東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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血と日と髪

夕焼け、茜色に染まる山々

それを受けて煌く川は、歪んだ鏡のように俺を映し出した

「……出てこいよ」

俺の一言を受けてか、とつじょ14人の人影が動いた

青と白の服装が黒いフードの下ではためく

顔には仮面を被り、微かに前髪が見える程度

まさに影の集団とでも言えるべき存在だ

「綺麗な山ん中を、そんな姿で出歩かないで欲しいねぇ」

「貴様の私情など知った事ではない、大人しくしてもらおう」

目の前の一際大きい人物が重々しく口を開いた

 

……正直言うと、面倒くさそうだ

「帰っていいですか?」

「いいわけないだろう、お前には常識が無いのか?」

「幻想郷に常識なんてねぇですよ、空と飛べる奴が何人居ると思ってんだ。

それが常識になった世界は、その世界自体非常識だろ」

「ふん、戯言を。そういうのは牢の中で話してもらおうか?」

ばっ!と太い腕が上がり、周りの黒服たちがジャラリと金属音を立てた

ある者は剣を、ある者は弓を、ある者は槍を

「それで、貴方達は誰でしょうか、名ぐらい名乗ってもらっても?」

「我々は死神だ……此処最近の事件の犯人として、裁きを下しに来た」

「酷い言いがかりだなぁ……にしても、死神か」

ーーそれじゃあ、さ。殺しちゃっても平気だよね?

どうせ生き返るし、正当防衛って言う事で

俺は久々に騒ぐ血を感じながらゆっくりと椿を抜いた

1対14。さて、何人殺せるのかな?

「貴様、抵抗する気か?」

「お前らさ、お偉いさんと繋がってたりしないの?映姫ちゃんとお話してから来いよ馬鹿」

「ふっ、ただの妖怪風情どうとでもできよう。

構えろっ!!」

「「「「「ハッ!!」」」」」

全ての矛先が一瞬で自分に向いた

 

「かかれええええええ!!」

 

頭首の一言で13人の死神が一斉に襲い掛かってくる

真っ先に近づいてきたのは剣士だった振り下ろされた剣を下から跳ね上げて、がら空きの腹を一閃する

そのまま抜けたソイツの剣を遠くの弓使いへ向けて弾いた

剣はほぼ一直線で吹っ飛んでいったが、さすが死神といった所か

その剣を腰の短刀で素早く弾き……

「馬鹿か、俺の能力も知らないで」

弾かれたように見えた剣は、空中で何かに当たったかの様に弾けて脳天一直線

結果は右頬を裂いただけになったっぽいが、2人リタイアで良いかな?

弓使いが倒れたのを視界隅で見た後、素早くしゃがんで向き直る

走ってきた三人の剣士の足を払うように剣で斬り、一番近い一人の胸を下から突き刺した

どばっと、血飛沫が顔に飛び散る

そのまま股下まで掻っ捌いて倒れこんだ一人の首根っこを落とす

泥にまみれてその表情は見え無かったが、さぞ恐ろしい顔をしていたに違いない

恐怖で歪んだ顔をね、

「お前ら口先だけか?」

俺がダァン!と地面に四股を入れると、途端無数の土色をしたニードルが容赦なく全員の足元に生えた

生温かい血の香りと、引きちぎれる気持ちが悪い音が辺りに響く

幾重にも重なって木霊する叫び声は苦痛を表現するには十分だった

土を蹴り上げれば、それは一陣の風のごとく槍となって突き刺さり

手で円を描けばチェーンが身体を縛りつけて尽く骨を折っていく

手を振れば無数の鎌があらゆる部位に突き刺さっていく

まさに地獄絵図、磔の拷問だ

 

「で、御頭さん?部下が尽く嬲られた気分はどうだい?」

「こっ、こんな力……報告書には何も……」

「ふーん、どう書いてあったのか。それは気になる所だけど

部下が死んで、頭が生き残る。それは特攻した部下に失礼じゃないかな?」

ズアッ!と十字架が現れて3つの鎖が両手両足をしっかりと繋ぎとめた

「くっ、こんな妖怪に……」

「狂乱する黒鉄。いつでも相手してあげよう、さぁ地獄で仲間に詫びて来な」

パチン!と指がなる

土色をした無数の剣が、針が、槍が、斧が。大量の凶器と狂気が宙に浮かんだ

「死神の君には相応しいだろう?」

ーー演舞 『死神舞踏会』

ゆらりと踊るように動き出す大量の凶器たちは

 

回転がらその頭へと……

 

ザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスザスーー

 

……バキャッ!

 

「はい、御終い」

「……随分と惨たらしいねぇ」

後ろから声がする

白と青の服に身を包んだ赤髪ツインテールが見える

「小町か」

「映姫様の知り合いだろ?会った事は無かったよね

やれスキマやら、やれ飛んでで渡っていくもんねぇ」

「あー、うん。無かった気がするよ」

俺はチャキンと椿を鞘へ収めた

「いやー、映姫様に感謝だなー。

議会の中でも一際荒れてたらしいし、私に『絶対戦っちゃ駄目』って念を押してきてさ」

「そっちに俺の能力はどう伝わってたんだ?」

「んー?えーとねぇ、武器を作る程度の能力……だったっけな

気弱な貧弱野郎だから平気だって言われてたんだけどねぇ」

ちらりと小町が向こうを見る

そして、その恐ろしさに身体を振るわせた

「うー、なぁアンタ」

「蒼真だ、タメでいいよ」

「じゃあ、蒼真。あれ片付けてよ、上司が死んでる姿とか見てて気持ち悪い」

ふん、だろうな。

俺は地面を一つ、大きく踏むと地面がひっくり返ってた

元よりか膨らんでいるが、死体は何一つ見えない

 

「んじゃあ小町、気分悪くしただろ?何か奢るよ」

「おっ、いいね~。じゃあ私焼き芋たべたーい」

「そりゃ良いな、行こう」

小町か、一緒に居ると退屈し無さそうだな

暫くはまた平和な日常が続きそうだ

なんて思いながら、映姫の説教苦労話を聞く

手元の焼き芋から、美味しそうな香りがする

いつもより赤く見える日の下で、俺は黄金色の芋に齧り付いた

 




小町ちゃんを出すタイミング、華麗に見失ってたので
襲われたんならまだしょうがないかなーとww
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