東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

111 / 150
告白

此処は森の奥、古めかしい一軒家が建っている

隣の猫が、玄関に向かって言った

「おい、ムーン」

反応は直だった、玄関が開いて中から人が出てくる

「蒼真?ってエッジ!久しぶり~~」

ゴスロリ風の服を着た少女が隣の猫に抱きついた

やっ、やめろっ!などといっているが、言葉の割には大人しい

暴れているというよりかはあやされていると言った方が正しだろう

 

「それで、どうしたの蒼真?」

「いやな、エッジがお前に会いたいって言うからさ」

「いっ、言ってない!断じて言ってないぞ!!」

そういって慌てたように首を振り出すが、微笑んだ月夜に抱き締められて動きが止まる

口ではそういってても身体は正直、なんてそれこそ同人誌にでも出てきそうな言葉だが

まぁ、実際そうらしいな

「蒼真はどうだった?エッジに再会できて」

「ん、俺は矛盾したような感じがして頭がこんがらがったよ」

「それは仕方がないことよ、夜天がそう仕組んだんだもの」

やっぱりか、なんて俺はつくづく思った。

アイツの計画性は凄かった、それこそ何年も計画してたんだろうな……

なんて、思いふける俺を見て月夜が言った

 

「……でもね、最初は違ったの」

「ん?」

「最初はね、人間を怨んでいたわけじゃないの

私の本質は人のお願いを聞き入れてあげること、言わば一つのお星様

それを束ねるみたいだからって、私の名前はムーンになったの」

幾重の星を束ねるように光る月、真夜中の淡い月か

「でもね、最近は強欲なお願いが増えだして……

昔は「なりたい」とか「してみたい」「行きたい」って言うお願いがたくさん来たの

でも、「金」「彼女、彼氏」なんて欲が増えだしたの」

近年、お金と言うものは重要性を増したと俺は思う

お金は確かに大切だ、けれどそれは夢や家族なんかの大切なものを護るための物

小さい頃、漫画でそう教わった

「そこを、そこを……私は逃れたい一身で……」

「おっ、おい。月夜?」

途端月夜の目が潤んだ

大粒の水……涙がぽたぽたと落ちていく

俺は慌てて月夜の手を握った

「ムーン、辛いなら言うな」

「ううん、言わなきゃいけないの

そこをね、私は闇に付け込まれてしまったの。

やつは私に言ったわ『可哀相な、人間はお前に酷い仕打ちをしたのだな大丈夫、私は味方だ』なんて

今考えると奴を信じた私が馬鹿だったのよ、奴は人類を滅ぼす事しか考えてないわ」

「奴……影の一件の主犯か?」

俺の声に月夜は頷いた

目からは更に大粒の滴が落ちていく

それでも、彼女は話を続けた

 

「可哀相な双子がいる、奴らの心には無意識の闇が埋まっている

探し出して共に、争いの無い世界を作ろう……理想を語る様にやつは言って私は動いた

蒼真の事は直見つかった、そして奴の言うように私は貴方に取り付いたわ……そして」

「ムーンは、夜天に意識を乗っ取られたんだ

仲介をしていた俺も消されかけて、危うくムーンが逃がしてくれた

夜天が消えた後も、根は残っていて次の少女に取り付いたよ」

俺は辛そうに語る二人に絶句する

嫌い、憎んだ敵でさえ本当の闇に飲まれていたのだ

身勝手かもしれない、それこそ敵の事情が知れた途端手のひらを帰す兵士の様に

けれど、俺は激怒するしかなかった

 

「……その犯人は誰なんだ」

「私たちも良くは知らないわ、辛うじて覚えているのは名前くらい

ロスト・コスモス。奴はそう名乗ったわ」

失われた宇宙……果てしなく続く漆黒の闇の中

冷たく凍りついた闇のイメージが、名前を通じて心に纏わり付いた

「ごめんなさい、私のせいで」

「いいんだ、月夜は悪くない。

操られていたんだから」

俺は慰めるように言った途端、月夜は目を瞑って首を振った

見かねたような、呆れたような……けれど辛そうなエッジが言う

「もう一つ、重大なミスを我々は犯してしまったんだ

 

 

……紅偽の魂は今、奴の手の内にあるんだ」

頭に衝撃が走った

全身が凍てつくような冷たさに襲われる

心の芯まで凍って、もう二度と溶けないくらいの嫌悪感に思わず身体を振るわせる

「紅偽が……?」

「ああ、確かだ」

エッジはあくまでも冷静に事を語ってくれた

夜天を切り裂いたあの時、紅偽の首には既に闇の枷が嵌められていたという

それは、そのまま冥府をも通り越して果てなく続く闇の牢獄へと引きずり込んだ

今も、紅偽へなんらかの拷問が行われている可能性が十二分にあるそうだ

体の全身から力が抜けていくのを、俺は肌で感じた

そしてそのまま、俺は地面にへたり込んだ




はい、というわけで儚愛世界、ちゃくちゃくと進ませていただいています
本日、小さいノートを発見しましたので、ネタを書きとめて話のペースアップをたくらんでおりますww
感想、挿絵のリクエスト等ありましたらお気軽に
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。