Re:幻想の世界に作者たちが集うと   作:suryu-

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 令和元日です。皆様こんばんは。初めての方は初めまして。どうも、suryu-と申します。

 最近は全然書いてなかったのに、急激に東方界隈に復帰することを決めました。いわゆる、初心に帰ろうという魂胆ですね。なのに、読者参加という無謀な事をやっているので、この先生き残れるか分かりませんが、これから長い目で付き合ってくださると幸いです。それでは、ゆっくりしていってね!


全ての始まり

__あと何回僕は死ねばいいんだ?

 

 

 

 少年は呟く。最善の道を目指していた彼が、壊れる瞬間でもあった。その様子を、一人の女妖怪はずっと見ていた。救いたい。そう願って、彼の近くに行くことを決めた。

 ”境界線”はとっくの昔に変わってる。なら、彼女なりに手を伸ばすだけだ。そしてその先に居たのは、世界に絶望していた少年。だから。彼女は彼に微笑みをむける。

 

「あなた。私の息子になりなさい」

 

「……えっ?」

 

 その日から、彼の人生は変わった。そしてそれから日は過ぎて__

 

 

 

■■■

 

 

 

「ただいまー」

 

「お、竜也か。お帰り」

 

 BAR華風(ゆきかぜ)。幻想郷という様々な世界から隔離された世界の人里で、仕事を終えた店長の”神崎竜也(かんざき りゅうや)が店の中にあるとある扉から自宅へと転移すると、割烹着を着た狐耳と尻尾が九本ある女性が出迎える。彼女の名前は八雲藍。竜也の家族でおそらく家事をしていたのだろう。それも、家の中に漂う匂いからして料理だ。

 

「ただいま。藍姉さん。母さんは?」

 

「まだ仕事中だ。いつになく今日は張り切っていてな……まぁ、あの人は竜也が来てから本当に変わったよ。子煩悩にもな」

 

「あはは。でも僕は助かってるから、それでいいんだよ」

 

「まったく、お前は本当に”紫様”に甘いな。逆も然りだが」

 

 藍の言う”紫様”とは、この家。八雲家の主の事だ。そして幻想郷でもかなりの重鎮なので、それにより仕事量が多い。今もそのために仕事をしているのだ。まあ、夕飯には帰ってくるだろうというのが、二人の見解だ。

 

「それじゃあ、もう少しでご飯ができるが……今日も酒の用意はできるか? 因みに今日はブリ大根だ」

 

「それじゃあ、黒牛のぬる燗にしとこうかな? 合うって聞いたことあるし」

 

「お、黒牛か。いいな。カクテルも飲みたいが」

 

「了解。後で用意するよ」

 

 竜也と藍は、酒を飲むことが多い。普段の仕事の疲れを癒すために、色々と試行錯誤したりしているのだ。その一環にあるのが、酒でもある。二人は度々何かあると飲んでいるのだ。

 

「とりあえず、私は調理に戻るよ。今日の料理も期待してくれよ。竜也」

 

「ふふ、楽しみに待ってるよ。藍姉さん」

 

 藍が厨房に戻ると、竜也も用意をするために一旦荷物を部屋に置きに行った。彼の部屋はパソコンと携帯。いくつかの本が入った本棚が置かれている。そして、よく見るとゲームもある。普通の現代でも見る部屋だ。少年らしい部分もあるが、本棚の中身は確かに漫画もあるが、文学作品もいくつか置いてある。ライトノベルもあるし、彼はどうやら小説が好きなようだ、よく見ると、PCの画面も執筆中になっている。という事から、彼自身も小説を書いている事が窺える。

 

「さて、そろそろかな?」

 

 荷物を置いたあとは、居間。英語で言えばリビングに向かう。長い廊下を歩いていると、その途中で猫耳と二本の尻尾が生えた少女に出くわした。

 

「橙。もうそろそろご飯だよ」

 

「ありがとうございます竜也様。今日もお仕事お疲れ様ですっ」

 

 この猫少女は橙。藍の式神として仕えていて、八雲家に様々な奉仕をしている。同時に修行中でもある事から、竜也や藍が鍛えたりもしている。そして、最近正式に”八雲”の名称を貰うことになる。という話題が上がっていることは、彼女は知らない。

 

「それじゃあ行こうか。橙。藍姉さんが料理を作って待ってるはずだからね」

 

「ですねっ。藍様の料理は美味しくて好きなんですっ」

 

「はは、僕もだよ。藍姉さんの料理は欠かせない」

 

 橙と会話しながら歩いて行くと、居間ではすでに藍が料理を用意して待っていた。机にはブリ大根やほうれん草の白和え。だし巻き玉子が置いてある。

 

「藍様、お疲れ様です!」

 

「おー、美味しそうだな」

 

「おお、橙と竜也が一緒に来たのか。あとはこれで紫様が来るだけだな」

 

「だね。母さんはいつ来るかな?」

 

 藍と竜也が予想をしていると、障子が音を立てて開く。そこから長い金髪を靡かせた女性が、にこりと笑いながら立っていた。そう、彼女こそが。

 

「ふふ、待っててくれたのね。ありがとう、竜也。藍。橙」

 

「お帰りなさい。母さん」

 

「お帰りなさいませ。紫様」

 

「お疲れ様ですっ、紫様!」

 

「ふふっ、今日も我が子は可愛いしカッコイイわぁ」

 

「ち、ちょ、母さんっ」

 

 紫は颯爽と竜也に抱きつくと、賢者と呼ばれる風格もなく猫なで声で竜也を撫でる。まさに子煩悩な母親だ。だから、藍はその様子を呆れはするが同時に微笑ましく思っていて、橙は羨ましそうに見ている。大方、竜也に抱きつきたいのかもしれない。まあ、橙の真意は定かではないが。

 

「それじゃあ食べましょうか。竜也。今日のお酒は?」

 

「ちょっと待って。確か、このスキマに……あったあった」

 

 スキマというのは、八雲家が使う異空間のようなもの。色々使用用途もあって、今回竜也が開いたスキマは倉庫として使っていた。そしてそこから取り出したのは、黒牛という日本酒。何かの本でブリ大根に合っていると見た覚えがあるからだ。それを徳利に注ぎ、同時に取り出したぬる燗を作る機械にセットする。

 

「竜也様。相変わらず好きですよね、お酒」

 

「まあね。橙達と同じように飲むうちに、いつの間にか好きになって」

 

「ふふ、今では私達よりお酒に詳しいんじゃないかしら?」

 

「まさか? 母さんにはかなわないよ」

 

 ご飯を食べながらの家族の団欒は、とても暖かい気分になる。竜也や紫。藍に橙の四人は、一緒に食べられる時は必ず一緒に食事をする。仕事で一緒に食べられない時も多いが、こうして一緒になる時は四人で話しながら食べるのだ。そうこうしているうちにぬる燗もできて、竜也が紫のお猪口に注ぐ。紫は竜也が注ぎ終わると、ブリ大根と共にクイっと一気に飲み干す。

 

「んーっ、ブリ大根に合うわぁ……やっぱり至福ねぇ。この時間は」

 

「紫様。本当に竜也にお酌をしてもらうのが好きですね」

 

「ええ、息子のお酌よ。喜ばないわけがないじゃない!」

 

 紫は満足そうな顔をしながら、さらにブリ大根に手を伸ばす。藍としてはこのような紫が見られて、なんとなく安心していた。竜也も橙もだ。仕事詰めで疲れた姿を見せる彼女を見ているし、こうして元気ならそれが良いとも思っているからだ。だから、その元気の源になれているのなら。と竜也は思っている。それを、紫は感じているのかもしれない。

 

「ああ、そうね。竜也。あとでちょっと話があるわ。良い?」

 

「え? あ、うん。いいよ」

 

 紫のことを考えていた竜也は、話があるということに首を傾げる。なにか特別なことはあったか? 思い出せない。誕生日でもないし、なにか特別なことはあるのだろうか。可能性を幾つか出してみるが、結局よく分からなかった。

 

「ふふ、美味しいわね。藍のブリ大根」

 

「ありがとうございます。紫様」

 

 まあ、今は食事を楽しもう。竜也はそう決めると、ご飯とブリ大根を口に放り込む。やはりというか、藍の料理はとても美味しかった。

 

 

 

■■■

 

 

 

「で、母さん。話があるって何?」

 

「ふふ、そう焦らないの。今から話すわ」

 

 紫に呼び出された竜也は、一体紫が何を言うのかと気になっていた。今までの傾向から、突拍子の無いものが出てくる可能性もあるし、はたまたただの雑談かもしれないし。いずれにしろ気になるのは確かだから、紫の言葉を待つ。

 

「……そうね、竜也。あなたは小説を書いているでしょう。それの繋がりを持ちたいとは思わない?」

 

「え? まぁ、欲しいけど」

 

 紫の言葉は色々と含みを持たせている。竜也はそんな気がするが、その含みが理解できない。だから、そうなる事も理解していた紫は、笑みを浮かべた。

 

「貴方は普段は様々な二次創作を書いているけど、たまに。所謂東方……私達の小説を書いていたりするでしょ?」

 

「え? まあ、ね。それがどうしたの?」

 

 東方。紫や藍。橙……それ以外にもたくさんの少女達を描いた作品がある。勿論紫はその存在を知っているし、竜也が自分達を描いた東方を使って小説を書いているなんて、何年も前から知っていた。だから。

 

「その東方に携わる人たちを、招待しようと思うの。どうかしら?」

 

「……母さん。それ本気?」

 

「ええ、本気よ。彼らにとっても良い経験になるでしょうね」

 

「幻想郷の存在が公になっても?」

 

「あら、私か摩多羅隠岐奈(またらおきな)くらいしかここには呼べないわ。迷い込む可能性も、とても少ないし」

 

「……はぁ。中々に母さんらしいよ」

 

 こういう時の紫は行動するとわかっているし、竜也は若干の諦めと母の計らいに少しだけ感謝を覚えた。別に嫌な訳では無い。ただ、とても大事な幻想郷が心配なだけなのだ。そもそも、彼は__

 

「……いや、まぁ。考え過ぎ、だよね」

 

「何がかしら?」

 

「なんでもない。それで実行するのは?」

 

「数日後よ」

 

「……了解」

 

 紫の言葉を受け取った竜也は、忙しくなるな。と笑う。その様子を見ていた紫も安堵して一息ついた。そう、全てはここから始まる。東方に関わる人達の、どこかにあった物語が__

 

 

 

 

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