東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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俺、号泣、図書館にて

「うううぅ」

「うるさい」

俺は泣いていた 号泣していた 涙をぽろぽろぽろぽろ

 

「だっでよお パチュリー」

「はいはい、わかったから」

この本が超感動的だったからだ

 

飼い主と犬の絆の物語

飼い主の高橋さんが入院したとき、首輪の紐を毎日のように噛み

そして、引きちぎって病院の前 その病室をただひたすら見つめて待っていると、いうものだった

その犬、ペロはただただ何も食べずに座り続けて 退院したのを見届けると……

「ペロ~~~~~~」

「うるさーーーーーーーーい」

また怒鳴られた でも、でも

俺は本を閉じる そしてそれをパチュリーに渡す

 

「読んでみろよ」

「読んでやるわよ そんなに泣けるわけ……」

……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……

「ぐすっ うぅ」

パチュリーの目が潤む

……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……

 

「ペロ…… ぐすっ うわあああああああぁぁぁぁぁぁん」

「ペロぉ、うわああああああん」

「「うわあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんん」」

号泣二重奏 泣ける名作だな

 

―――と、この状況でわかるように今、紅魔館で本を読んでいる

風邪ひいた日から5日後の今日まで 入り浸っている

最初はアガサ・クリスティーやシェイクスピアなんかの外国の本

 

そのうち芥川龍之介なんかの日本にはいり、源氏物語なんかも読んだ

そして、本棚にひっそりたたずむ本を手に取り始めたわけだが、

「「うわああああああああああああん」」

見ての通りである

 

 「ペロぉ」

「「「うわあああああああああああん」」」

とうとうこっちまで泣き出す 三重奏になった

咲夜さんが駆けつけて呆然 美鈴が駆けつけて唖然

こあも、ただ見ているだけで この泣き声は止む気配がまったくなかった

そのまま30分くらい、泣き続けただろうか

 

「うぅ ひっく うう」

「うぁ ううぅ ぐすっ」

 「ううぅ うぁああぁ」

ようやく収まった泣き声 パチュリーが続きを……と本を開く

美鈴も興味本位で覗く 

……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……ぺら……

 

「「うわあああああああああああん」」

二人とも泣き出す 俺も釣られてフラッシュバック

咲夜さんも覗いて涙ぐむ

紅魔館の屈強なる者達が容赦なく泣かされていく

本、恐るべし

 

「なんの騒ぎよ……ってなんでみんな泣いてるの!?」

来たレミリアも驚愕 本を覗いて号泣

「「「「「「うわああああああああああああん」」」」」」

泣き面を見かねたこあが、パチュリーの手からひょいっと本をとって棚にしまう

しばらく止まなかった泣き声がようやく止み始め、その本は俺の作った金庫にしまわれることになった

 

その金庫には大きく文字が書いてある

 紅魔館が泣かされた本 と

それから俺は別の本を引っ張ってきた

別の本棚、別の列 真ん中辺の本だった

読まれていないわけでもなさそうな感じの本だったにも関わらず

 

「さくらーーーーーーー」

泣かされた

本を閉じ、別のを持ってくる

しかし、ことごとく泣けるのが多い

読まれていない本が集う本棚は、しばらく触れないことになりそうだ

 

しかし、それではつまらないので、そうすることもできなかった

俺とパチュリーだけになる

俺も本を読むのを止め、パチュリーもうつむく

 

「蒼真……」

「なんだ……」

「本って、凄いわね」

「ああ、凄いな」

こんな会話が、延々と繰り返し続けられる

俺は嫌になってきて笑えそうな本や、難しそうな本をひっぱってくる

やっと、俺とパチュリーは落ち着いていったのだった

 

しかし、泣き過ぎたせいで 感情輸入が激しくなってしまった

泣いて、笑って、怒って、それはそれはな百面相

七面鳥もビックリだろう

 

「なんでよ、なんで置いてくのよ 彼女は、あなたが……」

「なんでそこでやめるんだよ 熱くなれよ もっと熱くなれよ!!」

「ホントにコイツ最低 ふざけてるんじゃないわよ」

「駄目だ、しんじゃだめだ うわああああああ」

ことごとく繰り返されていく

疾風のごとく顔が変わっていく 

それはもう、ハムスターもビックリな位

完璧超人生徒会長も止められないほどに

 

「蒼真……」

「なに……」

「一回外にでも出ましょう だめだわ」

「……丁度 俺も同じ事を考えていたところだ」

俺はパチュリーを抱えて外に出る

時刻はだいたい5時ごろ

真っ赤に染まった夕日の下、大きく深呼吸

 

「しばらく、本はやめておこうかしら」

「喘息治ったし、体力付けた方がいいんじゃないか?」

「そうね そうしようかしら」

パチュリーらしくない気もするが、これも健康のためだ

病弱なのも、体力がないから それに太るしね

 

「簡単なストレッチからはじめよう」

「今から!?」

今からだよ、今しかないんだよ

きっと外界でも流行ってるよ 俺がはやらせてやるよ

その内、変な番組まで組まれて放送されるよ きっと、今でしょ とか

「はい、屈伸」

伸脚 前後 回旋 ……

 

一通り身体をのばした後、ラジオ体操に入る

「腕を前から上に」だとかのあれ

おおよそ5分くらいかけたストレッチ

パチュリーは見事に撃沈

途中から動けなくなっていました

 

もう駄目 死んじゃう などとつぶやいていたが

気にしない気にしない と、強引に押し通した結果

―――虫の息です てへ☆

ぜーはーぜーはー いいながら倒れてます

真っ赤な夕日が綺麗ななか、一人ものすごい無様な姿があります

 

「アンター 勝負しなさい」

チルノが飛んできたので掴んで投げる

ぽちゃん と湖に落ちる

中から出てくる

飛んでくる

投げる

以下省略 何回続ければいいのだろうか?

「くっそー アイシクルフォール」

氷のつぶてが俺を避けて飛んでいく

結局、パチュリーが復活するまでの間、チルノは俺に勝てることはなかった

 

 

 

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