さをいかして大地の妖精レドックスにダメージを与えようとしたが、
「水と電気でならどうにかなるとでも思ったのか」
それすらも受けつけなかった。
「大地の鉄槌を受けるがいい」
大地の妖精レドックスは魔法陣から巨大な巨石を生み出し、ミルキーとマリンを押し潰そうとする。
「はぁああああああ」
「フェリーチェ」
フェリーチェはミルキーとマリンの頭上に飛び、巨大な巨石を片手で抑えこみレドックスに向けて投げ飛ばした。
「ほう、貴様は中々にやるようだな」
レドックスは自分に向けて投げられた巨石を避けもせずに耐えてしまう。そんな攻撃では効かないと証明するかのように。
「みなさんを傷つけるのならば、わたしは許しません」
「やれるものならばやってみるがいい」
地の妖精レドックスは岩の鎧に覆われたその体をぶつけようと飛来。
フェリーチェはその前にたちはだかり、両手で飛来してきたレドックスを受け流して回転させ、相手の突撃してきたエネルギーを利用して蹴りを浴びせた。
レドックスは自らの力の前には抗うことができず吹き飛ばされる。
「フラワーエコーワンド」
その間にフェリーチェはリンクルスマホンに備えつけられているタッチペンを花飾りが先端についたフラワーエコーワンドに変化させた。
「エメラルド」
フラワーエコーワンド、リンクルストーン・エメラルドをはめ込み
「キュアーアップ」
天にかかげることで花のパワーをあつめ、フラワーエコーワンドの花飾りを花咲かせた。
「プリキュア、エメラルド・リンカーネーション」
∞を描き花の力を解放、無限の花の力は花吹雪をともないレドックスを包みこんだ。
フェリーチェは他のプリキュアよりも強い力を秘めており、この技は単体で放つものであるが合体技にひけをとらない威力を発揮することができる。それにはレドックスもたまらず翼を貝のように閉じて防御をしていた。
「フェリーチェ、すごいルン」
その圧倒的な力に見惚れるミルキー。このまま決着がつくかと思われた。
「さすがはフェリーチェ……この俺に防御をさせるとは。だがこの魔力のこめられた岩の鎧は破れはせぬ」
しかし岩の装甲に守られたレドックスを倒すにはいたらなかった。
なにかしらプリキュアの攻撃に耐性がある。そう考えても良さそうなほどに頑強だった。
「プリキュア、天秤座」
ソレイユはスターカラーペンダントから天秤座の力がこもった炎の球を創りだし、
「ソレイユ・シュート」
その炎の球を蹴りだすことで、炎の妖精ブラスターにぶつけた。
「その程度の炎、蚊にさされた程度にすぎんわ」
しかしその炎の球はブラスターの体に吸収されたにすぎなかった。
「本物の炎とはこういうものだ」
ドラゴンのような顎を大きく広げ、そこから炎を吐き出した。
さきほどの炎の球とは比べものにならない豪炎の力がソレイユを襲おうとした時、
「サンフラワーイージス」
サンシャインがひまわりの盾を空間上に展開、ソレイユを守った。
「大丈夫、ソレイユ」
「ありがとう、サンシャイン」
「誰かを守る力、それだけでは勝てないことを教えてやろう」
炎の妖精ブラスターもまた、ソレイユとサンシャイン達をその攻撃で圧倒していた。
「リンクル・ペリドット」
キュアマジカルは水の妖精タイダルの動きをとめるために、ペリドットの力を使って木の吹雪を発生させた。
「プリキュア、ヤギ座」
セレーネはその間に山羊座のスターカラーペンで五芒星を描き、山羊座の力をスターカラーペンダントから解き放ち弓に変え、
「セレーネアロー」
スターカラーペンから生み出した光の矢をヤギ座の弓から打ち出した。
光の矢はまっすぐに飛んでいきタイダルを捉えようとしていたが、タイダルは目の前に巨大な泡を出現させその弓矢を水の泡で受け止めた。
「そなたらの連携、良きものではあった」
「それならこれはどうかしら」
ムーンライトはセレーネの攻撃に乗じてタイダルに接近をしており、
「はぁああああああ」
タイダルのドラゴンヘッドに右拳をぶつけ吹き飛ばした。
キュアムーンライトはプリキュアの中でも戦闘能力が群を抜いて高く、その拳の衝撃は他のプリキュアを遥かに凌駕している。
タイダルもそんなムーンライトを警戒し水玉を空間上に生み出し迎えうつ準備をしたが、ことごとくムーンライトはその水玉を素早い動きで避けつづけ接近、翼、腹、背中に連続で拳と蹴りを加え、最後はしっぽを振り回してタイダルを放り投げた。
「集まれ花のパワー! ムーンタクト!」
ムーンライトは肩の花のエンブレムからムーンタクトを出現させ、
「花よ輝け! プリキュア・シルバーフォルテウェイブ!」
出現させたタクトを振り下ろすと、銀色の花の形をしたエネルギー弾を撃ち出した。
ブロッサムと同じ技ではあるが、キュアムーンライトの花のパワーのほうがはるかに強く、その威力はタイダルが展開した水の障壁を壊すほどだ。
「これがキュアムーンライト、中々に楽しませてくれまね」
しかしタイダルを倒すまでにはいたらなかった。