東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

18 / 150
いやー ホント書く時間が無い
あるときにだーーっと書いて まとめて投稿(以下略)が繰り返されているワケです
そんなこんなで いよいよ目前、紅魔館


紫を押しのけて

「さぁ、何から話してもらいましょうか」

ものすごい剣幕だ

 

正直、少し怖い さすが大妖怪といったところだ

目は獲物をとらえるべく、じっと見つめている獣のようだ

握った手から、つーーーっと血が流れている 爪が真っ赤に染まっていた

藍が、それをやめさせようとしているが、紫にはそれが見えていないようだ

 

紫はただ、ひたすらにまっすぐ 俺の目を見据えていた

いつぞやの蜘蛛なんぞ比にならないほどの冷たい視線

視線にこもるのはあふれんばかりの殺気 

襲ってくるのも時間の問題だろう

 

そんなプレッシャーを浴びながらも俺は口を開いた

「この前言ったろ? 話せない」

「ええ でも、私にはいつか話せるかも そうも言ったわよね」

ああ、確かに言った ついこの前のことだ 否定はできない

俺はうなずいた それを見た紫は再度口を開く

 

「今がその時よ 藍には帰らせる  これが最大の譲歩よ」

そんな譲歩をされてもしょうがないのだが

俺が抱える分にも、コレは少し重いのだ

紫にもきっと、荷が重いだろう 現に俺は、自分の存在が誰かの創作であることを否定できない

 

紫も長く生きている その人生 その全てを否定される 普通なら狂ってしまってもしょうがない

「無理だ その譲歩では応じられない」

紫の眉がピクッと引きつる

顔全体が少し歪んでいる そうとうのご立腹のようだ

 

藍も少々悲しい表情をしている 

きっと、俺のことを殺しに もしくは脅迫しに来るのだろうか

紫は、机の上のお茶をぐいっと飲んで 気を静めていた

一通り落ち着くと 紫は再びこちらを見据えて

 

――――スキマで俺の左手を落とした

ぼとり と落ちる見慣れた手

生まれてこの方付き合ったきた腕が、今何の予備動作も無く ただ落とされたのだ

 

「残念ね あなたはもう少し利口だーーーっ!?」

紫は途中で口を噤んだ ありえないものを見たからである

俺、藍も目を見張った 

 

俺の左腕 切断口から ツル、いやツタとでも言うべきものがにゅるりとのびていたのである

一本ではなかった

二本 三本と、徐々に数を増していく

 

もう数え切れないほどの数になったとき、それらはお互いに絡み始めた

見たことのある形 さっき落とされたものと同じ形

つたで、そっくりそのままの左腕ができる

 

それは少しゆれた後 ぼふん そう音を立てて煙をたてた

すぐさまその煙をはらうと いつも見ていた左腕がここにあった

 

何があったかはよく分からない でも確かに分かるのは

左腕がなおったこと そして、つる、つたが、椿の柄と同じ感触だったことである

 

「なんだったのでしょう」

藍が口を開いた 沈黙が続く

紫は、少し 黙って左腕を見ると 隙間を広げてその中に入った

藍もついていく

 

「明日 紅魔館にいってくる」

俺は去る二人の後姿に向け そういった

伝わったのかどうか分からないまま スキマは閉じた

 

もう 夜遅い 屋敷で動いている天狗もいない

俺は、夜の帳の中を飛んだ

何かしようと思って飛んだわけではない

 

あの場所 始めて椿とあったところに足が体が、勝手に動いていったのである

露で少し湿った地面 湿気のある山の森の上 

目を凝らしてあの場所を探す

 

――――あった

確かにココだ 山の中腹 一箇所だけ一閃されたような穴がある

俺は地面に降りた 

 

空気の感じ 地面の感じ 色々違うが確かにここだ

俺は、当ても無くそこの地面を掘った

能力のことなどすっかり忘れて 素手でひたすらに

爪がはがれる 皮膚が切れる 血を滴らせる指

必死で掘った 穴の一番深くまで

 

ガリュ 一番底にあったもので、勢いよく爪が剥ける

底にあったのは要石だった 椿の印がほどこされている

手で持つと以外に軽い 大きさこそそこそこあるのだが

重さはほぼ無かった

 

俺はそれを抱えて自宅にもどる

場所は案外近く 暗くても普通に家に帰れた

家に入るといつぞやのキラーマシンが元気に迎えてくれる

 

そいつは俺の持つ石に近づくと急に目の色が燃えるような赤に変わった

「よぉ 久しぶりだな蒼真  いや兄貴」

椿の声 しかしどこと無く違う 

 

「なんだよ 兄貴って  お前椿か?」

「俺は椿っちゃ椿だな でも少し違うんだよ」

わかんない 言ってることがまったくわから無い

「兄貴―――が一番……わかるはずだよーーーー」

プツン と途切れ途切れの言葉を放ってその声は途切れた

 

まったく分からない なにがなんだか

そもそも兄貴ってなんだよ

俺に弟なんてーーーーー

 

ズキン 頭に痛みが走る またか

なんなんだよ この痛みは

ズキン いつも決まって家族関連で痛みが走る

あのもやの後ろ 狂った目のあいつ

ズキン ズキン ズキン

「うぅ」

小さく声を漏らす 痛い

俺は残った力で布団のほうへ踏ん張る

 

後少し

痛みの感覚は大きくなる

もう少し

間隔が狭まる

俺は布団に付いた瞬間に意識を失った

 

 

「兄貴、本当に思い出せないのか 俺のこと」

蒼真は上半身を起こして頭を抱える

 

しかしいつもの蒼真でないことは用意にわかる

いつもの声とは違う声 髪も青みがかった色から赤みがかった色へ

そいつは独り言を続ける

 

「俺を椿 なんてのに仕立て上げた奴 いつか締めてやる」

いつもの冷静さは微塵も感じられない

感情任せ 少し短気な性格

そんな紅い奴

 

「にしても、弟を忘れるなんて酷いよな」

ソイツは布団に身を預けて眠った

 

 

朝、俺は仕度をする

紅魔館の奴らを捻ってやる為だ

レミリア以外は締めてしまっていいと俺は判断した

 

レミは主人公が締めないと

俺は、少し複雑な感情を押し殺して

 

紅魔館に向かって飛び始めた

その感情は、赤い館が見えても消えることは無かった

風にたなびく彼の髪の数本が赤いことに誰も気づいていない

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。