泣き顔の復讐者【のんびり更新】   作:沙香月 雪音

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サブタイ考えるのが1番面倒。ちょいと病んでましたこんにちは
1話の中で一つの軸があればいいんでしょうけど現段階は8割土台作りなので全て「土台作り1」とかになりそうですね。土台の中で軸作ろう()
そんなわけで13話目よろしくお願いします。


人間の感覚は凄い

~束side~

「うーん…。もう少しなんだけどなぁ。」

 

空に飛ばすため…浮かす為の装置は理論上完成した。それでもエネルギー源が足りない。動くところまでエネルギーを増幅させようとすると実用性は消える。

 

「うーん…。どうしようかなぁ。」

 

私に今すぐにこれを解決出来るようなものが出来るとは思えない。というかできたら巨大化させてエネルギー問題解決できちゃうね。

 

「あ、そうだ。桜叶さんに聞いてみよ。」

 

しばらくは忙しいって言ってたけど3週間も経ってるしメールなら大丈夫だよね。また機械も触りたいし。

 

 

 

~桜叶side~

「社長ー。ダメみたいですー。」

「またダメかー。」

 

社員からの報告を受ける。それもここ2週間かわり映えの無い聞き飽きたモノだ。結果が欲しくてもこればかりは仕方ない。

 

「お?束ちゃんからメールか…。」

 

解析が始まってからしばらく来ないでもらってたからなぁ。何か作りたくなったんだろう。

 

三谷(みたに)くん、ゲンさん呼んできてくれ。」

「分かりました。」

 

ゲンさんの手が空いてるなら少し束ちゃんに機械を触らせるのもアリだろう。あんなに楽しそうに物が作れる時間は貴重なんだ。

 

「社長さん。なにかご用で?」

「あぁ、ゲンさん。今後3日くらい手は空いてますかね?」

「ハッキリ言うと厳しいな。例の窪み以外計測としては出てねぇが何かありそうなのは分かってるがソレが何かすらわからねぇ。少なくともそれの解析が終わるまではなぁ。」

「ですよね…。」

「でもどうしたんだい。忙しいのは目に見えてるのにそんなこと聞くのはワケがあんだろ?」

「よくお分かりで。実は束ちゃんからメールが来ましてね?何か思い付いたのか『そろそろ工作機械を使いに行ってもいいか』とのことで。」

「嬢ちゃんか…確かにそろそろ1ヶ月近いからなぁ…。あ?そういや社長さんこの解析なんだが…無理は承知なんだが…」

 

ゲンさんが言い淀むなんて珍しい…。まぁ言いたいことは分かるけどさ。

 

「嬢ちゃんに見せてみるってのは…どうだろうか。」

「そういうと思いましたよ…。」

 

一つため息をついて意識を切り替える。

 

「では(みなもと)さん、貴方が部外者である篠ノ之束さんを解析に入れたいというのであればその有用性と根拠を明確に社長()に示していただきたい。」

「根拠と有用性か…。篠ノ之束って人間はな、人より優れた感覚持ってやがんだ。最初教えた時にな、40年加工に携わってきた俺の作ったもん触ったときなんて言ったと思うよ?『ちょっとだけ欠けてませんか?』って言ったんだ。何十年費やした所で加工機械使う以上どうしても出るであろうレベルのモノだぜ?それを触っただけで感じ取っちまった。」

「それが推薦の根拠ですか?感覚…触覚が優れているからといって今回の解析でそれをどう活かすつもりでしょうか。」

「さっき言ったろ?『窪み以外にも計測できないレベルの何かがある』って。鉱石に触れることはできるんだ。嬢ちゃんに触らせて何か分かればそれが有用性ってやつじゃないのかい?」

 

確かに言ってることは正しい。ゲンさんが加工のブレを認めるということは恐らく束ちゃんの感覚は実際に優れているのだろう。ならやるべき事は…

 

「ゲンさん。今からそのときのレベルの加工はできますか?」

「あぁ?誰にモノ言ってるんだ。出来るに決まってるだろ!」

「なら良かった。」

 

アレスさん…もといルクーゼンブルク公国の説得だな。

 

 

 

~天斗side~

「つまり最近桜叶さんに会えてないと?」

「そーなんだよねー。普段も会ってどうこうするわけじゃないけどさー。なんか寂しいというかつまんないというかさー。」

「確かに…一夏が生まれてしばらくは父さんも母さんもいたが母さんが育休になって父さんにあまり会えない時は寂しくい感じがしたな…。」

 

型の確認を終わらせてちょっと喋りながら休憩中。確かに昔はよくご飯食べたり泊まりにきてたなぁ…最近は減ったけど。

 

「そういえば千冬ならまたいつでも来ていいらしいよ。」

「そ、そうなのか?でも一夏もいるし…。」

「気にしないと思うけどね。」

 

むしろ2人とも一夏君に会いたがってるし。

 

「ふーん。ちーちゃんといっくんだけなんだー。」

「うわっ!?」

 

びっくりしたぁ…いつの間に…。

 

「というか千冬!絶対分かってて黙ってたでしょ!」

「いや…全く…気付かなかったぞ…。」

「小刻みに震えてるしめちゃくちゃ途切れるしもう大爆笑じゃん。」

 

第一どんだけコッソリ歩いても足音聞き取る人間に奇襲なんてほぼ無理だよ…。

 

「で、あーくん?私と箒ちゃんはダメなのかな?」

「多分いいんじゃない?千冬と束なんてそう大差ないし。」

「あ、じゃあさじゃあさ!今度お泊り会しようよ!いっくんと箒ちゃんも一緒にさ!」

「僕は良いけど…一夏君も箒ちゃんもまだ小さいのに大丈夫かな?」

「今度聞いてみよう。」

「そうだねー。お父さんたちもなんて言うかまだ分からないし。」

「一応4人泊まれるか聞いとくね。」

「頼む。」

「よろしくね。」

 

みんなでお泊りかぁ…。楽しそうだけど人見知りな箒ちゃんからはちょっと距離取られたしそれ見た一夏君も一緒になって離れられたからお泊り会で仲良くなれるといいなぁ。

 

「あ、そんなことより束が道場来るなんて久しぶりじゃない?どうしたの?」

「作ろうとしてるものが一段落ついてさー。今桜叶さんのとこの機械使えないから剣振ろうと思ってねー。」

「そうなんだ。」

「一応道場来なくても空いた時間で型の稽古と素振りはしてたんだけどやっぱり道場は違うね〜。ちょっと空気がピリッとしてるよ。」

「そういえば昔からそう言ってたな。それで一回『こんな空気やだー』って言って少し泣きながら逃げ出してなかったか?」

「え、えー?そんなの覚えてないなー。知らないなー。…あ、そーだあーくん一本組手しようよ!」

 

これは…逃げたな。千冬の方を見ると千冬も『逃げた』と言わんばかりの顔してる。

 

「いいよー。ルールどうする?無手?武器?」

「最初は武器ありがいいな。神楽舞にも使う一刀一扇でやりたいし。」

「じゃあ今日は普通に剣にしようかな。あ、束が負けたらさっきの話詳しく聞かせてね。」

「泣いた話じゃないよね?神楽舞の話だよね!」

「それは負けてからのお楽しみだよ。千冬、合図お願い。」

 

千冬がこっち見てちょっと顔引きつらせてるけどどうしたんだろ?

 

 

 

〜束side〜

「あ"あぁ〜疲れたー。ただいまぁ。」

 

久しぶりに組手するとはいえ一刀一扇相手に捌き切れない量の攻撃はどうかと思うよ…。しかも高速突きってなんなのさ…もはや動けないから拘束突きだよアレ…。

 

「お姉ちゃん大丈夫?」

「箒ちゃんただいまー。箒ちゃんの顔見たから大丈夫だよ〜。」

 

箒ちゃんが可愛くお出迎えしてくれる。ということはお母さんはご飯の準備してるかな。

 

「箒ちゃん、お母さんは?」

「ご飯作ってるよー。」

「そっか。ありがとー。」

 

箒ちゃんと一緒に台所行ってただいまして洗面所へ。

 

「お姉ちゃん自分の部屋に戻るけど箒ちゃんどうする?」

「うーん…あ、お絵かきする!お姉ちゃんのお部屋で!」

「よし、じゃあ一緒に行こっか!」

 

この前幼稚園でもお絵かきしたって言ってたし箒ちゃんの将来は画家さんかな?

 

 

 

〜千冬side〜

「ただいま。」

「お帰り、千冬。」

 

今日は母さんが出迎えてくれた。一夏のこともあるからか最近はよっぽどの事がなければ早目に帰れるらしい。

 

「ただいま、母さん。」

「手洗っておいで。それから一夏がお昼寝してるからそろそろ起こしてあげて。」

「分かった。」

 

もう6時半(18:30)だが夜眠れなくならないだろうか…。それにしても可愛い寝顔をしてるな…。

 

「一夏、そろそろ起きないか?」

「んー……。」

 

軽く揺すっても眠そうにして起きない。どうしたものか…。

 

「ふむ…仕方ない。」

 

くすぐるか。

 

 

 

〜アレスside〜

「だから!それが信じられないと言っているんです!」

 

星宮社長が社員とウチの研究員に切り上げるように指示してから少し話があると言うので会議室に来てみればそこには星宮社長と確か…ミナモトさんがいた。始めは部外者だが打開策になりそうな人間がいると聞いて喜んだが…

 

「たかだか10歳前後の子供にこんな問題が解けるわけないでしょう!」

「でも解いてしまったんですよ。まぁこんな紙切れ見せたところで信じてもらえるとは思っていませんので安心してください。」

「紙切れ…?各分野に進んだ人間を集めないと解けないような問題の答案が紙切れって言うんですか!?」

 

この問題を解けと言われれば自分の分野を解くことはできる。それは断言できる。それだけの勉強をしてきたつもりだ。ただ他の分野に関してはおそらく解けない。

 

「信用されない以上入社試験として能力値を測るという役目を果たしたコレは紙切れですよ。」

「そ、それは…。」

 

たしかにそれは正論だ。

 

「なので一度会っていただきます。」

「…は?」

「その子に会った上でアレスさんに判断して貰えば文句はありませんよね?」

「僕を納得させられるなら…。」

「アレスさんさえよければその子には後でアポとりますがどうしますか?」

 

自分の目に見せつけられてしまえば信じるしかなくなる。それは合理的だしそれだけの自信があるのだろう。

 

「分かりました。お願いします。」

 

この数週間でこの人が嘘は言わないことと行動に根拠を持っている事は知れたつもりだ。なら賭けてみるしかない。

 

 

 

〜Out side〜

「おーい、新入りちゃん。」

「…なにかしら。新入りと言っても貴方より10は歳上なのだけど?」

「若く見えるから同じくくらいかと思ったよ。」

「あら、それは喜んでいいのかしら?」

「でも長く生きてるだけでしょ?それにまだ君の働きぶりも能力も見れてないからさー。食っただけの歳に払う敬意なんてないし入ったばかりの君の価値は特に無いんだよ。」

 

2人の間の緩いとも言えた空気がガラリと変わる。表情にほとんど変化はない。ただ少し苛立ちを乗せた男の声音が空気を変えた。

 

「ま、呼んだのはそんな新入りちゃんに仕事が出来たからなんだけどね。」

「…仕事…?」

 

苛立ちの消えた男の声に戸惑いながらもなんとか返事を返す。

 

「そ、仕事。」

 

男は軽い調子でそう言った。

 

 

 

〜束side〜

目覚ましを止めて起き上がる。うん、いつも通り6時半(6:30)だね。

 

「夜のうちに来てたメールは…と。」

 

桜叶さんに送ったメールの事もあるしね〜。

 

「夜遅くに来てる…。あーくんも大変そうとは言ってたけど本当に大変なんだなぁ。…え?」

 

機械を使うのはいいけどその前に人に会ってくれないか…?

 

「条件付きな返事なんて初めてだなぁ…。」

 

答えはもちろんイエスだね。




13だ!忌数だ!なぜなのかは知りません。
そういえば昨日は13日の金曜日でしたね。映画は見たことありません。
さて、今回はマイペース社長がメインでした。あとお茶目なちーちゃんと仲良し篠ノ之姉妹。男子陣よ…出番が少ないぞ…。もうしばらくは束とマイペース社長メインになりそうですが。
では書くこともないのでここらでそろそろ
また次回もお越しください

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