東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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今回は頭がこんがらがると思います


『獣』

「俺が狙われてる……ねぇ」

自宅の裏にある小屋。

その中で猫を撫でながら俺は一声漏らした

此処は一種の保護施設。

庭は自然界と同じように豊かにしてあるから生物が生きていける

それを利用して最近、動物を保護するようになった

三日前のあの影の一件は、この幻想郷に住まう全生物に訪れていたらしく、傷ついた生物が数多かったのだ

地底だった事が幸か不幸か、地霊殿の4人と共に彼方此方を回って生物保護をしていたのだ

リグルにも蟲の看病を手伝ってもらって居たりしたが、やはり蟲はもろいらしく死んでしまうものが多かった

また蝶などの争わない蟲は、生命力を吸われたのか直に羽根を散らしていった

 

「すーすー」

「うーん……むにゃ」

猫を抱きかかえて寝るさとり

その隣で烏を抱えるこいし

無論、その猫と烏は燐と空だ

可愛らしい寝顔を横目で見て目の保養をしながら手元の猫を撫でる

にゃあ……なんて目を細めて猫は鳴いた

気持ちいいらしい、そいつは良かった

俺は喉元を少し擦るように撫でながらまた「影」について思いを寄せる

何を隠そう、俺はあの禍々しいオーラに見覚えがあった

夜天……いや、月夜に似ているのだ

やつの方がもっと禍々しいけど、1人と一匹。それから同じような気を感じて仕方が無い

「……紅偽」

俺は噛み締めるようにもう一声漏らした

にゃん?と猫が不思議そうにこちらを見る

なんでもないよ、なんて分かるかは知らんが言いながら俺は再びなで始める

他に居る動物達も、今はおねむの様で尽く寝ているのだがコイツだけは一向に寝てくれない

真っ黒、それはもう黒光りするくらいの濡れたような毛並み

猫って言うのはそう簡単に心を許したりはしないはずなのだが……

コイツは、コイツは一体、俺に対して何か……?

 

「うっ、うぅぅ。おはようございます」

考えていると唸るような声をあげながらさとりが目を覚ました

動いたせいで居心地が悪くなったのか、お燐も一緒に目を覚ます

「おはよ、っつても今は昼だけどな」

「そうですね。ほらお燐、さっさと戻りなさい」

「にゃん」

そういって黒猫は可愛らしい赤髪の猫少女に変身する

「おはようございます!蒼真さんっ」

「おはよう、お燐」

寝起きだからおはようでいいのか?なんて変な所に頭を寄せる

さとりは首を横に振ってわかんないみたいなジェスチャーをした

「ん?蒼真さん、その猫は?」

「どうしたお燐、知り合いか?」

にゃん、にゃにゃにゃ。

「「え!?」」

猫が何か言った直後、2人は凍りついた

俺には何がなんだかさっぱりわかんねぇ

「なっ、なぁ。なんて言ってんだ?」

「そっ、それがですね……

 

 

 

俺は妖怪だって」

俺は耳を疑った

猫が妖怪?いやいや、目の前に妖怪は居るよ、猫の妖怪がちゃんと

でもさ、この子までもが妖怪なの?

そう思って俺は猫に目をやる

にゃあ!

「久しぶりだな、って言ってます」

「どっかで会ったことあったっけ?」

にゃにゃ、にゃああ!

「かつての戦友を忘れるとは、お前も堕ちたな。だそうです」

戦友?戦友ってこの猫が?

猫の機獣を作った覚えはないし、なにしろ機獣を破棄したことも無い

大体やつらは金属だ

猫と一緒に戦った?俺が?いつ……

ににゃ、にゃっ!

「まぁ、無理は無い。この姿で会うのは初めてだ。って、そろそろ自分で喋りませんか?」

さとりが通訳に痺れを切らしたらしく、言った

 

途端、猫が黒い煙に包まれた。

ただならぬ魔力と妖力。ただ純粋な殺人衝動の塊。

そんな感じがして、俺は4人を背にとっさに身構えた

「反応良好、堕ちるとこまで堕ちたわけでは無さそうだが……平和ボケしてんな」

目の前の暗幕から、一匹の猫……いやさっきまで猫だった生物が姿を現す

頭の中で全てが繋がって、俺は笑い出す

「はははっ、お前か。喋り方も変わったんじゃないか?」

「さぁな、俺が俺であること。これが揺るがない以上、あの時と何も変わらない」

「蒼真さん、本当にお知り合いだったんですね」

「ああ、今やっと思い出したよ」

俺は脳裏に焼きついたあの姿を思い出す

自分の手……その鋭い十指と強大なエッジ

あの瞬発力と圧倒的な力の塊

「まさか猫だったとはな」

「月夜の趣味だ、俺がなりたくてなってるわけじゃない」

そういってやつは体を振るわせた

脈打つ赤黒い肌、鋭い爪と牙

腕に螺旋状に巻きついたエッジ

獣。俺の脳が、直感がそうつげていた

だが、一つの気がかり。それは昔、夜天が自分が獣であると称したことだ

「なぁ、獣。お前は夜天じゃなかったのか?」

「寄生する人間と、月夜の考えによって、本質は変化する。

元は一緒だが、独立はしてる。ただ、俺のことを月夜が気に入って(半場邪魔だったらしいが)具現化した、ただそれだけだ」

「そうか、じゃあ夜天は直接的には獣じゃなかったのか

「ミッド・ナイト・エッジ。半場ふざけてつけられた名前だがな……

久しぶりだ、蒼真」

赤黒い獣は、そっと俺の近くに寄った

その頭を、俺は撫でる

しばしの間、俺は旧友との再会を喜び懐かしんだ

 

 

 

「にしても、いつから猫になったんだ?」

「夜天って名乗ってたムーンが倒れた辺りだな

その後、森で襲った妖怪たちは旨かったぞ」

「勘弁してくれ」




頭がこんがらがる方が多いと思いますので補足


蒼真→蒼真によって出来た人格(獣)    別人格であり、猫にして飛ばした

月夜→蒼真に取り付き、紅偽と半一心同体  コレが本来の月夜、自分が獣に摩り替わるために
   になった状態(夜天)        猫にして飛ばした。それ以降は紅偽が獣を発動                     させないように心を動かしている
まぁ、裏設定です
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