ラストは盛り上げて、ハッピーエンド……だったらいいなぁ
「はぁ……」
私は異変を解決させた後、直に蒼真の元へと向かった
予言されていた最後の一つを退治し終えたからである
根拠なんて無かったけど、私の足は自然と向かった
永遠亭……もう、何度きただろうか
倒れてから約三年が過ぎた
12の景色が入れ替わり、また秋になった
一つ違う事といえば、まだ秋の名月まで11日あまり残っている事だろう
二年と10ヶ月5日……本当に細かく言うならそのぐらいである
古びた戸の向こうには、永琳が座っている
優曇華やてゐも楽しそうにしているし、月の姫たちも輝夜に付き合っている
ただ、何処となく寂しそうなのは言うまでもなく
また、幻想郷中にいえることだった
でも私は私の信じ続けた勘を信じて、あの扉を開け……
「……久しぶり、霊夢」
泣き崩れた
視界が一気に潤んだ
射す夕日に照らされて、上半身を起こした蒼真が、其処にいた
当然何事かと永琳が、優曇華が
楽しそうだとてゐが寄って来るのはわかった
でも、そんな事を考える暇も無いくらい、私の心はたった一つの事
彼の目覚めにだけ注がれていた
「……馬鹿。おかえり、蒼真っ」
精一杯の笑顔で私は返事をする
それを言って吹っ切れたのか、私は膝を付いた
泣き声で掻き消されてはいたが、確かに他の皆の鳴き声も聞こえた
そんな私たちを優しい目で見つめた蒼真は、直に立ち上がった
そして、言った
満月まで、後11日あるのか?と
泣いて貰える事は非常に嬉しい
でも、だからこそ立ち止まっているわけにはいかない
この三年間は、奴の一番の準備期間
俺の水晶体を媒介として妖力を最大限に溜める時間だったのだから……
決戦は秋の名月。聞いて見るとしっかり11日後だった
予想は全て正しかったのだ
永遠亭に「他言無用」と一言押しのけて、直に家へと飛びかえる
再会を喜ぶかのようにする7の獣、機獣達
そして直に、7の獣は飛び立った
俺はその背を見届けて、家へ入る
その中、一際大きく輝く名刀椿を手に持った
今まで気にしてはいなかった椿の持ち手
その先端には十の花弁をもつ椿が彫られていた
確信が大きくなる
忘れていた事も少しずつ思い出していく
母親の名前は『荒無 椿』
父親の名前は『荒無 宙』
今まで覚えていた……いや、覚えていた気になっていた記憶
それは全て偽りのものだった
赤い嘘で塗られた、偽真。
まるで、名前の如く、対になったかのようなもので
直に俺は理解した
紅偽が本当に隠して居たかったのは、きっと
母親の死が、仕組まれたものである事……
幻想郷に入ったのは、記憶を消しても分からないようにするため
そして、そのまま向こうの事を忘れるようにするため
しかし、それさえも仕組まれた事だった?
とすると……
俺はすぐさま布団へ潜った
明日の朝から一日一枚の花弁を集め無くてはならない
月は少しずつ、満ち始めた
闇は、ゆっくりと口を開いた
「気づいたか」
甚く感心する。さすがだ
ただ、そんなのは範囲内。力で敵う訳は無い
全てを語り、その心を糧にしてこの世界を牛耳る
俺の力であれば、簡単な事
親子の絆など、滑稽だ
ガシャンと、グラスが床に落ち割れた
いや、落とした
「フフフ、この男には感謝せねばなぁ」
口車に乗り、子供を取られ、身体を乗っ取られ、妻を殺され
絆以上に滑稽で、馬鹿な男だと私は笑った
不幸と言うほかないと僕は思う
全ては我の歯車の上の話
汝の全ては、俺の手の上
「さぁ、来い蒼真よ
一緒に宇宙の破滅を、楽しもうではないか」
三年の時を渡った牙城は、音を立てて崩れ去った
幻想郷へ渡るには、後11日…いや10日か
最後に、この汚らしい地球と言う星を眺めているとしよう……
最悪の時間が動き出す