泣き顔の復讐者【のんびり更新】   作:沙香月 雪音

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大変長らくお待たせしました。今回はだいぶ短いです、すいません。
さて、数字付きのサブタイから…脱出!(最初からやれよ)
尚オーズのタイトルみたいになってるのは仕様です。嘘です。内容ざっくり表すとこうなりました。
さて、言い訳はこれくらいにして第9話、よろしくお願いします。



弟と妹と将来の夢


~千冬side~

「ただいま!」

「おかえりなさい。千冬。」

「一夏もただいま!」

 

もちろん一夏から返事らしい返事は返ってこない。母さんと父さんも一夏にもよくしゃべりかけてるから構わないだろう。それに私がただ言いたいだけだ。

 

「母さん、一夏、いってきます!」

「車に気を付けなさいよ。」

「わかってる!」

 

去年の9月に弟の一夏が生まれた。束の妹と顔を合わせたときはよく泣かれたが一夏は私を見ても泣かない。それどころか笑顔になる。わざわざ学校から道場を通り越して家に帰ってくるのも一夏に一度でも多くただいまを言って笑っているところを見たいからだな。

 

 

 

~束side~

「ただいまー!」

「おかえりなさい、束。」

「箒ちゃんもただいまー。」

 

まぁもちろん箒ちゃんから返事らしい返事は来ないんだよね~。

 

「ぁー。」

「箒も『お姉ちゃんお帰り』って言えたねー。」

「束お姉ちゃんだよ~。」

 

たばねーちゃんでもいいんだよー。なんてね。

 

「束、そろそろ着替えてきたら?」

「あ、もうそんな時間か。着替えてくるー。」

 

箒ちゃん眺めてると時間がグングン進むんだよね。

 

 

 

~天斗side~

「お願いします!」

「お願いします。」

 

今日は千冬が剣術の稽古をつけてもらうらしい。柳韻さんは木刀、千冬は竹刀を構えてる。

 

「あーくん、私たちもやろうよ。」

「束は剣術やらないの?」

「うーん…。前に教えてもらったんだけどもうすこし小太刀術に慣れてからって事になったんだ~。」

「そうなんだ。」

 

だったらちゃんと相手しなきゃだね。

 

「じゃあ、まずは一本…お願いします。」

「こちらこそ…お願いします。」

 

最初は…面が来るなぁ。

 

 

 

~束side~

「めぇん!」

 

あーくんに打ち込もうとするといつも避けられる。でも今回は分かったよ。あーくんはこのまま

 

「どぉ!」

 

胴打ってくるよね。

 

「束、ちょっといい?」

「どうしたの?」

「今僕がどう打つ前から胴打ちに対応してなかった?」

「それ言ったらあーくんも面打つ前に横に動いてたじゃん。」

「だって面打つの見えたんだもん。」

「私だって胴来るなってわかったもん。」

 

仕方ないじゃん。

 

「不思議だねぇ。」

「不思議だねー。」

 

なんか打たれそうなとこがゾワゾワするんだよねー。

 

「じゃあ続きだね。」

「うん。」

 

 

 

~千冬side~

「ただいまー。」

「おかえりなさい、千冬。お疲れみたいだね。」

「覚えることもやる事も多くて疲れたぁ…。」

 

柳韻先生から直接剣術を教えてもらえるのはわかりやすい反面難しい。やり方は分かっても身体をその通りに動かしきれない。

 

「千冬、ご飯出来てるから手、洗ってきなさい。」

「うん。」

 

…洗面所遠い。

 

 

 

~天斗side~

「はい、今日は皆さんに作文を書いてもらいます。」

「えー。」

「めんどくさーい。」

 

何書くんだろ…。

 

「静かにー。作文のテーマは『将来の夢』についてです。みんなも5年生。10歳になりましたね?大人になったらこんな事がしたい。こんな仕事をしたい。そんな事を少し考えてみてください。出来るとか出来ないは考えなくていいです。何がしたいかを書いてみてください。」

 

将来の夢かぁ…。

 

「来週のこの時間で回収するので今日書けなくても宿題になります。」

「はーい。」

「せんせー。どれくらい書けばいいのー?」

「少なくとも原稿用紙の8割…16行目までは書いてくださいね。たくさん書ける人は原稿用紙2枚でも3枚でも大丈夫ですけどたくさん書きすぎると先生が読むの大変だから気をつけてくれると嬉しいなー。」

 

そんなに書ける人いるのかな…。でも将来の夢…なににしよう。

 

 

 

~千冬side~

「作文か…。将来の夢…何書こう。」

 

将来の夢とは言えないかもしれないが…。やりたい事ならあるな。

 

「あーくん達は何にしたの?」

「まだ秘密ー。というか書けてないんだよね。」

「一緒だねぇ…。ちーちゃんは?」

「私か?そうだな…今は道場で剣術習ってるのが楽しいから…篠ノ之流剣術を全部覚えること…くらいか?」

「それって単純に目標なような…。」

「し、仕方ないだろ!やりたい事がこれくらいしか思いつかなかったんだ…。」

「でもそっか…そういうのでもいいんだねー。」

 

篠ノ之流剣術といえば…

 

「束は篠ノ之神社を継いだりはしないのか?」

「あー…そういえばそうだね。どうなんだろ?」

「知らないの?」

「まだそういう話はしてないよ。まだ神楽舞も出来ないしね。」

「そうなんだ。」

「動きだけなら覚えたんだけど神楽舞としてはまだまだみたい。」

「毎回夏子さんの神楽舞撮ってたしな。」

「うん。それで動きだけは覚えれたんだ~。小太刀術も少しずつ慣れてきたし…。」

「そうなんだ。あ、もう神社だね。束、また後でね。」

「うん、また後でね。」

 

そんなことを話していたら篠ノ之神社に着いたか。

 

「また後でな。」

「急いでくるね~。」

 

あと信号2つで一夏に会える…!

 

 

 

~束side~

「ただいまー。」

「おかえりなさい。」

「箒ちゃんはー?」

「箒なら寝てるよ。起こしちゃ可哀想だから静かにお願いね。」

「はーい。」

 

箒ちゃん…あっ。

 

「お母さん今日アルバムってどこだっけ?」

「アルバム?全部押入れに入ってるけど…どうしたの急に。」

「ちょっと宿題が出たから見ようと思って。」

「どう使うかはわからないけど…稽古に遅れないようにね。」

「はーい。」

 

確かあの時撮った写真があるはず…。

 

「あっ、あった!」

 

家族や友達との写真とは別の…2年生の夏休みにキャンプに行ったときから撮り始めた星の…宇宙関係の写真のアルバム。

 

「確か去年の6月19日だから…。見つけた。」

 

女性宇宙飛行士が地球に帰ってきてから講演を開いたときの写真。『性別という壁を超えて宇宙から見た地球は美しかった。』『星も地球から見るのとはまた違う見え方があった。』って言ってたっけ…。

それに宇宙服も完全じゃないとも言ってたし…。

 

「皆が安全に宇宙に行けるような物を作ったみたい…かな…。」

 

まだ誰にも言ってなかった『宇宙』への夢…。行くのかも観測なのかも決めてなかったけど…。

 

「お父さんやお母さんや箒ちゃん、あーくんやちーちゃんと行けたらきっと楽しいよね!」

 

今決めた。誰でも宇宙に行けるようなモノを創る!




気付いたら産まれていた一夏と箒。そして突如決まった束の夢とは一体なんなのか…。
はい、一夏と箒の登場と3人の学年とかなんかそういうのの擦り合わせに悩んでました。楽しかったです。
さて、次は頑張って早めにしますのでまた次回、よろしくお願いします。

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