東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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すいません、一度休載してしまうとどんどん筆が進まなくなってしまい
更には、3~5日を修学旅行に取られてしまいます
久しぶりでスイマセン。ご了承くださいませ


穢れなんて…

名月の秋。花鳥風月、雪月花とも例えられる月が一番美しい時

蛇の道は蛇に、餅は餅屋。なら月が一番綺麗な時を知ることが出来るのは?

偏見だが、月の住民なら一番良く分かると思うのだ

広大な竹林から見上げる真っ白な満月、それがいかに風情があるのか

それは想像してみれば一目瞭然なのではないだろうか?

想像できないというのなら、俺はその人の頭を残念に思う

……話が逸れたが、俺は今永遠亭に来ている

この話題から言うのもアレだが、今日がその名月日和と言うわけではないし

生憎ながら今日は曇天、星さえ見える気もしないさ

年収が寂しいサラリーマンの二、三倍働いていそうなウサギ達は、俺に一礼をしてまた仕事に戻っていく

物の運搬などは手伝ってやれるのだが、薬の調合や薬草採取は出来そうに無い

 

まぁ、薬の実験体だけは死んでもごめんだな

「ほれ、泥人形。手伝えそうなら手伝って来い」

俺は右手を上げて5対の人形を作った

各々が辛そうにしている兎の元へ歩いていく

「蒼真、甘やかすのはあの子達のためには為らないわ」

「厳しすぎるのも、毒だと思うぜ?」

後ろからの声に振り向かずに言葉を返す

「それで、今日は何の用かしら?」

俺の前に割った永琳。その口からでたのは、今日の俺の来た理由への問いだった

「綿月姉妹は?」

「あの子達なら今頃、自分の部屋で本を読んでると思うわ」

なるほど、読書の秋ねぇ。

すぐさま「あがるぜ?」とお伺いを立てると、どうせ断っても輝夜が招き入れるわと、ため息混じりに永琳は言った

玄関入ってすぐ、俺は靴を脱いで廊下へ足を延ばす

冷え切った廊下は、足の裏からでも身体の心を凍らせてしまうほど冷たかった

アイスピッケルでバラバラと砕けるかもしれない

いっその事、ここでスケートでもしようか?という発想に至るがやめておく

 

一番奥の部屋、その戸を開けると炬燵でぬくぬくしている三人の姫様が居た

2人は書物に時間を割くが、一人はCGコンプに熱中しているようだ

89%と言う数値が画面端に白く丸まったフォントで見える

「こんにちは、蒼真さん」

「こんにちはです」

無論、ヘッドフォンの輝夜に俺の存在自体届かない

その奥から勝手に声が鳴り響いて、幻想郷中を走りまわしてあげてくれないだろうか

「2人ともさ、付いてきてくれね?」

「と、言いますと?」

腰に剣を携える依姫が間髪居れずに返答する

「いやぁ、月の都からウサギ達を連れてこようかと」

「理由は?」

またしても、依姫が返答をする

「その一、穢れなんて気にしてる馬鹿からの開放

その二、レイセンが気になる

その三、月見の為の清掃」

「半分以上が私利私欲ね……

でも、穢れかぁ。此処に着てからの日々の方が楽しいかもしれないわね」

「しかし、理由になっていないものが多すぎます

向こうからしたら此処は牢獄も同然。そこに好んでくるとは思えませんし」

「それは行って見なきゃわかんないし、穢れなんてすぐ出来る」

俺はそう言うと、紫を呼んだ

豊姫が居ない今、裏の月など行くのは容易い

紫も時折行くらしいが、ツクヨミに結局は追い返されるそうだ

真っ白な腕がなぞる虚空の先に、裏の姿が見える

近代的……いや未来的な機器類類の城塞。

なんだかんだで、2人は付いてきてくれるらしく、俺ら3人はその地へ足を下ろした

「三度目の侵入者になるとは」

「いいじゃねぇか、ウサ公を連れてくだけだ」

「久しぶり……って言っても、歓迎はされないよね」

サイレン音と危険を示す攻撃色の赤

一斉になる金属音は、此方への標準ロック音だろう

黒く輝く銃身と、その発射口が嘲笑うかのようにこちらへ向く

ひとつ、大きな映像がこちらに向かって流れた

馬鹿面のガタイだけが大きそうな奴だ

 

「これはこれは、反逆者と大罪妖怪。ノコノコ来て頂けるとはいやはや恐縮でございます」

「おーい、こっちの声は聞こえてんのか?」

「ええ、マヌケな声が聞こえていますとも。

元最強の綿月姉妹様も落ちたもので……まぁ、その屍骸はありがたくにじり踏ませていただきましょう」

ガチャリッと、弾装填音。月の民って学習能力高いんじゃ無いっけ?

「遠慮はいらない。所詮穢れたモノだ、撃ちぬけ」

偉そうなソイツが言ったのと同時に、一斉に火薬が爆音を鳴らせた

無慈悲の熱風と金属弾の嵐が降り注ぐ

「はぁ、まともに受けたら死ぬよねーー。助けて、グングニルの槍」

俺の声が響き、重力に逆らうように火器とその弾は動きを止めた

上空に留まる無数の金属片は、やがて何十もの槍を生み出す

隊長!エラーが発生しました!と言う何十もの声が、映しだされる画面から届く

しかし、感情の無い槍たちは俺の「助けて」に反応して要塞のあらゆる箇所を貫いた

「「大人気ない」」

「正直、お前らの能力の方が『戦闘』において遥かに強いけどな」

後ろから掛かる重い言葉へ一言返すと、俺は脅える隊長さんに言う

「俺の言葉を月に中継しろ」

「くっ、私は屈しないぞ……貴様など」

「じゃあ、黙れ」

雑な画面の向こうで、蛇の様にうねる鎖たちがあっと言う間に奴を縛り付けた

「さーて、月のウサギさん方聞こえてますか?

僕は皆さんを一度きり、幻想郷への片道切符を授けたいと思います」

「随分軽いのね」

「まったく同感だ」

「まぁ、其処は気にすんな。ウサギよ、自分の好きなようにしろ」

月の都に俺の声が木霊していく

すると、見慣れた子が一匹見えた

青に見えなくも無い白。短髪赤眼のウサギ

「レイセンだね」

多分、一度此処を逃げ出した身。

合法的(?)に逃げ出せるとあっては出てくるのが本心だろう

「くっ、一匹でも逃がさん!撃ち殺せ!」

「まず、テメェが死ねよ」

俺はモニター越しの声主を、ゆっくりと絞めた

殺される覚悟あっての言葉だよな、賞賛するぜ

「さぁて、後はこの要塞を沈めるか」

「流石に呼ばれただけってのは嫌だし」

「同感です、此処は私たちが潰しましょう」

「OK,俺はウサギを見てこよう」

 

 

 

「大分集まったのね」

「多分、此処のウサギ全員」

「「全員!!」」

2人は唖然とした

まぁ、向こうとこっちの待遇を比べれば一目瞭然だよね

ただ薬を付くより、色々したいのが心情だろう

スキマに次々となだれるウサギ達

俺は、一言。

反吐を吐き出すように「糞食らえ」と言ってから、永遠亭へと向かった

 

 

「……此処まで荒らされるか」

月読は、一人頬杖を付く

奴の行動は不可解すぎた

ただ、話を聞く限りでは悪い奴には見えない

私たちの目指した穢れの無い世界

それを真っ向から否定した

「それは、何故なのか……」

月読は表に出るのをやめた

ひっそりと、興味の対象を追いかけ始める……

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