言う所の完結とさせていただきます
後少し、温かい目で見ていただけたらなと思います
後日談は、期待してくれて結構ですww
此処は、どこだろうか?
漣の音だけが耳に響く
果てなく続く海の水面
その上に浮いているのだと思った
白い鳥は空を羽ばたき
波は押しては引き返す
真っ白な砂浜、泳ぐ魚たち。
そして直に、違和感に気づいた
此処はーー幻想郷じゃない?
頭の中は懸命に活動を始める
鮮明に目に映る景色たち
さっきの蒼色など全て幻想であった
純白の雲も、波も
そして生き生きと動く生き物も
全て灰色に変わった
光りと水で構成された、悲しい空間
そんなイメージが頭に纏わり付いた
心の牢獄の様な、鋼の檻
凄く息苦しい事が良く分かった
首を絞められ……ていた
真っ黒な霧がか細い十指となり
丁寧に丁寧に、俺の動脈へ爪を立てた
グチュッと、聞きなれた音がして
真っ赤に染まった鮮血が飛び散った
ぐらっと意識が持っていかれる
その赤はまるで「死」の象徴のように見えた
滴るでもなく、流れるでもなく、噴き出している
圧倒的に異様な光景
それを、見ながら。痛みを体験するなんて。誰が思っただろうか
現に俺は死の予感をこれまで以上に深く感じていた
ブュッ、ブシュッと、新たな切り口が走る
幾重にもなって降り注ぐ血の雨
それは段々と勢いを増した
ぼんやりと目の前が霞む
顔の無い闇が笑ったようなーー?
顔の無い?
俺は首を絞める手に掴みかろうとした
だが、手は動かない
能力も無い。
意思に任せるしかなかった
反逆の思いを胸に俺はもう一度手に力を込めた
ぐっと押さえつけられるような感覚
それは、何処となく手を押さえていたものと同じ気がした……
刹那、俺は勢い良く足を振り上げた
ぶわっ!と黒い霧が密集し、四散する
まるで空気に溶けたかのように
身体の重みはもうなかった
胸の奥の重みが引いた気がした
今なら動ける気がした
「まだ戦える」と思えた気がした
誰かが待っていると思えた
心配してくれていると直感した
行かなきゃと思った
皆の顔が浮かんだ
名前は一人一人、全員言える
まだ、会ったことない人が居るはずだ
まだ、会ったことない妖怪が入るはずだ
俺の未来が、こんな所で潰えてたまるか
俺は身体を起こした
そこは海原の上だった
其処には一輪の花が揺られていた
椿の花だった
見たことある花だと思った
勇気をくれる赤だと思った
忘れたくない人を忘れたような気がした
見送られるようにして、俺は岸へと駆けていった
一瞬後ろに、綺麗な女性が……母さんが見えた……気が……した
只ひたすらに駆けて行く
懸命に走る。
ずっとずっと、日が昇り月が昇り星が瞬く
春になって花が咲き、夏になって蟲が生き
秋になって実が実り、冬になって雪が降る
火は煌きながら燃え、水は静かに流れ
木は根深く育ち、土は鮮やかに胎動する
平らだった水平線に見慣れた町並みが映った
足取りが自然と早まった
胸の傷は、もう癒えた
過去は過去だ
俺は、生きていく
闇を倒して……
そう、心に誓った
十の花弁の思いを乗せて
金は正義の剣と化す