個人としては地味にヒントを与えたつもりで居ますww
それでは~
「うー釣れない」
釣り針を見るが、其処には何一つ無い
ただただ銀の鈎針が光っているだけだ
秋魚は旨いからと、釣りに来たのだが今日はさっぱり丸坊主
初めて二時間半、いつかの東方曲が無限のリピートを繰り返す
水面は揺らいでも魚は釣れない
風の輪が開いても釣れる訳じゃない
「釣り針にまたがーって水面に急降下~」
適当な替え歌でも歌いながら目を瞑る
はぁ、釣れたら爪でも立ててやろうかな。魚に
「残念ですけど、そのままだと釣れそうに無いですよ?」
「ん?」
真っ赤なフリルの服に、束ねられた緑色の髪
お人形さんみたいなんて可愛い子に言うが、この子にはその言葉はあまりにも似合いすぎる事だろう
「流し雛だっけか、覚えてないや。なぁ、鍵山 雛さん」
「ふふふ、やーっぱり知ってるのね」
清々しいような顔をしてトコトコと歩いてくる
立った状態で見下ろすように俺を見ると、一息ついて隣に腰掛けた
「それで、厄神様?俺は厄だらけなんですかねぇ」
「ええ、それはそれは。ご飯をご飯で食べるぐらいには」
「その例えはどうなんだ……」
俺はあまりにもわかりにくい比喩に対して苦笑する
でも、なんとなくは分かった。どれぐらい厄が付いているのか
この質問に率直に答えてもらっていたら、きっと真っ黒に見えるくらい。なんて
そんな例え方をされていても可笑しくは無かったのかな?とそう思う
なぜかそう感じるかは知らない、勘と言う他無いだろう。
ただ、それが確信に近いものである事は雛の瞳で良く分かった
「そうねー、大体30分間ぐらい一緒に居ればあらかたとれると思うわ」
「ならそれまでは丸坊主って事ですかい」
「そうかも知れないわね。それに」
「それに?」
俺は咄嗟に聞き返した
その一言、いや一接続詞になにか不気味なものを感じたような気がしたから
それを聞いて雛は笑った。そしてその後
「また直に真っ黒になると思うわ。貴方の輪郭がおぼろげになるくらい」
俺は恐ろしさを覚えた
雛は厄の体現者のようなものだ
その姿がどんどん歪んでいくように見えてきて仕方が無い
それを分かっているかのように、言葉は続けられた
「貴方、きっと怨念の塊ね。厄が溢れるみたいよ」
「凄く、嬉しくないです」
俺は少し気を落としながら言う
だが、それとは逆に竿に重さが掛かった
HIT!!俺は心でそう叫びながら竿を勢い良く引いた
すると、段違いの大きさをした魚がつれた
「おっ、コレが厄とりの力か」
びちいっ!と跳ねる魚の姿を見ながら俺は感嘆の声をあげた
すると、雛は目を細めた
「雛さん?」
「はい?どうかしましたか?」
細めた目に疑うような意思が込められていた事は、一瞬だったが分かった
それをはぐらかす様に言った事は、なんでも無いことだったのか?
それとも……
「今……」
俺は聞こうと思った、その目の意味について
ただ、なぜの言葉が出てこない
喉に蓋をされてしまったかのように、口が動かない
「……減ってないのよ、貴方の厄がまったく」
「減ってない?厄神様の力でも、減らない厄?」
雛は頷いた、そして続けざまに話を続ける
「厄って認識がいけなかったのかもしれないわ。
それはきっと呪縛が纏わり付いているのだと思うの。
丁度、一ヶ月前ぐらいにに現れたあのニセモノさんみたいな感じがするわ」
ニセモノ、きっとそれは影のことだろう
それに似ているって言う事は、やはり俺に対して恨みがあるということだろうか
でも、呪い?束縛するような物を受けた記憶は何一つとしてない
だって、幻想郷に着てから紅偽と月夜と、支配者とって戦ってきた
だけど2人に関しては禍根であった夜天は消え去ったはずだし
「一つ、言っておくわ。その呪いは此処じゃない場所で掛かっているハズよ
だって、そんなにも繋がるって言う事は長い年月を共に過ごしているハズだもの」
此処じゃ無い場所?
外の世界……!
「ひっ、雛さん!それはどういう!?」
「さぁ?私には記憶は読めないし、貴方の考えも読めない。
ただ、私に見えることを口にしてあげただけよ。」
「見えることって……俺には見えないんだ」
「ええ、でしょうね。ただ、貴方には頼れる人たちが居るじゃない
賢者、閻魔、読心。きっと力になってくれるような人たちが」
紫、映姫、さとりの事だろう。そうだな、きっと力になってくれるか
俺は安堵から拳の力を緩めた
その時、まったく気にならなかった所が気になった
回路に電気が走って、電気が光ったとしたら皆その光りに惹かれるだろ
だが、その回路の中に絶縁体、電気の通らないものがあったとしたら?
当然流れない、それと同じように俺はある一箇所に意識が、全身全霊が向かった
ーーー俺は口をあける
「なぁ、雛」
「なにかしら、蒼真さん?」
……そうだ、確信した
俺は雛に名前を教えた覚えは無い
『やーっぱり知っているのね』なんで驚かないんだ
『此処じゃない場所』なんで俺が外来人だって?
『頼れる人たちが居るじゃない』なんで……?
「お前は、いつから俺を知っているんだ?」
俺はハッキリとそういった
すると、雛は俺に背を向けた
聞き取りづらいが、確かに声が飛んでくる
「それは、貴方の顔が綺麗に見えるようになった時にでも」
迫り来る質問と疑問の嵐に困惑する中
厄神様は、うっそうと生い茂る赤い木々の中へと溶けた