東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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月夜のご奉仕

「おかえりなさい、ご飯にする?お風呂にする?それとも……」

「たわし?」

「そうそうたわし……って、そんなわけないわよ」

「俺からしたら、お前が居る方がよっぽどビックリなんだけどなぁ」

午後6時50分、夕飯の仕度をしようと家に帰ってみると目の前に月夜が居た

この女はなんていうか、神出鬼没って言うかなんていうか

「そこは、気にしたら負けよ」

なんていっているが、俺の部屋の窓は開けっ放しだからなぁ

正直、換気はしたいタイプなので開く窓はいっぱいあるし

どこから入ってきたかなんて検討もつかないねww

「んじゃあ、まずは風呂を頂いてくるわ」

「そう?スペシャル大サービスがあるのだけれど?」

「要らないわ」

どうせ背中流します!とかいって入ってくるのがオチだし

断ってそそくさと風呂に入って、湯船を見る

 

すると、漢方薬のような、優しくほろ苦い香りがした

ざぶぅううん、と水が音を立てて体全体が温まり始める

こりゃあいいな、入浴剤でも今度から使おうかな?

なんて思えるほどいい感じだった

特に、冬場の指先の冷えがまだ残っていたので良い薬になった

頭と身体を洗ったのち、そのまま上がる

体から出る湯気を抑えるように拭いて着替えて、そのまま台所へ向かった

「あっ、早かったわね。もう出来てるけど食べる?

今日はまだ春の初めだし、大人しく鍋にしてみたわ」

「ほぅ、そういや今年はあんま食ってなかったしなぁ」

俺は白米をよそってもらうと、グツグツと音をたてる鍋の中に箸を伸ばした

熱々の白菜に葱、その間に埋もれて味を引き出す肉

白滝の透き通った身に被さる様にして乗っかる豆腐

まさに味のデパートや~~みたいな事を言いたいのを押さえつつ、俺は醤油で食べる

 

ポン酢も捨て難いのだが、どちらかと言うと醤油がいいんだ

そのまま突付く、突付く、突付く

まさに美味しいの一言しか言わせない鍋

薄茶色の鍋の中、具が踊っているように見えるくらい

それこそ、食事なんてあっという間に終わってしまうくらいだった

まぁ、鍋だったからそんなにあっさりは行かなかったけど

「ふぅ、食った食った」

「美味しかったのなら嬉しいわ」

そういって月夜はソファーに腰掛けた

「そんで月夜、お前は結局何がしたくて来たんだ?」

俺は最初から疑問だった事を聞いてみる

何時もどおりの夜這いにしちゃ早すぎるし

風呂場にもこなかったしな、お誘いはあったけど……なんて考えていると、月夜はポケットからなにかを取り出した

細い木のような物、その先は曲がっておりもう片方は白い綿のようなものが……

「……耳掻き棒?」

「あたり、してあげようと思いまして」

耳掻きかぁ~~、如何わしいモンじゃないしな。そのぐらいいいよな

「じゃあ、お願いしようかな?」

俺は近づいてソファーに腰掛けると、そのまま膝へ頭を寝かせた

柔らかくて温かくて、優しいにおいがする

 

「じゃあ、始めるね」

そういって月夜が手を動かすのが、視界の端で見えた

耳の中を棒が入ってくるのが良く分かる

そのままカリ…カリ…と、棒が耳の中で動き始めた

少し加減が大丈夫か心配したが、強いわけではなくむしろ丁度良かった

しばらく模索するように動いていた耳掻きは、ある程度の形状を覚えたらしく汚れを徹底的に掻いていく

ビクッっと快感が耳から脳に伝わり、過敏な耳に「取れましたよ?」と声が掛かる

そのまま耳掻きが抜かれ、ティッシュにそれを落とすと、また耳に耳掻きが入ってきた

「気持ちいいですか?」

「ああ、凄くいいよ。誰かにやってもらうなんて久しぶりかな」

なんていって笑うと、心配そうだった月夜が少し笑った

「それならよかったですわ、ささ全部やっちゃいますから」

そういってまた直に耳掻きは開始された

カリ…カリ…と、再び音が聞こえ始める

しかし、それもまた直に快感に変わり取れていく

「それじゃあ、次は反対の耳ですわ」

「ん、ああ」

俺はもぞもぞと向きを変える

すると、目の前が月夜のお腹になりいいにおいがより強くなる

 

「じゃあ、始めますわ」

そういってまた耳掻きがカリカリと音をさせる

手前から、奥に向かって順序良く

「にしても、本当に上手いな」

「言っておきますけれど、今日が初めてですわ」

「ソイツは凄い。俺がやったらガリッとか行きそうだよ」

「蒼真は細かいのが苦手でしたわね」

なんて少し馬鹿にされながらも、耳掻きを受ける

やっぱり、奥のほうは気持ちいな……なんて思う

取っては抜きを繰り返し、左耳も綺麗に為ったらしい

すると、梵天……白いフワフワが耳に入ってきた

「ごめんなさい、使うの忘れてましたわ」

と言う声が聞こえ、全身への快感が襲う

なんていったらいいのか、形容できないほどの感触が耳をなでる

もぞもぞと動き回ったそれは、直に抜かれた

そして、そこに

ふーっと、息が、吹きかけられた

「ふぁっ!!」

「ふふふ、可愛い反応してくださいますね」

なんて言って頭を撫でて来る

だめだ、恥ずかしい。そう思って目を瞑る

けれど、だんだんと、安心してきて

なんだか、母親になだめられている様な……

 

 

「ふふっ、寝てしまわれましたわ」

月夜は笑った

そのなんとも可愛い寝顔に……

自分の物だとばかりに、笑った




耳掻きは男の夢だと思ってます
100話目はコレで飾りたかったんですww
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