東方黒鉄伝   作:荒無 時竜

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夢での

美鈴に話をつけ、咲夜に通してもらい 図書館までは直だった

パチュリーは大量の本を読み漁っている

どれもコレもがロケット や 燃料 についての本で、月への片道切符を手にしようとしていることがわかった

 

「パチュリー、忙しそうだね」

「ええ、レミが月にいくって聞かないからね」

お互いに苦笑しながら俺は話を切り出す

「……わかってるんだろう?」

「そうね、わかっているわ」

 

パチュリーには「秘密」と言う事で、少し未来を話してあげた……というか、天界や地底について話してあげた

もちろん、月の話も当然した 高度な文明 鍛えられた防衛軍 

そしてなにより、姉妹とその上のことを

今回は紫への貸し に等価として頑張らなければいけないので、少々月をぶっ壊す羽目になるが 仕方ない

どうせ、酒とつまみだけ盗んで来るのだ 町の損害なぞ知るか

 

「と、言うよりか 用件は別でしょう?」

俺の少しの回想シーンを妨げるように、パチュリーの言葉が入った

「おっと、失礼」などと適当に言った後、ガラス球を6つ 机に並べた

「まさか、通行手段だけじゃなく戦力にされるとは思っていなかったわ」

「ごめんね、面倒な争いは避けたい」

そんな言葉にため息をついたパチュリーは「あんたが行くことが面倒事なのよ」

なんて皮肉たっぷりの毒舌をかましてきた後、空間の塗り替えをした

 

さっきまでの図書館とは一変して、小さい宇宙 そんな言葉の似合う世界に塗り替えられた

さっさと終わらせましょう とばかりに呪文を唱え始める

俺がパチュリーに依頼 もといお願いしたのは機獣の強化パーツ作成だ

パチュリーには7属性の魔法がある その内の「金」の魔法 それをあの特注ガラスに閉じ込めるのだ

 

 と、イメージを語ったが実は相当難しいことだ

ガラスが割れないこと 魔法が漏れないこと これだけなのだが、パチュリーの魔力は強い

 

どの位かと言うとどこぞの巨人並だ 対策がなければ勝てる可能性は雀の涙ほどもないだろう

かといって対策があれば勝てる というものでもなく、実際俺は今 迫力と衝撃に押されているのだ

空間を歪めんばかりの波が 揺さぶるような轟音が あたりに反響し増幅していく

パチュリーの本は青白く輝き、宙には光りの言葉が浮かび上がる

 

文字ばかりを追いかけていた瞳には、瞬く星のような色が揺らめいていた

その姿を固唾を呑んで見守る俺の前で、金魔法がいよいよ姿を見せた

溶かした金属のような力が宙を流れるように移動しうねっている 

眩いばかりの光沢と、とてつもない伸縮性をもつそれは おとなしくガラス球に吸い込まれていった

ブッ! と、一瞬で図書館に戻った 疲れたのか机に突っ伏していた紫もやしは

「これは、貸しだからね」と言った

「覚えておくよ」なんていいながら俺はその向かいに座った

机にぐてーっと体重を預けると、どこからともなくお誘いが来て 夢の国へ誘われた

 

 

ーーー貴方はなーんだ

幼い声が響いた 聞いたことあるような声

 

ーーー貴方はなーんだ

もう一度響いた それに答える

「俺は妖怪だ」

 

……ふふっ あっははははははははははは!!

突如、懐かしい笑い声が響き渡る フィードバックしてきたのは、青空の下で笑う女の子

初めて友達になった子だった その笑い声は今も印象に残っている

 

ーーー残念はっずれー ふふふっ

その子は引っ越してしまって、その声を聞くことはもう、なかったのだが

今現にここに響いているのは あの日のままの声だった

けれど、疑問が湧いた 当然だろう?

「俺は妖怪ではないのか?」

俺の中に浮かんだのは彼女が何者か とか此処はどこだ とかいうものではなく

自分自身の深層心理 そして、一個体の名称への疑問であった

 

ーーーうん、キミは妖怪じゃないよ~ あはは

ーーそうだよ、キミは妖怪なんかじゃない

もう一人別の声 この子は確か、女の子のお兄ちゃんだっただろうか

いつも後を追いかけて、一緒に遊んでいた記憶がある

懐かしい声は他にも響いた けれども、来る前に遊んでいた友達ではなく 必ず別れた友達だった

 

ーーーーお兄ちゃんはだあれぇ? ししし

後ろからの声 ビックリして振り返ると

そこには、目鼻口以外が全て包帯で塞がれた男の子が居た

「キミは……」俺は口を開く

けれど、息が詰まる 言葉が紡げない 口が動かない

目の前の子は俺のそんな様子を気にすることはなく、あんまり動かせない顔で

しかし、どことなく怪しさを、怖さを仄めかしながら

確かににやりと笑って 言った

ーーーーお兄ちゃん、紅偽くん ドコニイッタカシラナイ?

 

「うわあああああっっ!!」

勢い良くそりあがった俺は椅子をひっくり返して頭を打ち付けた

知っている天井 果てしなく遠い天井

 

ここが紅魔館の図書室であることを思い出すのに時間は要らなかった

パチュリーは丸い目をしてこちらを見ていた

目に見えて震えるその唇から出てきた言葉は、俺を気絶させるのには十分だった

俺は目覚めても帰れなかった

怖かった 嫌だった  冷静に受け取っていた筈のことだったのに

幼子の記憶は洗礼に覚えているようで、アレは過去からのメッセージだったのか否か

 

冷や汗が伝う頬、俺は思い出して震え始めた

   「貴方の後ろに男の子が」

     パチュリーからのその一言で

 

 

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