東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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暇な方はどうぞ tokiryuu1005


月への侵略
鍋と裏計画


いつものように白い結晶は降り積もり、やがて山となっていく

空ももちろん雲海 ことごとく真っ白であり太陽の光りが届いているのか疑わしい

気温は一桁、悪いとマイナスを回っていく勢いであり氷精は元気いっぱいである

 

俺はまだ子供だが、雪ではしゃぐには遅いらしく寺子屋の子達には雪合戦では勝てない

けれど、美術や技術が得意だった俺は雪だるまや雪像で驚かしてやることが多かった

そんな楽しい当たり障りのない日を過ごしていた中

 

トントン

 

俺の家の扉を誰かが叩いた

後ろを振り返った瞬間にドンドンという、大きい音に変わる

相手はせっかちのようだ

今日は特に何も予定がなく(いつものことだが)久しぶりに錬金なんかに力を入れていたのだが

しょうがないな と、一つため息をつくとガラス球を机において扉を開いた

 

「もお、遅いぞ すぐに出てくる!」

白黒長袖箒魔法使いが玄関口に立っていた

一言俺に言った後、がっしりと俺の手を掴み箒にまたがった

あっけに取られる俺を他所に瞬く星のような閃光が箒から飛び散った

鮮やかなエフェクトは大気を押し、風を生み出し ものすごいスピードで飛んでいく

俺は手を握られたためバランスがとれず、なすがままに引っ張られていくので

 

「くぁwせdrftgyふじこ!!」

脳みそは右へ左へ大きく揺れ、身体は前後に振れる

人間振り子 という言葉が似合う滑稽さであっただろう

誰が見ても被害者 無様だったことが良くわかった

ぐるぐると回り歪み蠢いていく視界の中、かろうじて認識できた博霊神社に魔理沙は降り立った

急停止されたため、勢いあまって手が解け 前方に吹っ飛ぶ

そのまま空中二回転半を美しい程綺麗に決めた後、落下

顔面着地 という神業を成し遂げたワケだ

意識がはっきりとしてきたのはそれから少し立った頃

 

口には草と土 砂利がぎっしりと詰まっている

嗚咽と共にそれらを吐き出し、近くの川に駆け込んだ

清んだ水を口に含むと、まだ鮮明に感じる土の味が冷たさによる感覚の遮断で感じなくなる

ぶへっ!! と吐き出した水は土の茶色と血の赤に染まっていた

頬の内側が切れてしまっていたようだったが、すぐ傷は塞がっていった

猛烈な憤慨 破壊衝動を抑えながら乱暴な手つきで神社のドアを開けると

 

「も~らいっ!!」

「あっ、それ私の!!」

「美味しいですね!」

「魔理沙、口元 汚れてるわよ」

と、人形師、庭師という、予想外の面子が居た

四人が囲うのは鍋 しかも、丁度煮えた所のようだ

ぐつぐつという汁の中に葱、白滝 牛肉に豆腐

美味しそうな食材が並んでいて、ちまちまと、突付いていた

 

俺は魔理沙の肩をがしっと掴むと、熱々の豆腐をほっぺに擦り付けてやる

「アツッ!! ちょ、蒼真! 熱い熱い!!」

「「「……は?」」」

魔理沙が扉側だったのが幸いし、見事にドッキリが成功した

ぐりぐりと豆腐を押し付けると、こつん と頭に人形が当たった

キラン と糸が見える  上海が頭に軽く拳骨したのだ

「痛いなぁ、俺 傷ついちゃったよ」

魔理沙から手を離して言う

「痛いなぁじゃないわよ 魔理沙が何をしたって言うのよ」

「俺のことを地面に放り投げた」

「「「じゃあ、しょうがない」」」

「ちょ! ちょっと!!」

三者一斉に放った言葉は、魔理沙を見捨てるものだった

 

「まぁ、でもまずは食べなさい」

「そうですよ、コレなんか 美味しいですよ」

霊夢が米を、妖夢が具材を それぞれよそってくれる

魔理沙のほうにアリスが避けて座らせてもらい、卵にくぐらせる

米と一緒に口に運ぶと 言うまでもなく、旨かった

カシャカシャと、米を掻き込んでいき すぐさま米はなくなった

「遠慮くらいしなさいよ」といいながら霊夢はよそってくれて

「口元、しっかりしてよ」なんて、アリスが言ってくる

まさにハーレム と、いいたいが、生憎俺はまだ死にたくない

変な事言って弾幕飛ばされるわけには行かない

それぞれの会話に耳を傾けながら、白米を掻き込んでいく

ぶっちゃけ、神経は全て食べることに注がれており 話などまったく聞けていなかった

 

「蒼真はどうなんだ?」

いきなり質問を投げかけられた 米食ってた俺が質問内容を知っているわけがない

「どんな質問だい?」

「蒼真はやってみたいこと とか何かないのか? って話だ」

やってみたいこと……

「そうだな、月の侵略 とか?」

ぶほっ! お茶がはじける音がした

霊夢の顔がびしょびしょである

 

「……紫やレミリアがそんな事言っていたわ」

濡れた顔で真面目な顔されても正直困る

にしても、俺の影響か何かはしらんが時軸が少し歪んだらしい

「そうか、霊夢 魔理沙 頑張れよ 妖夢も頼むな」

俺は唐突にそういい残し、席を立った

頭に?を浮かべる四人を背に 俺は図書館に向かった

 

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