ニコニコバンザイ
---幻想郷、河童研究所ーーー
「よっ、にとり」
「ん?蒼真か、久しぶり」
久しぶりって程でもないだろ、なんていいながらにとりと笑う
今日の用件は、幻想郷でも初めての試みかもしれないものだ
そしてそのゲストとして今日、俺が呼ばれたのだ
まぁ、作ってみたら?と促したのは紛れもなく俺なのだが
「それで、機械は?」
「椛達が色んな所へ持って行ってくれてるよ
スキマ妖怪がそーらーぱねる?なんて言うのを持ってきてくれたから、昼間は電気も問題ないし」
今回のこのプロジェクトは妖怪の山総出で行われている
文々。新聞でもだいだいと取り上げていて、こちらとしても期待は増すばかりである
てか、初出演に協力する辺り、プレッシャーが凄い
「私もたっぷり取材してきました!抜かりはありません」
「おっ、文。お前のトークには期待してるからな」
「お任せくださいな、楽しくやらせていただきますよ」
「2人とも、本番まで後10分だからな」
了解っと俺はにとりへ敬礼してから、近くの急須でお茶を入れさせてもらう
それを一飲みしてから、俺は機器類々がそろう見慣れない部屋へ向かった
マイクと椅子が3つ、原稿とメモが机に並べられている
その上に付いているプレートには……
「本番1分前です、席についてくださいー」
「了解しましたー」
俺は端の席に座り、既に中にいたにとりと文も席に着く
防音室にガラス越しでカウントダウンが始まる
5…4…3…2…1…0…
目の前のマイクが赤から緑に色を変えて、機械室から音楽が流れ始める
風神少女のサビである
それが5秒ほど流れた後、文とにとりが声を重ねて叫んだ
「「天狗と河童のミラクルラジオ~~」」
ガラス越しに流れているよサインが伝わる、機械は正常のようだ
「夏の暑い時期、畑仕事を頑張っている皆さん、勉学に勤しむお子さん方、こんにちは~」
「皆さんに、一時楽しんでもらう為に情報番組を始めさせていただく事になりました!
最速天狗、新聞記者の射命丸 文です!」
ハイテンションな文の何時もどおりの親しい話し方でラジオは幕を開けた
それに継ぐようににとりが喋り始める
「機械大好き、エンジニア河童のにとりだよろしく
今日は最後まで、楽しんでいってくれよな!
さてさて~、今回はラジオを企画してくれたスペシャルゲストを招待しているぞ」
「まさに初回に相応しい方です、どーぞっ!」
物凄く高鳴る心臓を押さえつけて、俺はすっと息を吸い込んだ
「えー、村の人達に神社、お寺にも届いてるのかな?
蒼真でーす、今日はよろしくお願いします」
「蒼真さんですよ!皆さん、今日は一緒にトコトン話していきましょう!」
「このラジオは、妖怪の山の提供でお送りします」
お決まり文句が初回として出揃った所で、いよいよオープニングトーク
此処から先の事は半分以上が原稿に無い
ほぼアドリブで続けていくのだ、正直心臓の鼓動がマイクに拾われてないか心配だ
「さて、初めてと言うことでこのラジオの主旨を説明させていただきますね」
「このラジオは、幻想郷で起きた出来事を纏めたり、相談、質問を受けたりするものだ」
「まぁ、初めてですから、拙い所は流してくれると嬉しいです!
所で蒼真さん、実はですね主要の方達から既にアンケートを受けておりましてですね」
……聞いてない、聞いてないよ、アドリブだけどさ
仕方ないけど聞いてないよー
「じゃあ、最初の質問いくぞ?
文さん、にとりさん、蒼真さん、こんにちは」
「「「こんにちはー」」」
「今回、匿名で蒼真さんに質問が出来ると言う事で、参加させて頂きました」
匿名か、誰か分かるかな?わかんなかったら苦悩するんだけど
「蒼真さんは好きな人は居ますか?……だそうだ」
「ちょちょちょちょ、ちょっと待て。
最初の質問ぶっ飛びすぎだろ、書いた奴誰だ」
「え、え~と……白玉楼の庭師さんだ」
妖夢だ、間違いなく妖夢だ
「わっかりやすい名前ですね~、それで蒼真さん、どうなんですか?
好きな方は居るんですか!?」
「やけに迫ってくるなぁ、まぁいいけど
友達としてならたくさん居ますが、将来のって言う感じの方は今居ません」
「「本当ですか~~?」」
「ほっ、本当です。嘘なんていわないって」
「どう聞いても嘘っぽいですねぇ~~本当は居るんじゃないですか?このこのっ!」
「ハハハ、まぁ可愛い子からアタックされたら、付き合っちゃうかも知れないですけどね」
「聞きましたか?皆さん。蒼真さんが好きな方はチャンスですよ~」
文がすんげぇテンション高くて流されそうだ
いや、このテンションでやり切れるんならいいんだけどさ
「まぁ、色恋は置いといて、次の質問だ
雨雲色さんからの質問、近々殿方とデートの約束があるのだが、何処に行ったらいいだろうか?」
「おおっと、また色恋ですねぇ~。蒼真さんは何処がいいですか?」
「うーん、俺は2人きりで釣りでもしてたいかな。
笑いながらいい空気すって、釣った魚食べてなんかしてさ」
「2人きりって、いいですよねぇ
私も良い人と一緒に、2人だけの散歩がしたいものです」
「私は、機械一筋できたから、そういうのは良くわからないよ」
なんてにとりがそう言う
そこにすかさず文が「とかいって、居るんでしょ~」なんて探ろうとして、ちょっと痛そうな音が響いた
始めてみると案外楽しいもんだ、アンケートもいっぱいあるし
そんなこんなで昼2時から一時間半、質問に答えつつ雑談をして
第一回、天狗と河童のミラクルラジオは幕引きを迎えた
その後に発行した文々。新聞には、ラジオへのアンケート用紙を同梱したらしいが
翌日、いろんな方への質問手紙が殺到したらしく、ラジオは一夜にして幻想郷のお昼になり始めた
一週間に一度、日曜日の放送と言うものを決めていたのだがこの分だと増やしても良いかな?なんて言っていた
どちらにせよ、幻想郷に娯楽が溢れたのは確かである
また、次回の出演依頼がまた来たのもさることながら
ゲストではなく、MCとして参加してくれと言う意見が多かったらしい
この後妖怪退治屋兼、金属製品屋兼、臨時教師兼、ラジオMCと言う仕事には困ら無そうな職業になるのだが
それはまた、別の話である
書いてて楽しかったけど、読みやすいかは別である