霧の異変 解決
「そらっ!!」
萃香の拳が振りぬかれる、紅偽はとっさに屈み手の上と下に手をかける
そのまま勢いを利用し、てこの原理で萃香を地面にたたきつけた
地面に轟音とともにひびが入る
しかし、萃香は紅偽の手を掴み宙放り投げた
寝ている状態であれほどの力が出せる、鬼とは恐ろしいものだ
宙に放られた紅偽は体制を治すと背中にフィンを展開した
いや、翼といったほうがいいかもしれない
それで空気を蹴ると、萃香へむけダイブキックを放つ
粉塵が巻き起こったが、寸前にかわされたようで手ごたえは無く逆に一発の拳が自分のボディめがけて飛んでくる
その拳に拳をあてて、そのまま力押しする
しかし、肩が悲鳴を上げる気がしたためとっさに後ろによけた
良く見ると、萃香の足は地面にめり込んでいる
紅偽は掴みかかるようにして萃香に向かう
その手を掴み指を絡めるようにして押してくる萃香
勢いよく足を上げて萃香の顎に膝蹴りをお見舞いすると、力の向けた萃香をショルダータックルで吹き飛ばした
折れた木々の向こうに姿が消えていった
倒れたか、そう思った刹那 目の前に突如現れた萃香の一撃が腹に叩き込まれる
紅偽はその一撃に驚いた、蒼真が戦ったあの妖怪よりも軽かったからである
事実、あの妖怪は図体がでかいため乗る体重も大きく、能力も戦闘向きだったといえる
しかし、決して萃香がアイツより弱い と思えるわけではない
萃香は的が小さく攻撃のヒット率が著しく低い、また動きが軽いため反撃を食らう可能性も高いだろう
霧状にもなれる能力に鬼という種族、盾と矛が合わさった存在と言えるだろう
油断ができない敵である
そんな考えのすえ、紅偽の鎧は形を変えた
紅偽は単細胞と言えるほど考えることが苦手だった
蒼真のような小回りの聞く動きは決してできない
しかし、突っ込む馬鹿というのも脅威であるということを紅偽は感じさせるだけの力があった
闘牛、という表現が正しいだろうか? 鎧は防御という概念を忘れていた
頭には左右対称の湾曲になった角が2本、ずっしりと聳え立っていた
肩から伸びる角のような無数の棘
太く鋭利な爪が指先には煌いていた
下半身の装甲は薄く、走ることに特化している
巨体からあふれ出るプレッシャーに、鬼といえど萃香は引いた
そして、その一瞬を紅偽は見逃さなかった
萃香の引いた足が地面についた瞬間、猛スピードで突っ込んだ
のけぞった萃香にタックルは命中し、勢い良く飛ばされる
しっかり中心にあてたため、軌道の延長線上に必ず萃香は飛んでいく
紅偽のただ突っ込むというスタイルは、無意識の内に萃香をはめていたのだ
落下してきた萃香に勢い良く紅偽が当たっていく
けれども、萃香も黙ってそれをやらせているわけではなかった
空中で能力を行使して霧状になる
紅偽は突進をやめた
「もう、私の勝ちだね」
紅偽はその言葉に笑った
「いいや……」
霧にゆっくり手をかざす、裏表を逆に……
離れていた霧の粒が一瞬で凝縮、紅偽の目の前に萃香が姿を現した
そこに向けて繰り出された渾身のヘッドバット
萃香は地面に叩きつけられ、そのまま気を失った
「ふぅ……あ、」
一息ついてあたりを見回すと、木々がへし折れ地面は砕け
青白い筋を浮かべている紅白の巫女が居た
「蒼真ァ? どういうことかしらぁ?」
紅偽はとっさにチェンジした
勢い良く表へ出される
あの野郎、完璧に面倒ごとは俺に押し付けてる
「霊夢、これは紅偽がだな……」
「問・答・無・用!!」
霊夢が大量の弾幕を飛ばしてくる
あわてて鎧を構成しなおすと、腰のビットで全て叩き落す
「やっぱ強いわね、でも貸しを返さないといけないからっ!!」
霊夢が突っ込んでくる、鮮やかな弾幕を撒き散らしながら
必要最低限の弾幕を打ち落とし、霊夢一点だけを見つめる
――速度 メタルクイック
この符は加速するだけの符である
自分とその弾幕を通常の10倍加速させる
効果時間は6秒、こちらからすれば1分と余裕のあるスペカである
霊夢の上に回りこみ、上空から踵落としを食らわせる
痛覚の反応も遅いため、蓄積ダメージのようになり相当痛いであろう
背中に向け、全力で弾幕を叩き込む
速さ10倍の打ち出す早さも10倍、実質弾幕の速さは恐ろしいほど早い
ぱっ、と効果が消えると霊夢が倒れこんだ
蓄積ダメージ全てが霊夢を襲ったのだ、立てるわけが無かろう
でも、霊夢自身はあきらめていないようで手元の土を握り締め、身体に力を入れている
立ち上がりこっちを見てくる 素晴らしき闘争心
揺ぎ無い精神、さすが才能の塊 成長が早い
「今度はこっちの番でいいかしら」
「残念、ずっと俺のターーーン!!」
――孤独 サリテリーシャドウ
「がっ!!」
霊夢が痛みで声を上げる
もちろん俺は何もしてない、してるのは“霊夢”
そこには霊夢のシルエット、影とでも言うべきものがいた
弾幕を放つ影、その弾幕をよけた霊夢は叫んだ
「なによあれ、ちょっと蒼真!!」
「なにって、お前だよ 5分くらい頑張れ」
「ちょっとお!!」
影が放つ弾幕はことごとく霊夢に被弾する
霊夢も放つが、影をすりぬける
このスペルは影に30回弾幕が当たると強制終了となっている
影霊夢は次々と弾幕を放つ
霊夢に焦りと疲れが見える
このまま撃ってて平気なのか、色んな考えが頭をめぐり動きがのろくなる
そこに行った大量の弾幕、霊夢は避けられないまますべてを被弾
強制終了となった
「あんたの作るヤツ、チートばっかじゃない」
「褒めないでよ」
「はぁ」
にしても、使ったスペカ ホントに少ないな
まだ四枚しか使ってない
20枚くらいは作ってあるのに
ま、宴会ででも使うでしょう
俺は霊夢を視界から外すと、
「紫、おーい」
「密度の異変、解決ご苦労様」
ぬっと出てきたスキマ妖怪
「ありがとうです!!」
「ま、次のヒントだ
第四の異変は魂の花
季節外れに咲き乱れる」
紫は少し考えるそぶりを見せた
実際考えてるのかはわからんが
「花が咲くのが異変なの?」
「ま、来年の春だ 一年のブランクがある」
「なら、まだいいわね」
言うことは言った さてと、では寝ますか
俺は紫と霊夢に別れを告げて家に帰った