ずるるるるるっ
朝から雨降りの今日、空の積乱雲は一向に晴れる気配はなく
空に近いため庭には雪が少し降っていても可笑しくはなかった
憂鬱な気分を抑えつつ、再びソバを啜る
目の前の金属の塊からは、文とにとりの声が響く
今日は雨風で家から出られない人の為のトーク番組だそうだ
動物の世話があるから今日は抜けられなかったから俺は家に居るわけだが
隣の小屋の中で犬猫兎と、総勢30匹はくだらない子達が
今、身を寄せ合って蹲っている
「あー、やる事ねぇなー」
俺はシンとした部屋で呟く
返答はあるわけなく、虚しさが反響として帰ってきた
ザアアアアアアアアアアアア
ドアから、窓から、引く事のない雨音は鳴る
庭先の川も大洪水状態、草木が心配である
「凄い雨ねぇ」
「まぁ、こんな日に家に来るのは、お前くらいだろうな」
俺の真後ろ、其処には座っている紫がいた
きっと、来た理由は単純、暇だったんだろう
まぁ、お互い様っていうのが無性に腹立つんだが
「で、何かするか?」
「そうねぇ~」
紫はスキマの中に手を突っ込んだ
ガサガサと、漁る様な音が響く
ずいっ、とそのまま引き抜かれる細い腕
其処には得体の知れない液体ビンが
「お前、なんだそれ」
「幼児退行薬」
「よし、帰れ」
俺は身の危険を感じた
なんだよ、幼児退行薬っ名前そのままだし、飲ませる気満々じゃねぇか
「えー、小さい蒼真をなで繰り回したい」
「却下」
俺はとっとと自室に向かう事にする
→ 逃げる
蒼真は逃げた!
しかし、回り込まれてしまった!
「お前、なんなんだよ」
「スキマ妖怪」
「知ってるわ」
まぁまぁ、落ち着いて。一杯のみなさいな
なんて、相変わらず薦めてくる
てか、何でそんなもん持ってんだよ
なんで盛りに来るんだよ、意味わからないよ
「ホントに飲ませてどうする気だよ」
「お婿に貰う」
「うわぁーお、一回脳神経科いって来い」
治る気は粉みじんもしないけど
「面白そう!のまそー」
行き成り腕を掴まれる
俺は咄嗟に真後ろへ振り向いた
……そこにはこいしちゃんが居た
後ろから羽交い絞めにしようとしてくる
「こっ、こらこいし!蒼真さんを虐めないのっ!」
「えー、いいじゃん。無意識無意識♪」
「「自分で無意識って言う奴が何処に居る」」
「ここ~~♪」
はぁ、と俺はため息を付いた
その直後、其処に試験管が突っ込まれた
喉まで試験管が入り込み、中の黄緑の薬品が尽く喉元を流れていく
めまい、吐き気、脱力
俺は思わずへたり込んだ、こいしちゃんは直に手を離して、俺は地面に叩きつけられた
痛みは届かず、朦朧とする意識の中
視界に映るものが、少しずつ大きくなった気がした
ーーーーーーーーーーーー
その2時間後、俺は戻ったらしい
幼児化していた時の記憶は何一つない
倒れて、朦朧とした後俺は膝枕されていた
……さとりに
紫は既にどこかに行っており、こいしちゃんは寝ていた
隣の小屋で、空と燐の声が聞こえる
「さとりさん?」
「……ふぇ!?
あっ、そそそそ蒼真さんっ!」
俺を直視していたにも関わらず、返答がとても遅かった
いや、治った事にも気づいていなかったかのようだ
俺はきっと遊ばれたのだろう
あーぁ、記憶にないから何も咎められないじゃないか
俺はさとりの膝から頭を離しながらそう思った
すると、小さい手が俺のおでこを抑えて
そのままもう一度、膝の上に頭を置かれた
ピンク色の髪の毛が俺の真横まで迫る
「蒼真さん、可愛かったですよ『さとりお姉ちゃん』なんて」
瞬間、俺の体中の血が顔に集まった気がした
羞恥心。それを見るなりまた、耳元にーー
「私の膝枕、気持ちいいですか?」
その言葉で、咄嗟に其処から離れた
「言われなきゃ離れないなんて、甘えん坊ですねぇ」
ほんのり赤い笑顔が、真っ直ぐに俺へ向けられる
「うっ、うっさい!寝かせたのはそっちだろっ!」
顔が真っ赤なのは自分が一番良く分かる
高鳴った脈は、手を握るだけでわかった
「それにしても、天気が悪くて帰れそうにないですねぇー」
半分棒読みのさとりが笑いながら俺を見る
雨は、まだ酷い
「お姉ちゃん、だあれ?」
目の前の男の子は心からそう告げた
発覚させる事は、心を読める私にとって簡単な事だが
問題は別にあった
「おっ、お姉ちゃん?」
私は思わず聞き返した
男の子と関わる事なんてほとんどない
子供ならなおさら、そんな子にお姉ちゃんなんていわれて
困らないわけ、ないでしょう?
「うん、お姉ちゃん。お名前は?」
「さっ、さとり」
どうしよう、この子……蒼真は本当に覚えていない
こいしは直に何処かへ行ってしまったし
紫は……ニヤつきながら永遠亭に行ってしまったし
お空もお燐もみんな動物の世話をしに……
「さとりお姉ちゃん♪」
考え事をしている最中
その中で可愛らしい子が抱きついてきた場合
そのこが純粋な行為を向けてきた場合
心の中で『お姉ちゃん可愛い』と言っている場合
「なああああああ!!」
冷静でいられるわけがない
私の顔から、思わず火が吹き出た
一兆度の火球程の熱量
それも、宇宙恐竜に立ち向かえるほどの
私は打ち震えた
この、この……
「蒼真くんっ!」
言いようもない独占欲に
私は最早欲の奴隷と化して、抱き返した
そして、そのまま二時間
元に戻った蒼真の声で、やっと我に帰ったなんて
言える筈がなかった
一番好きなのが東方地霊殿なんですよねー
さとり、こいし、空、燐
DQのパーティーでもいいんじゃないでしょうか