かっしゃーーん
響くグラスの音
幻想郷の人、妖怪、神、賢者、誰もが顔を集めた俺の家
一言で言うと、焼肉パーティー。
萃香と勇儀がグラスを合わせたのを引き金に、パーティーはスタートした
俺はトングを持って、軽快に野菜と肉を焼き始めた
思い思いに各方向へ広がっていくが、なんやかんやでグループ同士の交流もあるようだ
シートを広げてイスを並べて、机を引っ張り焼けたものは直になくなっていく
お酒の要求、焼くものの追加は直にこっちへ舞い込んできた
笑い声で夜空は盛大ににぎわっていた
「とりあえず、一人目は私で良いわよね?」
不意に掛かった声は背後、最後に背中を押してくれた本人
八雲紫である
藍や橙は遠くにいるのが視界端に映る
だからと言って誰か別の面子が居るわけでもなく、一人だった
忙しなくトングを行き来させながらも、俺はその言葉に答えを返す
「良いんじゃないか?助かったよ、紫」
「そう、生きていてよかったわ……本当に」
「俺が死んだら、焼く担当が居なくなるじゃないか」
俺は冗談交じりに笑ってみせる
炭火の熱気に当てられたのか、少し顔の赤い紫はそうね、なんて笑顔で返してくれた
紫はスッと去り、今度は別の誰かが来る
来たのは命蓮寺の皆だった
聖、星、ナズーリン筆頭のご一行様
一輪と村紗は付き合い程度って言う感じだったが、ぬえの表情には少し持っていかれた
顔を化かしているみたいで、面白い
「なんだ、もう食べたのか?」
俺はそういうが、返答はやっぱり聞いたものとは違った
「よかったですね、無事で」
「あぁ、聖。少なくともみんなのお陰だよ」
「でも、蒼真さんはずっと戦ってきたんでしょう?」
「ご主人、蒼真という人間は良く分からないからね、きっと理解は難しいだろう」
ナズがキッパリと確信をついてきたあたり痛い
それには思わず苦笑してしまったが、聖は「貴方は貴方ですから」と一言良い、去っていった
それに釣られるようにご一行様は行き、俺は再びトングを掴む
「お兄さん、火弱いんじゃないかい?」
「そーだよ!もっと強い方が良いって」
「お燐、お空、貴方達は地底にいるからそう思うだけで…「いただきまーーす!」…こいし!」
こいしが焼き途中のレアを爪で器用に使って口へ放った
さとりが怒ろうとしたが、美味しそうに食べるこいしを見て気が抜けたのか、はぁとため息をこぼす
「さとりも大変だなぁ」
「貴方ほどではないですよ、お疲れ様です」
「ありがとう」
俺がそういったのを聴き遂げるやいなや、行方不明になったこいしを探しに出た
「足りないぜ、もっと焼けって」
「魔理沙、お肉ばっか食べすぎじゃないの?」
アリスと魔理沙。世話焼きのアリスらしい言葉が漏れた
魔理沙は大丈夫だって!とか根拠なく、衝懲りなくレアを口へ入れる
大きくなったほっぺを元通りにした魔理沙を見て呆れるアリス
そんな事も気にせず、魔理沙はいった
「蒼真、お疲れ様」
「お前、先にアリスに言ってやれよ」
「いいのいいの、私はなれたから」
おい魔理沙、そんなんでいいのか
ニコニコ笑う魔理沙は俺がそう言う前に、避けの音に釣られて何処かへ行ってしまった
「美味しそうね」
「幽々子様、つまみ食いは駄目ですよ?」
妖夢が躾けるみたいに幽々子に言う
が、結局はレアを頬張る。お前らそんなにレアが好きか?
「あぁ、幽々子さま……」
「いいじゃない妖夢」
「駄目です!駄目って言ったら駄目です!」
「え~……」
俺は見慣れたコントに少し目を奪われつつも、トングで焼けた肉を少し幽々子の皿に盛ってやった
その後一切れ、はしで肉を掴む
「妖夢」
「はい、なんで……むぐっ!」
その口にそれを咥えさせた
得も言わぬ庭師にがんばれよ、と一言言うと幽々子は目を丸くする妖夢の手を引いていった
「あやややっと!蒼真さんかっこよかったですよ」
文がにとりをひっぱってやってくる
一本、キュウリの浅漬けをにとりに渡してやって、文の方へ向き直った
「文だって良いタイミングで来てくれたじゃないか」
「いやぁ、それほどでも……ありますね!」
「おい、そこは否定する所じゃないのか?」
にとりがぽりぽり食べながら、いう
それに苦笑しながらも言葉を返そうとするが、返せず文は話を逸らすようにいってしまった
俺はトングで焼きタマネギにかぶりつきながら空を見た
今日は新月。そのハズなのに夜空には月が見えた、真ん丸な満月だった
何故見えたかは分からない。
其処に月夜は駆けて来る、獣も一緒だった
もう一度見上げたとき、月は勿論なかった
不思議そうに月夜は此方を見るが、俺は元々変人だ
真っ暗な夜空へ向かって、大きく叫ぶ
「大好きだ! 儚愛世界<--ゲンソウキョウーー>」
はい、どうもこんにちは
このたびは東方黒鉄伝をみていただき大変ありがとうございます
全150話に渡り描かせていただいたのは、蒼真の青春のようなものです
誤字脱字等、お見苦しい所も多々ありました
それでも読んでいただきまして、読者の皆様には頭が下がるばかりです
これから、まだいくつか東方作品の展開を予定していますが
それは全て『黒鉄伝』のストーリーを踏んだ
「ここから先の話」となっています
新キャラもまた織り交ぜて、蒼真と新しい主人公
その姿を見ていただけたらなと、思うばかりです
また秘話等も載せていこうと思っています
最後に、改めまして
読者の皆様、本当にありがとうございました
風斬翼ーーカゼキリバネーーでお会いしましょう!