東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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この前、自宅付近で花火が上がってたんですよ
風鈴、蝉、海、花火
やっぱり、風物詩は見て嬉しいものばかりですね


天鉱火祭

夕暮れの7時ごろ、釣りを終えた俺とナズは村を訪れる

そこには、活気が満ちていた

幻想郷総出で行う祭り『天鉱火祭』

無論、俺の性で出来た祭りだ

たくさんの屋台からは美味しそうな匂い、子供の喜ぶ声が響く

ナズに着物になってきてくれるかい?と自分の趣味全開でお願いして

俺はその待ち時間に屋台を軽く回った

店をやるおっちゃん方はいつもより張り切っていた

「おう、蒼真。今日はよろしくなー」と、色んな所から声が上がる

祭りの名前の由来は昨日のラジオの原稿に書いてあったから良く覚えている

天を駆ける鉱物妖怪が火の花を咲かせた日

誰が語呂合わせのように名前を決めたのかは知らないが、此処に着てからの夏

毎年花火をあげていると、いつの間にか皆それにはまり込んでいたらしい

いやいや、嬉しい限りではあるんだがーーー

 

「蒼真……、その荷物は?」

「あ、あはは」

俺の右手と左手に、焼きソバや焼き魚、蒸しじゃがいもなど様々なものがぶら下がっている

おっちゃんがたのご好意に背けなかったためだ

いやまぁ、呆れ顔でも可愛いナズが見れているからいいんだが

「こうしてるのもなんだし、食べようぜ?」

「そうだな、頂ける物は頂いておくよ」

そういってナズは俺の荷物の中から焼きそばをとって、食べ始めた

俺も焼き魚の腹に齧り付く

柑橘類の味が、なんとなく口に広がった

「美味しいな」

「村総出だからね」

俺は指をバチンと鳴らす。庭から7つの影が走り、月の前を横切った

俺とナズの目の前に座る機獣シリーズ。

その朱雀の上に、ナズに手を伸ばしながら乗ると、7匹はそのまま空へと飛んだ

地上から2~30mも離れていないだろうか?

屋根が近く、提灯の明かりだけでも村の人の顔が良く見える

何人もの子供達が「あー、先生だー」「蒼真せんせーだー」なんていいながらこっちを見ている

その中には、友達と4人で来ている未華の姿もあった

朱雀の背に立ち、小さくけれど届くように……俺は声をあげる

「今日は天鉱火祭という事で、とことん楽しんでいって欲しいと思います

それではみなさん」

右手に持ったガラスのコップに並々のビール

下のおっちゃん共が、休憩用の酒を屋台の屋根に届くかと言うぐらい高々と上げた

「乾杯ッ!」

「「「「「かんぱーーーい!!」」」」」

一斉に小麦色の物が喉の奥へと消えていき、やる気の炎が灯る

「馬鹿ばっかりだな、男と言うのは」

「だから楽しいんだろ?」

「それもそうか」

後ろにいたナズに身体を向けて座り込む

其処に広がったもらい物の食べ物と飲み物。

俺は食べかけの焼き魚に手を伸ばした

 

 

夜、八時。7の獣は夜の闇へ咆哮を放つ

我、気高く舞う焔の鳥に乗りて、月下の民衆を見守らん

宙に浮く300、200ばかりの暗い塊が少しずつ火を焚き始めた

豪快な音と共に、月の光りも霞むほどの

淡き儚き色の花が、宵を明るく彩りたる

ひとつ、ひとつ。どれをとおても拙く

また、同時に美しい

 

……真っ黒な着物を羽織った月夜が俺とナズの目の前に現れる

「月夜か」

「私にしては、十分良く出来た歌でしょう?」

「今の言語なのか昔の言語なのか、混ざりいれるのも程ほどにな」

ナズがきっぱりと言い放す

それに、良くは見えないが月夜の目が大きく釣りあがった

「……まだ、7時40分くらいなんだよな」

まぁ、いいか。なんて思いながら喧嘩を止める事も兼ねて

一つ。赤い花を咲かせた

ドーーーン……一つの音に動いていた民衆の誰もが足を止める

黄色、緑、青、橙、黄緑、白。様々な花が夜の帳に咲き乱れる

その周りを楽しそうにして踊る機獣達

水のレンズで光りを万華鏡のようにしてみたり

燃える炎をそっと氷で包み込んだり

一陣の風が、炎を纏う火柱のようになったり

幾重もの稲妻が火をなぞり花を咲かせたりと

意思を持った個々の生物達は、火に見せられ、人に見られ

感嘆を表しだす

「朱雀、お前も行って良いぞ」

ナズと月夜を両腕で抱えて空へ駆る

それと同時に、より大きな向日葵の花が咲いた

「凄いな」

「ホント……全部蒼真1人で?」

鉱物を使ってやってるから、他人には教えようがないし。出来るのは本当に俺ぐらいだろ

まぁ、今日の感想は明日の天河ラジオで聞くとしよう

「さてさて、真意は置いといて

可愛いお嬢さん二人抱いて、酒のめるなんてなぁ」

俺はイタズラ半分でそう言うと、赤くなりながらそっぽを向く

同時に両頬に痛みが走っているけどな

「いいじゃねぇか、俺の伴侶は好きになってくれた人全員で

それより、今は花火を眺めようぜ?」

 

3つの影が、月を背後に、ゆらりと揺れた

 

 

「いやぁ、蒼真さん。昨日は素晴らしい花火でしたね」

「川からも凄く良く見えたぞ。綺麗だったなぁ~」

「そうでしたか?聞いてくださっている皆さんも昨日は楽しんでいただけたでしょうか?」

「きっと、楽しんでいただけましたって」

「だな、アレだけ綺麗だったんだからな」

「そう、また来年もやれるようにして置きましょうか」

俺は嬉しそうな文とにとりを見て、俺はそうぼやく

「花火も良いけど、他の行事も欲しいですね~~」

「あーあ、今度幻想郷に海でも作ろうか?」

俺は少し突拍子もなく言う

いや、不可能ではないのだ

山の土を増やして、その分のくぼ地を作り水を流し込む

たったそれだけでも、いい具合の海は作れるかもしれないと

「「海ですか?」」

「ああ、綺麗な浜辺にキラキラと光る水面。そして水着っ!!」

無論、水着が見たいって言う思いが7割だ

でも、行事の話で行くと

「スイカ割りだよなぁ」

「スイカを割るのか?」

「ああ、目を瞑ってスイカを割るんだ」

「何故目をつぶるのですか?」

 

ーーこうして、ラジオに『幻想郷の飛び入り行事企画』と言うコーナーが出来上がっていくのは

まだ誰も知らない話である

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