東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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目覚めて5日ほど過ぎただろうか?

記憶感覚が曖昧になってきてしまったのは、永遠と3年間の話を浴びるようにされてきたからだと思う

いや、正直な話としてはそんな長い間眠ってしまった俺が悪いのだが

本当に反省している、いや後悔先に立たず後にも立たずだから仕方ない気もするが

とにかく、反省心全開で真っ青な竹林の中を歩いていく

道は相変わらず変わっているというわけではなく、抜けていくのは至極容易な事であ……

ーー一歩踏み出した途端足場が崩れ、結構深めの落としあなに落ちそうになった

反射的に空を蹴り、地面を蹴って反対岸に落ち着く

「もぅ、こっちは心配してんのに挨拶しに来たのはしばらくしてからってさ、ふざけてんの?」

竹林の奥から背丈低めの兎。てゐが現れる

「久しぶり、お前の言う事はもっともだな」

「でしょ、その誠意があるなら落ちてくれても良いと思ったんだけどなぁ~」

「落ちる義理はないね」

「そ、違いないけど」

頭の後ろに手を回したてゐは片足をぶらぶらさせながら半回転して、跳ねるように竹林の奥へ飛んでいった

俺も、苦笑いしててゐの消えていった方向に歩いていく

青々とした竹たちは、独特な雰囲気と薫りをかもし出す

その中に一味違ったテイストが混ざれば、そこはもう永遠亭である

制服ウサミミの優曇華が半涙目で俺の手を掴んで屋敷の中に引き込んだ

そのまま抱きつかれ、服が直に濡れ始める

ほんのり薄紫の髪から優しさが香る

ただ無言で泣き始めた優曇華を撫でる

細い腕が背中の方まで回され、抱き締められるようになる

流石に如何なものかと一瞬思ったが、泣かれていては何もできないのは明白だった

少しひび割れた壁に背中を寄せ、Tシャツがただ濡れていくのを見る

 

「……馬鹿」

「第一声がそれか、ただいま」

「第一声がこれで悪いですか……おかえり」

顔なんて上げず、俺も優曇華も上の空の会話をしたが

細い二本の腕が頬を掴んで顔を下に向けさせた

まだ、赤く腫れていたが精一杯の清々しい笑顔をした優曇華がそこには居た

「……おかえりなさい」

もう一度いう事にきっと意味はあったんだろう

良い終えた優曇華の顔はすっきりと晴れていたから

「「「もう終わった?」」」

ガラッ!と引き戸が開き輝夜や永琳の姿が見える

思わず顔が赤くなってしまうのは優曇華も同じようだった

「私たちだって文句とおかえりぐらい言いたいのに、目の前でいちゃいちゃねぇ?」

輝夜が鈍感ハーレム主人公を見るようにこっちを眺める

おい、ふざけるな。誰が鈍感だ誰が

「優曇華、貴女少し泣き過ぎじゃないかしら」

「すいません、師匠」

「いえ、いいわ。止めようと思って止まるものじゃないもの」

永琳はふぅと一息ため息をついてから、こっちに歩いてきて俺の頭にデコピンを食らわせた

あだっ!と声が漏れると、さぞ気持ちよさそうな顔をして「おかえり」って呟いた

輝夜も真似しようとしたけど、身長が若干足りなくて出来なかったみたいだ

蓬莱の薬の弱点が見つかった瞬間である

んーっ!って背伸びする輝夜の頭をわしゃわしゃと撫でながら「ただいま」って言った

綺麗な髪を引きながら、少し赤い顔で「おかえり」って言われた

少し頬を膨らませた永琳が「私への挨拶は無いのね」って怒った

慌てて言ったら、またデコピンされた

 

「それで、今更どうしたの?」

永琳がまた皮肉のように良い始める

どーでもいいが、膝の上の輝夜はどうにかならないのだろうか

対抗するような隣の優曇華はどうすればいいのだろうか

「指きりしにきた」

「「「「馬鹿?」」」」

「……おまえら、揃って言うな。泣くぞ?」

「ごめんなさい、でも指きりって?」

優曇華が謝罪交じりに返す

「帰ってくるっていう約束。したいなって思って」

「じゃあ、また行くのね。今度は凄い所へ」

輝夜が察したかのように言う

「ああ、今度は面倒くさいぞ」

「でも、そんな約束しだすって言う事は最後なんだね~」

てゐが真っ先に小指を出した

それを見て三人も同じように小指を出した

全員の小指が集まって、触れ合う

「絶対に帰ってくるよ」

その言葉と共に、竹のような青の糸が指先から紡がれる

それは真っ直ぐに天井へと昇っていき、輪を描くように椿の紋様へと溶けた

緑の隣に、真っ青な花弁が開く

「5枚の花弁。あと5枚……やっと半分か」

口から漏れた言葉にてゐが鋭く反応した

「って事は、最低でも5人の人と指切りしてるんだよね?女?」

その言葉に優曇華と輝夜の目線が鋭くなる

「「どうなのっ!?」」

そう詰める2人に永琳が追い風を駆けはじめる

「私たちの色が竹に似ていたから……その赤は紅魔館かしら?」

……どこかで糸の切れる音がした

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