東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

112 / 150
I love 獣っ子です
異論は認めないからな!!!


賢将様のお力

「こんにちはー」

俺は人里近くの寺に声を張り上げて入った

無論其処は命蓮寺、聖が率いる人妖平等の世界である

まぁ、この幻想郷自体がある程度の秩序をもったそれであるのだが

中では何人かの門下生達が修行染みた事をしているが

「馬鹿にしか見えん」

隣の猫は俺の心を読んだかのようにそう言う

いや、太極拳だのなんだのやったってそれが本当の強さかは別

それが他人から教わるものならもっともだと思うのだ

「そういってやるな」

俺はそう静しながら寺の奥へ進む

 

今回此処に来た理由、それは単なる逃げであった

月夜と猫の話す俺と紅偽、そして闇の因果関係はもの凄く複雑だ

それこそ俺らの生まれる前、原爆との関係性まで主張し始めるぐらい

正直、話を聞いていてもはいそうですかと納得できるほど簡単なものではなかった

多分、必死でその内容を纏めるなら、それはとても時間の掛かるものに為るだろう

それこそ日が暮れるほどの

だから俺は逃げに来た、つーか出来たら纏めてほしいななんて願望も持ちながら

敷地内を歩いていると、足に3びきのネズミが擦り寄ってきた

手を差し伸べると抵抗する事もなく手の上に乗ってきた

両手で作ったお椀に鼠色のもこもこが敷き詰められ、寝たのか直に動かなくなった

「ネズミか、不味そうだ」

「お前がゲテモノ好き過ぎるんだよ……いや、妖怪だから仕方が無いのか」

俺は1人で納得する、妖怪からしてみたら俺が変なんだな

……なんか1人で不快になりながらも俺はネズミを眺める

するとどんな情報網が張ってあるかは知らないが、直に主人が来た

「蒼真か、うちのネズミがパッと消えてしまってね、何事かと思っていたんだが」

「足に擦り寄ってきてたけど、俺はチーズなんて持ってないぞ」

「いや、私が仲良くする人にはその下も仲良くなる。

上下関係上普通の事だろう?」

まぁ、そうだね。俺からしたら持ち帰りたい位なんだけどな

なんて思いながら俺は三匹の背を撫でる

身体を震わせて瞼を開けた三匹は、直にナズの手元に戻っていった

 

「さて、今日はどんな用だい?また、デートにでも誘ってくれるのかい?」

「いやぁ、ナズとだったら毎日一緒でもいいんだけどね。今日は賢将様のお力を借りたくてさ」

ナズは腕組をしてふむ、と頷くと直に今へと案内してくれた

薫る樹の卓袱台に紙と筆を置いたナズは、直に俺を見やった

相変わらず驚かされるのは、力を借りたい。なんつー言葉だけで『探し物』か『考え事』か言わなくても正しい判断をしている事だ

「それで、どんな世迷言がでてくるのかな?」

「いやね、俺とその周辺の関係図を書いて欲しいんだよ」

「関係図?そんなにもややこしい物なのかい?」

俺は無言で頷く、もしも誰かに伝えようとしても伝わらない自信が俺にはあるね

「そうか、じゃあ君なりの文で話してくれるかな?」

「ああ、わかった」

そういって言われたとおり話し始める

主な内容としては

・俺と紅偽の関係

・月夜と夜天、猫の関係

そしてその裏に隠れた話だ

ナズは紙に走り書きのようにそのメモを施していく

……大体10分ほど話しただろうか?

その紙を見ながらもう一枚の紙へ、より纏めて書き上げていく

作業には5分も掛かっていなかった

「こんな感じでどうだろうか?」

差し伸べられた紙を俺は手に取り、目を通す

 

『蒼真と紅偽は双子であり、一つの身体に人格を二つ共有していた

其処にロスト・コスモスなる者の意図によりムーンが差し向けられる

彼女は蒼真に寄生し、その情報を探る際に自身の能力により二つの人格が形成された

蒼真よりのエッジと、紅偽よりの夜天である

この2人は、言わば仲介の役を果たす物でありそれぞれの心の内を探る事が出来る

しかし、紅偽はとうに死んだ身でありその影響を一身に受けた夜天はムーンの意思に反して暴走

ムーンはそのまま押さえつけられてしまう

夜天の暗躍により、エッジも蒼真とのコンタクトが難しくなりムーンの意図によって生物として排出される

紅偽は迷惑を懸けたくないという一身で夜天に協力を依頼し、それによって紅偽も夜天に押さえつけられてしまう

そのまま蒼真おも取り込もうとする夜天であったが、紅偽の邪魔が入り制裁される

しかし、その闇の根本は押さえつけられたムーンへと乗り移りメアとして活動を再開

一個人の力より、多くの絶望を吸収しようとしたが未華の思いやる心によりムーンは意識を取り戻した

その失敗を受けてか、今回ロスト・コスモスが紅偽を捕らえたのち影の衛兵を使って幻想郷ごと攻撃を仕掛けた』

 

まるであらすじの様にまとまった内容である

慎ましい胸を張るナズが可愛い……のは置いて……置けないが一度話を戻す

「ありがとう、ナズ。大分内容が掴め始めてきたよ」

「ふふふ、軽いものさ。

さて、今度お礼としてデートに連れて行って欲しいかな、」

赤く頬を染め上げて言うナズ、コイツ俺に気があるな?的状況だが

あくまでも『お礼』としてなので気にはしないことにする

なにより今の関係を壊したくないしな

「いいよ、次は何処に行きたいか考えておいてよ?」

「わかった、30箇所ほど探しておくよ」

多いわ、なんていいながらナズを撫でる

俺の目には女の子と言うよりは愛らしい先輩と言うか、愛娘ぐらいに見える

でも、やっぱり好意っていうのは悪くないものだな

灰色の少女をなでくしゃりながら、俺は熟そう思った




獣じゃなくても魔法使いや、焔の蓬莱人や河童は好きです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。