東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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5000字を越すとはまるで思ってなかった
てか、流石に疲れたので切り上げた……のが幸いしたのかな?
フルで書いたら6000いったかもしれぬ


キャンピング

「慧音の奴、面倒臭いもん押し付けやがって」

俺はため息混じりに呟いた

その後ろには妖怪(人畜無害に等しい)が居る

常闇妖怪(バカブラック)ルーミア

氷結妖精(バカブルー)チルノ

歌姫鳥目(バカピンク)ミスティア

昆虫頭首(バカグリーン)リグル

猫耳少女(バカオレンジ)橙

そしてまとめ役の大妖精である

 

「なんかもう、一緒に居るだけで疲れてきた」

「なんか、すいません。

チルノちゃん達、今日はやけにハイテンションで」

大ちゃんが苦笑いしながら俺に言う

いや、大ちゃんが悪いわけじゃないんだからさ。なんて言いながら後ろを見る

「これからどこに行くんでしょうね?」と橙

「なるべく暑い所は嫌だなぁ」とリグル

「楽しく歌えるならいいなぁ」とミスティア

「アタイ知ってるよ、蛙を氷漬けにしにいくんでしょ!」とチルノ

「そーなのかー?美味しいのかー?」とルーミア

……仲いいのは良いんだ、だけどさ

「もう少し会話を成立させようぜ?」

「いつもはもう少しまともに会話するんですけどね……」

「そうなのか?」

「ええ、流石に会話も出来ないほどって訳ではないです

むしろ、今日なんでこんな感じになっているのかが不思議で」

そう言われてみると、前にルーミアに会った時は確かに成立してたような?

う~ん、わからん。

そう一言結論づけながら、俺は森の中を歩いていく

「所で、今日はどこに行くんですか?」

「んー?今日はね~キャンプでもしようかなと思ってる」

「キャンプ……ですか?」

「妖怪も妖精も、もちろん人間も家がある程度は決まってるだろ?放浪する子は多くは無いわけだ

その上で皆で一緒に同じ屋根の下、同じ釜の飯食って、一緒に寝る

小さい頃に一回位経験したい事なんだよなぁ」

「へぇ~、確かに私此処まで来た事は無いです」

「だろ?妖怪が来ても平気だし、少し人目の付かないところでって思ってさ」

そういいながら奥に進むと、川の近くに少し開けた所があった

此処は慧音と決めたキャンプ場で、昼過ぎぐらいに慧音もこっちに合流するらしい

明日は一日寺子屋が休みで、明日の昼までの一日と4時間程度、この場所でお世話になる

俺は担いできた荷物をどさっとその場に落とした

 

「それで、なにするんですか~?」

「今日は皆でキャンプをしたいと思います。

じゃあテントを張るから、手伝ってくれるかな?」

一人でやった方が効率がいい……なんて言う思いは飲み込んで積極的に動く

なんせこの子達の為のキャンプなのだ、俺がでしゃばってどうする

幸い皆乗り気になってくれたようで、俺のリュックに入ったテント道具一式を広げ始めた

このテント道具、実は通常の2~3倍位ある

説明書が大ちゃんに渡ったみたいだし、ブルーとブラックが遊んでるから平気だと思う

俺は皆が頑張っているのを遠巻きに応援しながら、近くの鉱物で料理スペースを作り始める

地面も平らに形状を変えて、それなりに楽なスペースにする

そこに釜戸を作り、調理スペースを作って器具を作る

マインクラ○トの現実版的感じがするなぁ……なんて思いながらサクサク作る

無論土で汚れているので、近くの川の水引っ張って洗い流す

最早最先端シンクぐらいの勢いだが、調理スペースだし許せ

 

さて、向こうは平気かな?と思い振り返ると大ちゃんが頑張ったおかげか何とか完成していた

子供(?)6人と大人(?)2人でも十分余るくらいの大きなテント

無論、作って貰ったのは布だけで金属の部分は全て俺製である

輝く荒無マークの金属用品、そんなロゴ作ってないけど

「お疲れ、大ちゃん」

「結構大きいですね、十分余っちゃいそうです」

「あ~~~~!!」

大ちゃんに話しかけると、近くの川でリグルが声をあげた

何事かと思い急いで駆けつけると、目を輝かせて

「此処の水、凄く綺麗!蛍がいる!」と一言

これはなんとコメントしたらよいだろうか?

「新しい友達が出来て良かったね」がいいか?

いや、それとも「そうだね、綺麗だね」と水について言えばいいか?

否、俺はリグルの肩を叩いた

「夜に一杯光って貰おうね」

「うん!」とリグルはとてもいい声で返事した

その返事を聞いて頷くと川に目を見やる

ヤゴやゲンゴロウも見えるし、メダカも気持ちよさそうに泳いでいる

アメンボがツゥーと走る水面の少し向こうの葉の影

そこには結構な数の蛍が居た

夏に入って直……いや、まだ7月上旬なのだが凄く暑い

この影響かは知らないが、少し早くコイツらは目を覚ましたようだ

いくらなんでも早すぎだと思うんだがなぁ

「えへへ~」

……まぁ、リグルが笑ってるから良いとしよう

 

俺は傍を離れて辺りを見回した

大ちゃん、ルーミア、チルノは蛙を追っ駆け回している

流石に諏訪子さまが来たら大変だからやめてくれ……なんて思っていると

その近くの木の上、そこにミスチーが座っていた

そっと隣に寄って話しかける

「どうかしたか?」

「いやぁ、歌いたくなっちゃうなって」

そういったミスチーの目線を追いかけて見ると

木漏れ日が木を川を照らし、動物が生き生きと動き回る

風が枝を揺らし、そこから奏でられるザァァという葉の音は、まさに大自然の音楽

湿った岩の苔にさえも生命の伊吹を感じる

「そうだな、さぞ気持ちいいだろうな」

「ですよね、でも歌ったら聞いた人は鳥目になってしまいますし」

確かにそれは事実だ。その紛う事無き言葉に俺は少し口を塞ぐ

でも、その間はほんの数秒。再び口を開いた

そこから紡いだのは歌。外での懐かしい歌

「まどろみ消えて~朝靄に射す冷たい光り~」

風の憧憬、外で好きだった歌の一つだ

一節を流れるように歌いきると、俺はミスチーを見ていった

「俺はミスティアの歌、聴いてみたいな」

「え……でも、鳥目に」

「そしたら、今度はウナギでも食べに行くよ

アレが目にいいこと、知ってて作ってるんだろ?」

ミスチーは驚いたような顔をしてしばし硬直したが、直に顔を縦に振った

「なら、聞かせてくれよ」

俺は決して無理強いはしないように、優しくいった

すると、ミスチーは「なら、さっきの歌を教えてください」とイジワルっぽく舌を出しながら言った

そしてそのまま翼を広げて、さっき見た綺麗な風景に溶け込んで

木々の間から、どこからともなく歌が聞こえるのであった

それに少し笑って、俺はその歌に耳を傾けた

 

「蒼真さん、お腹すきました」

「ん、橙か。お腹すいたのか」

俺は日の傾きで大体の時間を見る、ほとんど真上で確かにお昼時だ

んじゃあご飯にしようか?といってバックのなかの大きな弁当箱を取り出した

昨日の夜と今日の朝、慧音と一緒に作った弁当だ

三段重ねでおにぎりと、玉子焼きと、トマトにミートボールに……

と、なんとも美味しそうな物が山ほど詰まっている

全員に召集を掛けて、それはもう大きな声での「頂きます」

皆真っ先におにぎりに齧り付いた、丁度いい塩気

まだ少し温かい米の間からは、梅干がひょっこりと顔を覗かせていた

私鮭~とか、昆布だった~とか、嬉しそうな声が響く

俺は隣に座る橙に「美味しいか?」と聞くと

「はい、とっても」と返ってきた

所々に見える少し形が歪なものは俺が握った物だったからだ

一番最初に食べた橙に感想を少し聞きたくなったのだ

7人での束の間の食事タイム

ルーミアがガツガツ食べるのを必死で抑えながら、全員でご馳走様をする

わらわらと解散していく中、橙はもう一度「美味しかったです」と、言ってくれた

 

カエルが逃げるようにして俺の足に飛びついてきた

それを慌ててキャッチすると、ソイツは可愛らしくゲコゲコ唸る

そこに飛んできた氷塊を俺はがしっと掴んだ

……滅茶冷たいわ、コレ。夏でも冷たいわ

「ちょっと蒼真、邪魔しないでよ!」

「チルノ、一回落ち着け。

お前に取っちゃ遊びでも、カエルにとっちゃ洒落にならねぇから」

「え~、でもアタイよくやるよ?」

「おまえなぁ、突然捕まったらどうするよ?」

そういって俺は土で格子を作ってチルノを捕まえる

無論土だから耐久性は良くないが、居心地が悪い事を伝えるには丁度良いだろう

「……なんかヤダ」

「だろ?されて嫌な事はしない。

それが思いやりの気持ちだ」

「……蒼真がそう言うんだったら、氷漬けにするのは止めるよ

普通に追いかけるんなら良いんでしょ?」

「ああ、好きなだけ追っかけろ」

俺はそういってカエルを勢い良く川に放した

ばしゃばしゃと慌てふためくカエルをチルノが追いかけていく

『ありがとね』と、どっかの神様がお礼を言ってくれた気がするよ

 

「なぁ、蒼真ー?」

「なんだい、ルーミア?」

木陰で本を読んでいるとルーミアが声を掛けてきた

「蒼真って別の世界から来たのかー?」

おいおい、また難しい話をしだすなぁ

一応あっているので肯定する

すると、目がキランと光りがっつく様に言った

「どんな物が美味しいのかー?」

神のごとき速さで納得した。コイツは完全に食べ物目当てだ

……でも、だからってこの話を棒に振るわけには行かない

なんせ、少し難しいような話を振ってきたんだから

「そうだなぁー、肉まんとか美味しかったぞ?」

「どんなんなのだー?」

「熱くてお肉が入ってるふっくらした白い食べ物だよ」

「食べてみたいのだー!!」

主にお肉ってワードに過剰反応してる感丸見えだが、興味を持ってもらえるのは嬉しいかな

「今度、紫に頼んでみようか」

「いいのかー?」

「うん、まぁアイツの気分しだいだけどね」

そういうと、楽しみにしてるのだー♪と言って、笑いながらチルノ達の方へ飛んでいった

興味を持ってもらえるのはいい事だなぁ、なんてシミジミ思ったよ

 

「蒼真、遅くなって悪かったな」

夕暮れ時、少し荒い息をした慧音がキャンプ場に現れた

「そんなに急いで、怪我しなかったか?」

あぁ、大丈夫だ。なんて慧音は笑いながら言う……が

俺はその右腕を掴んで、袖を少しまくった

其処には蚯蚓腫れみたいになっている、少し赤いところがあった

「ほら、枝で擦ってるじゃないか」

「うぅ、分からないと思ったのになぁ」

なんて言う慧音を尻目に、バッグから少し消毒液を出して消毒した

少し染みたのか慧音は目を瞑った

流石に絆創膏を使う程ではないが、少し切れているから、まぁ念のためだ

「それで、皆はどんな感じだ?」

「ああ、今は少し昼寝タイムだ。

もう直したら起きるよ」

「いいのか、今寝てしまって?もう3時過ぎだぞ?」

「あぁ、なら丁度良いよ。」俺はそういってバッグからあるものを取り出した

「それは……昨日言ってた?」

俺は頷いた。この右手に握られているのは『線香花火』

無論特注、振り回さないように注意しなければならないが、やはりコレは風物だろう

「それで、慧音は持ってきたか?」

「あぁ、カレーの材料か?

ちゃんと持ってきたぞ、皆に作らせるんだったよな?」

「ああ、こういうところだと皆で作った方が格段にウマイからな」

俺は慧音と見合って笑うと、近くの木陰でしばらく話し込んだ

やがてリグルが起き、大ちゃんが起き、最後に橙が起きて皆がそろった

じゃがいも人参お肉とルー。今日の具はコレだけである

玉葱は入れないし、肉は豚肉だ。ちゃんとそこら辺も考慮しなきゃならない

「じゃあ、みんなでカレーを作ろうか」

そういって包丁とまな板で、野菜を切っていくが

やたら小さかったり、大きかったりなんか凄い事になっていく

野菜の皮は散乱するし、ルーミアは生肉食いかけるし

散々になりながらも、入れるタイミング等を頑張って調整して丁度良く出来た

 

「せーの」

「「「「「「「「頂きます」」」」」」」」

八つの声が重なって、夕飯が始まった

香ばしいカレーの匂いが当たり一面に広がる

それに釣られて近づいてきた動物には相応の野菜スティックを差し出し

8人+aの楽しい食事となった

俺の後ろで兎が人参齧ってたり、鈴虫がきゅうりに群がってたり

そんなこんなで食べていったら、あっと言う間に無くなった

「なぁ、慧音。俺12人分くらいだったと思うんだが?」

「あぁ、私はそれよりも多いと思うくらいだが……」

横目で口元を茶色く濡らすルーミアをそろって見た

「ルーミアを舐めてたよ」

「でも、いいんじゃないか?平気だろ……多分」

「まぁ、良いか。よし、皆せーの」

「「「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」」」

パチンと手を合わせる音が響いた

お皿を重ねて、慧音が洗っていく

俺はその間にリグル達と蛍を眺めた

黄色く光る蛍たちは、いつぞやの夜を思い出させてくれる

ぐるぐるまわったりと暫く飛んでいたが、リグルが言うに皆疲れてしまったらしい

しかし慧音が丁度来たので、俺はそのまま線香花火を配った

「全員持ったか?」

「大丈夫だと思います」

「わかった、振り回しちゃ駄目だからな?」

そういって俺は順番に火をつけていく

ボウゥと灯った炎が、チチチチチと勢い良く火花を散らす

赤く黄色く、時にオレンジに……それはもう鮮やかに

全員の瞳にその明るい光りが映って、凄い綺麗だと思った

慧音先生でさえ見とれるのだ、綺麗じゃないわけが無いよな?

五月蝿かった一日だけど、最後はこうして静かに花火を見て

月が笑ってくれて、星が瞬いてくれてよかったと思う

そんなことを頭の片隅で思いながら、燃え尽きる最後の一瞬まで

ただただ、線香花火を見つめていた

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