東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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なんか、投稿ペースが速いですww


蟲たちのワルツ

名のない森、正確に言えば名前はあるのだろうが俺は知らないからこうよんでいる

この森は人里に対して少し遠く、人の出入りが少ない

そのため自然がとても豊かなのだ

太陽の畑とも離れているため、つくのには若干時間がかかる

 

では、なぜこんな所に着たのか?

俺が気まぐれやであることは関係無いことはない

だがしかし、今は夏なのだ

蝉はミンミン鳴いているし、夜には鈴虫が綺麗に音を奏でる

都会では見ることのできない美しい自然、だからこその蟲たちである

なら、蛍を見ないのは損ではないあろうか?

 

俺は生まれてこの方蛍を見たことが無い

けれど幻想郷には、蛍の少女がいるではないか

と、言うわけで 俺は森の中を歩いている

木の枝、葉が幾重にも重なり木漏れ日だけが足元を照らす

静かに聞こえる水音は川があることを示しているのだろう

悪い足場の中を、俺はゆっくりと進んでいく

少し薄暗い森にはひんやりとした風が吹き抜けていた

 

「避暑にはもってこいだな」

一人、そう呟いて足元を見た

今まで良くは見ていなかったのだが、そこは蟲の王国 ともいえるほど虫が溢れていた

ダンゴムシやアリは当たり前のように歩いていく

蝶は舞い踊り、蜂は蜜を求める

百足や蜘蛛は隠れ バッタは元気に飛び跳ねていく

 

……地面を見る自分の目に、靴が映った

紺のキュロットパンツ 白いシャツの後ろにはマントが見える

濃い緑髪を風にたなびかせる女の子、リグル・ナイトバグだ

彼女は不思議そうに俺を見つめてくる こちらとしては見られる筋合いはないのだが

「……蟲が嫌いじゃないの?」

彼女は尋ねてくる 俺はキョトンとした

不思議がられるのも可笑しくはないだろう、虫の多くは作物を食い荒らし駄目にしてしまう

農業により生きる村の大半の方は、嫌がるのも無理はない

「いや、虫は結構好きなほうさ」

けれど、俺はその範疇ではない

 

俺は一匹、ダンゴムシを手に乗せると歩く様子を見つめながら言った

子供の頃は沢山の虫にお世話になった

こぼしたお菓子はアリに持ってってもらった

ミミズ達には腐葉土を作ってもらった

そんな思い出が他にもある、一つ一つを思い出しながら俺はちょこちょこ歩くダンゴムシを見ていた

「そうなんだ……変わった人だね」

リグルは苦笑いを返してきた、呆れたような そんな感じ

俺はダンゴムシをそっと逃がす 落ち葉の下に潜っていき、やがて見えなくなった

 

「おっと、自己紹介がなかったな 俺は荒無蒼真 君は?」

「僕はリグル、リグル・ナイトバグ  蛍の妖怪だよ」

うん、知ってた  なんて言う訳もなく、覚えておくよ と、返した

「ね、もう夕方だけど 蒼真君は何しにきたの?」

「俺はね……って、夕方?」

俺は頭を上げて空を見る、わかりにくいが来た時よりも暗く 葉が赤い

時間が随分とたっていたようだ、さっきまでは昼過ぎくらいだったと思うのに

「そうだよ、夕方 それより、何しに来たの?」

リグルは再び聞いてくる 答えないわけにはいかなそうだ

 

「人が来ない所だからさ、蛍が見れないかなって思って」

「そうなんだ! こっちだよ~」

蛍を見に来る きっと自分の事の様に嬉しかったのだろう

声は大きくなり、遊園地に来た子供のようにはしゃいでいる

良く見えないが、触角も楽しそうに揺れているのかもしれない

リグルは薄暗い中をぴょんぴょんと手招きしながら進んでいく

俺もあわてて後を追うが、彼女よりかは目が悪い 足場に気が行くため、遅い

「もう! 早く、こっちだってば!」

リグルは痺れを切らして言うが、歩きにくいのだから仕方がないだろう

張り出した根っこを越え、茂みに足を踏み入れ

泥沼をよけて進んでいくこと15分ほど

目の前の木の枝をぐっと持ち上げると、目の前に……

 

「……綺麗だ……」

清んだ空気、生い茂る緑 透き通った水 

他の森に勝るほどの圧倒的美しさを持つ自然

……が、霞んで見えるほどの優雅な光りが見えた

温かみがある、今にも消えてしまいそうなほど 小さくぼやけるような光り

その光りは確かに蛍からのものだった

けれど、その光りが織り成していく芸術はどんな素晴らしい画家でも描けないような美しさを持っていた

 

その傍らでリグルは俺を見て笑うと、指で円を描いた

蛍たちは指先の動きどおり円を描き、光の音楽を奏で始めた

ゆっくりと、大きく 儚く そんなえもいえぬような物

それを、俺は今日 妖怪少女に見せてもらった

鈴虫たちも、リグルが顔をあわせると嬉々として澄み切った音を鳴らした

蝶は蛍の光りに照らされながら、また違った動きで宙を舞う

「どう? 僕の虫たちは? 綺麗でしょ」

「うん、凄く綺麗だよ」

聞いてくるリグルに向かって、俺はそう答えた

そして淡い光りが日で掻き消されるまで、俺は蛍に

いや、リグルに 見とれていた

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